ひとり山歩き272 : 湯元温泉から前白根山に登ってきました。復路では外山にもよってきました。無風快晴で好展望に満足の一日となりました。
湯元温泉から前白根山(2373)〜外山(2204)
2007年2月26日(月) 快晴
1 行程
ルートマップ  
自宅(3:30) = 湯元温泉駐車場(5:20/5:50) − 登山口(6:30) − リフト最上部(7:00/7:10) − 外山分岐(9:05/9:15) − 天狗平(10:20) − 前白根山(11:00/11:30) − 天狗平(11:55) − 外山分岐(12:30) − 外山(13:25/13:40) − 外山分岐(14:00) − リフト最上部(15:10) − 登山口(15:35) − 湯元温泉駐車場(16:25/16:40) = 自宅(18:50)

2 自宅 − 湯元温泉
 そろそろ残雪期の尾根歩きの訓練ということで、湯元温泉から前白根山に登り、@外山から東尾根を下る A白根隠山方面に足を伸ばす B五色山等を考えたみた。どれをとるかは前白根山で決めることにした。今回は脚力の鍛錬ということで、念のためにワカンを持参するが、アイゼンとピッケルに頼ることにした。
 今年は寡雪といわれている。これはいろは坂を通過するたびに痛感させられる。道路脇の地肌を覗かせている所が多く、降雪が最近あった様子は感じられない。戦場ケ原あたりは一応白くなってはいるが、路肩の除雪塊も少ないようだ。金精道路から外れて湯元温泉に入ると、なにやらライトアップが目に付くので車を停めてみると、氷の彫刻が展示してある。一瞥をくれて湯元温泉ビジターセンター駐車場に車を駐めて直ちに準備に入る。(気温マイナス10度)

3 湯元温泉 − 前白根山  外山分岐までは雪がかなり締まっていた  外山尾根はまだワカン歩きの方が楽そう
 昨年の1月29日(ひとり山歩き227)にスノーシューで前白根山に登っているので参照願う。
 昨年より約1ケ月遅いので、雪が締まって残雪期に近い歩きを期待しながらも、念のためにワカンを背負ってスキー場に向かう。約2k外山尾根の雪庇(標高2325)gのスノーシューを背負うに比べたらワカンは軽くて全然気にならない。スキー場のリフト下を歩くと圧雪してあるので靴底が沈む程度で気持ちよく歩く。スキー場北側の二つ目のリフト終点付近で白根山の標識を見て登山口として尾根に取付く。
 尾根には古い踏跡がが残っているのでこれを利用して高度を稼ぐ。残雪期並みの感触でトレースを追跡するが、トレーからはずれるとまだ雪はあまり固まっていないようだ。リフト最上部でアイゼンを履きストックに替えてピッケルを持つ。昨年の1月29日にはスノーシューのトレースが残っていたが、今回は全然見当たらない。針葉樹林の急登が続く、展望もなく気分を転換する術もない。ひたすらトレースを追って着実に高度を稼ぐしかない。高度が上がるにつれて表面は新雪状態でもアイゼンは利かずスリップすることがあるので気を休める暇がない。樹林のおかげで恐怖心は湧かないが、樹木がなかったら怖くて自分には登れないだろう。最後に南西にトラバース気味に登って行くと、道標のある外山分岐に登りついた。駐車場からここまで前回(登山口からスノーシュー装着)は3時間45分だが、今回(リフト上からアイゼン)は3時間15分。雪が締まっていたのと、足枷がなかったのが効いた。
 道標から数メートル南に進ん白根山(左)と前白根山  (2360ピークから)で外山尾根の鞍部に出てみると、富士山が中禅寺湖南岸尾根の上にクッキリと見える。これで今までの疲れが幾分和らいだようだ。トレースは最初は夏道沿いに進むが、直ぐ先で尾根上歩きとなる。トレースの上を歩いても踝ないしは脛まで沈む。時には膝まで沈むこともあり、今の時期ならスノーシューかワカンを着用した方が歩きははかどる。外山分岐まではスノーシューのトレースは見当たらなかったが、外山尾根では雪の表面にスノーシュー跡が認められる。今日は脚力鍛錬が目的のひとつ、ジッと我慢してワカンは背中でお休みいただく。ダケカンバ疎林の登りとなり、後方に日光連山が見えるようになる。標高点2325(小コブ)への登りになると脛ないし膝下のラッセルが続く。振り返っては日光連山や筑波山を眺める。今日は宙に浮くツクバではなく、麓の平野部まで見通しが利く。男鹿山塊も見えている。塩那道路はいつもは白い帯状に見えるのだが、今日は確認できなかった。標高点2325の直下には雪庇が南側に張り出していた。今シーズン初めて雪庇を見て、これからの残雪歩きに期待を寄せる。標高点2325は小さなコブで僅か下ると道標のある天狗平だ。
 ダケカンバ疎林の広い尾根をひと登りすると、2360ピークでこの北西端から白根山、白錫尾根、前白根山の雪景色が素晴らしい。昨年はこのピークからの下りは地肌が露出していたが、今回は薄く雪が付いている。鞍部から登り返すと前白根山の山頂に達した。山頂部も今回は薄く雪が付いている。このあたりは、降雪の多い少ないよりも降雪後に強風が吹いたかどうかによるようだ。外山分岐から前回(スノーシュー装着)は1時間20分、今回(アイゼン)は1時間45分。雪の締まってない外山尾根はスノーシューを履いた方が効率的な歩きができるようだ。
 山頂からは360度の全展望が楽しめる。間近の白根山と白根隠山への稜線、凍結した五色沼、男体山を初めとする日光連山を眺めながら、これからの行き先を考える。計画にはなかったが白根山を目の前にして、樹林限界くらいまで偵察してみるのも悪くない。今日の天気と時間を考えるとどれも魅力的だ。結局は第一案の外山東尾根を下ることに決めた。

4 下山(外山経由)  外山へ40メートルの登りに1時間 針葉樹幼木に恐れをなし外山東尾を断念
 外山尾根は登りでは苦労したが、下りは楽で景色を楽しむ余裕があった。シリセードの跡があったので真似してみたが、雪が軟らかで尻が埋まってしまい全然滑らない。シリセード跡は避難小屋で一泊して早朝に下山する人がつけたものか。諦めて自分の脚に頼ることにした。景色を楽しみすぎたのか日光連山  (外山から)外山分岐まで1時間もかかってしまった。
 外山まで標高差約40メートルだから30分程度で登れば、まだ13時。外山東尾根(標高差700メートル)を下るには充分な時間がある。覚悟を決めて外山に向かうが、この先にはトレースは全くない。最初から膝までのラッセルで、楽そうなルートを探すが針葉樹幼木帯で雪が締まっていないからどこを歩いても同じ。20メートルほど登ると針葉樹の幼木とシャクナゲが密になり、体の沈みガ大きくなる。膝から腰までの沈みは当たり前で。時にはへそあたりまで潜ってしまい、脱出するのに一苦労。途中で止めて戻るかとも思ったが、たったの40メートルも登れないのは情けないと奮い立たせて我慢のラッセルを続ける。赤テープを見つけるとその付近は多少は沈みガ少ないが長くは続かない。標高差40メートルを登りきって外山山頂にたどり着くまでに55分もかかってしまった。全くの計算外であった。というよりは自分の経験不足を露呈してしまったのだ。今までの残雪歩きの経験で、このような針葉樹幼木帯やネマガリダケの密藪帯は雪が密に詰まっているのだと考えていた。だが実際は密に雪が詰まっているのではなく、空洞部があるようだ。今の時期は雪が凍結していないから重みに耐えかねるのだろう。湯元スキー場
 外山山頂からは樹木の隙間から東側の展望がよくて、男体山・大真名子山・小真名子山・太郎山、湯元から戦場ケ原あたりが展望できる。山部、達筆と栃木の山紀行の山名板が一本の木に取り付けてあった。山部3Dプレートは一時行方不明になっていて、昨年の9月に日光稜線紀行のstarionさんが見つけて再取り付けしたものである。三度目の訪問でやっと目にすることができた。これから下ろうとしている東尾根はかなりの部分が展望できる。細尾根ではあるがそれ程難物には見えない。ひとつ気になることは、は針葉樹幼木帯が隠れていることである。ズボズボ潜っても下りだからなんとかなるだろう。その反面、雪の締まっていない時期に無理して通る必然性はない。ここは潔く(というよりは臆病で)諦めて他日を期すことにした。
 外山分岐(鞍部)への下りは、往路を忠実に辿る。腰まで潜ることもなく往路の半分の時間で下ることができた。外山分岐から登山口までは急降下が続くので、登りよりは慎重にピッケルを活用しながら下る。トレース部以外は雪が締まっていないのでピッケルの利きは悪い。ストックで下りた方が楽だったかもしれない。登山口が近づくとスキー場から音楽が聞こえてくる。賑わっているのかと想像しながらリフト最上部まで下って、スキー場を見下ろすと、広いゲレンデにはボーダが二人いるだけ。平日のスキー場はこんなものなのかな? 無事に登山口まで下ってからは、営業中ということで遠慮してスキー場の北端部を歩く。雪が締まっていないので膝までのラッセル。外山への登りに比べたら天国だが、外山尾根を前白根山に登るよりもトレースがないだけ苦労する。途中からはゲレンデの端を歩かせてもらう。駐車場が近づき道路歩きとなったので、アイゼンを外そうとしたが取付け紐が凍結してしまい外れない。仕方なしにそのまま駐車場に戻って、テルモスに残っていたお湯をかけてアイゼンを外す。
 今日はいい経験ができた。残雪期前の針葉樹幼木帯のラッセルとアイゼン取付け紐の凍結・・・お湯が残っていなかったらどうしただろう?? 
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