ひとり山歩き402 : 栃木側から太郎岳(荒海山)に登ってきました。4.5年前に整備された倉掛沢ルートを登りましたが、踏跡は一部薄くなっています。下りの岳の沢左岸尾根は密藪でルーファンが難しかったです。
倉掛沢〜太郎岳(荒海山)〜岳の沢左岸尾根
2010年5月28日(金) 晴れ
1 行程   
ルートマップ(GPS)   ウォッちず : 太郎岳(荒海山)
自宅(1:30) = 中三依・入山沢林道駐車地(3:35/3:55) − 入山沢林道終点・太郎岳登山口(4:35) − 倉掛沢二俣(5:35) − 尾根取付き(5:40/5:45) − 展望岩(7:00/7:05) − 県境尾根出合(7:35) − 太郎岳(荒海山三角点峰)(8:50/9:20) − 県境尾根別れ(10:10) −登山道別れ・尾根取付き(10:20) − 標高点1071(12:00) − 入山沢林道へ下山(13:15) − 駐車地(13:55/14:05) = 自宅(16:30)

2 自宅 − 入山沢林道
 冬の間に弱くなった脚力回復のために、先週の沼上山〜三ケ峰〜笠ケ岳に続いて、栃木側から太郎岳(荒海山)を周回することにした。時間的に余裕があれば更に芝草山を北から南への縦走も計画した。荒海山は福島側からしかルートがなかったが、4・5年前に栃木側からの倉掛沢ルートが整備された。06年11月8日にこのルートを辿ったが、ロープの助けを借りるような急登箇所があり一般的ではないと感じた。その後の様子を知るために往路でこれを辿り、復路は岳の沢左岸尾根(蓬沢左岸と言ったほうがよいかもしれない)を下ることにした。この尾根は「高原山探訪」(現在はブログ「山野・史跡探訪」で活躍)のYoshiさんが06年11月25日に登った記録がある。その後、@宇都宮さんが08年10月12日(当掲示板に書き込み)にこの尾根を登って、倉掛沢ルートで下っている。
 岳の沢左岸尾根は密藪だが、どうしようもないというほどではないから登りに利用してもよいのだが、前出の二方が登っているので、ルーファンがより難しい下りに利用することにした。登山口は日光市(旧藤原町)中三依の入山沢林道終点にある。この林道は芝草山南登山口から2.5km先にゲートがあり、そこまでしか車は入れない。太郎岳登山口までは更に1.5kmほど歩かねばならない。
 中三依に来るのは久しぶり。林道の様子が変わっていないのを祈りながら入山沢林道に入る。入山荘までは舗装してあり、その先もよく管理されていた。芝草山に登れたら、林道ゲートまで行ってしまうと行きすぎである。送電線塩原34号巡視路から下りてくるのに都合のよいように途中の路肩に駐車した。

3 倉掛沢 − 太郎岳  踏跡は薄いところあるも迷うことはない 倉掛沢〜県境尾根の間は急勾配で、登るほどにきつくなる
 夜明け前だが、ヘッデンなしで歩きだす。送電線下を通過すると、すぐ先で林道のゲート(鎖)に達する。右には林道が分岐(鎖でブロック)、ここまでは車で入れる。入山沢の右岸沿いによく管理された林道を進み、三回目の左からの枝沢を渡渉すると、林道が分岐している。林道左側の大木に太郎岳登山口の標識を見る。この分岐を右に進み、無名橋を渡ると林道終点で小広場となっている。ここが太郎岳登山口で、芝草山北登山口はこの先30メートル。
 沼の沢(林道分岐の先で岳の沢が入山沢に注ぐ地点から名前が変わる)を飛び石で渡渉して、倉掛沢の左岸沿いの踏跡に入る。踏跡は狭く、落ち葉等で薄くなっているがなんとか拾える。踏跡(登山道)は左岸に続くが、しばしば渡渉を繰り返す。左岸に道筋が消えたら右岸を眺めると薄い踏跡が見つかる。踏跡は薄倉掛沢・二俣の右俣にかかる滝い上に幅が狭いが特別危険と言うことはない。標高900付近の左岸にロープを頼りに数メートル高巻くと所は要注意である。標高980で二俣に達する。ここは左俣に進む(右俣は滝になっている)と、更に5分程度進むと立ち木に太郎岳の標識があり、ここが尾根取付きとなる。
 勾配はきつく二本のロープの助けを借りて50メートルくらい登る。以降も急勾配は続く、10mていどのロープを登ると左から尾根を合わせる。以降は多少勾配は緩むが、踏跡に笹がはみ出していて快適とは言えない。踏跡は一部薄い場所があるが追うことができる。展望もなくひたすらガマンを決め込む。今日は幸いに気温が低いので助かる。標高1200直下で岩とロープが現われ、ひと登りするとシャクナゲの花が開き、芝草山と高原山(山頂部はガスの中)が展望できた。写真を撮ってすぐに前進。
 勾配はますます急になってきた。標高1340でロープを伝って登ると展望岩の上に達した。芝草山の西側が送電線と鉄塔を含めて一望できる。高原山はガスの中だが、女峰山と明神ケ岳がクッキリと目にはいる。いくら藪山が好きでもこういう褒美がないと疲れてかなわない。疲れが幾分か和らいだような感じがする。いっそう勾配はきつくなり、西へとトラバース気味に県境尾根を目指す。復路の尾根取付き地点を探りながら、ロープで大岩を越し次のロープを伝うと「←太郎岳」と中三依→」の標識を見て県境尾根に達したことを知る。
 県境尾根出合から太郎岳まで、今でこそ踏跡(登山道)があるが、05年9月17日に北東に位置する1276ピークまで辿ったときには藪漕ぎに苦労した。その時のことを思い出しながら山頂を目指す。踏跡は福島側を辿り、途中で大岩群を通過し、やがて細尾根の上を歩くようになると、前方に急峻な太郎岳と栃木側の山々が展望できる。ここから僅かに下って、山頂へはどちらかと言うと栃木側に踏跡がついている。灌木や笹に掴まりながら80メートルほど登ると目の前が開けて太郎岳(三角点峰)の山頂である。360度のパノラマが拡がる。雪でまだ白い燧ケ岳(と思う)は上部がガスの中だが、先刻までガスの中だった高原山も展望できる。南東の下方には岳の沢の大型ダムも見える。

太郎岳山頂からの展望ビデオ(西から反時計回り)


4 太郎岳 − 岳の沢左岸尾根  密藪とルーファンに梃子摺る
 山頂は涼しく、展望も良くて長居したいところだが、下山後に芝草山も縦走するつもりなので写真を撮ってエネルギーを補給しザックを担ぐ。県境尾根出合に戻って、倉掛沢コースを下り始める。すぐに大岩とロープが現れる。往路で検討をつけておいた地点から岳の沢左岸尾根に取り付く。急斜面に背丈を超す笹の密藪で尾根形は全然読めない。コンパスを設定して笹にしがみ付きながら下って行く。勾配がきつい上に、寝た笹の上に乗ると足元が滑って何度も尻餅をつく。コンパスを見ながら下るなんていう芸当は出来ない。笹から片手でも離したらすぐに尻餅をつくような状態が続く。喬木の並び方を見ながら方向を読む。80メートルほど下ると笹は背丈から胸丈になりなんとなく尾根形が読めるようになった。ヤレヤレと安心するまもなく藪で尾根筋が隠れてしまい、コンパスと喬木の並びを読みながら下っ下山尾根  (太郎岳の東鞍部付近から)て行く。事前に地形図からこの尾根は小さな枝尾根が何本も派生しているので、ルーファンには注意していたが標高1270付近で最初のルートミスを犯す。すぐに気付いて方向修正すると、今度ははシャクナゲ混ざりの混合藪となる。
 以降は笹は腰丈程度で灌木藪も強烈と言うほどではないが、時には細尾根上に樹木が茂っていて歩行の障害となる。標高1200付近で第二回目のルートミス、右手により高い尾根筋が見えるのですぐに方向修正する。そこから下った鞍部は藪がなくひと息ついて、少しばかり登り返すと標高点1071で小さなコブで今まで同様に展望は全くない。標高点の先はアスナロの茂る細尾根で第三回目のルートミスを犯す。ルートミスを犯した場所は何れも進行方向に枝分かれしている。登りならどうということはないのだが、藪尾根は下りのルーファンが格段に難しい。これが藪尾根歩きの楽しみのひとつだが、これだけ間違うと癪に障る。
 標高点1071を越したら、尾根筋がよく読めて赤テープまでお出ましとなる。尾根筋は明瞭となり藪も緩んできたのと、三回ものルートミスで注意を喚起したせいか以降はノーミス。標高950で東へ直角に方向転換して、20メートルほど下った地点で第二回目の直角転換するとカラマツ混ざりとなって藪はなしとなる。途中で小さなピークを越すと、ミズナラ主体となって、藪はなくノンビリと下る。沢音が大きくなって、最後に急降下すると入山沢林道に無事下山。
 この尾根は2時間で下れると思っていたのが、予想以上に尾根筋がトリッキーで、ルーファンに時間を要して3時間もかかってしまった。計画よりも1時間超遅れていたのと、三回のミスあるいは予想外のトラブルが生じたら、その日は無理をしないと言う自分の決め事で、芝草山を北口から南口への縦走は取りやめとして、入山沢林道を戻る。ゲート手前に車が一台、傍で持ち主が食事をしていた。釣り人かな。釣りをする人なら林道のカギを貸してもらえるのかな? 駐車地の手前で軽トラックが追い越して行った。途中に工事中はなかったので、岳の沢ダム方面から戻ってきたのかもしれない。
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