ひとり山歩き373 : ドビン沢左俣で温泉ケ岳に登り、南東尾根を下ってスタート地点に周回しました。往路では藪漕ぎ、復路ではルーファンに苦労しました。
ドビン沢から温泉ケ岳(2332)〜南東尾根
2009年9月25日(金) 晴れのち曇り
1 行程   
ルートマップ(GPS)   ウォッちず : 温泉ケ岳
自宅(2:50) = 金精道路の刈込湖入口(5:05/5:15) − 小峠(5:40/5:50) − ドビン沢二俣・中尾根取付き(6:30) − 中尾根退却(7:00) − ドビン沢左俣(7:15/7:30) − 沢から藪へ(9:15) − 登山道出合(11:15) − 温泉ケ岳入口(11:30) − 温泉ケ岳(11:45/12:20) − 南東尾根へ(12:35) − 標高点2061付近(13:45) − 金精道路出合(15:50) − 刈込湖入口(15:55/16:10) = 自宅(18:20)

2 自宅 − 金精道路刈込湖入口
 栃木の山283+の山部さんが、温泉ケ岳山頂直下にポッカリと開いた大穴を最近見つけた。この穴は織田信長の時代から修験者に知られていたとの記述もあるらしい。いつの日にか付近を通ることもありそうなので確認しておきたい。温泉ケ岳は何度か登った山なので、金精峠から登山道を辿るのでは自分の流儀にかなっていない。以前からドビン沢の中尾根で温泉ケ岳に登って見たいと考えていた。それとは別に温泉ケ岳入口付近から派生している南東尾根を無雪期に下る案も持っていた。金精道路の刈込湖入口からスタートすれば、うまく下山後の舗装道歩きは150メートル程度でうまく周回できる。
 今回は明るくなってから歩きだしても、藪次第では新設の念仏平避難小屋を見て更に根名草山も可能と考えて金精道路に向かう。シルバーウィークの21日(月)とは異なって、いろは坂を通る車は非常に少ない。途中で時間調整したこともあり、金精道路の刈込湖入口駐車場に着いたらヘッデンなしで歩けるようになっていた。

3 ドビン沢 − 温泉ケ岳  ドビン沢左俣は特に危険箇所はない  源頭部の藪漕ぎは強烈  周辺の紅葉が見ごろ
 緩やかに登るハイキング道を心地よい風を受けながら進むと、大岩の下に道標とベンチのある小峠に達した。道標のすぐ先に大きな落石が登山道を塞いでいる。いつの時点で落下したのかは不明だが、07年9月13日にはすでに落石があった。その時との違いは、落石の脇を抜ける踏跡が濃くなったことであろう。落石の先の道標の左からドビン沢に下るのだが、笹藪で踏跡は完全に消えている。ここで雨具の上下を着けて藪に突入する。
 背丈ほどの笹藪を2分ほど漕ぐと、平坦地になり膝程度の笹と草地になる。ここからは広い沢筋を適当に歩き易い所をドビン沢左俣の標高1850付近選んで北西に進む。ドビン沢を15分ほど進むと沢筋が狭まり、ここで初めて水流のあるドビン沢に下りる。途中でダケカンバの色づきを楽しみながら、小峠から40分でドビン沢二俣にたどり着く。計画通りここから中尾根を辿り温泉平に登ることにする。
 中尾根に取り付くとすぐに密な笹藪が歓迎してくれる。尾根の勾配がきつくなりシャクナゲ藪も出始める。そのうちに藪も緩むだろうと我慢をして登って行く。やがて狭い岩稜となり、密藪で勾配が極めてきつい。反り返るようにして見上げるとこの状態は高さにして20メートルは続きそう。尾根取付きから30分でたったの60メートルしか登っていない。この先の様子は全くうかがい知れない。この尾根筋を進むのは無理があるとあっさりギブアップ。周辺の尾根筋の紅葉を眺めて退却する。登りの半分の時間で二俣よりは僅かに上流のドビン沢左俣に下りた。雨具を脱いでエネルギーを補給しながら、この先どうするか考える。計画段階でWebで調べると、ドビン沢右俣の遡行記録はあるが、左俣に関しては遡行記録はない。せいぜい右俣を遡行して、左俣を下ったというのを見る程度。左俣は沢やさんには沢歩きとはいえないような単調な面白みのない沢なのだろう。沢歩きに関してはど素人でも歩けそう。高巻くような危険箇所があったら、おとなしく引返すと決めてザックを担ぐ。
 スタート地点では水流は2274〜2207稜線の紅葉  (標高2200付近から)全くなく岩もそれ程ゴツゴツした感じはなく歩き易い。標高1850付近は両サイドが岩壁で前方に温泉ケ岳の山頂部が姿を現す。周辺の紅葉を楽しみながら気持ち良く前進する。そのうちに草付きになったりで多少の変化はある。特に危険な箇所はないが、沢筋には日光をさえぎるものがないので暑いのには参った。時々振り返ると太郎山や大真名子山を逆光の中に眺めることができる。標高2000を過ぎて沢筋が狭まると、時には大きな岩が沢内を塞ぐようになる。水流もなく高まくような所もなく、これなら藪尾根を漕ぐよりははるかに快適。
 標高2100辺りで二俣となり、本流の右俣には僅かに水流が現れる。水流のある右俣に進むと、沢筋は狭まり階段状に進むようになる。登山道出合まで標高にして約150メートル、藪を漕いでも1時間もあれば登れるだろうと沢から離れて藪に突入する。藪に突入した地点は勾配はきついが笹藪は腰程度であり、これなら楽勝と考えたのが甘かった。やがて背が没するような笹藪となる。もっとも梃子摺ったのは急斜面に2メートル級の笹が寝そべっていることである。傾斜がきつくて丁寧に笹藪を掻き分けられない。そのためにネソベリダケの上に足を載せるからスリップして腹ばいになることが多い。脚で山頂直下の大穴登るというよりは腕力任せの登りとなる。遅遅として高度は上がらない。あまり頑張るとバテてしまうので、休み休み登って行く。振り返っては男体山、大小真名子山、太郎山、三岳や於呂倶羅山を眺めながらひと息つく。北隣の2274〜2207の尾根筋の紅葉が素晴らしい。こんな藪の中で紅葉を楽しめるのは自分ひとり、と自己満足。高度計から判断してもうすぐ登山道に出合うことは分かっているのだが、進むよりは休んでいるほうが多い感じ。どうにか登山道に出合ってほっとする。150メートル登るのに丁度2時間要した。もう少し沢筋を進むべきだったかもしれない。沢を詰める経験が少ないので仕方ないか。
 温泉ケ岳山頂までは、更に80メートル登らねばならない。登山道歩きの誘惑には勝てずに、直登を諦めて登山道を金精峠方面に戻る。登山道は刈り払いがしてあり快適に歩く。約15分で温泉ケ岳入口の標識を見て、登山道か離れて山頂を目指す。03年に初めて登った時には薄い踏跡が認められる程度であったが、今は完全に登山道と化している。入口から15分で三角点と御料局三角点の設置してある温泉ケ岳山頂に達した。ザックを下ろして今日の目的のひとつである山頂直下の大穴を目指す。歩いているうちに大穴にドボンではかなわないので、GPSの磁石を見ながら慎重に歩く。標高にして約15メートル下、距離にして約50で、笹の中に窪みが認められた。傍に行くとまさしく大穴がポッカリと口をあけている。この大穴に関する記録は織田信長が生誕したころにあるらしい。何百年もの間に埋まらなかったことに感心。クレヨンしんちゃんの作者のように写真撮影して、穴に落ちてしまったら助けてくれる人はいない。元来の臆病な性格と相まって恐る恐る写真を撮って退散。
 先刻まで晴れていたが、山頂に着いたときには曇ってしまい遠望は利かない。北側を眺めていると、新しい念仏平の避難小屋が目にに入った。ドビン沢の中尾根で1時間、藪漕ぎで1時間も余分に要したので、今日は根名草山は諦める。

4 南東尾根経由で下山  尾根幅広いところはルーファン慎重に  尾根を外すと密藪で復帰に苦労
 残雪期に南東尾根で温泉ケ岳に登る人は少なくない。自分も08年3月12日に往復している。無雪期の記録は日光稜線紀行のstarionさんが05年6月に南東尾根を登っている例が見られる。
 この尾根の藪は特別に密ということはないが、尾根を外すと背丈を超す笹藪となりをトラバースに労力を要する。尾根幅が広いところは見通しが利かないので、方向がずれて軌道修正を余儀なくさせられる。針葉樹林で笹藪は常時(尾根上は背丈を超すことはまれ)と僅かな区間にシャクナゲ藪が現れる。標高点2061は左下(南側)をトラバースしたが、背丈を超す笹藪で苦労した。尾根上を辿ったほうが楽だったかもしれない。展望は標高2200と2170付近で戦場ヶ原方面が見えるだけ。
 標高2000からは尾根筋が明瞭となり、赤テープを何度も見かける。最初の赤テープからは踏跡が断続的に拾える。藪は大したことはないが、尾根を外すと笹藪が深い。標高1750で方向が南東から東に変わるが、藪が薄いので容易に分かる。金精道路がチラつきだして程なく金精道路に無事下山。そこから駐車地までは約150メートル。
HOME
inserted by FC2 system