ひとり山歩き282 : 川入キャンプ場から一泊で飯豊山に登ってきました。登山道の一部はまだ残雪の中でしたが、特に問題はありません。異常な暑さにバテバテの山行でしたが、なんとか往復することができました。
川入キャンプ場から飯豊山(2105)
2007年6月12日(火)−13日(水) 両日とも晴れ
1 行程
ルートマップ
第一日(12日) : 自宅(0:40) = 川入キャンプ場(4:35/4:55) − 御沢小屋跡(5:05) − 横峰小屋跡(8:00) − 水場(峰秀水)(8:40/8:50) − 地蔵山西分岐(9:05) − 三国岳(三国小屋)(10:35/10:45) − 種蒔山(12:35) − 切合小屋(13:00/13:15) − 草履塚(14:10/14:15) − 一ノ王子・水場(15:55/16:20) − 本山小屋(16:30/16:40) − 飯豊山(16:55/17:05) − 本山小屋(17:20)
第二日(13日) : 本山小屋(4:40) − 草履塚(5:50) − 切合小屋(6:15/6:20) − 種蒔山(7:00) − 三国岳(8:25/8:35) − 地蔵山西分岐(9:40) − 水場(峰秀水)(9:50/10:15) − 横峰小屋跡(10:35) − 御沢小屋跡(12:30) − 川入キャンプ場(12:40/13:05) − いいでのゆ(13:30/14:00) = 自宅(17:05)

2 自宅 − 川入キャンプ場
 飯豊山は行きたい山のひとつだったが、自分の脚力では日帰りは無理。昨年、テントやシュラフ等を購入して山中泊も可能となり、地元町役場に問い合わせると、テント泊は自粛してほしいとか言われて、嫌になってしまった。今の時期なら多少の残雪、花、無人小屋泊まりが楽しめるだろうと計画してみた。梅雨に入ってしまうと二日続きの好天は期待できないので、思い切って実行することにした。
 飯豊山は奥深い山で、いろいろなコースがあり迷ったが、もっとも基本的な川入キャンプ場から飯豊山を往復することにした。自宅から川入キャンプ場までは、高速道経由では240kmで約3時間、一般道経由では210kmで約4時間。高速道経由では4200円だが、一般道では一時間余分にかかる。現役の人は「時は金なり」で高速度を選ぶだろう。年金生活者の自分には金を稼ぐ手段がない。時間よりも金の方が貴重!? 栃木県内山行で100km・2時間の早朝(真夜中)はしばしばあり、それが倍になったからといって、山歩きにそれ程の影響はないだろう。
 県境の山王峠・田島市・会津若松市・喜多方市・山都町経由で車を走らせる。喜多方市からはカーナビ任せで進み、徐々に通行車が少なくなり、どこをどう走っているか分からなくなる。通に迷うことも、渋滞に悩まされることもなく飯豊鉱泉の民宿群にたどり着いた。ここからは沢沿いに狭い道を数キロ走ると、広い川入キャンプ場の駐車場に辿りついた。カーナビの有り難さを身にしみて感じる。水戸ナンバーの車が一台と、奥のキャンプ場に一台泊まっていた。支度をしながら茨城の方と話しをする。今日は切合小屋泊まりで、翌日は飯豊山から大日岳まで足を伸ばすとのこと。

3 第一日 : キャンプ場 − 飯豊山・本山小屋  三大苦手の暑さ・急登・岩場でバテバテ 残雪歩きは種蒔山から草履塚まで
 事前に用意した計画書を投函して、茨城の方に先行して登山口に向かう。大白布沢の右岸を10分ほど進み橋を渡ると、御沢小屋跡で左に大滝遊歩道を分ける。ここからは山道で杉林に入って行く。登山道はすぐに急登になり、ブナ林を下十五里、中十五里、上十五里と登ってゆく。十五里の意味は分からない、このル峰秀水ートは信仰の飯豊本山道筋だから、信仰に伴うものだろう。大部分は抉れ通となっている。時にはブナ大木の根を乗越えるのに苦労することもある。各十五里はチョッとした広場で道標が設置してある。以後も要所に道標があり、次のポイントまでの距離が記入してある。中十五里には右(東)に水場への踏跡が見えた。更に笹平を通過して北向きから幾分北北西に向きを変えると小ピークに達する。ここが横峰小屋跡である。高原山探訪でお馴染みのYoshiさんが今から30年程前の高校時代に泊まったことあり、興味深いので参照願う。
 横峰小屋から灌木帯の緩やかな歩きは長くは続かない。登り始めると、右手に抉れた地蔵山への通を見送って北西にトラバースするようになる。左手に時々は樹木の切れ間があるのだが、あいにくガスっていて展望はなかった。水場の看板が突然現れて登山道の左手に岩陰から水が湧き出している。ここが峰秀水と呼ばれる水場で、今剣ケ峰日のコースでは水が採取できるのはここだけ。今日は水は2リットルしか持参していない。ここでエネルギーを補給しながら約1リットルを腹に詰める。冷たくて生き返った気分!! すぐ先が地蔵山西分岐でここで初めて残雪を見る。
 西分岐から幾分下った鞍部あたりからはムラサキツツジ、ゴゼンタチバナやカタクリが目に付くようになる。どこだか思い出せないがシラネアオイも結構見かけた。花には無知でそのほかについては名前知らず。鞍部からは岩稜となり、剣ケ峰に達する。苦手な裸の痩せ尾根で歩行速度がめっきり遅くなる。ここまでに三大苦手の暑さ、長坂(下十五里〜上十五里)の急登、剣ケ峰の裸の痩せ岩稜が揃いコースタイムがどんどん遅れだす。行程の半分も来ないうちにバテ気味である。慎重に剣ケ峰の岩稜を越してホッとすると、すぐに三国岳の小屋に到着した。家に帰って地図で調べたら福島・山形・新潟の県境に位置することが分かった。小屋の北側からは大日岳の展望がよいのだが、山頂部にガスがかかっているのが残念。三国岳から展望すると、稜線の東側に残雪が多く切れ落ちているのが窺える。「エリアマップ10飯豊山」によると、北西(新潟→山形)から風が吹き、新潟側には吹きさらしのために雪が溜まらず、風下の山形側に雪が積もるらしい。そのために山形側は侵食が大きく、飯豊連峰は非対称山稜になると書いてある。
 三国岳から種蒔山にかけては稜線の右(東)側に残雪が残り、登山道のごく一部は残雪をかすめて進むことになる。1719ピークの左を巻いた所に七森の道標がを見る。ガスが切れて青空が見え始める。天気予報では好天と約束されていても、青空を見ると心強い。種蒔山直下で登山道が残雪に隠れてしまった。正規ルートは尾根沿いに西そして北北西進むのだろうが、なんとなく稜線の右手の残雪がいやらしく見える。種蒔山と切合小屋を直線的に結んだ雪渓を下った方が楽そうに見えたので、磁石を合わせてショートカットした。途中で地蔵岳(大日杉へのコース)分岐付近で登山道に戻ることができた。そこから5分で切合小屋に到着できた。水の残りが少なくなったので、水場を求めたが、まだ残雪に隠れているようである。大日岳(三国小屋から)
 切合小屋から灌木帯の抉れ道を辿ると、すぐ先で登山道は残雪に飲み込まれてしまった。仕方なしに残雪の上を歩く。よく締まっているが、表面は軟らかいので滑って登りづらい。軽アイゼンをもってはいるが装着・脱着の時間を稼ぐほどではないので、壷足で30分ほど登ると登山道が現れて、更に数分登ると小ピークの草履塚に登りつめた。そこには二人の下山者が憩っていた。先の情報を教えてもらい、コップいっぱいの水をご馳走になる。大日岳の山頂部は相変わらずガスの中だが、一ノ王子(本山小屋直下)への稜線が見通せる。折角登ってきたのに、一旦90mほど下って200m弱登り返さねばない。ここまでくれば引き返すことはできない。覚悟を決めて下り始める。
 草履塚から下った鞍部の岩陰に赤い衣服を着せられた姥の上半身像が祀ってある。ここが姥の前(姥権現)である。この石像が30年前と替わっていないとすると、相当なボインちゃんらしい。誰だ!!衣服を着せるなんて。教育委員会の回し者、それとも劣等感を持つ人 (ごめんなさいネ。神仏を敬う気持ちがなくて)??  今日の最後の難関である御秘所の岩場で鎖も設置してあるが、先刻の剣ケ峰に比べたらどうということはない。岩場を通過してビックリ東側にかなりオーバーハングした岩の上を通過してきたのだ。いよいよ御前坂と名付けられたザレやガレの急登になる。見上げると大きなケルンをふたつ積み上げたような一ノ王子がなかなか近づかない。御秘所を通過して一ノ王子まで約1時間も要した。バテバテは明らか。昨年の9月に馬場島から劔岳を日帰り往復したときの方が涼しくて楽だった!! こんなに熱いとは予想もしていなかったのが本音。すぐ先の水場標識を見て、飲料水と炊飯用の雪の採取に向かう。袋に10kgほど詰めて、300m先の本山小屋まで袈裟懸けにして運ぶ。 
 明るいうちに飯豊本山まで行ってくることにした。小屋から本山までは平坦な稜線が延びている。荷をおろして身軽になり足取りも軽い。15分で三角点と石祠の飯豊本山山頂に達した。全展望だが、残念ながら遠方は霞んでいて見えない。大日岳も山頂部はガスのなかで、早々に本山小屋に戻る。
 小屋の室温は15度もあり、下着姿で水の確保にかかる。翌日の水の準備と食事に約1.5時間。室内はまだ明るいが、やることがないのでシュラフにもぐりこむ。400gのダウンシュラフとシュラフカバーにもぐりこんだが、熱くてシュラフカバーを外す。翌朝3時15分に起床の際、室温を測定したら8度もある。通常はもっと低いのだろうが・・・

4 第二日 : 下山(往路を辿る  飯豊本山稜線
 朝食にカップヌードル、握り飯、アンパン各1個。昨晩はよく眠れたせいか食欲も旺盛だ。これだけエネルギーを補給すれば、途中でアンパンと大福を補給すれば問題ないだろう。準備した水は2リットルで峰秀水までもつであろう。後片付けをして小屋の外に出ると、夜半の霧は晴れつつあり、青空も見え出した。
 昨日はガスで全容を現さなかった大日岳を横目にしながら下って行く。下りは楽だが、今日も暑くなりそう!! 草履塚からの下りで、滑ってそのままシリセードで30m程下る。案の定、尻はびしょ濡れになってしまった。切合小屋に着くと同時に、昨日の茨城の方が準備を整えて小屋から出てきた。今日は大日岳まで行ってくるとのこと。お互いの無事を祈って左右に分かれる。種蒔山への登りで残雪歩きになると、足跡が残っている。昨日、草履塚で出逢った二人は三国小屋に泊まるといっていたが、切合小屋に泊まって出発したばかりのようだ。途中から先発のトレースに別れを告げて昨日同様にショートカットをして種蒔山直下に戻った。
 途中で三国小屋発と思われる二人組みと出合う。三国小屋で大日岳と本山を見納めにして、剣ケ峰の岩場通過に意識を集中する。案ずるよりも生むが易しで、特に不安は感じなかった。それでも剣ケ峰を無事通過して鞍部に下りたときには、ホッとした。地蔵山西分岐そして待ち望んだ峰秀に辿りついた。大福を食べながら水をがぶ飲みして、ペットボットルに水を補充して、横峰小屋跡を目指す。この先は南にまっしぐら下るだけ。疲れが溜まっているのか、足取りは遅い。最後まで気を緩めずに安全の確保に努める。長坂(上十五里、中十五里、下十五里)を下り、勾配が緩やかになると御沢小屋跡に達した。今が最高の至福のときでユックリと川入キャンプ場に戻り、下山時刻を記入して全行程終了。峰秀水から約2.5時間の間に1.5リットルの水を消費した。普通の人に比べたらかなり多いようだ。水分摂取の多い自分には、山中泊は向いていないことをつくづく感じる。
 数キロ離れた「いいでのゆ」に立ち寄る。あいにくこの数日は温泉でなく、沸かし湯だが汗を流しただけで気分は爽快。復路は一般道経由では途中で交通渋滞に出合うのは必至。高速道で、予想通り家まで3時間。 
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