ひとり山歩き324 : 丸沼高原スキー場をスタートして仁下又沢を遡って錫ケ岳に登り、北尾根経由で丸沼高原スキー場まで周回してきました。仁下又沢遡行は特に難しい点はありませんが、北尾根は尾根筋が不明瞭で針葉樹藪が多く藪山の経験が必要です。
丸沼高原スキー場〜仁下又沢〜錫ケ岳(2388)〜北尾根周回
2008年7月17日(木) 晴れ
1 行程
ルートマップ(GPS) 
自宅(1:20) = 丸沼高原スキー場口(3:35/3:45) − スキー場リフトおおひろ基部(4:55) − 大広河原(5:05) − 丸沼発電所取水口(林道終点)(5:25) − 二俣(6:35/6:45) − 錫ケ岳(8:30/9:00) − 標高点2351(9:45/9:50) − 標高点2062(11:30) − 下山(仁下又沢二俣)(13:55) − 大広河原(14:00/14:10) − リフトおおひろ基部(14:25) − スキー場口(15:05/15:10) = 自宅(17:45)

2 自宅 − 丸沼高原スキー場
 奥白根山頂からの展望、あるいは白錫尾根を歩いたときに錫ケ岳の北尾根が気になっていた。6月25日に丸沼高原スキー場から奥白根山に登った際、この北尾根を歩いて見ようという気になった。Webで調べているうちに北尾根については検索できなかったが、北尾根の東側に位置する仁下又沢を残雪気に遡行して錫ケ岳をピストンした記録を見つけた。群馬山岳通信の重鎮さんの記録を丹念に読んだ結果、無雪期にもこの沢を遡行できると解釈した。この沢を遡って錫ケ岳に登り、北尾根を下る計画を作成した。早速実行すべく天候待ちであったが、なかなかグッドタイミングが得られなかった。そうこうするうちに「新ハイキング 8月号」に仁下又沢を遡行して錫の水場を経由して錫ケ岳に登った紀行文が載っていた。
 意を強くして慎重に天気を読み、本日実行することにした。「新ハイキング」ではスタート地点へはペンションの自動車で林道に入り、仁下又沢二俣付近の大広河原をスタート地点としている。単独行の自分にはそのような芸当はできない。丸沼高原スキー場を乗越すことにして、前回の白根山スタート地点の丸沼高原スキー場口のゲート前に駐車する。

3 スキー場〜仁下又沢〜錫ケ岳  沢遡行は特に危険箇所はない 山頂直下の急斜面は堪えた
 国道脇にある丸沼高原スキー場のゲートを抜けると70メートルほどでゲレンデに達する。ヘッデンを点けて6月25日に白根山に登ったときのルートを追うことにした。急斜面のゲレンデを登り、ロープウェイ架線下を通過すると勾配は緩やかになり、ヘッデンを消灯した。次のゲレンデ(リフトしらねの右手)を登りつめるとスキー場の補修道路に出合い、山頂駅の手前100メートルで南西に方向転換する。リフトおおひろの下を通ると、仁下又沢と錫ケ岳およびその北尾根が展望できるらしいが。残念ながら今日はガスっているので、膝上程度の草の生えたゲレンデを下る。ゲレンデの最下部にはリフトおおひろ基部があり、右手(北東)から補修道路が下って来て、さらに前方に下っていることが判明した。補修道路に沿って10分ほど下ると勾配が緩み、右手(南西)から林道を合わせた。この付近はソフトボー二俣ルができる程度の広場で大広河原と言うらしい。
 仁下又沢の右岸に敷設された林道を追うことにした。林道には轍がついていて時には涸沢の中を通っている。三つ目の砂防ダムの手前に、丸沼発電所の取水口が設置してあり、林道はここで終点となる。ここから先は水の流れる沢の中を遡行することになる。沢筋が広い割には沢幅は狭いので、適当に左岸・右岸を繰り返しながら五つの砂防ダムを乗り越して進む。最後の堰提を越すと沢筋はグッと狭まり、適当に左岸・右岸を繰り返しながら進んで行く。特に危険な場所はないし、靴底をぬらす程度で渡渉できる。岩がゴツゴツしているのでステップ状に踏み越して行くので、体重の割りには脚力の弱い身にとっては、ボディブローを食らっているようで疲労を蓄積することになる。途中で小さな枝沢を何回か合わせながら遡行していると、小さなケルンを幾つか見かける。やがて沢の中央の岩上に小さなケルンが積んである。ここは二俣になっていて、左に狭い涸沢を分ける。この涸沢を遡行すると錫の水場に達するも沢上部 (標高2050付近)のと思われる。
 「新ハイキング 8月号」では錫の水場経由で錫ケ岳に登っているが、山頂へ直登を目指しているので本流に進む。ここで始めて赤テープを見かけた。二俣から数分遡ると沢は涸れてガレ沢歩きとなる。あまり注意を払っていなかったのでハッキリしないが、二俣と涸れる地点の間に標高2220の鞍部に向かう沢筋があったように思うが、記憶は定かでない。ガレ沢も特に危険箇所はないが、浮石が落石となることがあるので、団体で遡行するには好ましくない。沢筋はガレから砂礫に変わると滑りやすくなり、登りづらくなる。標高2250位でやっとオオシラビソ樹林の中に突入した。この先は藪は薄いが勾配がきつく休み休みの登りとなる。暑さと急登があいまってバテ気味で、高度計を見てはため息の連続。右手(西)に低い尾根筋が見えたので寄って見ると、踏跡(獣道)が続いている。これに沿って登って行くと、赤テープを見かけた。沢が涸れたあたりから低い尾根に乗ればここに通じているのかも知れない。獣道を追って登ると勾配は緩み、高みを追って行くと四度目の錫ケ岳山頂に達した。
 山頂の中央に御料局の三角点、数メートルはなれた笹の中に三角点を見る。山名板は栃木の山紀行、黒羽山の会その他に混ざって、初めて登った時にも見かけた、赤と白の的状のプレートも残っていた。苦手の段差(沢の岩)と山頂直下の急斜面歩きと暑さでバテてしまった。計画通り北尾根の藪を漕ぐか、「新ハイキング 8月号」に倣って、登山道を歩いて丸沼高原スキー場に戻るか検討する。北尾根が密藪でなければ、登山道を戻るのと時間的には変わらない。この時刻(9時前)なら、多少藪が濃くても時間切れとなることはない。北尾根歩きに決定。

4 錫ケ岳〜北尾根〜スキー場  北尾根には古い林業の踏跡が断続していた  尾根筋が見えないのでルーファンには気遣う錫ケ岳山頂
 山頂からは白錫尾根方面と宿堂坊山方面の登山道は明瞭だが、次の目標点である2351ピーク方面には踏跡は見当たらない。コンパスを合わせて幅広の尾根を慎重に下る。オオシラビソ樹林で針葉樹の藪が進路を妨げる。笹、シャクナゲの藪はたいしたことはない。左右に皇海山や白根山を枝越しに時々見ながら二つの小ピークを越して鞍部に下る。この頃になると獣道を拾うことができるようになる。鞍部から獣道を追って右側からまくように登るとオオシラビソで展望のない2351ピークに達した。
 錫ケ岳からの所要時間は予想とまったく同じで、この先も大丈夫と意を強くして下りにかかる。針葉樹の枝に邪魔されるが、なんとか獣道を追うことができるので藪漕ぎの労力は少ない。錫ケ岳への登りで体力を消耗しているので、ノンビリ歩くことを心がける。標高2300で方向を北西から北東に変えて、広くて不明瞭な尾根筋を下る。獣道を追って左へ右へと進路を変更する(GPS軌跡にも現れている)。標高2250以下になると、登山道と見紛う踏跡が断続するようになる。こんなところに登山道があったとは思えない。林業関係者が設けた道筋であろうかなどと思いながら歩く。この踏跡はだいぶ古いようで針葉樹の枝がはみ出していて払うのに苦労するが、獣道を歩くよりは楽である。オオシラビソの尾根筋であるから展望は得られないが、時々右手が開けて白根山付近が展望できた。倒木は特別多いと言うことはないが、時々歩く邪魔になるが、踏跡にかかる倒木に鋸切断の痕が残っていた。林業用の古いワイヤーも見かけた白根山 (北尾根の標高2250付近から)。すると鞍部で、どんぶりの欠片の残る小広場に達した。ここは飯場跡のようで、かなり以前に林業関係者が盛んに入ったことが推測される。これで登山道紛いの踏跡も理解できた。
 鞍部から僅かに藪を漕いで登り返すと2062ピークだが、例の踏跡は見当たらなかった。2062ピークの外れで右手が開けて白根山を見て写真に収める。次の小ピークからは尾根筋は痩せていて、針葉樹の幼木が密で掻き分けるのに苦労した。2062ピーク北側の三つの小ピークを越すと、尾根は広くなったが、依然としてどこが尾根上か分からない状態が続く。獣道を求めて左へ右への歩きを余儀なくさせられる。標高2000からは勾配が緩むと、地形図に現れない小ピークを幾つか越しながら尾根を下るようになる。標高1900になると、勾配が急になり、オオシラビソにダケカンバも混ざりだす。林業に用いた古いワイヤーを見ると、勾配が緩んで仁下又沢の左岸に無事下山できた。
 沢にかかるコンクリート橋を渡って林道を登って行くと、小広場の大広河原に達した。白根山の頭を見ながらエネルギーを補給して、スキー場の突破に備える。大広河原からは林道に別れを告げて、スキー場の補修道路(と思われ)を辿り、リフトおおひろ基部に達した。往路ではガスっていて分からなかったが、ここからは白根山が展望できた。
 往路で下ったゲレンデを見上げると、勾配がきつい!! 北西に上る補修道路を利用することにした。この道路は地形図にはないが、スキー場のどこかで早朝に歩いた補修道路に出合うと、信じて歩を進める。日差しがもろに当たって汗がドッと噴出すが、ゲレンデの急勾配を登るよりは楽だ。途中で補修道路を合わせてからも北西に進みロープウェイとは離れて行ってしまう。この道路を追うと遠回りとなるので、道路から分かれてロープウェイ方面に進む。早朝に登ったゲレンデの上部に達して、下にはスキー場の建物も見える。ロープウェイを見上げると、どのゴンドラにも客は乗っていないようだ。定員8人乗りのゴンドラは自動循環方式で間引き運転が不可能な設備でなんとも能率の悪い・・・
 ゲレンデはかなりの勾配でまっすぐに歩くことはできない。ジグザグや蟹歩きで四郎岳〜燕巣山稜線を見ながら下る。ゲレンデ下部からは自分の車を見ながら70メートルほど歩いてスキー場口に戻った。
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