ひとり山歩き293 : 栃木・福島県境の大川峠から男鹿岳に登り、その西尾根を歩き途中からオーガ沢橋付近に下山しました。全行程とも深い薮の中で、特に幅広の西尾根は笹薮が深くルーファンが困難でした。大川峠から男鹿岳は無雪期でもかなり登られているようです。
大川峠〜男鹿岳(1777)〜西尾根〜オーガ沢橋
2007年9月21日(金) 快晴
1 行程
ルートマップ 
自宅(0:30) = 釜沢橋(3:20/3:35) − オーガ沢橋(4:45) − 大川峠(6:00/6:15) − 栗石山(1071ピーク)(8:20/8:30) − 男鹿岳(9:35/10:00) − 西尾根・尾根分岐(12:20/12:25,20minロス) − 西尾根・下山開始(13:05) − オーガ沢橋付近(14:00) − 釜沢橋(15:05/15:20) = 自宅(18:40)

2 自宅 − 大川峠  オーガ沢橋の手前から林道は大荒れ 栃木側同様に近い将来は薮化必至
 栃木・福島県境の引馬峠から黒岩山・鬼怒沼と一泊山行に出かけるつもりでいたが、天気予報では気温が高いとのこと。持参飲料水を多くせねばならないので急遽延期して日帰り山行とした。栃木・福島県境の未踏部ということで大川峠から男鹿岳に登ることにした。大川峠からのピストンだけで帰るのでは物足りない。男鹿岳西尾根の残雪期に歩いた区間(ひとり山歩き237)を辿ってみることにした。
 Webで調べて見ると、大川峠から男鹿岳は残雪期には多数が登っているが、無雪期の報告は3件しか見つからなかった。一件は「栃木の山283+」の山部さん(05年7月)、他の二件はJAC創立100周年記念で中央分水嶺踏査の一環で登頂(04年11月)と「自然&人情ふれあいの山々」のカモシカ永井氏(03年10月)。男鹿岳西尾根の無雪期歩きは、やはり山部さんが04年9月19日に横川から西尾根経由で男鹿岳に登っている(この時は筆者も塩那道路から男鹿岳に登り、山頂で山部さんと感激の初対面)。更には、関東ぐるり一周山歩き(白山書房)の上野信弥氏が90年11月11日に大川峠か左 : 大川峠(福島側)  右 : 栃木側林道口ら男鹿岳そして西尾根を辿り男鹿川に下山した例を見るだけである。大川峠から男鹿岳はそれ程難しくはないが、西尾根は薮が深く幅広の尾根はルーファンも難しそう。
 登山スタート地点は大川林道(福島県道369号黒磯田島線)の大川峠として、残雪期の男鹿岳登山の駐車地である釜沢橋まで車で入り、そこからは歩いて峠を目指す。復路は西尾根からオーガ沢橋付近に下山して駐車地まで歩いて戻ることにする。下山地点のオーガ沢橋付近の地形(擁壁の有無等)を調べるには、この地点を5時ごろ通過したい。その反面、最近の大雨で大川林道を釜沢橋まで乗り入れできるか不安があった。多少の余裕時間を考えて自宅を出発。幸い釜沢橋までは、なんら問題なく到達。橋を渡ると前方に通行止めのゲートがありその前に駐車する(ゲートの一部を動かせばすり抜けられる)。小一時間歩くと崩落地に達した。その先は無残で道路に陥没があり壊滅的。崩落地から15分ほどで下山予定地のオーガ沢橋(昭和40年10月竣工)を通過。通過時刻が予想より若干早くてまだ暗いが、下山候補地点の様子を懐中電灯で調べる。念のために20mのロープを持参しているが、使用せずに下山できそう。
 オーガ沢橋からは男鹿橋、白糸橋、標高点1224の切通を経由しながら大川林道は北東に進む。途中で小崩落、倒木や草木等で踏跡程度に化している所もある。やがて平坦になり前方に大川峠を感じながら男鹿岳の南尾根の西側をトラバースする。突然前方に広場が現れ、ここが大川峠で栃木県との境になる。大川林道の栃木側は完全に薮化していて、辛うじて入口が分かる程度。大川峠を挟んで男鹿岳の登り口にも反対の上海岳への登り口にも踏跡とピンクリボンがぶら下がっている。

3 大川峠 − 男鹿岳  栗石山までは踏跡とテープあり 男鹿岳への登りは薮を突破
 軽くエネルギーを補給して尾根の踏跡に取り付く。笹薮があるが明瞭な踏跡とテープ類が多く、迷いようもなくドンドン高度を上げて行く。日光連山(栗石山から)尾根筋は広葉樹が多く、時々アスナロを見る程度で笹薮は樹木の濃淡に反比例するように出現するが、明瞭な踏跡が続きルーファンで苦労することはない。急勾配に音を上げて立ち止っては後方の上海岳への稜線を眺めては疲労を回復させる。高度が上がるにつれて踏跡が薄くなるが、テープ類が多いので時々現れる背丈以上の笹薮漕ぎも苦にはならない。標高が1500を過ぎるとブナが目立つようになり、やがてオオシラビソ林になると10分ほどで栗石山と呼ばれる1701ピーに達した。山頂付近はオオシラビソにダケカンバが混ざり、ナナカマドが多い。立木にMWVの標識を見る。前方には男鹿岳その右奥に鹿又岳付近と塩那道路がみえる。横川放牧場の一部も窺える。遠方には白根山から女峰山と日光の山々も展望できる。最近はこのルートを登る人が多いようで、思い描いていたよりは踏跡が明瞭で何種類ものテープ(位置が低いので無雪期のもの)を見る。
 栗石山から一旦30mほど下るが、場所によっては薮が深く踏跡が消えるが、尾根筋が明瞭でテープも多く特に苦労はない。強いていうと薮に蔦が混ざっているのでこれを断ち切るのが面倒な程度。
 鞍部からの登りは幅広尾根で、プッツリとテープ類が消えてしまった。鞍部まで多数のテープ類があったのだから丹念に探せばどこかにルートはあるはずだが、探すのも面倒なので適当に登り始める。オオシラビソの疎らな所は笹薮が多く、早速掴まってしまった。薮を避けて適当に右往左往しながら山頂を目指して登って行く。鞍部から丁度一時間の登りで男鹿岳の西尾根に到達した。目の前の立木に黄色のビニール紐が巻きつけてあった。男鹿岳山頂に向かって20mほど進むと黄色のビニール紐が鞍部の方から登ってきて、男鹿岳山頂の先の好展望地まで連続して張り巡らしてあった。この紐から判断してもう少し左(東)側を登ればよかったようだ。尾根到達地点から2分程で男鹿岳山頂に達した。荷を降ろす前にそのまま2分ほど北進して好展望地で那須岳と大佐飛山の写真を撮って山頂に戻る。
 今日も雲ひとつない好天で切り開きの東側に那須岳の眺めがよい。中腹には沼原池も見えている。三年前の昨日に取付けた山部3Dプレートは、色あせたが元のまま。その上に男鹿岳1777.1の大きなプレートが取り付けてあった。このプレートはしばしば取付け位置が変わるようだ。昨年の4月9日に見た栃木の山紀行の標識ははるか上(6・7m位?)にあった。

4 男鹿岳 − 西尾根 −下山  西尾根は薮が深く幅広尾根と相まってルーファン難しい  展望は全くな
 ほぼ予定通りに男鹿岳に達したので、計画通り西尾根に進むことにした。下山開始地点は、昨年の5月12日に山王峠から辿った小立九郎岳(1361.7ピーク)まで歩きたいが、少なくともその時の下山開始地点までは足を伸ばしたい。食事をしながら地形図を見てルートを確認する。幅広尾根の下りだから薮が多いとルーファンに難儀しそう。
 意を決して西尾根に踏み込むと、樹茶臼岳(中央)と朝日岳(左)  (男鹿岳から)木と肩丈の笹薮が密で前方が見通せない。残雪期には会津駒ケ岳や七ケ岳を見ながら快適に下ったのとは大違い。尾根筋は幅が広くどこを通ってよいか分からない。抵抗を少なくするために笹薮の寝ている方向(ゴルフ用語で順目)に下って行く。気をつける点は尾根を外さないことで、周囲の樹木と傾斜に注意を払い時々方向修正を行う。男鹿岳をスタートして約30分の地点で標高は約1700、このまま進むのに不安を感じて戻るか進むか検討する。「退却!!」と大声を出して立ち上がるとたまたま薮の薄い地点が見つかり気持ちとは反対に足は下りに向く。笹薮は胸ないし肩丈で連続して密だが、下り勾配に助けられて遅いが確実に前進しているので不安感はなくなった。山頂から1時間15分の標高1520m位から尾根形が明瞭になり、薮も幾分薄くなったようである。標高1500位からはオオシラビソに変わってアスナロが主体となり、笹薮がかなり薄くなった。
 標高1410からは方向が西から南西への急降下となる。アスナロの小薮があるが、下り勾配に助けられてドンドン下る。気がつくと高度計は1300m以下になっている。調子に乗って西尾根分岐地点を越えてしまった!! 分岐地点まで戻るのに約20分のロス(間違えた尾根は上野信弥氏が男鹿川に下った尾根筋と思われる)。ルートミスの挽回は精神的にも体力的にもくたびれる。分岐点で呼吸を整えて西に約50m下ると平坦部が続く。アスナロと笹薮が断続的に現れるが、下山地点が近いと思えば足もよく動く。平坦部から幾分登り返すと下山開始地点に達した。小立九郎岳までは薮はそれ程でないが、無雪期に通っていること、約100mの登りと今日の暑さで急激に意欲が萎えてしまった。
 下山開始地点からオーガ沢の左岸尾根を200mほど下れば大川林道に下れる。下山開始地点は蔦が多く脚に絡みついて身動きがとれない。10m程度の蔦地帯を通過すると深い笹薮が待っていた。次に現れたのがアスナロ薮で時には空中戦となる。薮は密だが尾根筋が明瞭なのが救い。右下から沢音が大きくなって直下にコンクリート擁壁が見えたので、急斜面を下って擁壁に近づくと、2m高のコンクリート擁壁に登れないので、手前の溝をほんの僅か西に下ると擁壁が切れて大川林道に無事下山できた。ここはオーガ沢橋から西に50mほど下った地点と結論して、駐車地の釜沢橋目指して往路を戻る。釜沢橋手前のゲートに戻ると、滝沢山方面へ通じる林道の入口が工事中だった。駐車場所は工事の邪魔にはなっていないようでよかった。
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