ひとり山歩き298 :大川林道から黒滝股山に登ってきました。全行程に渡りネマガリダケに覆われハードな山行となりました。栃木・福島県境尾根からは大倉山尾根〜那須岳、男鹿岳等が展望できました。
栃福県境尾根・大川峠〜大峠(その1)
大川林道から黒滝股山(1405)
2007年11月8日(木) 快晴
1 行程
ルートマップ
自宅(2:10) = 大川林道ゲート(4:10/4:20) − ワサビ沢・工事現場(5:30) − クワ沢橋(5:55) − クワ沢右岸尾根取付き(6:00) − 県境尾根・1360P(8:05/8:15) − 県境尾根・黒滝股山分岐(9:55) − 黒滝股山(10:30/10:50) − 県境尾根・黒滝股山分岐(11:25) − 県境尾根・1389P(12:50) − ワサビ沢右岸尾根下山(15:00) − 大川林道ゲート(16:10/16:20) = 自宅(18:50)

2 自宅 − 大川林道(クワ沢)
 栃木・福島県境尾根の大川峠から三倉山まで尾根を歩いて見たいという希望を持っている。その第一段階として、先月末に大川林道を深山湖北端のゲートから大川峠まで歩いて尾根の取付き等について偵察を行った。昼時間の短くなった今の時期にこれを遂行するのは極めて困難である。先ずは県境尾根の様子を探るために、黒滝股山を日帰りすることにした。
 例によってWebで調べて見ると、県境尾根から藪を漕いで黒滝股山に登ったものは見つからなかった。今回も参考にしたのは上野信弥氏の関東ぐるり一周山歩き(白山書房)である。本書を検討した結果、笹薮には悩まされそうだが、特別危険な場所はないようである。これだけ分かれば充分、後は自分の能力に合わせて計画を練った。県境尾根に登るにはクワ沢の右岸尾根が標高差が最小、しかもこの尾根は例の宇都宮さん情報では藪はひどくない、ということで決めた。県境尾根を少しでも長く歩いておこうと下山は1389ピークから下山することにした。ワサビ沢右岸尾根(南東尾根)にするかクワ沢左岸尾根(南西尾根)にするか迷った。前者は勾配がきつく難しそうだが、下山後の林道歩きが短くなるという単純な考えでこちらをとることにした。
 例によって明るくなったら登り始め、暗くなるまでに駐車地に戻るの考えで家を出る。大川林道ゲートに到着したら、即準備を整えて深山橋を渡って大川林道に入る。大川林道はワサビ沢の工事現場まではよく管理されているので、ヘッデンの灯りだけで全然問題ない。工事現場からは林道は藪化しているが、夜が明けはじめて周辺も見えてきたので、特に危険ということはない。工事現場から藪化した林道を約30分歩くと、ガードレールにクワ沢と書いてある橋に到着。

3 クワ沢右岸尾根 − 黒滝股山 全体に腰ないし胸程度の笹藪が続く 黒滝股山〜県境は灌木の密藪 那須岳や男鹿山塊の展望あり1360Pの藪
 クワ沢橋から右岸尾根の取付き点を求めて、約2分進んみ尾根に取付く。数分の登りで尾根筋が明瞭になり、アスナロ林の急登が始まる。アスナロの幼木藪から腰丈の笹薮となるが藪密度は大したことはない。標高1100くらいでアスナロからミズナラ、ブナ等の落葉樹林となり、左後方に男鹿岳が窺える。笹薮は多少深くなり胸丈となるが、尾根筋は急勾配でネマガリダケを掴んで身体を引き上げる。ネマガリダケの功罪半々という感じ。
 尾根上に時々浅い抉れ倉お滝股山(中央左) (1340級Pから)が認められる。標高1130くらいで尾根の左手に土の露出した踏跡らしきものが認められたので暫く追ううちに消えてしまった。再び尾根上に戻ると、急勾配で背丈の笹薮の助けを借りながら登る。その後も何度も尾根を横切る抉れに出合う。百村街道がこんな尾根を通っているとも思えない。杣道の名残りであろうか。標高1300を越すと再びアスナロ林となり、幼木藪が多少うるさくなる。登りついた県境尾根の1360ピークは灌木と笹薮に覆われ身動きが出来ないが、男鹿岳や那須岳が灌木の隙間から窺える。
 1360ピークから少し進むと灌木藪がなくなり、腰ないし胸高の笹薮に変わり那須岳を眺めながらの歩きとなりひと安心。1360ピークから30分ほど北進すると1340級ピークでここからは、県境の1390級ピークから黒滝股山が見通せる。黒滝股山は間近に見え、この時点では思ったよりは楽に行けそうな感じがした。1340級ピーク周辺もやはり灌木藪がはびこっているが、大した労力を要さずに突破して北北東に進路を変更して下り始める。鞍部の手前は急下降で樹木にしがみ付きながらの下りとなる。残雪歩きで雪が付いていたら、自分の実力では登るにしても下るにしても難しそう。高さにして十数メートルを急下降すると鞍部で胸丈の笹薮となり、藪の下に獣道を拾えるので予想よりは楽な歩きができる。那須岳や男鹿岳更には大佐飛山(と思う)が見えて疲れを和らげてくれる。尾根筋はブナ疎林が続き、登り詰めるとシャクナゲやイヌツゲの灌木藪がはびこる黒滝股山分岐の1390級ピークに達した。このピークも灌木で展望はよい。那須岳、男鹿岳や大佐飛山を見ながら疲れを癒す。
 黒滝股山は県境から離れて北西に250メートルほど福島側に進めばよい。今までの笹尾根なら10分もあれば行けると、楽観したのが大間違い。尾根上はアスナロ、イヌツゲ、シャクナゲ等の灌木の密藪が続いている。尾根上には獣道をかなりの区間で拾えるが、足場が悪くしかも切れ落ちている箇所もあり油断は禁物。藪にしがみ付きながらの歩きで速度が上がるはずがない。獣道を見失うと大変で、水中戦あり空中戦ありで予想以上の苦戦。35分の苦闘で灌木に囲まれた黒滝股山の山頂に辿りつく。中央に三角点があり、周辺に僅かなスペースを見出してザックを降ろす。すぐ傍の樹木にMWVのプレートが2枚と下館学岳友会の創立25周年記念縦走(那須岳〜谷川岳)のプレートを見る。
 灌木が邪魔して充分な展望は得られないが、那須岳と大倉山尾根、男鹿岳と大佐飛山が認められた。残雪期に登れば360度の展望が広がり会津の山々も展望できるであろう。

4 黒滝股山 − ワサビ沢右岸尾根  ワサビ沢右岸尾根の上部は藪深く 尾根筋見えづらい黒滝股山のプレート
 県境ー黒滝股山の間は予想より梃子摺ったが、その他は予想よりは藪が薄く。30分ばかり余裕が出来たので、計画通り1389ピークからワサビ沢右岸尾根経由で下山することに決めた。県境までは往路をそのまま戻るのだが、やはり同じ時間かかってしまった。
 灌木の黒滝股山分岐ピークから那須岳や大倉山尾根を眺めながら下り始める。すぐに灌木藪から今までの県境尾根と同じように胸丈の笹薮に変わりホッとする。下るにつれて那須岳はこれから向かう1389ピークの陰になってしまう。依然として連続するブナ疎林の笹下に薄いが獣道を拾えるので、然したる苦労もな茶臼岳 (黒滝股山頂から)く1350級ピークを越して下山開始地点の1389ピークに達した。このピークは今までのピークとは異なり灌木藪少ない。
 最終的に下山ルートを再確認する。南西尾根でクワ沢橋付近に下った方が尾根筋は明瞭で緩やかだが、当初計画通り急勾配の南東尾根(ワサビ沢右岸尾根)を下ることにした。笹が深く尾根筋が見えにくいので、磁石を合わせて下って行く。下る方向に疎らに灌木が並んでいる。これが尾根上と判断してその僅か右側を下って行く。暫く下って磁石を見ると、方向が幾分南に寄っている。おかしいと判断して灌木帯の左(東)側に出て見ると、下るべき尾根は更に東に位置していることが分かった。密な笹でトラバースに苦労して本来の尾根に復帰。これで順調に下れるかと思ったのも束の間、標高1300付近で大岩に進路を塞がれ、右下に巻いて逃げる。今度はアスナロの針葉樹藪が密になってきた。右手には緩やかな南西尾根が見えて、あちらをとればよかった、と思うが後悔先に立たず。標高1200位になると、アスナロ藪も緩み尾根筋も明確になり、ピンチを脱出して一安心。標高1050付近からはミズナラ等の落葉樹林になり、勾配が緩んで笹は膝程度で下山地点も近づき快適な歩きとなる。最後に急斜面を下ると大川の左岸に無事下山。50メートルほど遡ると大川に架かるコンクリート橋で大川林道に出合う。
 橋を渡って2分ほど進むと、ワサビ沢のダム工事現場で二人しか見かけなかった。そこから大川林道ゲートまでは更に1時間10分要した。大川沿いの紅葉に時期は過ぎて、ゲート付近に僅かに紅葉が残るだけであった。無雪期に念願の福島三出臍(枯木山、孫兵衛山、黒滝股山)を踏んで大満足。今年の藪山歩きはこれでで終了。暫くは登山道歩きと雪山を楽しむことにする。 
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