ひとり山歩き341 : 菅沼登山口から奥白根山を目指しましたが、自分の技量を考慮して標高2410で退却となりました。ほぼ全行程トレースは残っていて、雪は比較的締まっていました。
菅沼から奥白根山(敗退)
2008年12月16日(火) 快晴
1 行程   写真
ルートマップ(GPS)  
自宅(4:10) = 菅沼登山口(6:30/7:55) − 弥陀ケ池(10:15/10:20) − 退却地点(標高2410)(11:30/11:35) − 弥陀ケ池(12:25/12:45) − 登山口(14:14/14:35) = 自宅(16:55)

2 自宅 − 菅沼登山口
 奥白根山に積雪期に登ってみたいという願望がある。一方では高所恐怖症の気があり、開けた急斜面を下る自信はない。避難小屋−山頂の南東ルートは急斜面を登れたとしても、下りは恐ろしくて脚がすくんでしまいそうで諦めている。弥陀ケ池からの北コースは最後に岩場が立ちはだかり容易ではないが、トライしてみることにした。
 金精道路は12月25日正午に閉鎖になるので、今の時期を逃す手はない。問題は冬季に金精トンネルを越したことがないことである。金精道路の登りになると、湯元温泉入口までと比べて道端の除雪塊も多くなり、圧雪面も見かけるが気になるほどのことではない。金精トンネルから出ると道路周辺の積雪は多くなり、圧雪部も多くなるがスリップするようなことはなく、心配したほどのことはなく菅沼登山口に到着した。駐車場は除雪してなく、道路から少しばかりの区域はタイヤで踏み固められた跡が残っている。後から来る人の分を空けておこうと、道路から十数メートルほど進入した。バックで向きを変えようとしたら、駆動輪(前輪)が空転してスタックしてしまった。脱出しようとエンジンを回すにつれてますます深みにはまる。こんな経験がないのでどうしたらよいか分からない。ジャッキーを取り出して車体を上げてタイヤ下に敷物をと思ったが、ジャッキーアップを試みるも、雪の上ではジャッキーが沈むだけ。参ったまいった!! 雪かきをしようにもスコップなど持っていない。ピッケルで雪を掻き出すも、効率が極めて悪い(爪楊枝でご飯を食べるみたいなもの?)。万策つきてJAFに連絡をしようと作業を止めて振り返ると、2台の4WD車のドライバーが車から降りて打ち合わせを始めた。事情を話すと快く牽引を引き受けてくれた。タイヤチェーンをつないでロープ代りにして牽引すると、簡単に脱出することができた。ドライバーの方は慣れているようで諸作業含めて数分で終わった。感謝感激。あまりのうれしさに名前を聞くのも忘れてしまった。 宇都宮ナンバーのX-TRAILの方、ありがとうございました。運がよかった!!

3 往路(標高2410で退却)  浅溝状トレースを追う   高所恐怖症の克服ならず前凍結の弥陀ケ池と白根山
 スタックからの脱出で精魂使い果たしてしまいこのまま家に帰ろうかと弱気になる。気を取り直してザックを担ぐ。登山口から浅い溝状のトレースが見えるので、今日はかなりの部分でトレースを追えると推測。新雪は僅かにあるが靴底が沈む程度に雪はしまっていて歩き易い。15分ほどで平坦部から尾根取り付きとなる。露岩や抉れた登山道が雪に埋まって段差が少なくなっているので無雪期よりは歩き易い。針葉樹の小枝に付着した雪はあまり多くはないが、ザックに括り付けたピッケルが引っかかって首筋に雪が落ちるが我慢の範囲。登山口でアイゼンを装着してきた(途中で装着すると指先が冷えて、しばらく痛みを感じるので)がそ燧ケ岳  (標高2400から)の必要性は小さい。トレースの表面にアイゼン跡がが残っているのは、下山者のものであろうか。
 雪はしまっているとはいえ、スタック脱出の疲れが残るせいか、無雪期の歩行速度に比べるとかなり遅い。標高1870付近の平坦部で金精山とその稜線を眺める。その他は針葉樹林の中で展望はない。緩急おりまぜてトレースを追ってきた。標高2160で弥陀ケ池0.9kmの道標を見ると、座禅山の東側をトラバース歩きとなり、緩やかに下りだすと弥陀ケ池到着である。弥陀ケ池と白根山の写真を撮って先に進む。ここからはストックに替えてッピッケルを持つ。
 池は完全に凍結して雪に覆われているので、岸と池との境界は不明である。トレースが消えている箇所は山側の斜面部を歩く。池南端の五色沼分岐の道標から座禅山分岐の方にトレースが見えるのでこれを追う。座禅山分岐付近は吹き溜まりがあり膝までの沈み。ダケカンバの尾根筋になると再びトレースが現れる。ダケカンバから灌木帯なる頃には、後方に燧ケ岳が目に入るようになる。灌木が疎らになると浅溝状のトレースは消えて帯状のウィンドクラストに変わる。灌木が完全に切れて両サイドにロープ(ガレ場)になるとトレースが現れる。新雪は薄くついているが、今までに比べて歩きやすくなる。前方を見上げるとトレースは岩場の最上部までついているように見える。
 このあたりになると持病(高所恐怖症)との戦いが始まり脚が震えだす。あんな急勾配を登れるか?滑落するのでは? と不安で足の進みが急に悪くなる。足を止めて廻りの景色を見ると、谷底に引きずり込まれそうな気持ち。こうなったらどうしようもない。退却(標高2410)するしかない。大慌てで景色をカメラに収めて下山にかかる。

4 下山  高所恐怖症の克服には慣れが必要  また来年で直してきます 
 登るときには雪面しか目に入らないが、下りでは嫌でも廻りの景色が目に入り恐々の足の運びとなる。滑落するような雪面ではないのが救い。時々立ち止まっては写真を撮りながらユックリと下る。樹林帯に入りまわりの景色が目に入らなくなると、恐怖心は全くなくなるから不思議。座禅山分岐まで下りれば、問題になる箇所はない。弥陀ケ池の北端に戻り、コーヒーを飲みながらパンをかじる。今日も高所恐怖症の克服ならず。何回も挑戦して慣れるしか方法はないのであろう。残雪歩きを始めた頃は緩勾配の尾根でも樹木が切れると恐ろしくて脚がガタガタしたのだが、今ではかなり感じなくなっている。それと同じなのだろう。
 残雪期の藪山歩きと異なり、踏み抜きがないので安心してトレースを追う。今日は車のスタック、途中退却と喜ばしくないことが続いたが、何故か小枝に雪のついた針葉樹林を歩いていると癒される。登山口には自分の車しか駐まっていなかった。年末の忙しいこの時期に山にくるような閑人は少ないようだ。 
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