ひとり山歩き323 : 銀山平から庚申山経由で鋸11峰を歩いてきました。鋸第8峰から途中退却して庚申山に戻りお山巡りをして下山しました。コウシンソウの花は案の定見ることはありませんでした。。
2008年7月2日(水) 晴れ
1 行程
ルートマップ(GPS)
自宅(1:05) = 銀山平ゲート(3:00/3:15) − 一の鳥居(4:05) − 猿田彦神社跡(5:20) − お山巡りコース分岐(6:15) − 庚申山(6:55/7:10) − 御岳山(7:25) − 駒掛山(7:50) − 渓雲山(8:15) − 地蔵岳(8:20) − 薬師岳(8:55) − 白山(9:10/9:15) − 蔵王岳(9:35/9:50、退却) − 薬師岳(10:10) − 駒掛山(11:15) − 庚申山(12:00/12:10) − お山巡りコースへ(12:35) − めがね岩(13:05) − 笹尾根下り(13:45) − 猿田彦神社跡(14:15/14:30) − 一の鳥居(15:25) − 銀山平ゲート(16:15/16:25) = 自宅(18:20)

2 自宅 − 銀山平
 梅雨の合間を縫って長野方面へ二日続きの山行を計画していたが、二日目の天気が思わしくない。身体の鈍りを防止すべく栃木の登山道歩きを考えた。山歩きを始めた頃に比べて脚力がどの程度維持されているかチェックするために、庚申山経由で皇海山へ行って見ようと急遽計画した。02年5月26日に登山開始1周年記念として、不安はあったが庚申山経由で皇海山に挑戦し、銀山平から約13時間で日帰りピストン(復路は六林班峠経由)ができた。
 前回に比べて気温がかなり高くなっているので一抹の不安はあったが、前回とほぼ同じ時刻に銀山平を出発すべく家を出る。銀山平の林道ゲートに着いたときには、当然のことだが車は一台も駐まっていない。前回よりも15分ほど早いがザックを担いでゲートをすり抜ける。

3 銀山平 − 庚申山  6年前に比べて歩行が遅い  途中の説明版がかなり欠落してしまったようだ岩場の鎖 (標高1600付近)
 銀山平・一の鳥居・庚申山荘・庚申山の間は何度も歩いているので、道筋はよく知っている。まずはヘッデンを点けて林道を歩く。途中で天狗の投石を通過する頃にはヘッデンなしでも歩けるようになる。前回とまったく同じく50分で一の鳥居に到着。
 一の鳥居でヘッデンをザックに収めて、水面沢沿いの登山道を登る。途中で百丁目石、鏡岩、夫婦蛙、仁王門を横目に先を急ぐ。猿田彦神社跡に着いたときには、大汗をかいていた。この区間は75分で前回よりも15分も余分に要した。暑さに弱い自分には前途に不安がよぎりだす。
 猿田彦神社跡で右:お山巡り2.4km、左:山荘0.2kmを見ると、お山巡りが気にはなるのだが、いつも通過してしまう。今日も先を急ぐので庚申山荘に進む。山荘の手前の庚申山登山口から踏跡が二つに分かれている。すぐに合わさるだろうと左の踏跡に進む。山荘の右側を進むうちに踏跡は薄くなってしまった。浅い谷を乗りこして右手に軌道修正すると登山道に合流できてヤレヤレ。藪山歩きばかりしているせいか、たまに登山道歩きをすると正規の道に拘泥せずに薄い踏跡に進んでしまうことが多々あり、余分なエネルギーを消耗してしまう。
 岩壁の下を西にトラバースしながら進むと、梯子や鎖の助けを借りるようになる。時には荒れ沢の中を歩いたり、岩壁を潜ったりで気が休まる暇がない。登りはまだしも下りでは通りたくない。前回は南総里見八犬伝に出てくる犬飼現八の化け猫退治の説明版があったように記憶しているのだが、今回は説明が全然残っていない。一の門なる標識を見るとお山巡りコースの分岐に達した。さらに鎖や梯子の助けを借りながら登ると、コメツガ原生林の登りになりホットする。一息入れて様子を探ると、富士山の山頂部が見えたのはラッキー。
 富士山が見えたのは地形図の破線と交わる地点でここからはコメツガ林の笹尾根歩きとなる。GPSによると登山道は地形図の破線とは全然ずれている。北への登りから西への登りになると、勾配が緩み幾分楽になるが、すでに体力をかなり消耗してしまったようだ。歩行速度に大きく影響する三つの要因、@気温が高い、A段差の多い急登、B岩場や裸のやせ尾根がある。今日はこのうちの三つが揃ってしまい前回に比べてドンドン遅れて行く。山名板と標石を見て庚申山山頂に達しことを知る。時計をチラッと見て、すぐ先の展望所に行きザックを降ろす。猿田彦神社跡から前回に比べて約30分の遅れ。この遅れは何なのだろう。気温が高いせいか、それとも脚力の衰えか。感触としては気温要因8、脚力劣化2の割合か。もうひとつ大きな要因がある。まったく同じコースを歩くと先が読めて倦怠感に悩まされる。この倦怠感も微妙に影響しているようである。それにしても、ここからの景色はすばらしい。袈裟丸山・皇海山・白根山・男体山、これから進もうとしている鋸11峰の尾根筋も見通せる。

4 鋸11峰   遅れに遅れて蔵王岳で退却  皇海山(中央)と鋸山(左)  (白山から)
 鋸山目指して展望所からやせ尾根へ踏み込む。鋸山や皇海山方面がチラつくのだが、足元が悪いので歩きに集中する。すぐにコメツガ林の尾根を下るようになる。地形図に現れない小さなピーク・御岳山を越して鞍部に下ると、笹が密になり踏跡が薄くなる。小さな岩の前で踏跡が二つに分かれている。今回は右の踏跡に進むと、これは獣道でピークの右手を巻いている。途中で尾根上に強引に登ると標高点1808の駒掛山山頂であった。コメツガ樹林のなかで展望はない。この先も笹で踏跡が薄くなるが、特に苦痛を感じるほどではない。鞍部から少し登り返すと渓雲山の山名板を見る。このあたりに来ると遅れはますます大きくなる。
 今日は皇海山は無理、鋸山から六林班峠経由で戻ろうなどと倦怠感がより強くなる。すぐ先の小ピークが地蔵岳で相変わらずコメツガ林の低い笹の中で、枝越しに袈裟丸山が見えるだけ。次のピークまではコメツガの膝丈の笹尾根を約100メ鋸山東斜面 (蔵王岳から)ートルの登りとなる。この尾根筋で一番の登りで、水を飲むのと汗をかくのが競争状態。途中で袈裟丸山が見えるのがせめてもの救い。やっとの思いで登りつめると薬師岳の標識をみる。完全にばててしまったようだ。このまま戻ってしまいたいと思う反面、前方に鋸山や皇海山がチラつきだしたので進みたいの葛藤が起こる。
 退却ばかり考えるようになってきたので、道筋をあまり記憶していない。時間はかかったが特に危険を感じることもなく、切れたった展望のよく利くピークに達した。ここが白山で展望を楽しむ。白山からはやせ尾根で厳しい歩きとなる。苦手とするやせた岩稜だが、灌木があるので何とか歩ける。小さなコブを越すと、これから先は難所の蔵王岳に達した。展望は袈裟丸山・鋸山・皇海山・白根山・太郎山・女峰山・男体山と好展望だが、目の前に鋸山の東斜面の岩壁を見ると脚がすくむ。岩棚に沿った鎖と梯子が見える。6年前もこんなだったのだろうか。印象にも写真にも残っていない。
 蔵王岳までに1時間以上遅れてしまった。今日のコンディションからすると、この先もドンドン遅れる可能性はある。皇海山は諦めて、@鋸山・六林班峠経由で戻る。Aこのまま庚申山まで戻り、まだ歩いたことのないお山巡りをする。@の鋸山〜六林班峠間はすでに三度歩いているので、あまり興味はない。蔵王岳から熊野岳と剣の峰を鎖や梯子で越す気も起きない。仕方なしに往路を戻ることにした。暑い時期にこのような厳しい山、しかも一回歩いたことのあるルートは自分には向いていないのだと諦める。脚力も衰えていることも自覚しておかねばなるまい。

5 お山巡りコースで下山  説明板がないのはさびしい  アップダウンがかなり多いメガネ岩
 途中でお山巡りコースで来た登山者と出遭う。鋸山・六林班峠経由で戻るという。その直ぐ後で、登山道の補修担当者2名に出遭う。今日は様子を探りに来たようだ。最近3年くらいはあまり手入れをしていないととのことだった。駒掛山先の鞍部からの登り返しもきつかった。最後のやせ尾根になると展望所から人声が聞こえだす。2名の単独行者が写真を撮っていた。少しばかり話しをして庚申山の山頂に向かう。山頂には埼玉県から夫婦が憩っていた。展望所を教えて先へと進む。お山巡りコース分岐まで往路を戻る。
 お山巡りコースは1.9kmと道標にある。少し長いが下りだからどうということないだろうとコースに踏み込む。関東ふれあいの道だから、説明も適当にあるだろうと期待したが、まったく期待はずれだった。途中でメガネ岩のプレートを見ただけ。事前になんの準備もしていなかったのでチンプンカンプン。庚申講の登山で賑わったのは今は昔。これでは南総里見八犬伝で江戸時代から知られた信仰の山も台無し。もっとも今時は信仰で山歩きをするのは限られた人だけ。途中で若いカップルに出遭う。中高年齢者でここを辿る人は少ないのだろう。説明がない上に、予想以上に標高1600付近でアップダウンがある。気楽に考えていたが大間違いであった。最後に笹尾根の下りになってホッとする。この尾根筋は仁田元沢の両岸尾根歩きのときに使えそう。宇都宮大の鶴峯山荘で沢を渡ると猿田彦神社跡に辿り付く。休んでいると山頂で出遭った埼玉県の夫婦と再会。登山道の途中で岩の裏側で名残のコウシンソウを見たといっていた。
 一の鳥居への下りでも足取りは重い。シャツが汗でびしょぬれ。今日は尾根上でも涼しいところがなかった。最悪の一日だった。銀山平ゲートには3台、その先の駐車場には数台駐まっていた。コウシンソウの時期は過ぎたのに庚申山に登る人は多いようだ。
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