ひとり山歩き292 : 金精峠〜温泉ケ岳〜高薙山〜金田峠〜刈込湖と歩いてきました。ルートの大部分は薮の中ですが、密藪区間は少なく、藪漕ぎとルーファンを楽しむことができました。
金精峠〜温泉ケ岳〜高薙山〜金田峠〜刈込湖
2007年9月13日(木) 晴れ
1 行程
ルートマップ 
自宅(1:10) = 金精道路・刈込湖遊歩道入口(駐車)(3:05/3:15) − 金精トンネル(4:10/4:25) − 金精峠(5:00/5:10) − 温泉ケ岳登山口(6:05) − 2274ピーク分岐(6:50/7:00) − 2274ピーク(7:10) − 2207ピーク(8:25) − 2193ピーク(9:45) − 高薙山(10:25/10:55) − 2193ピーク(11:45) − 1971ピーク(13:20) − 石祠(13:45) − 金田峠(13:50/14:15) − 刈込湖北岸(15:10) − 刈込湖遊歩道出合(15:40) − 小峠(16:10) − 金精道路遊歩道口(16:40/16:55) = 自宅(19:05)

2 自宅 − 金精道路遊歩道口
 女夫渕温泉〜引馬峠〜孫兵衛山〜黒岩山〜鬼怒沼の周回を山中一泊で実行すべく計画は整った。このところ天気予報を慎重に見ているのだが二日続きの好天が期待できない。脚力維持のために仕方なしに日帰り山行を計画した。候補地としては、大川峠〜男鹿岳〜小立九郎岳(1361.7)〜オーガ沢か金精峠〜温泉ケ岳〜高薙山〜金田峠〜刈込湖周回を考えた。後者の方が時間がかかりそうなので、昼時間が短くならないうちにということで今回実行することにした。
 今回のコースをWebで検索すると2件ヒットした。1件は「山頂渉猟を追って」の管理者氏が97年5月の残雪期に金精峠〜温泉ケ岳〜高薙山をピストン。もう1件は「日光稜線紀行」のstarionさんが06年6月に金精道路〜温泉ケ岳〜高薙山〜金田峠〜於呂倶羅山を山中一泊で周回。後者を参考に日帰り周回を計画した。下山後の車の回収に都合よく、しかも暗いうちに道路歩きを、と考えて駐車地は金精道路の湯元温泉分岐から約1km先の刈込湖遊歩道入口とした。数台の駐車スペースのど真ん中に車を駐めて出発準備にかかる。

3 金精道路 − 2274ピーク分岐(根名草山登山道)  温泉ケ岳東トラバースではみだし笹でびしょ濡れ温泉ケ岳 (2274Pから)
 昔は草木も眠る丑三つ(2〜2時半)といわれたが、現在は夜明け前が通行量は最も少ないようで、この時間帯に金精道路を走る車は滅多にない。1・5時間で金精峠まで歩けば、金精峠への登りは明るくなると予想していたが、舗装道歩きは速い。予定より30分も早く金精トンネルに着いてしまった。笹藪に露がついていることを予想して雨具の下だけ着用した。 まだ暗いが金精峠への登山道に踏み込む。最近の大雨で小崩落があったようで、登山道に小岩が押し流されていて丸太階段が隠れている箇所があった。10分ほど登ると登山道の荒れは見えなくなった。特に危険を感じることもなく金精峠に達した。
 軽くエネルギーを補給しているうちに明るくなってきたのでヘッデンをしまって温泉ケ岳を目指して歩き始めた。登山道は尾根の左(北)側をトラバースしているが、時々尾根上に出ると、後方に白根山から金精山あたりが目に入る。登山道への笹のはみ出し少なく濡れることもなく快適に歩く。傾斜が緩やかになると程なく標識の目立つ温泉ケ岳登山口に達した。6月19日に山頂を踏んでいるので、今回はパスすることにした。
 温泉ケ岳東側をトラバースする登山道には笹がはみ出していて、左半身がずぶ濡れになってしまった。上半身は濡れてもよいと雨具の上を省略したのは大間違い。濡れたシャツと下着を通じて靴下まで濡らしてしまった。右下の刈込湖・切込湖に水蒸気がかかって神秘的。どうにかトラバースが終了すると登山道はよく刈払ってあった。鞍部から小ピークをひとつ越した次ぎのピークが2274ピーク分岐となる。このピークには「奥鬼怒」の小さな標識を見かける。

4 2274ピーク − 高薙山
  一部に密藪あるも藪は我慢の範囲  2207付近はルーファン要注意
 ここから高薙山の手前にある2193ピークまでが今日の核心で、未踏部分の歩きとなる。2274ピーク目指して尾根に踏み込む。針葉樹の小枝と笹薮が多少あるも、獣道を追うと難なく2274ピークに達した。山頂部は針葉樹小枝と低いシャクナゲで覆われているが、枝越しに男体山と戦場ケ原が窺える。2274ピーク付近は小藪がうるさいが北側をトラバース気味に下ると獣道が通じているので、それほどの苦労はしないで済む。下り勾配は緩やかで途中で藪がややうるさい小さなコブを三つ四つ越しながら鞍部まで下る。鞍部からは藪が薄く歩き易くなる。次ぎのピークまでは僅かな登り返しとなる。この2207ピークからは尾根を乗り換えて一旦北に下る必要がある。この尾根の乗換え地点が見通しが利かずややこしいと前出の2件の記録に記載がある。このような場合は、尾根の直下をトラバース気味に進むのがコツ。真上から見下ろすと分からなくても横から見ると低い尾根筋でも見分けやすい。作戦成功で低い尾根筋が容易に見つかった。この地点は2207ピークの20m位燧ケ岳(中央奥)と鬼怒沼山稜線 (高薙山頂から)下で、ここを2207ピーク通過とした。
 乗換え尾根筋は低くて幅広で、一旦北北東に下りそして北北西に下って鞍部からは2193ピークから高薙山に通じる尾根に再び乗り換えねばならない。先の見通しはないが、藪がないのが救い。傾斜を感じながら何度か方向修正を繰り返しながら鞍部に辿りついた。尾根の途中で赤テープを見つけて間違いのないことを確信した。この小さな赤テープは遠慮がちに2274ピークから2193ピークまでに五・六ヶ所で見かけた。
 鞍部付近は低いミヤコザサで覆われていたが、やがて笹は疎らになり針葉樹林の獣道を追っての登りとなった。針葉樹藪を感じることもなく、登りに集中できた。登り詰めて小高い部分の横を通過すると、テープが目に付いた。ここが金田峠方面への分岐地点のようだ。ここを2193ピークとした。2時間45分で今回コースの核心である未踏部を通過することができた。残雪期に来た時にはここからは先ほど通過した小高い地点も高薙山方面も見えたのだが、今は全く見通しがない。2193ピークでのタイムリミットの11時に対して1時間以上余裕がるので、高薙山に向かうことにした。
 針葉樹林の尾根筋を高薙山目指して一旦下るのだが、薄い踏跡があり藪も殆どなくよい方に予想が外れた。コンパスを見ながら北東に進み2180ピークに指しかかる。このピークの右下を巻いて次ぎの2170ピークを目指す。針葉樹林の中で見通しはないが、コンパス歩きで不安はない。2170ピークも右下を巻いて通過し、浅い鞍部からは北東から東北東に向きを換えて尾根筋を登る。低いシャクナゲ藪を突破すると見覚えのある高薙山の山頂に達した。今回が三回目の訪問で、山名板は見覚えのあるものばかりだった。山部3D、達筆、Aki山、偽KUMO。
 山頂部には三角点があり、小広場となっているが展望はない。山頂部から藪を掻き分けて南西に僅か進むと展望が開ける。燧ケ岳と鬼怒沼山、根名草山、白根山の頭、男体山、大真名子山、太郎山と展望を楽しむことができる。

5 高薙山 − 金田峠  藪は思ったほど深くない  残雪期歩きに比べて展望な
 時間的に余裕ができたことと下山は残雪期とはいえ一度通ったルートであり安心感が宿る。2193ピークに戻る途中で2180ピークの大岩に登って見た。根名草山しか見えなかった。残雪期にはもっと見通せたような気がするのだが。2193ピークのテープの目立つ地点でコンパスを南東に合わせる。最初は緩やかに獣道を広いながら下ってゆく。やがて尾根筋が狭くなり勾配がきつくなる。針葉樹林の林床は低いミヤコザサで藪という感じはない。標高2100付近で赤テープ類が目につくと、チョットした岩の横から急降下となる。標高2050からは方向が僅かに変わる。残雪期では往路は登るだけ、復路は足跡を追うだけでルーファンに苦労した記憶はないが、いまの時期はコンパスを金田峠からの道筋こまめに変えながら尾根筋を外さないように注意が必要。鞍部直前の標高2010辺りに地形図にない小ピークが現れる。針葉樹とシャクナゲの藪が密だが、このピークからは男体山、太郎山、三岳、於呂倶羅山が藪に多少邪魔されるが展望できる。残雪期には藪の邪魔なしに好展望が得られたことを思い出す。
 このピークからの下りは藪がうるさいが、これを突破して鞍部に下ると藪はなくなる。次ぎの目標点である1971ピークへの登りの途中で刈込湖に落ちる薙がある。残雪期に歩いた時の写真が残っている。THNCねくらハイキングの管理者氏が05年9月にこの薙の脇を刈込湖まで下ったとの報告をWEBで見かけた。後学のために薙筋をよく見ておこうと尾根筋を辿ったが、薙ぎを見ることもなく1971ピークに達してしまった。残雪期には尾根筋から見えたのだが、今の時期はその気になって尾根の右下を通らないと見逃してしまうようだ。時間的に余裕がなければこの薙の脇を下るつもりだったが、まだ時間的に余裕があるので当初計画通り金田峠に向かうことにした。
 1971ピークから方向を変えて5・60m急降下すると勾配の緩い笹尾根歩きとなる。石祠を見のがさないよう左右に注意しながら歩くと二本の針葉樹の根元にやや傾いた石祠を見た。この石祠には銅の扉がついていたようで、日光市の重要文化財の指定を受け、輪王寺で保管されているらしい。 石祠からは右下に刈込湖が見えるし、下山地点の金田峠も近く安心感がただよう。勾配は緩やかだが、笹は場所によっては肩まである。以前4月末に歩いた時は雪は全くなかったが、これほど笹が深いとう記憶がない。途中の赤テープを確認しつつ下山地点を探りながら1949ピークへの登りとなる地点まで歩を進めた。適当な下山地点が見つからず、急斜面を下るにしても樹木の茂る部分を求めて来た道を僅かに戻ると、赤リボンと薄い踏跡が目に付いた。

6 金田峠 − 刈込湖 − 金精道路落石 (小峠)
 赤リボン付近の笹薮を突破すると明瞭な道型が残っている。これは05年11月に@宇都宮さんが歩いた道筋だとすぐに分かった。10分ほどジグザグに下ると、案の定道筋は消えてしまい、背丈を超す笹の海に突入してしまった。幸い笹はクマイザサで、下る方向に寝そべっているので大した抵抗にはならない。道筋が笹で分からなくなった辺りからはブナが目立つようになっていた。針葉樹林に比べて日当たりがよいので笹が深いのは頷ける。30分ほど笹薮を泳ぐと、小さな沢に下りることができた。沢筋は藪も危険箇所もなく、これで金精道路まで楽々帰れると思ったのが大違いで、刈込湖北岸・地形図の標高点1617付近に辿りついたが、最近の雨のせいか湖面は高くて湖岸を歩けるような状況にはなかった。仕方なしに水面より数メートル高い山腹をトラバースする羽目になってしまった。刈込湖遊歩道出まで距離にして400mを歩くのに30分要した。
 遊歩道は小峠まで1.1km、湯元2.5kmだから駐車地までは約2kmの歩きだが、小峠への約80mの登りは疲労のたまった身には堪える。下り勾配に転じると小峠は近いと元気が回復する。小峠の林道分岐の30mほど手前に落下した二つの大岩が道上をスッポリ塞いでいる。高巻きを心配しながら傍によってみると、斜面との僅かな隙間に踏跡がついていた。小峠から更に30分で遊歩道入口に戻れた。 
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