ひとり山歩き274 : 五十里湖の北西に位置する持丸山・横瀬山・高瀬山・白倉山を周回してきました。雪は思っていたよりは少なく、地肌と薮がかなりの部分で現れていました。雪山泊は初めての経験で「案ずるより生むが易し」でした。
初めての雪山泊 持丸山(1365)横瀬山(1284)高瀬山(1276)白倉山(1048)周回
2007年3月21日〜22日 両日とも晴れ後曇り
1 行程
ルートマップ  
第一日 : 自宅(4:05) = 持丸林道口付近(芹沢上坪)駐車(5:50/6:15) − 持丸林道終点(6:50/7:00) − 下郷線114号鉄塔(7:35) − 北東尾根出合(8:55/9:10) − 持丸山(11:05/11:35) − (60分ロス) − 1312ピーク(高瀬山分岐)(13:45) − 横瀬山(15:55/16:05) − 1230ピーク(16:40)(テント泊)
第二日 : 1230ピーク(6:10) − 1312ピーク(7:40) − 下郷線116号鉄塔(8:05) − 1240ピーク(白倉山分岐)(9:20/9:45) − 高瀬山(10:55/11:05) − 1240ピーク(12:00/12:15) − 1104ピーク(13:00) − 白倉山(14:05/14:20) − 芹沢橋付近に下山(15:25) − 駐車地(16:00/16:10) = 自宅(18:35)

第一日
2 自宅 − 中三依上坪
 04年11月に持丸山〜高瀬山〜白倉山を周回したことがある。その時に横瀬山を含めて4座を同時に周回を考えたが、ネマガリダケの密藪が多くて日帰りは無理で、横瀬山が残ってしまった。その後、05年3月に常吉さんとナスノガルーダさんが、ツェルト泊の二日がかりでスノーシューで4座を周回された。自分も真似してみたかったが、装備もなく経験もなくでどうしようもなかった。最近になって雪山のテント泊をやってみようという気になって準備を進めてきた。常吉さんとナスノガルーダさんの報告を参考に同じルートを辿ってみることにした。
 お二方は荷物を軽減するためにツェルト泊だったが、雪山泊経験なしの自分にはとても真似はできないので、重くなるがテントを持参、しかも寒さ対策としてシュラフはスリーシーズンの厚手と薄手の二枚重ねとすることにした。なんだかんだでスノーシューまで含めると重量は17kgとなってしまった。歩き通せるか心配だが、先ずは雪山でテント泊をしてみるということで止む無し。
 芹沢沿いの道は何度も通っているので、持丸林道口に駐車を想定して三依小の看板を見て国道121号から左折して芹沢橋を渡る。進むにつれて路肩駐車がやけに多い。千葉、埼玉等の県外車が多い。どうやら渓流釣りに来ているらしい。釣り人は朝が早い!! 自分も登山者としては早いほうだが、釣り人に太刀打ちできない。お陰で想定の場所に駐車できず、来た道を戻って僅かにあいた路肩に車を駐めて準備にかかる。

3 芹沢上坪 − 持丸山  北の肩への急登に悪戦苦闘  今年は積雪が大部少ないようだ持丸山頂
 橋の下で釣りをしている人を横目(下目?)に持丸林道に進む。林道には薄く雪が積もり、タイヤ跡が奥へと続いている。滝見橋からは雪はまだら模様となりタイヤ跡は消えてしまった。30分ほど進むと小広場で林道終点となり、地形図の破線の方向に下郷線115号鉄塔の巡視路、右手の沢方向に114号鉄塔巡視路の黄色杭を見る。この巡視路口が持丸山への登山口となる。
 沢の左岸を少しばかり遡って木橋を渡ると東電の巡視路歩きが始まる。積雪は巡視路階段を覆う程度しかないが、早朝にもかかわらずまるで腐れ雪の上を歩いている感じ。ジグザグに登り尾根上に達すると直ぐ先に114号鉄塔が待っている。鉄塔から先は灌木帯で小枝がうるさくなるが、通り道はできているのでそれほどの苦労はない。標高1000m位になるとブナ林で勾配が幾分緩やかになり、踝ないし脛まで沈むが気持ちよく歩く。やがて持丸林道口から登ってくる北東尾根に出合う。問題はここから持丸山の北の肩までの急登で左(南)側に小さな雪庇があ張り出していて苦労しそう。
 雪も幾分深くなったので、ここからはスノーシューを履いて歩き出す。案の定、スノーシューが滑って後戻りしてしまう。自分の技量ではストックでは登れずピッケルを取り出して腕力に頼って登る。湯坂峠方面に通じる北尾根にやっとの思いで到達できた。ここは持丸山の北の肩で、20mほど北に進むと、県境尾根の枯木山〜荒海山〜山王峠辺りが展望できた。今日一番の展望だった。持丸山方面には狭い雪庇が左(東)側に張り出している。臆病な性格だから雪庇の上は歩かず、テープの多い薮の中を登って行く。北の肩から20分で持丸山の山頂に達した。山部3Dプレートは自分の肩よりは少し低い。二年前の常吉さんの報告の写真では膝位だったようだ。今年は1mほど積雪が少ないようだ。
 県境尾根が枝越しに見えている。高原山探訪のYoshiさんの記録によると、山頂から少しばかり西側に下ると県境尾根が展望できるとのことだが、そこまで行く余裕はなかった。

4 持丸山 − 横瀬山  予想外の薮漕ぎでスノーシューを担ぐ羽目に  明神岳(左奥は女峰山)  (持丸山付近から)
 緩やかに反時計回りで円弧を描きながらジャンクションピークの1312ピークを目指す。スノーシューに雪が絡みつくが、下り勝手しかも薮の時期に通った尾根でもあり安心して進む。最初の小ピークを越すと地肌が現れ、先も雪が付いていないことを確認してスノーシューを脱ぐ。足枷が取れて軽くなり地肌の尾根を軽やかに下る。どうも前回と雰囲気が違うので、コンパスと地形図を照らし合わせると、南西尾根を下っている。下方には長沢林道らしきものが見える。スノーシューを脱いだところから南東に下らねばならなかったのだ。地形図で見ると間違うはずはないのだが、現地は地形図のように明確に尾根が分岐していないから気付かなかった。登りに苦労して、約1時間のロスとなってしまった。元のところに戻ってみると赤テープが進行方向についている!! 不注意とはいえ今回の山行で唯一のミスで悔やまれる。
 正規のルートに横瀬山山頂戻ると雪は付いているが薄いので壷足で進む。雪が軟らかく踝ないし脛までのラッセルが続く。山頂部が小高くなった1312ピークに達した。ここは分岐ピークで高瀬山には北東へ、横瀬山へは南西へと別れる。今日は横瀬山まで往復して、ここに天場を求めるつもりだったが、持丸への登りとルートミスで横瀬山までも怪しくなってきた。でも日帰りでないから不安も焦りも感じなかった。
 1312ピークからの下りは雪がなく、ネマガリダケが立ち上がりかけていた。横瀬山までは二つのピークを越すが、いずれも下り即ち南側は地肌が現れ笹薮が露出していた。高原山探訪のYoshiさんに倣って無雪期に歩いてみたいと考えていたが、露出した薮を見るとその意欲はなくなってしまった。Yoshiさんの心身のスタミナには遠く及ばないことをあらためて思い知らされる。横瀬山の手前の1230ピークは広くて天場によさそうだ。万一の場合には、駐車地と反対側だが長沢林道にエスケープできる。ここにテントを張ることに決めて横瀬山に向かう。下りで薮漕ぎ、登りで薄い雪を踏んでやっとのことで横瀬山に達した。一ツ石側からのトレースでも残っているかと期待していたが、最近登った人はいないようだ。
 
5 テント泊  初めての雪山テント泊は快眠をむさぼる
 山頂で山部3Dプレートを写真に納めて、天場を求めて往路を戻る。笹薮を漕いで1230ピークに戻ったのは16時40分でテント泊するには丁度よい時刻だ。最初にテントを設営だが、手がかちかんでいるせいか、テントのポール先端を所定の穴に納めることができない。少しばかり焦ったが、なんとかテントは張れた。次に飲料水の準備にかかる。コッフェルが小さいために何度も同じことを繰り返さねばならなかった。冬山で飲料水準備を考えて購入したものでないから仕方なし。慣れていないこともあって吹きこぼしで火が消えたりで、2リットルの湯水を準備するのに小一時間かかってしまった。次いで夕食はカップヌードルに握り飯を混ぜて済ました。うまくはなかったが喉越しはよかった。夕食を終えた頃には暗闇で遠方に集落の灯かりが見えていた。
 天場に着いてテント内にもぐりこむまでに約2時間要した。冬用シュラフを持っていないので、スリーシーズンのダウン400gと150gを重ねて使用。150gにするかシュラフカバーにするか迷ったか、150gの方が容量が若干小さいので持参した。これが正解のようで、明け方に計測したところテント内マイナス5度、屋外マイナス8度だったが、寒さは全く感じず快適に眠れた。19時前にシュラフに入り、19時のNHKニュースは半分くらいしか記憶がない。目を覚ましたのは24時で用を済ませて小一時間はラジオを聴いていたが、次に目を覚ましたのは4時15分。いよいよ第二日が始まる。いつもの事ながら“横になればバタンキュー”には我ながら呆れる。蛇足だが靴下を除いてはすべて着干し。ペットボットルは抱いて眠る。

第二日
6 天場 − 高瀬山 早朝でも脛までのラッセル  途中で荷をデポしてスノーシュー歩き
 第二日はシュラフの収容から始まる。朝食はアンパンで済ませたが、500ml.の水を使ってしまったので今日は1.5リットルで済ませねばならない。積雪の表面が凍結しているうちに少しでも距離を稼ごうと荷造りを行い6時10分天場をスタートする。
 1312ピークまでは往路を辿るのだが、雪の表面は凍結しているが内部は固まっていないので、足の沈みは昨日の午後と変わらなかった。薮漕ぎがあ高瀬山山頂るのでスノーシューは担いで壷足歩き。左手に枝越しに見える荒海山付近の県境尾根は美しい。一晩グッスリ眠ったせいか疲労感はないが、途中でエスケープせずに済むことを願いながらジャンクションの1312ピークに戻った。
 ここから高瀬山へは12時から3時まで時計回りに弧を描きながらアップダウンを繰り返す。04年11月に歩いたときには1312ピークから鉄塔116号まではネマガラダケの密藪で尾根の様子は分からなかったが、今日は薮は全く消えて尾根の形がよく見通せる。その時はテープなど殆ど見かけなかったが、テープ類のなんと多いことか。地形図など全く不要な感じ。無雪期にはこのテープ見えるのかしら!? ブナ林の薮隠れ尾根は踝ないし脛までのラッセルも快適。カラマツが混じりだすと116号鉄塔に達した。さすがに付近の巡視路は見えなかった。無雪期の難所を軽々と突破し、休みも取らずに先に進む。
 鉄塔から僅かに下って次の目標点1240ピーク(白倉山分岐)へと登りになる。雪は浅いが締まっていないので滑って登りづらい。テープが目に付く白倉山分岐の1240ピークに達した。ここまで来て高瀬山をエスケープする手はない。荷物をデポしスノーシューを着用して高瀬山に向かう。鳥海山での経験から荷物を途中でデポしないことを原則にしているが、天気はよいし迷う心配も危険箇所もないので原則を破って荷物をデポ。食料のパンと大福をポケットにねじ込み、500ccの水をホルダーに収さめて歩き出す。重荷から開放されて身体が軽く足取りも軽い(と思っているだけかも)。南斜面では薮が露出している所あるも、スノーシューで突破。1245ピーク、1270ピークと二つのピークを越すが大した高低差でなく付加は小さい。高瀬山付近は持丸山や横瀬山に比べたら積雪が少ないようで、笹はミヤコザサとなる。山頂は雪が薄く三角点が頭を出し、山部3Dプレートのかかる樹木周りは笹が現れていた。山頂からは高原山が枝越しに見えるはずだが、霞んでいて見えなかった。アンパンをかじりながら横瀬山を確認して1240ピークまで往路を戻る。

7 白倉山経由で下山  下山の尾根の頭で滑って転倒、尻尾は急斜面で転倒  白倉山山頂
 重荷を担いでスノーシューで白倉山への尾根を下り始める。無雪期はここも笹の密藪で尾根形が分からなかったが、今日は笹薮が消えて尾根形がよく見通せる。ブナ林の尾根は急降下で笹の上に雪が薄くついているだけなので、局所雪崩が生じて何度も尻餅をついた。転んだついでにシリセードを試みるが雪が軟らかく全然進まない。登りでなく下りで助かった。鞍部から先は地肌と薮が現れていたので、スノーシューを脱ぐ。ここから白倉山までは雪は断続した。1104ピークを越して次の1070ピークが持丸林道口付近への下山分岐で、白倉山へ行ってからここへ戻る計画(常吉さんの山行に倣う)だが、多少のアップダウンもあるしルーファンもあるしで、今の自分のコンディションから判断して諦める。
 1070ピークから下ってほんの僅か登り返すとなだらかな白倉山の山頂に達した。ここも三角点の頭が露出していた。今回の山行で4枚目の山部3Dプレートを目にする。ここからは当初計画に替えて前回歩いた北東尾根で芹沢橋付近に下ることにした。尾根筋は単純で迷う心配はないが、最後にツツジ薮の急斜面下りを覚悟せねばならない。尾根には薄く雪がついているが下りだから全然問題なし。標高850位から細尾根の急降下となる。薮や小枝にしがみ付きながらの下りはブレーキをかけるのに一苦労。薮様々、薮がなければ転倒せずに下るのは難しかろう。下方に人家が見え出すと、ますます足場は悪くなり踏跡も分からなくなる。二度ほど転んで泥だらけで鹿川沿いの林道に下り立った。常吉さんルートとは頭と尻尾が異なるが、無事に辿ることができて満足感がただよう。駐車地に戻るには更に35分要した。 
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