ひとり山歩き334 : 山中一泊で足尾から社山・半月山・茶ノ木平・薬師岳・地藏岳・古峰原まで尾根を歩き、古峰原から足尾は林道および県道を歩いて戻りました。中禅寺湖周辺の紅葉がすばらしかったです。
足尾から社山〜半月山〜茶ノ木平〜薬師岳〜古峰原湿原〜足尾
2008年10月21日(火) 晴れ 22日(水)晴れ/曇り
1 行程   写真
ルートマップ(GPS)    
第1日(21日) : 自宅(3:00) = 足尾銅親水公園(5:00/5:10) − 社山南尾根取り付き(5:35) − 久蔵雨量局(6:20) − 標高点1568北ガレの頭(8:45) − 社山(10:05/10:20) − 阿世潟峠(11:20) − 半月峠(12:35) − 半月山展望台(13:10/13:15) − 半月山(13:25/13:35) − スカイライン第一駐車場(14:20) − スカイライン歩き − 標高点1495(スカイライン切通)(14:40) − 茶ノ木平(15:20/15:50) (テント泊)
第2日(22日) : 茶ノ木平(4:20) − 細尾峠(5:45/5:50) − 薬師岳(6:45/6:55) − 地蔵岳(8:45/9:00) − ハガタテ平(9:25) − 行者岳(11:25/11:35) − 古峰原分岐(大天狗之大神)(12:15/12:25) − (計画変更・・・飲料水不足で下山) − 古峰原ヒュッテ(12:40) − 都沢林道出合(12:55) − 県道15号出合(14:10) − 足尾銅親水公園(15:30/15:35) = 自宅(17:25)

2 自宅 − 足尾銅親水公園
 栃福県境尾根の大川林道〜大峠間の未踏部をテント泊で貫通させるべく準備を進めた。大峠〜三倉山の先は登山道がなく、笹や灌木の密藪が続く。天場を確保するために笹藪を刈る鎌をザックにつめているうちに、大荷物を背負って密藪を漕げるか不安になり急激にテンションが下がってしまった。せっかくテント泊の荷物を準備したのだから、そのままやめてしまうにはもったいない。そこで考え付いたのが、過去に歩いたことのある登山道や藪なし尾根を縦走することにした。
 過去の山行記録を見ながらひねり出したのが、足尾銅親水公園〜社山南尾根〜社山〜半月山〜茶ノ木平〜薬師岳〜地蔵岳〜古峰原分岐(大天狗之大神)〜足尾向原まで尾根通しで歩くことである。山行記録から重荷を担いでの行程時間を推測(日帰り山行x1.2)したら、机上の検討では時間的には問題なしの結論を得た。問題は飲料水である。茶ノ木平〜細尾峠の間に水場があるらしいが、場所も分からないし、今の季節に湧いているかも不明。それで二日分を用意することにした。今の季節の日帰りでも2.5リットルは持参し、2リットル前後を飲んでしまう。5リットルは持参したいが、他の荷物との関連で4リットルにおさえた。水が少ないので、食料は調理しないで済むように、初日用にコンビニのおにぎり、そのほかはパン、大福、バナナを用意した。その結果、ザックの重量は14kgで通常の日帰りの約2倍となってしまった。水が不足した場合のことを考えてエスケープルートは当然考えておく。
 社山南尾根の取り付きを明るくなる5時半頃と決めて3時に家を出る。冬場の里山歩きを除いたら、こんなに遅く家を出るなんて珍しい。足尾へ行くときは、粕尾峠付近のカーブを嫌って日光経由で行くことにしている。10kmくらい遠回りになるが、安全でしかも時間的には変わらない。電光掲示板に5℃とあるのを見ながら銅親水公園の駐車所に下り、すぐに支度を始める。

参考報告
 今回歩くコースは一回は歩いているので、次の報告を参照願う。足尾〜南尾根〜社山は05年11月25日にひとり山歩き219(下山に利用) 、社山〜半月峠は01年9月8日ひとり山歩き8 、半月峠〜半月山〜茶ノ木平〜薬師岳〜ハガタテ平は05年5月9日にひとり山歩き200 、ハガタテ平〜行者岳〜古峰原分岐は02年4月24日にひとり山歩き40 、 古峰原分岐〜足尾向原は06年11月22日にひとり山歩き259(今回とは逆周り)

第1日 (足尾〜社山〜半月山〜茶ノ木平)
3 足尾 − 社山  南尾根は展望よし危険箇所なし  下りには快適だが登りには辛い中倉山(社山南尾根標高1100から)
 かすかな月明かりを頼りにヘッデンなしで久蔵沢林道を阿世潟峠方面に進み、沢に架かる最初の橋を渡って3分ばかり進んだ地点を尾根取り付きとする。適当に登って行くと、久蔵雨量局順路に出合う。枝尾根を直登してもよいのだが、急勾配なので下りには使うが、登りでは雨量局順路に従ってジグザグに登って行く。草がはみ出して順路を覆っている箇所もあるが、特に問題なく追える。30分ほどで尾根上に達する。順路を更に登って行くと、10分で久蔵雨量局に達する。
 尾根筋は松で低い草が生えているが明瞭な踏跡は続く。標高1100〜1150は急勾配で踏跡が消えてカヤに掴まりながらの登り。この尾根の難所のひとつ。ここを登りきると平坦になり、振り返れば中倉山〜オロ山の稜線が展望できる。三角点1182.3はカヤの平坦地にあるが、今回は確認せずに通り過ぎる。標高1250位になると林床はカヤに換わって低いミヤコザサとなり、松からカラマツに換わる。ミヤコザサは低くても踏跡が薄くなるところもあるが、気持ちよく歩ける。カラマツに混ざりダケカンバが目に付くようになる。途中で人工物(古いゴムホース、石組み跡や廃トタン小屋)を見ながらの登りとなる。過去に大々的に治山工事が行われたのであろう。左後方の中倉山稜線、左手の大平山稜線が楽しめる。標高点1568のピークは右手を巻いて通過すると、ガレの頭で安蘇沢に落ち込んでいる。
 左に大平山〜社山への稜線、右手に半月山への稜線を楽しみながら登って行く。標高1650〜1700で再び急登となる。ここを登りきると平坦となり、中倉山、オロ山、庚申山、鋸山、皇海山や袈裟丸山あたりが展望できる。半月山方面も望めてこの尾根一番の好展望地。社山は目の前だが、更に30ほどの辛抱が必要。山頂西側の平坦地で数人が展望を楽しんでいた。どこから登ってきたのかと聞かれる。足尾からだがこの南尾根は危険箇所もなく展望もよく下りでは気持ちよく歩けるが、登りは辛いのでやめたほうがよいと話して社山山頂に進む。ほぼ計画の時間で登りきった。下りでは大体2時間半、今日は重荷で登りということもあって倍の5時間。

4 社山 − 茶ノ木平  中禅寺湖周辺の紅葉は盛りを過ぎた? 人気の百名山hどの賑わい安置さんと中禅寺湖 (雨量局のピークから)
 社山から半月山の間はガイドブック等で誰でも知っているので詳細は省く。社山はスノーハイクを含めて今回が7回目。いつも平日に来るが、今回ほど登山者に出逢ったのは初めて。中禅寺湖周辺の紅葉を求めて来た人が多いのだろう。今日は好天で男体山や中禅寺湖の展望がすばらしい。南尾根の登りでの疲労も吹き飛んでしまうほど気持ちよい。だが周辺の紅葉は期待していたほどではない。時期的に遅いのか八丁出島付近の紅葉  (半月山展望台から)、太陽の位置が悪く冴えないのかは分からない。社山雨量局のあるピークには10人くらいの人が景色を楽しんでいる。阿世潟峠へ下る途中でも大勢とすれ違う。平日ということもあるが、中高年齢者ばかりだ。阿世潟峠でも数人が憩っていた。
 半月山への尾根を歩く人は少ないと思ったが、数人とすれ違った。二人組に追い越される。今日は百名山に来ているような感じ。紅葉というのは尾根筋を歩いていて色づいた樹木を見てキレイとは思うが、尾根上から周辺の山腹の紅葉を見る方が何倍も感激する。半月峠からは足尾方面は霞んでいて紅葉の状態が分からない。半月峠からは今までと異なり、広葉樹が少なくなってコメツガ主体で笹も深くなり、しかも道筋は抉れ段差歩きが増えて、ザックの重みが苦痛となる。半月山展望台直下で20人以上の団体とすれ違う。これから社山に向かうには時間的に遅い。半月峠から狸窪に下ろうのであろう。人様のことよりも自分の心配をせねば。人声が聞こえてどうやらこうやら半月山展望台に辿りついた。展望台には10人くらいいたが、雲が広がり始めてお目当ての八丁出島の紅葉が冴えない。カメラを持って日が射すのを待っているのだが。06年10月26日に足尾から登ってきたときには早朝で八丁出島の紅葉がすばらしかった。雲の広がらない早朝の方がよいようだ。先週あたりが中禅寺湖周辺の紅葉が盛りと新聞に載っていたが、一昨年に比べると盛りが早いようだ。写真を数枚撮って半月山に向かう。樹木に囲まれた山頂でエネルギーを補給していると、2名が狸山方面から登ってきた。足尾側の紅葉 (スカイラインから)
 半月山からは笹尾根を緩やかに下り、標高1700付近からは急降下となる。登山道に笹が被っている箇所多いが特に問題ない。明智平から茶ノ木平、狸山経由で登って来た3人組みとすれ違う。元気な人もいるものだ。最近は軟な山歩きをする人が多いので感激。スカイライン第一駐車場に下りた時には、すでに雲が広がり中禅寺湖の写真を撮る気になれず先に進む。今日は細尾峠まで下ってテントを張りたい。これから狸山経由で行くと遅くなりそう。標高点1495(切通)までスカイラインを歩くことにした。狸山南東直下のスカイラインの橋上から見る足尾側の山腹の紅葉がすばらしい。狸山をバイパスしてうしろめたい気持ちだったが、紅葉を見て心も晴れる。
 尾根取り付き地点の切通手前にバスが駐まっている。バスを横目に尾根に取り付くとすぐ先に展望台があり、ここで茶ノ木平から中善寺湖畔に下るという夫婦に追い越される。茶ノ木平目指してカラマツ林を登って行くと30人以上の団体が下りてきた。茶ノ木平に行って来たとのこと。先刻のバスの意味が分かった。尾根を乗り換えて北に進むようになると平坦な茶ノ木平の南端に達した。これから先は下るのみ、何とか明るいうちに細尾峠に下ろうと考えて道標に従って、明智平分岐方面に進むと、前方から声が聞こえてきた。近づいてみると年配の夫婦とその娘らしい3人組の外国の方で、明智平からロープウェイで華厳滝展望台に登り。茶ノ木平経由で中善寺湖畔に下るとのこと。進むべき道にロープが張ってあって、面食らってしまい少しばかりパニック状態になっているようである。古い観光案内を見てハイキングのつもりで登ってきたのだろうが、笹で覆われた薄い踏跡を辿るとは思ってもいなかったのであろう。(翌朝確認:明智平/細尾峠分岐から西に進んで旧ロープウェイ方面へ直進する道筋にロープが張ってある。) 地図で示しても、また迷ってもいけないので、来た道を途中まで戻り、方向を変えて茶ノ木平から中禅寺湖への下山口まで案内してあげる。感激で握手攻め。二十数年ぶりの英会話で思ったようには話しが出来ず。30分ばかり横道にそれてしまった。これから細尾峠に下ると暗くなってしまうだろう。途中でテント張るにしても送電線下までは平坦地はない。茶ノ木平は平坦で低い草地で、すぐにもテントが張れる。今日はここにテントを張って泊まることにした。
 モーリアンヒートパック(生石灰とアルミニウムを水で発熱させる。)でコンビニの握り飯を温めて夕食とする。モーリアンヒートパックはレトルト食品の温めに火を使わないで済むので便利。ポリエチレンの袋の中で発熱させるので、袋表面からの放熱が大きい。気温が低い時は保温等の工夫が必要。家ではレトルト白飯とカレーを充分温めることが出来た。 
 テントに入ったのは17時半頃で、雨具を着用してシュラフ(ダウン180g)に入る。18時のNHKニュースを聞いているうちに眠り込んでしまった。夜中に身体が震えて目を覚ます。特に寒いわけではない。身体をゆすってやると震えがとまり、いつの間にか眠ってしまう。テント内温度5℃(外は2・3℃か)。充分眠ったようで、いつものごとく2時頃目を覚す。NHKの深夜放送を聞きながら第二日目の予定を考える。昨日の遅れを取り返すべく、早立ちを決めて、3時に起きてパンとバナナで朝食を摂り、出発準備に取り掛かる。

第2日(茶ノ木平〜薬師岳〜地蔵岳〜古峰原分岐〜都沢林道〜県道で足尾)
5 茶ノ木平 − 薬師岳 − 古峰原分岐(大天狗之大神)  前半は笹の踏跡下り 後半は落ち葉歩き古峰原湿原
 ヘッデンを頼りに笹で隠れた踏跡を進む。昨日の外人3人組みがロープといっていた分岐を確認して明智平分岐方面に向かう。膝ないし腰までの笹で下半身が濡れてしまった。雨具を着けると歩きづらいので省いたのは失敗。こうなったら下着や靴下まで濡れるのを覚悟。明智平分岐を過ぎて南東へ向きを変えると平坦地から尾根急降下となる。尾根筋が明瞭になると、風通しがよくなり笹が乾いていて助かった。いつの間にやら体熱でズボンの濡れも乾いてしまった。踏跡に笹が被ってはいるが踏跡は何とか分かる。それでも篭石は見逃してしまった。最初の送電線下を通過した時点で消灯する。次いでで雨量局、二回目の送電線下を通過。ここは笹がなくテントを張れることを確認して細尾峠に下りつく。薬師岳への登山口の反対側は少しばかり湿っているが平坦なのでテントは張れる。いざという時には、峠の通行止めゲート付近の道路上に。どうやら昨日の遅れを取り戻すことが出来た。
 細尾峠〜薬師岳〜地蔵岳〜ハガタテ平まではガイドブックにあるので詳細は省略。薬師岳へ登る途中で多少の紅葉を見るが、地面に散らばる赤い落ち葉の方が美しい。南の肩にザックを置いて薬師岳にひと歩き。山頂の紅葉はすでに時期を過ぎたのか、くすんでいてパットしない。男体山の写真を撮って南の肩に戻る。
 ここから地蔵岳までに小ピークをいくつも越さねばならない。低いピークだが、昨日からの疲労で登り返しは辛い。尾根筋には殆ど紅葉は見られず、樹木で近隣の山腹が覗けない。落ち葉をカサカサ踏みしめて歩くと、三・四年前まで盛んに歩いた栃木県南の里山歩きを思い出す。三ツ目への登りはきつかった。ここからアップダウンも少なく、地蔵岳でザックを下ろして、エネルギー(大福とバナナ)を補給する。
 カラマツ林をジグザグにトラバースしながら下り、ロープからは尾根下りとなりハガタテ平に到達。食料は充分あるが、水の残りは1リットル以下になってしまった。尾根通しで足尾向原まで歩くのは難しい。ハガタテ平から下って水を確保するか。古峰原ヒュッテ付近で確保するかせねばならない。水をがぶ飲みするダンプ野郎でも古峰原ヒュッテまでは大丈夫と言い聞かせて先に進む。 
 ハガタテ平から古峰原分岐(大天狗之大神)までは唐梨子山、大岩山、行者岳と他に小ピークを幾つか越さねばならない。禅頂行者道というから厳しいものと思っていたが、危険を伴うような場所はない。尾根筋は広く安心して歩ける。この区間も紅葉はパットしない。大岩山の手前に「竜の宿」なる大岩、行者岳の手前に「金剛童子」なる大岩、行者岳を下ると[行者平」なる平坦地を見る。下りきって平坦になってしばらく歩くと鳥居と祠の大天狗之大神の古峰原分岐にやっと達した。水はペットボトル一本分しかない。この先、3時間以上を水なしでは歩けない。水補給に古峰原ヒュッテに行って再び尾根に戻るか、そのまま都沢林道沿いに下るか少しばかり考える。この先の尾根筋は登り返しは多少あるが下り尾根であり、特にに困難な箇所はないので時間的にも体力的にも充分だ。問題は水を汲みに下ったらここに戻る元気は残っているかだ。・・・ないない絶対にない!?

6 下山(都沢林道ー県道)  
 古峰原ヒュッテの少し手前の立派な道路は舗装工事中で通行止めとなっている。圧搾道路を歩いて古峰原ヒュッテに来た。小屋の横で水を汲めるが、もっと先の沢筋で汲むことにして、結局は下山してしまうことになる。深山巴の宿の先で先刻の工事中の道路に出合う。この先は舗装してあり、そのまま沢の左岸の道路を進んでしまい、すぐに間違いに気付いて沢右岸の都沢林道に入る。都沢林道は舗装なしで歩きづらいが我慢我慢。標高点1031付近から先はは勝雲山から下った際に歩いたことがある。都沢沿いは標高が低いので紅葉は未だ先。
 県道15号出合付近でザックを物陰にデポして、身軽にして県道を下る。田元交差点から親水公園までは3.8km、標高差約100mを40分。最後の頑張りを強いられる。時速にして4.5km。まだまだ元気は残っていた!! 

 計画と実績の比較(休憩時間を含める、最終区間は経路が異なる)
所要時間 足尾〜社山 社山〜半月山 半月山〜薬師岳 薬師岳〜地蔵岳 地蔵岳〜古峰原分岐 古峰原分岐〜足尾
計画 5時間 3時間 5時間30分 2時間 3時間30分 4時間
実績 4時間55分 3時間15分 4時間40分 2時間05分 3時間25分 3時間05分
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