ひとり山歩き318 : 栃木/福島県境尾根を大川峠から上海岳、大萱峠、1360ピークと歩いてきました。大川峠から上海岳までは刈払い踏跡が続き楽に登れました。上海岳から先は一部残雪に助けられましたが、密藪が続きました。男鹿山塊、那須岳が処々で展望できました。
栃福県境尾根・大川峠〜大峠(その2)
大川峠〜上海岳(1501)〜大萱峠〜1360ピーク
2008年5月7日(水) 晴れ
1 行程
ルートマップ(GPS)  
自宅(0:30) = 大川林道ゲート(2:30/2:40) − クワ沢出合(4:20) − 大川峠(6:00/6:15) − 標高点1422(7:00) − 標高点1438(7:30/7:35) − 上海岳(ウツミダケorウエミダケ)(8:40/9:00) − 標高点1445(9:30) − 大萱峠(10:20/10:30) − 標高点1360(11:10/11:30) − 大川林道出合(12:50) − クワ沢出合(12:55) − 大川林道ゲート(14:45/15:00) = 自宅(17:10)

2 自宅 − 大川林道ゲート − 大川峠  林道に特別危険な箇所はなかった
 残雪歩きは先月で終了。藪山シーズンの最初はここと決めていた「栃木/福島県境尾根を大川峠から上海岳・大萱峠・1360ピーク」に出かけることにした。このルートは掲示板書き込みでお馴染みの@宇都宮さん(最近は活動休止中)が一昨年の5月4日に歩いている。そのルート設定をそのまま応用させて頂く。その他には栃木の山283+の山部さん、山野跋渉・史跡探訪のYoshiさんの記録も参考にした。
 県境尾根のスタート地点・大川峠に行くには福島県の栗生沢側も考えられるが、交通の便や復路での林道歩きの時間等を考量して、栃木県の深山湖側から歩くことにした。大川林道ゲート(深山湖北西端)から大川峠までは、昨年の10月29日に偵察行でピストンしている。特に危険箇所はなく、途中までは砂防ダム工事で道が整備されているので、早朝にスタートすることにした。 連休明けにもかかわらず国道4号のトラック交通量は普段と変わらないようだ。深山湖にはこれが三度目で道筋も特に難所はないので、深夜放送を聞きながら快調に運転。深山湖のダム上を通過して北岸の舗装道を進む。ダートになってほんの僅か進むと大川林道ゲートに到着する。
 登山靴を履きスッパツをつけて沢音を聞きながら大川にかかる橋を渡って林道に踏みだす。昨秋に歩いた頃にワサビ沢に砂防ダムを設置していたので、道筋は整備されていた。一冬を越して道筋の荒れを心配したが、崩壊しているようなことはなかった。小さな落石と倒木は当然増えていたが、歩くには支障がない。問題は雪解けとともに林道に流れ出した枯れ枝で、これが足元に絡んで躓きの原因となるので注意が必要。4時ごろにワサビ沢の工事現場(今は小屋等撤去済み)の先で林道は手入れがなく藪化が始まる(ひとり山歩き297を参照願う)。ここからはヘッデンなしでも道筋は見えたので消灯する。以降道筋も残っていて迷うような場所はないが、潅木が生えたり、小崩落あり、沢状の水流あり、倒木ありでワサビ沢までのような歩きはできないが、特に危険な箇所はない。県境尾根からの下山予定地=クワ沢付近を確認して先を急ぐ。
 残雪は大川峠が近づくと縞々に多少あるが、雪を踏まないで通れる程度。道上に生えた潅木が落葉していること、カヤがまだ寝ているので見通しが利いて昨秋に比べたら比較にならないほど歩きやすかった。大川峠の栃木側ゲートは通常は藪で見通しが利かないが、何年も前に廃棄された自動車を三回目にして初めて見た。

3 大川峠 − 上海岳  登山道と錯覚する刈払い踏跡が連続  刈払いの目的は不明踏跡(1422の南)
 大川峠でエネルギーを補給しながらあたりを眺めると、つい先日までの白の世界から緑の世界に変わっているのに気付いた。ピンクリボンと踏跡に誘われて上海岳への稜線に取付く。最近の山行録を読んで刈払いされた踏跡が続くと予想して来たが、刈払いはまるでなんとか新道が敷設されたと錯覚するほど。もともと稜線の西側には断続的に踏跡があったらしいが、その踏跡を利用してネマガリダケを地面から十センチほど残して上海岳 (1422の北から)刈払われている。更に灌木や樹木の枝が切り落とされている。樹木の枝払いは切り口が新しく、枝も踏跡に放置されていることから判断するとこの1・2年前に行われたようである。目的はなんであろうか? 登山道を敷設するとか何かの施設をつくるために道を開いたのなら分からないでもないが、そんな形跡はない。ここまでやる必要があるのだろうか?
 閑話休題。稜線には雪は残っていない。背丈ほどのネマガリダケを踏跡周辺に感じながら、歩を進める。場所によっては男鹿岳や大佐飛山を展望することが出来る。第一チェックポイントの標高点1422ピークは東側から巻くように登る。後方に男鹿岳が枝越しに見えるだけ。標高点1422からは方向を北から北西に変えて進むようになると上海岳が窺えるようになった。栃木側が切れ落ちている痩せ尾根を通過するが、藪が刈払男鹿山塊 (上海岳直下より9われているので裸状態で歩くのが恐ろしい。高所恐怖症の気があるせいで、このような裸の痩せ尾根はもっとも苦手とする。藪がついていてくれたら問題ないのだが・・・ヒヤヒヤしながら登り詰めると第二のチェックポイントである標高点1438ピークに達した。前方に上海岳を右に那須岳を見ながら素通りする。
 相変わらず刈払い踏跡は続き、裸の痩せ尾根を恐る恐る歩く。上海岳の直下には残雪が僅かに残っていてここからの展望が素晴らしい。後方には日留賀岳、鹿又岳、男鹿岳そして大佐飛山と男鹿山塊の主なピークを目にすることができる。那須岳方面もよく展望できるのだが、逆光で写真写りはパットしない。そこからほんのひと登りで上海岳山頂に達した。中央に三角点があり、あたりを見渡すと山部3DプレートとS60年のMWV青プレートが灌木の中に落ちていた。栃木側は灌木ばかりで展望は広がるが、福島側は喬木に邪魔されて展望はえられない。樹木の隙間から七ケ岳と急峻な家老岳が窺えるだけ。

4 上海岳 − 大萱峠 − 1360ピーク  笹の密藪地帯は残雪に助けられる  全体に背丈以下の笹尾根地帯
 計画よりも短時間で上海岳に達したことと、裸の痩せ尾根を戻るのが嫌で、予定通り進むことにした。山頂からは刈払いはいうまでも上海岳と1455間の残雪なく踏跡もないシャクナゲを中心とした密藪を突破せねばならない。今までが楽をしすぎたので、酷い密藪だと感じたが通過するにはそれ程の苦労はいらなかった。すぐに背丈以下のネマガリダケ中心の灌木帯になり歩き易くなった。山頂から10分で残雪地帯に達した。この先は本来は背丈かそれ以上のネマガリダケの藪が続くのだが、次のチェックポイントの標高点1445まで名残りの雪堤が続いているのが見える。今年は暖かいので残雪は少ないだろうという予測は外れた。残雪の表面は融けかけているが、足が潜ることはない。今年の残雪歩きは足の沈みに悩まされたが、その分を取り戻すくらいの快適な歩きができた。藪漕ぎに来てこの楽さ加減黒滝股山(左)と赤柴山(中央) (1455に北東から)は喜んでよいのやら悲しむべきなのか。残雪がなくなり、30mほど笹薮の中を進むと標高点1455で展望はない。
 標高点1455は低いピークでここで尾根は枝分かれして北東に進むようになる。背丈程度の笹中心の潅木藪だが、下りだから楽なもので然したる苦労はいらない。黒滝股山や赤柴山そして大倉山方面を見ながら鞍部に下る。細尾根の鞍部は胸程度の笹が密に茂っている。大萱峠のプレートを見逃さないようにキョロキョロ進む。これから先は登りになる地点の左手の樹木に山部3Dプレートを見つけた。福島の栗生沢から栃木の百村に続いた百村街道がこの大萱峠(別名:姥坂峠)を乗越していたらしい。
 大川峠から上海岳は刈払い踏跡、上海岳から標高点1455までは残雪歩きで楽をしすぎた。そのつけか、大萱峠から1360ピークへの登りは背丈以下の笹薮を漕ぐのに苦労した。笹の中に薄い踏跡がかなりの部分で追うことができたのは救いであった。予定よりも2時間近く先行しているので、気分的に楽で焦らずにユックリと歩く。笹薮から混合密藪になると標高点1360ピークで、藪の中でエネルギーを補給しながら小休憩。このピークは昨年の11月8日に黒滝股山に行く際、大川林道から登り詰めた地点。

5下山
 山頂付近は密藪で見通しはなく、思ったような動きもできない。前回は登りだったから藪を漕ぐ労力は必要だったがルートの維持は問題なかった。今回は尾根筋が広いのでルーファンが必要。地面の傾斜や喬木の並び方を探りながらの下りである。少しばかり南によってしまったので方向修正するのが難儀だった。15分ほどで尾根筋が見え出して笹薮は胸程度になりひと安心。それでも途中で一度だけ尾根を外しそうになり、軌道修正を行う。GPSを持っていると間違いなく歩けると思うだろうが、藪漕ぎをしながらGPSを見て歩けるような尾根ではない。時々立ち止って次ぎのウェイポイントと方向がずれていないかチェックする程度の活用。
 尾根に乗って南東に進むと末端が急勾配となるので、標高950付近で東北東の尾根に乗り換える。この細尾根はアスナロが多く今までの笹薮は完全に消えた。急勾配に転ばぬように樹木の助けを借りて下る。沢音がドンドン近づいてきた。傾斜の緩い部分を求めて幾分左に寄りながら大川林道に無事下山できた。こそから約5分でクワ沢出合を通過して、ゲートを目指す。復路は下りで早いと思ったが疲労のせいか往路よりも足取りは遅い。林道の藪が切れる直前の橋の袂に自転車が2台、でも人の姿は見えない。途中で小さなザック担いだ軽装の男性と出逢う。釣りでも山でもなさそう。どこへ行くのかしら。大川林道ゲートに戻ると水戸ナンバーと宇都宮ナンバーの車が2台駐まっていた。今シーズン最初の藪山は予想よりははるかに楽な歩きで、得したような損したような複雑な気持ち。次ぎはどこにするか。赤柴山〜大倉山の県境尾根はトェルト泊ができるようになってからにしよう。家老岳〜県境尾根〜貝鳴山あたりか。 
HOME
inserted by FC2 system