ひとり山歩き283 : 根名草山登山ルートにある念仏平から湯沢峠まで栃木・群馬県境尾根を歩いてきました。針葉樹の幼木やネマガリダケの密藪が多く、ルーファンは難しい尾根ですが、処々で好展望を楽しむことができました。
栃木・群馬県境 念仏平〜湯沢峠尾根歩き
2007年6月19日(火) 晴れ後曇り
1 行程
ルートマップ
自宅(2:05) = 金精トンネル駐車場(4:00/4:35) − 金精峠(5:00) − 温泉ケ岳口(5:50) − 温泉ケ岳(6:00/6:30) − 温泉ケ岳口(6:40) − 念仏平避難小屋(7:20/7:25) − 念仏平(7:50) − 2326ピーク(8:00/8:05) − 2260ピーク(8:50) − 2060ピーク(10:25/10:35) − 標高点2018(11:10) − 2001ピーク(12:30/13:00) − 湯沢峠(13:20/13:35) − 丸沼温泉(1430) − 国道120号出合(14:50) − (途中ピックアップ) − 白根山菅沼口(15:05) − 金精トンネル駐車場(15:40/15:55) = 自宅(18:05)

2 自宅 − 金精トンネル
 気温が高くなってきたので、低山歩きはしたくない。梅雨で天気が読みにくいこともあって他県への遠征も躊躇する。比較的涼しい奥日光付近でまだ歩いていない尾根ということで、栃木・群馬県境の念仏平〜湯沢峠の尾根歩きか大岳〜白檜岳〜外山の尾根歩きを考えていた。菅沼西端から湯沢峠付近に延びる尾根の情報が、昨日タイミングよく掲示板に寄せられた。念仏平から湯沢峠まで歩いた後に、この尾根経由で下山できれば車の回収で舗装道歩きが短くなる可能性が生じた。それで今回の山行は念仏平〜湯沢峠歩きに決めた。
 車の回収を考えると、菅沼西岸尾根・湯沢峠・念仏平・金精峠・金精トンネルの方が好ましい。今の暑い時期に、薮尾根を登るのは体力的に困難が伴う。仕方なしに逆のルートで薮尾根を下ることにした。金精トンネル駐車場をスタートするのだが、菅沼西端に下山してもコンクリート擁壁等で国道に上がれねば大変なので、一旦トンネルを通過して菅沼西端まで車を飛ばした。下山地点へ管理道路が下っているのを確認して、金精トンネル駐車場に戻って山行の支度をする。既に三重ナンバーの車が一台。出発直前にもう一台。

3 金精トンネル − 念仏平  縞々の残雪あるも特に支障なし 温泉ケ岳は踏跡が明瞭で立派な山名板あり金精山(手前(と白根山(奥) (登山道標高2200付近から)
 金精トンネルから金精峠へ向かうのは、ほぼ4年振り。登山道は丸太階段や木梯子等で整備されて歩きやすくなっている。階段や根っこの道を急登して勾配が緩むと金精峠に達した。直下ではみ出した笹で膝下が濡れる。今日は暑さしのぎにどんなに濡れても雨具は着用しないぞ!! 金精山が朝日を浴びて輝いているが、男体山方面は光線の加減でパッとしない。針葉樹林の登山道筋にはシャクナゲが群生しているが、開花は少ない。道筋は多少抉れているが歩きづらいことはないが、所々で笹のはみ出しで下半身が徐々に濡れてくる。シャクナゲがなくなり、標高2250くらいになると残雪が縞々に現れる。残雪が出始めるとすぐ先で、温泉ケ岳登山口の標識を見る。念仏平の立ち枯れと白根山
 四年ぶりに温泉ケ岳に寄ってみることにした。残雪に残るトレースを追うとすぐ先で、明瞭な踏跡(登山道といってもおかしくない)が現れマーク類も多い。四年前には途中で踏跡を失ったが、今は格段に明瞭になっている。登山者も多いのだろう。再び縞々の残雪が現れるとすぐ先が温泉ケ岳山頂、御陵局三角点の傍に立派なポールつきの山名板が設置されている。山頂からは日光連山と燧ケ岳とか会津駒ケ岳あたりが窺える。登ったついでに、県境沿いに北側に直接下ることにした。明瞭な踏跡を辿ると、縞々の残雪で踏跡を失ってしまった。笹薮の中を方向に注意しながら下ったが、思ったよりも勾配がきつく笹で滑り、危険を感じた。今日の主目的は念仏平〜湯沢峠にあるので直下降を止めて山頂に戻った。ここで20分のロースだがしかたない。
 再び温泉ケ岳口に戻り、夏道に復帰した。温泉ケ岳の東側の巻き道になると残雪は消えて、男体山や大真名子山を見ながら笹の中を進む。温泉ケ岳の北側に回りこむと、その先は残雪は縞々に現れ、時には踏み抜くこともあるが、大した障害にはならない。ふたコブ越して抉れた泥濘を下り沢を渡ると念仏平避難小屋に到着した。小屋の外見は今にも壊れそうだが・・・
 だんだん立ち枯れが目に付きだし、異様な雰囲気となる。振り返ると温泉ケ岳がお椀をひっくり返したような姿を呈している。小さな沢を渡って白根山を見ながら立ち枯れの中を進むと、すぐ先で2326ピークの陰で白根山は見えなくなる。この地点を念仏平として、登山道から別れて2326ピークに向かう。

4 念仏平 − 湯沢峠  密藪は区間が短いので予想よりは楽だった  下り勝手でルーファンは難しい
 金精峠から念仏平までは今回が三回目だが、ここから湯沢峠の尾根歩きはもちろん初めて。WEBで調べると、「すうじいの時々アウトドア」の中に’83年11月(http://www.interq.or.jp/world/suji/mr182.html)に湯沢峠から念仏平を歩いた一件しか見当たらない。
 登山道から離れて針葉樹林の中に突入した。縞々の残雪はあるも薮は少なく歩くには困難はないが、ピークは平坦でどのあたりが山頂か分かりづらい。このあたりが2326ピークの山頂と決めて、コンパスを合わせる。西南西に進み始めると、尾根筋は広く針葉樹の幼木の密藪でここが最初の難所。物見山〜燕巣山稜線(手前)と燧ケ岳  (念仏平〜湯沢峠の稜線から)15分ほど薮を漕ぐと幼木薮が薄くなり、縞々の残雪が現れ始めた。残雪は薮のないところにあり、踏み抜きもあるので、利用するどころか障害物だ。西南西から西向きになると尾根筋も明瞭なになり、尾根にうまく乗れて一安心すると、針葉樹とシャクナゲの灌木薮の中を下ることになる。ここが第二の難所だが、薮はすぐに薄くなり獣道を追うことができるようになる。色あせた赤布を二箇所で見た。先まで続くかと思ったが、この付近以外では見かけなかった。この先の方がルーファンは難しい。それにもかかわらず赤布を見ないというということは途中で断念したのかも。西から南に向きを変えてやや下って登り返すと小さなコブ状の2260ピークに辿りつく。
 この小ピークからは北西に下るのだが、針葉樹とシャクナゲの密藪で第三の難所。薮の下に獣道があるので丹念に探しながら下る。途中で前方が切れて展望が広がる。左手に白根山、右手に根名草山、前方に物見山から燕巣山の稜線と燧ケ岳と至仏山、さらには平ケ岳らしい山も見える。左下に菅沼も場所によっては見ることができる。薮が緩むと標高2200位からは尾根筋が一層狭くなるが、獣道を追うことができる。標高2150まで下ると尾根筋が広くなり、北西から北北西に向きが変わってくる。このあたりがルーファンの難所で、慎重に地形を読む。進むべき方向に薄い獣道が見えたので、これを追うことにした。下るにつれて尾菅沼と武尊山 (念仏平〜湯沢峠稜線から)根形も明瞭になり、方向も合っているので安心して下り続けると、鞍部付近で針葉樹とシャクナゲ薮に突入する。あたりの地形を読んで、方向を西に変えて下り続けると鞍部に達した。この付近もルーファン難しいが、勾配が緩やかなので間違うことはないだろう。鞍部からの登り返しは針葉樹帯で、徐々にアスナロが混ざりだす。アスナロの密藪を突破する2060ピークで第四の難所。展望はないが、ザックをおろしてエネルギー補給の小休止。
 すぐ先の2050ピークからの下りは、二重尾根になっていて中央の藪のない所を歩く。鞍部付近は針葉樹薮があるがたいしたことはない。緩やかに登り返すと、北西から南西に向きが変わる。このあたりを標高点2018とした。少しばかり下るとスズタケそしてネマガリダケが立ちふさがるようになる。笹薮はまだたいしたことはなく、獣道を追うことができる。2030ピークからは北北西へ下り、標高2000で北西に転じる。このあたりは、直進しないようルーファンに気を使う。ここを過ぎたらルーファンの難しい所はない。鞍部手前で風倒木が多い。ここまで倒木について記述しなかったが、このルートは彼方此方で倒木に悩まされることを記しておく。このあたりまで来ると薮は針葉樹に変わってネマガリダケが主になってくる。笹薮を漕いで1970ピーを通過し、鞍部からの登り返しは背丈をはるかに超える強烈なネマガリダケの中を泳ぐことになる。疲労が蓄積してきたせいもあり、今日一の薮漕ぎの難所となった。20分ほど苦労すると2001ピークに辿りついた。
 エネルギーを補給しながら、ここから湯沢峠に下るか、前日に掲示板に寄せられた菅沼西岸尾根を下るか検討する。折角ここまで来たのだから湯沢峠までつなぎたい。菅沼西岸尾根を下るために、ここまで戻るには一時間以上必要。ここまでくれば念仏平〜湯沢峠は歩き通したに等しい、と考えて菅沼西端に下ることにした。これに成功すれば、車回収の車道歩きが短縮されると淡い考えで、2001ピークから南南西に下り始める。鞍部からの登りになると、2001ピークへの登りで苦労した藪並みの深さに嫌気が差す。時間的余裕はあるが、精神的にも体力的にも疲労している。ここは無理を避けて、湯沢峠に下るべしと2001ピークに戻る(20分のロス)。
 2001ピークからもネマガリダケはあるが下り勝手で特別な苦労はない。途中で小さなコブを越して笹薮を下ると、昨年の9月以来の見覚えのある湯沢峠に無事到着。

5 湯沢峠 −丸沼温泉 − 金精トンネル
 湯沢峠から丸沼温泉の登山道は一部に薄い所あるも、通を失うことはないであろう。昨年9月に登りで通っているので参照願う。
 丸沼温泉で自販機でコーラを買って飲む。一息ついて、菅沼南岸の舗装道を歩く。25分で国道120号に出合う。ここから金精トンネルまで約10km、350mの登りとなる。2時間強と推測して国道を5分ほど歩くと、ミニバンが止まってピックアップしてくれた。菅沼に行くとのことで白根山の登山口まで同乗させていただく。今まで何度かピックアップしてもらったことはあるが、いずれも山行帰りの車だった。今回は山行とは関係ない車で感謝感激。白根登山口から約3km、標高差100mを35分で歩く。トンネル手前で白根山帰りらしい車の方が声をかけてくださる。もうすぐだからと丁重に辞退する。金精トンネル駐車場に戻ったときには、他に車は残っていなかった。 
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