ひとり山歩き401 : 香沢林道から沼上山に登り、三ケ峰そして笠ケ岳へ、その北西尾根を辿って香沢林道へと周回してきました。久しぶりの藪漕ぎを堪能することができました。
香沢林道から沼上山(1534)〜三ケ峰(2032)〜笠ケ岳(2246)周回
2010年5月22日(土) 晴れたり曇ったり
1 行程   
ルートマップ(GPS)    ウォッちず : 沼上山  三ケ峰  笠ケ岳
自宅(0:25) = 香沢林道口(2:50/3:00) − 林道分岐T(3:15) − 林道分岐U(4:05) − 尾根取付き(4:35) − 沼上山(5:00/5:10) − 標高点1622(5:40) − 尾根合流(標高1800)(7:10) − 三ケ峰(8:00/8:20) − 標高点2077(10:35) − 標高点2205(12:30) − 笠ケ岳(13:00/13:20) − 標高点1824南鞍部(15:20) − 林道出合(15:25/15:35) − 香沢林道出合(15:40) − 深山橋(16:30) − 香沢上流ダム(17:50) − 香沢林道口(18:15/18:25) = 自宅(20:50)

2 自宅 − 香沢林道口(片品村)
 奥白根山から見る錫ケ岳はお気に入りのひとつ。錫ケ岳の右手に笠ケ岳、三ケ峰そして沼上山への稜線が展望できる。以前から錫ケ岳から笠・三・沼へと縦走して見たいと思って行った。錫ケ岳から笠ケ岳へは08年9月9日に歩いてひとり山歩き328で報告している。その後、沼上山から笠ケ岳までの記録をネットで調べた。残雪期に、「山頂渉猟を追って」の山頂渉猟さん、当掲示板でお馴染みのみどりさんご夫妻がサエラスキー場がらみで歩かれた。残雪と無雪のはざかい期に「群馬山岳移動」の重鎮さんもサエラスキー場からピストンしている。無雪期では、沼上山から三ケ峰を往復したという記録は、「THNCねくらハイキング」のねくらハイカーさん、「今度、どこ登ろうかな?」のあさぎまだらさん等の記録がある。
 沼上山〜三ケ峰〜笠ケ岳を無雪期に日帰りするにはサエラスキー場からスタートするとピストンするか、笠ケ岳から北西尾根を辿り、香沢林道を利用せねばならない。この場合は、単独行では車の回収に難がある。前出のねくらハイカーさんが香沢林道から笠ケ岳に登ったときの記録に、笠・三・沼稜線の山腹に林道が通じているようだ、と推察している。この推察に基づいて、09年8月3日にひとり山歩き366で香沢林道から派生した林道が沼・三・笠稜線の山腹を這って再び香沢林道に通じる循環林道が確認できた(地形図には記載なし)。この林道を利用すれば無雪期の日帰り縦走も可能かもしれないと準備を始めた。行程が長いので、昼時間が長く、暑くもない今の時期が最適と判断して早速実行することにした。12月以降は雪山ばかりで藪漕ぎからブランクが有るのがちょっと心配。残雪が多すぎると無雪期という範疇に入らないので少ないことを祈る。
 今日の行程は林道歩きは往路で1・5時間、復路で2.5時間を含めて14時間を目標とする。山歩きのこだわりである、明るいうちに駐車地に戻るを実践するには、恒例の早出出勤。明るくなったら尾根に取り付けるよう見計らって家を出る。香沢林道口は今回が三回目でよく知っている。付近の路肩に車を駐めてすぐに出発。

3 香沢林道口 − 沼上山  林道利用で沼上山頂へ
 香沢林道に入って、15分ほどで林道が後方にもどるように分岐(林道分岐T)している。あとはこの林道を道なりに進むだけ。標高1300付近で林道分岐Uに達する。地形図の実線はそのまま東に下って行く。ここは登るほうに進む(注:分岐Uの少し手前で北に別れる分岐があったがこれは無視)。途中で燧ケ岳が樹木の切れ間から見えたりする。林道のどこから登っても沼上山の北稜線上に達するが、最短で登るべく標高1300で沼上山からの小尾根に取り付く
 間伐材の転がるカラマツ林を枯れ枝を踏みしめながら、ひと登りすると稜線に達した。小高い場所が沼上山の山頂で、ほんの僅か北に下るとカラマツの大木の下に三角点を見ることができる。山頂のすぐ傍にはスキー場のリフト小屋を見る。先が長いのでザックを下ろすこともなく先に進む。

4 沼上山 − 三ケ峰 − 笠ケ岳  藪の下に踏跡(人為的?)がかなりの部分で拾える  残雪には助けられるよりも悩まされる
 南東に緩やかに下って行くと藪は全くなし。方向を東に変えて緩やかに登りはじめると低い笹が林床となる。標高1600あたりから笹は膝丈とな三ケ峰山頂り幾分濃くなるが大した抵抗とはならない。標高点1622付近からは笹は腰丈となり抵抗が増えるが、笹下に抉れ気味の踏跡を追うことができる。カラマツ林となって笹はますます濃くなり胸丈となる。尾根の左側(北側)は比較的藪が薄い。このあたりのカラマツには白リボンがぐるぐる巻きしてある(なんのためにしているのだろう?)。標高1650を越すとコメツガが主となって笹藪は薄くなる。標高1700あたりからは急笠ケ岳遠望 (三ケ峰の東峰付近から)登となり、笹は腰丈となるが薄い。標高1750で幾分緩やかになり、胸丈の笹が密なダケカンバ林となる。前方に三ケ峰から笠ケ岳が樹木の隙間から窺える。
 コメツガやダケカンバ林は笹はあまり濃くなく、下に溝状の踏跡が認められる。藪が濃くなったら尾根の左手に逃げると比較的薄い場合がある。シラビソ林の倒木地帯に赤テープを見る。林床が低い笹のシラビソにダケカンバの混ざる尾根を急登すると、西から尾根が合流する。この先からは明瞭な踏跡が続く。鹿の糞が多いが、踏跡には赤頭のプラ杭が何本か認められた。これを設置するときにつけた踏跡を鹿が利用しているように思われる。三ケ峰山頂まで楽ができると、喜んだのもつかの間、山頂直下で残雪が現れ踏跡は雪の下に隠れてしまった。20メートルばかり残雪部を登って行くと、笹の現れた三ケ峰山頂に達した。山名板は48.10の群大WV、Gさんプレートそして字の消えた丸いプレートが認められた。少しはなれた場所にすかいさんのプレ−トを見る。三角点は部分的に残る残雪のなか見つからなかった。軽くエネルギー補給してザックを担ぐ。
 三ケ峰から隣りの東峰まで約300メートルはシラビソ・ダケカンバ林で藪は深くはないと思われるが、連続して残雪歩きとなる。東峰を越すと雪はなくなり腰丈の笹となる。160度に皇海山を樹木越しに見て下っ行く。左手が切れて至仏山、燧ケ岳や四郎岳が展望できる。藪の抵抗を受けずに気持ちよく歩いて行くと、前方にこれから進む稜線と笠ケ岳が展望できる。笠の右後ろに錫、左後ろに白根の頭もみえている。景色はよいが先が長いの知って疲れが出始めた。鞍部の名残りの雪庇で尻餅をつきズボンが濡れてしまった。
三ケ峰東峰付近から至仏山〜燧ケ岳方面展望(ビデオ)


 鞍部からは腰丈から膝丈に笹が短くなりシラビソ・ダケカンバ林の登りとなる。標高2000あたりから残雪が縞々に現れる。直下に山腹を巡る林道を時々目にする。笠ケ岳に届かない場合は林道にエスケープを考えていたが、林道に下るには急降下せねばならない。ここまで来たらなんとしても笠ケ岳まで行くぞ、と自分を励ますのだが、久しぶりの藪漕ぎで脚腰が疲れ計画よりも遅れだす。赤頭のプラ杭を見かけるが、三ケ峰手前のように踏跡は顕著ではない。2060級ピークへの50メートルの登りは急できつかった。このピークを越すとシャクナゲ藪が現れだす。標高点2077からは皇海山と四郎岳が窺える。
 針葉樹やシャクナゲの小藪の中を緩やかに登って行く。標高2130あたりからは尾根上はシャクナゲが密なので、左の尾根直下を登って行く。標高点2205まで頑張ろうとしたが、バテル前にザックを下ろして10分ほど小休止する。シラビソ幼木のうすい所を選んで登りつめた地点が標高点2205で方向が北東から北向きに変わる。笠まではあと30分はかかるだろう、と覚悟決めて歩きだす。僅かに下った鞍部からは残雪がある。この残雪には苦労させられた。雪に埋もれた針葉樹の枝が起き上がりかけているので、何度も膝まで踏みぬく。悪いことに残雪部は凹凸が激しく、針葉樹の藪漕ぎを課せられる。残雪がないほうが枝との隙間を取れて楽だったかもしれない。時には針葉樹が切れて低い笹が現れるが、長続きはしない。武尊山、至仏山、錫ケ岳あたりが見えて足取りが多少軽くなる。樹木が切れて、雪が小高く残る笠ケ岳山頂に達した。08年9月9日に錫ケ岳から来たときには笹の下に三角点を見つけ出したが、今は山頂部は一面残雪で埋まっている。目新しいことは三ケ峰でも見かけたすかいさんの山名板。山頂からは錫ケ岳が見えるだけ。

5 笠ケ岳 − 北西尾根 − 香沢林道
 笠山頂からは、前回の実績から香沢林道口まで約5時間で、明るいうちに駐車地に戻れると安心する。前回は北西尾根の途中で藪が濃くなって枝尾根を下って山腹の林道にエスケープした。今日は途中の藪次第だが標高点1824手前の鞍部から山腹の林道へ下る計画。
 尾根を西に下り始めると、積雪期に登った人がつけたと思われる手の届かない位置に赤テープを見る。残雪は尾根上三ケ峰と山腹の林道  (笠ケ岳西から)にはなく、明瞭な踏跡を下って行く。標高2130あたりで踏跡が不明瞭となり、前回エスケープした標高2120で密藪に突入、枝尾根にエスケープを考えたが初志貫徹して北西尾根を下る。すぐ先からは残雪が縞々に尾根上に現れる。この残雪でルーファンが難しくなる。雪上を歩いている限りは楽だが、それも一分と続かない。残雪部の切れ目は概して藪が濃い。こんな中途半端な残雪ならないほうが余程ましなのだが。
 標高2070のザレ部で樹木がなく白根山と手前にいま下ってきた笠ケ岳、そして至仏山、燧ケ岳と藪漕ぎの褒美をもらう。標高2050あたりで赤テープを見てからは針葉樹の幼木がなくなり楽になる。途中で踏跡を拾いながら下って行くと、薄い踏跡の上にアスナロが被いかぶさるようになった。なんどか顔に引っかき傷をつける。我慢したお陰でなんとか標高点1824南鞍部に達した。林道めがけて斜面を下ると、藪は薄く楽々と林道出合に達した。駐車地まで更に2.5時間、ノンストップで帰るべくスパッツを外し喉を潤す。こんな密藪の尾根を防寒着を着てテント泊の装備で下ったナスノガルーダさんと常吉さんに敬服する(04年11月)。
 すぐ先で香沢林道に出合い、ドンドン下って行く。この先は三回目で途中の写真は撮らずに急ぐ。深山橋、香沢橋その他の多数の橋を渡って行く。退屈なのでラジオをかけると大相撲放送、全く興味なし。モンゴル相撲と名前を変えたほうがよい。仕方ないのでICレコーダに吹きこんでおいた三橋美智也(我が高校時代はこの人が全盛の時)を聞いて退屈を紛らす。地形図を見ると分かるように無理して林道を拓いたせいか岩崖が多い。岩崩れがも多いので、早脚で通り過ぎる。香沢上流ダム、更に早朝の林道分岐Tを見て、やっと香沢林道口に達した。計画よりは約1時間遅れ。三ケ峰から笠ケ岳の間が思ったよりは時間がかかりすぎた。5ケ月の藪漕ぎブランクを制して計画通りに歩けたのは大きな喜び。
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