ひとり山歩き328 : 念願の錫ケ岳〜笠ケ岳の縦走に出かけてきました。針葉樹藪は思っていたよりは薄く、涼しさと相まって無事歩き通すことができました。好天にも恵まれ処々で展望を楽しむこともできました。
仁下又沢〜錫ケ岳(2388)〜笠ケ岳(2246)〜香沢林道
2008年9月9日(火) 晴れ
1 行程
ルートマップ(GPS) 
自宅(1:00) = 丸沼高原スキー場入口(3:05/3:15) − 大広河原(4:15) − 仁下又沢取水口(林道終点)(4:35) − 仁下又沢二俣(5:40/5:50) − 錫の水場(6:30) − 錫ケ岳(7:35/7:50) − 標高点2351(錫ケ岳西峰)(8:40) − 標高点2146(鞍部)(9:30) − 笠ケ岳(10:40/11:10) − 北西尾根下山開始11:50) − 林道(名称不明)出合(13:10) − 香沢林道出合(13:40/13:50) − 深山橋(14:40) −香沢上流ダム(15:45) − 香沢林道ゲート口(国道120出合)(16:10/16:35) =(タクシー) 丸沼高原スキー場入口(16:55/17:05) = 自宅19:25)

2 自宅 − 丸沼高原スキー場入口
 不可能と思っていた錫ケ岳〜笠ケ岳の日帰り縦走も、@仁下又沢を遡り錫の水場経由で錫ケ岳へ登るルートを知り、A笠ケ岳北西尾根の中腹に林道が走っていることを知り、現実味が増した。下山後の車回収を最短にするために、仁下又沢林道を大広河原まで歩き、更に仁下又沢(地元では仁加又沢と呼ぶらしい)を遡り錫の水場経由で錫ケ岳に登り、笠ケ岳まで歩き、その北西尾根の途中から山腹に敷設の林道(名称不明)に下りて、香沢林道を下れば車の回収は10分もあれば済む。この案を検討したが、仁下又沢林道(仁加又沢林道)のゲートは頑丈にブロックされていて、乗り越えが難しいことがWebで判明した。これは諦めて丸沼高原スキー場入口に車を駐めることにした。この場合は、香沢林道口からスキー場口まで国道を約12km、標高差約700を登らねばならない。最近は山行頻度が少なく脚力が落ちているので、気力が湧かない。基本的には車の回収にタクシーは使わないことにしているが、今回は例外とすることにしたら気分的に楽になった。
 準備は整ったが、このところ大気が不安定で夕刻に降雨が多い。沢歩きに関しては全くの素人であり、降雨により沢の増水がどの程度か推測できないこともあって慎重を期して大気の安定期を待った。今週は大気が安定し好天が続くと判断して、本日実行することにした。
 本計画実行に当たっては、次のホームページを参照した。 香沢林道から笠ケ岳に関しては、「山頂渉猟を追って」と「THNCねくらハイキング」。錫ケ岳〜笠ケ岳に関しては「常吉山のページ」。仁下又沢から錫ケ岳に関しては「群馬山岳移動通信」。

3 スキー場 − 仁下又沢 − 錫ケ岳  仁下又沢も錫の水場への遡行も全く問題なし  好天と涼しさで快適燧ケ岳と四郎岳〜燕巣山稜線  8錫の水場先のコブから9
 スキー場〜仁下又沢〜錫の水場まではひとり山歩き326(2008年8月9日)を参照願う。錫の水場〜錫ケ岳は過去に三度歩いている(ひとり山歩き58(02年8月26日)、ひとり山歩き105(03年7月27日)、ひとり山歩き251(06年8月31日)を参照願う)。
 8月9日と同じ時刻に丸沼高原スキー場をスタートしたが、この一ヶ月で日の出が遅くなり、仁下又沢の遡行はヘッデンに頼った。最近の降雨で水嵩が上がっているか心配したが、前回と変わらず特に危険も感じずに沢筋を遡行した。最後(七つ目)の砂防堰通過が5時でここで消灯した。この一ヶ月間は本格的な山行はなく、脚力が落ちているのを心配したが、涼しさに助けられて前回とほぼ同じ所要時間で仁下又沢の二俣に達した。後方の四郎岳〜燕巣山稜線と燧ケ岳を眺めながらエネルギーを補給する。
 ここからは左俣の左俣を遡ったが前回よりは水流は若干多いように思われたが、歩くには全く問題なかった。一箇所だけ倒木を避けるために右を巻いたが、その他は沢内を歩き通した。針葉樹の枝潜りもほんの僅かで、さしたる苦労も無く錫の水場に達した。この時点で気温は9度で発汗も少なく快適、大気不安定で山行日が遅れたのが幸いしたようである。ここから笹が濡れているので雨具のズボンを着用。
 矮小なシャクナゲの小さなコブを越すと標高点2170で低い笹の踏跡を追う。途中で浅い鞍部を二回通過する。二回目の浅い鞍部には水溜りがあり、ここからは本格的な登りとなる。笹で踏跡が薄い所もあるが、なれた人なら特に問題ない。途中で燧ケ岳、白根山、至仏山、物見山〜鬼怒沼、男体山と中禅寺湖を見ることができる。下半身はずぶ濡れで雨具着用は正解。樹林帯を20分ほど登ると今年は二回目、都合5回目の錫ケ岳山頂に達した。何度来ても赤と黄色の丸い的状の標識が目に付く。錫の水場から65分もかかってしまった。山歩きを始めて一年で初めて錫ケ岳に登ったときには踏跡を探しながら55分だったのに・・・脚力が落ちているの改めて認識。気温7度。

4錫ケ岳 − 笠ケ岳  針葉樹の密藪あるも、かなりの部分で踏跡あり  思ったよりは笠ケ岳に到達
 錫ケ岳から標高点2351の西峰まではひとり山歩き324で7月17日に歩いているので、大体ルートは記憶している。針葉樹の藪を避けながら獣道を追って北西に尾根を進む。皇海山や白根山を感じながら第一の小ピークを越し、第二の小ピーク付近で燧ケ岳を視認する。オオシラビソの藪を避ける笠ケ岳と武尊山 (錫〜笠尾根標高2250付近から)のに苦労はしたが、笹やシャクナゲ等は歩行の障害にはならない。山中泊で大きなザックを担ぐと樹木の間をすり抜けるのに苦労すると思われるが、日帰りで小さなディバッグならさしたる苦労はない。横幅は平均値よりは大きいので、樹木間を擦り抜ける苦労はあるも、重タンクよろしく押しのけて通る。鞍部からは尾根の右手を巻くように明瞭な踏跡が通っているので、これを追って途中から2351ピークへ針葉樹藪を掻き分けて登りあげる。頂上に達したら踏跡が尾根上に続いていた。これなら鞍部から尾根上を辿ったほうが楽だったかもしれない。2351ピークはオオシラビソで覆われていて展望は全くない。
 2351ピークから次の目標である標高点2146の最低鞍部を目指すのだが、2351ピークからの下りは尾根筋が西北西そして南西に微妙に方向転換するようになっている。地形図では尾根筋は見分けられるが、実際には尾根筋は広くしかも針葉樹藪で見通しが利かないので難しい。最初は赤頭のプラ杭を確認しながら踏跡を追えたが、すぐに消えてしまった。磁石と高度計を睨みながら下って行く、せっかく持参しているGPSを使わない手はない。時々は覗いて方向を修正する。昨年まではGPSがないので、左に右に振ったりしながら最も高いと思われる地点を探しながら歩かねばならなかった。GPS(GPSmap60CSx)では深い谷間でなけれ笠ケ岳山頂ば、樹木が茂っていても方向をピッタリと示してくれる。でもGPS片手に藪漕ぎはできないので、時々方向をチェックする程度で磁石と高度計に頼らざるを得ない。
 尾根筋が分かるようになったら樹木が疎らになり、左に低めの尾根筋があり二重尾根で間は低い笹原で、ここからは目の前に笠ケ岳、左手に皇海山と富士山、右手に武尊山が望めた。2351ピークから微妙な方向取りをしたが、真西に進んでもこの地点に到達できたかもしれない。左手の尾根に乗り移って樹木の少ない膝丈の笹を切って尾根筋を下って行く途中で、先刻の山々に加えて燧ケ岳も展望できた。最低鞍部付近に達すると再び二重尾根となり、中間に水溜りを見る。オオシラビソ樹林に突入すると笹も薄くなり、尾根筋が広くなる。この地点を標高点2146最低鞍部とした。
 鞍部から広い緩やかな尾根筋を登って行くと、オオシラビソ樹林に再突入するとともに、笹は薄くなり明瞭な踏跡が見つかった。この踏跡は断続するが山頂直下まで追うことができた。途中で踏跡上に鋸切断した倒木をみる。針葉樹藪が密になったりするが、空中戦も水中戦もなく予想していたよりは藪は薄くほぼ計画時間通りの歩きができている。山頂直下で二重尾根の中間に大きな水溜りを見て、最後に低い笹とシャクナゲを突破して高みを求めてほんの僅か進むと樹木が疎らで膝丈の笹で覆われた場所に達した。立ち枯れの傍の針葉樹に赤テープが見つかったので笠ケ岳山頂に達したことを知る。
 立ち枯れの木に笠ケ岳の山名板が見当たらないので多少不安になり、その立ち枯れから南東に約2メートル(THNCねくらハイキング情報)を探すと笹に隠れた三角点標石を見つけてひと安心。山頂部からは枝越しに錫ケ岳、富士山、皇海山と白根山が窺える。

5 下山  北西尾根の途中から林道にエスケープ  エスケープがもっとも苦労した 林道は管理上鯛良好
 先が長いのでエネルギーを補給して北西尾根経由で下山にかかる。尾根上の踏跡を追って急降下すると、10分ほど下った標高2210付近で笠ケ岳〜2007〜三ケ峰稜線の中腹に林道が確認できた。THNCねくらハイキング管理者氏の報告にある通りである。これで北西尾根のどこからでも林道へエスケープが可能でひと安心。標高2150付近まで下ると、針葉樹藪が密になり踏跡が薄くなってきた。標高2130地点で密藪となり、藪潜りの様相を呈して来た。この地点下山地点の林道から太い尾根筋を南西に下り林道にエスケープすることも想定して来たので、実行することにした。
 方針としては尾根の左手(南側)には崩壊箇所も予想されるので、尾根の右斜面(北側)を下り、浅い谷からならスムースに林道に下りられるだろうと予測して、どこが尾根上は分からない針葉樹藪の急斜面を下り始める。あちこちに苔むした切株を見る。過去に大々的に伐採したのであろう。方向を決めて谷方向に下ると、斜面が急なので方向を尾根側に修正しながら、針葉樹藪を避けて左へ右へと適当に下って行く。覚悟はしていたが、今日一の本格藪こぎとなる。救いは下りである。常日頃は重量を嘆いているが、このような場合は重量が助けになってくれるようである。時には樹木が薄くなり、山腹を走る林道が近づいているのが分かる。藪と格闘1時間10分で標高差230メートル下って、やっと林道に着地ということになって、ある程度予想していた問題が生じた。このあたりは林道の山側が岩崖になっていて着地できそうにない。崖の高さは10メートルまではないが、素人がロープで下りるには足がかりがなさ過ぎる。仕方なしに着地点を求めて林道に沿って崖上を細い樹木に掴まりながら北に10分ほど進んだ。岩崖が切れ土壁となった地点で慎重に5メートルほど下り、無事林道(名称不明)に着地できた。
 平坦な林道を緩やかに30分下った地点で、香沢林道に出合った。衣服を整えて香沢林道を下り始める。途中六軒山への分岐、深山橋香沢上流ダム等を越して林道を下り、最後にゲートをすり抜けると国道120号出合であり、今日の山行も無事済んだ。この林道に関しては「THNCねくらハイキング」に詳述されているので参照願う。
 車回収には更に12km、標高差700mを登る必要があり、3時間ほど国道を歩かねばならない。下りならまだしも登りでは歩く元気はない。タクシー会社に電話するも携帯が通じない。仕方なしに傍のみやげ店で電話を借りてタクシーを呼ぶ。スキー場入口まで約20分。楽なことこの上なし。乗車賃5210円は安くもあり、高くもあり。複雑な気分で帰り支度をする。 
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