ひとり山歩き256 : 紅葉を求めて松木渓谷からモミジ尾根で皇海山に登り、鋸山・六林班峠経由の一泊周回歩きをしてきました。。モミジ尾根からの皇海山東側と天下の見晴からの庚申山南斜面の紅葉を楽しむことができました。
モミジを求めて松木渓谷から皇海山−六林班峠−天下の見晴
2006年10月16日(月)〜17日(火) 両日とも快晴
1 行程
ルートマップ 
10/16 : 自宅(1:50) =足尾銅親水公園(3:35/3:50) − 大ナギ沢出合(4:25) − ウメコバ沢出合(5:25/5:35) − 6号砂防ダム(5:55) − 大ナラキ沢出合(6:35) −ニゴリ沢出合(7:30) − モミジ尾根取付き(8:05/8:20) − 国境平(9:40/10:20、水汲み含む) − 皇海山(12:55/13:20) − 不動沢コル(14:00) − 鋸山(15:00/15:15) − 六林班峠(16:25、テント泊)
10/17 :六林班峠(6:10) − 天下の見晴(8:15/8:30) − 庚申山荘(8:40/8:50) − 一の鳥居(9:50/10:00) − 舟石林道口(10:55) − 舟石峠(11:35/11:45) − 銅親水公園(12:55/13:10) = 自宅(15:40)

2 自宅 − 足尾銅親水公園
 テント泊の山行を最近始めたが、重荷を背負ってのデータに乏しく、計画通りに歩けない。日帰りの倍の荷物を背負って同じコースを歩いて今後の参考データーを得ることにした。一昨年の6月に松木渓谷から皇海山〜六林班峠〜庚申山荘〜銀山平を無理して日帰りしたことがる。このコースを紅葉のシーズンに再度歩いてみたいと考えていたので、テントを担いで一泊の計画で歩くことにした。
 通常このコースを歩くには、第一日目に松木渓谷を遡り、モミジ尾根から県境の国境平に登ってテント泊することが多い。自分の場合は時間的制約がないので、自分のスタイルにこだわって、明るくなったら登る即ち今回は明るくなったら松木川の渡渉を開始する。足尾銅親水公園からウメコバ沢出合までは崩壊の進んだ廃林道をヘッデン頼りに暗いうちに歩き、渡渉開始となるウメコバ沢出合に明るくなる5時半着目安に家を出る。
 日帰り山行では好天を選ぶのは簡単だが、二日連続で好天を選ぶのはけっこう難しい。今週は好天続きが予想されるので、人出の多い日曜日を避けて16日(月)と17日(火)に決行することにした。60リットルザックにテント類の宿泊用品、バーナーを含む食料品と飲料水4リットルその他で計15kg(通常の日帰りは8kg)を詰める。松木川はジョッギングシューズで遡行するので、登山靴を袋に入れて袈裟掛けでモミジ尾根取付きまで携行する。水は県境稜線の国境平で汲むことにして持参は1リットルとする。

3 銅親水公園 − 国境平 松木川はジョッギングシューズで遡行  モミジ尾根から見る皇海山東側の紅葉は!!!
 ヘッデン頼りの悪路歩きとなるので」、ウメコバ沢出合までは登山靴を履き、ジョッギングシューズを携行した。大ナギ沢出合までは特に問題なく歩けるが、沢を越した途端に林道は荒れ放題。それでも大部分は林道の面影は残っている。何箇所かで崩落地を通過するが、薄い踏跡が認められ特に支障はない。早朝の沢筋は熊の出没の可能性もあり、ラジオと熊避け鈴を鳴らしながら、時には奇声を発しながらの歩きとなる。ヘッデンなしでも歩ける頃になるとウメコバ沢は間近となるが、林道の崩壊が進んでいるので川原に下りて歩く。すぐ先で右岸にウメコバ沢を目にして、靴を履き換えて軽くエネルギーを補給。
 ウメコバ沢出合からは初めての時は地下足袋で歩いたが、靴底が薄くゴーロ歩きで足底が痛くて悲鳴をあげた。(ひとり山歩き152) 次はローカットのトレッキングシューズで歩いたが、全然問題なく歩けた。(ひとり山歩き154)  その時の感触からジョッギングシューズでも歩けそうだったので、今回は使い古しのジョッギングシューズで歩いてみることにした。ウメコバ沢出合から約500m先の6号砂防ダムまでに二回渡渉。水温が低くて足が痛くなるのではと覚悟していたが、モミジ尾根から見る皇海山ちょっと冷たい程度。水から上がっても冷たさは感じなかった。歩く方も前回のトレッキングシューズ並みで全然問題なかった。ニゴリ沢出合まで、数え切れないほど渡渉したが大きな問題はなかった。強いて言うと靴の中に細かい砂が入って多少気になる程度。平成6年8月に完成した6号砂防ダムを右側から乗り越して再び川原歩きとなる。
 ダムの30m先で三沢そして小足沢と引続いて右手に見送ると、両岸の斜面は岩肌から樹木が目に付きだす。この付近までは紅葉は下ってきていないのが残念。適当に渡渉しながら遡って行くが、一昨年の6月上旬に歩いたときよりは水量が多いようで、渡渉回数は圧倒的に多い。渡渉回数を減らそうなどと思うと、深みで渡れなくなり戻る羽目になるので、浅瀬で早めに渡る方が早い。方向が西北西から南西にに替わると左岸にふた筋の滝が流れ落ちている。そのすぐ先に小さな沢をみた。注意して地形図を見ていなかったので確かでないが、大ナラキ沢と思われる。更に進むと釜に出合う。釜の入口は50cm程度の落差が認められる。釜の深さから判断して昔はもっと落差があったのであろう。この釜の右手を高巻いて再び沢歩きとなる。この頃になると前方には皇海山、さらには斜面が紅葉した鋸山十一峰の一部が見えたりする。紅葉を楽しみながら進むとニゴリ沢出合に達した。
 右俣のニゴリ沢を進むと前方のモミジ尾根の紅葉を楽しみながら、ゴーロを歩いたり左岸の踏跡を辿ったりする。向きが西北西から南西に変わると、前方に3mの滝が見える。その手前30mの左岸にヒラヒラリボンと薄い踏跡が目に付く。ここがモミジ尾根取付きで、登山靴に履き換え、エネルギーを補給して登りに備える。
 リョウブの多いモミジ尾根斜面をジグザグに急登する。樹林の中に入ってしまうと紅葉している樹木は少ないが、踏跡の上には赤味を帯びたかえでの落ち葉が多い。標高1400位になると低いミヤコザサが林床となり、ほどなくリョウブに替わってミズナラの多いモミジ尾根上に達して、幾分勾配が緩くなり一息つけた。野葡萄畑の藪を漕ぐと、左手(南西)にピラミダルな皇海山が目に付く。その東側は紅葉が盛り、しばし立ち止り紅葉風景に見とれる。ミズナラからダケカンバ疎林の低いミヤコザサ歩きとなるが、踏跡は明瞭で歩き易い。県境尾根直下でロープに沿って北東へトラバース気味に登ると、カラマツとミヤコザサの国境平に達した。ここで二日分の水4リットルをペットボトルに詰めねばならない。水場まで6分の標識に従って北西へ薄い踏跡や獣道を追って5・6分ほど下ると小さな沢が流れている。ゴミが入らないように注意しながら水を汲んで国境平に戻る。

4 国境平 − 皇海山  500m強の急登は重荷に堪えた国境平付近から見る皇海山
 国境平のカラマツ林を抜けるとダケカンバ疎林に低いミヤコザサが続き、前方の皇海山や左手に足尾の大平山やオロ山、後方に白根山や錫ケ岳を感じながらの気持ちよい歩きとなる。緩やかな登りが続くので、国境平で詰めた水の重さもそれ程感じなかった。標高1700付近からはコメツガ林の急勾配になると、荷物が肩に食い込むような重さを感じ、足取りも急激に遅くなる。「一万歩も一歩の積み重ね」などと変な呪文を唱えながら、黙々と登り続ける。やがて林床はシダになり、標高1900位になるとコメツガは低くなって後方に日光の山々を感じるようになる。相変わらず急登は続き、立ち止ることが多くなる。標高2000位でロープと「皇海山」の標識を見ると、皇海山の北尾根に登りついた。痩せ尾根の両サイドは低いシャクナゲが繁茂しているが、登山道は確保されているので歩き易い。それと同時に展望も素晴らしい。白根山と錫ケ岳、武尊山と至仏山等が展望できる。50mほど登るとコメツガ林になり展望ともお別れ。山頂がドンドン近づいているのを感じるが、踏跡は薄くなってくる。登りでは支障ないが、下りの場合は注意が必要。皇海山山頂に登りつめると、栗原川コースで登ってきた3人が下山準備をしていた。もう10分山頂着が遅れたら、前回と同じように誰にも遇えなかったであろう。不動沢コル下の水場や栗原川林道の状況を教えてもらい、ついでに写真を撮ってもらう。

5 皇海山 − 六林班峠(テント泊) 住環境は先ず先ず  バーナーが不調で冷や飯  
 3人が下山した後、これからの計画を練り直す。計画としては、@六林班経由で下山 A鋸山ー庚申山ー中倉山経由で下山 の二案を持ってきた。事情が許せばA案を採りたいのだが、水の残りが心もとない。国境平から4リットルの水で二日を過ごせると考えていたが、計画が甘かった。重荷を背負ったせいで、水の消耗が予想以上で明日分の水が確保できそうもない。不動沢コルを下って水を汲む元気もない。六林班まで下れば、水場は近い。前回と全く同じコース取りになってしまうが止むを得ない。@案にすることにした。そうと決めたら、六林班峠でテント設営を明るいうちに済ませたい。山頂でノンビリしている時間はない。
 皇海山・鋸山・六林班峠の歩きは今回が3回目で、コースはよく覚えている。問題は鋸山の岩場と女山(三角点1835.9)手前鞍部の笹薮の突破だ。皇海山から不動沢コルへの下りは抉れや根っこが多かったが特に問題なし。鋸山が逆光で写真写りが悪いのが残念。標高1900付近で二つのコブを越す、いよいよ問題の岩場だ。高所恐怖症の自分には嫌なところだ。足がかりも鋸山から見る皇海山手がかりも多いのが救い。山頂直下のルンゼ状の岩場に達すると、下から獣道だか踏跡だかが登ってきている。先刻の岩場に巻き道でもあるのか、家に帰ってWebを検索したが見当たらなかった。たんなる獣道か? このルンゼ登りは手がかりが多いので難なくクリアして鋸山山頂に到着。目の前に皇海山、右奥に日光の山々更に右に足尾山々が見渡せる。ここからの展望はいつ見ても素晴らしい。A案の庚申山・中倉山なら今日は庚申山手前の鞍部辺りでテント泊。明日は悠々中倉山稜線を下れるのだが、如何せん水が心もとない、と未練を残す。水分補給の多い自分にはどうも連泊の縦走は向いていないようだ。
 鋸山から六林班峠へは尾根上を通ったり左手をトラバースしながら下ってゆく。笹道が続くが、女山(三角点峰)手前の鞍部以外は踏跡は確保されている。前回に比べたら踏跡に沿ってトラロープを張った箇所が増えていた。女山手前鞍部は背丈を越す笹薮で、踏跡を見失い10分ほど藪漕ぎとなる。登りになると藪は薄くなり、すぐに踏跡に復帰した。踏跡の上に三角点を見て女山の通過を知る。胸丈程度の笹薮を更にこぎながら下ると、六林班峠に到達。
 庚申山荘への下山口に幕場を見つけて、テントを張る。明るいうちに食事の支度を始めたが、折角持参したバーナーがボンベにうまくセットできない(接合リングに不具合あり、帰宅後整備したら着火OK)。暗くなりだしたので諦めてテント内に入り冷や飯で済ます事にした。残雪期のテント泊だったら、水の確保ができず、死活にかかわるところだった。コンビニの握り飯を食べて、更にアルファ米を水で解凍したが水温が低いため1時間では芯が残る。これは諦めて翌日の朝食にした。
 今回は冷え込みを予想してゴアのテントとフライシート、150gのダウンシュラフを持参した。ジョッギングシューズにスペースをとられてシュラフカバーは持参しなかった。シュラフだけでは心もとないので、雨具を着用して潜り込む。19時のNHKニュースは記憶にないところを見ると18時過ぎには眠り込んですぃまったようだ。夜中に目が覚めたときにテント内温度を測ると7ないし8度で、寒いという感じはなかった。フライシートは露でびしょ濡れであったが、テント内はベンチレーター出口に少し結露している程度。テント内は快適とまでは行かないが安眠はできた。

6 六林班峠 − 庚申山荘 − 足尾  庚申山の南斜面の紅葉を楽しむ  真昼に重荷を背負って舗装道歩きは堪え天下の見晴から見る庚申山
 夜中に何度か目が覚めたがすぐに寝入ってしまい、充分な睡眠が取れた。5時にシュラフの袋詰め、そして荷物の整理を行う。バナーが使えないので朝食はテント内で就寝前に水で解凍したアルファ米の赤飯を食べる。テントをたたんで荷物をザックに詰めて下山にかかる。今日は足尾銅親水公園までもどる数時間の歩きで余裕はあるが面白みには欠ける。
 六林班峠から庚申山荘にかけては登山道脇の笹に濃淡はあるが、全行程に渡って笹の刈り払いが施してあった。途中の道筋に樹木の紅葉を見るも、周辺の山の斜面はあまり目立たない。庚申山荘の500m手前で右手200mに天下の見晴があるので、寄って見た。岩峰に鎖を伝って登ってみると、全展望で特に間近に見える庚申山の南斜面の紅葉が素晴らしい。袈裟丸山方面はパッとしない。庚申山荘によって水をペットボトルに1リットルつめて、一の鳥居に向かう。途中で三組四人に出逢う最後の人は軽装で今夜は庚申山荘泊まりとの事であった。重装備と軽装備の一泊山行にお互い信じられないという感じで別れる。一の鳥居で一休みしてエネルギー補給。銀山平手前の舟石林道口までに数組の家族連れと出逢う。庚申七滝見物にでも行くのかな。
 舟石林道口から銅親水公園へはこれが三回目。最初は暗くなってから。二回目は夕暮れ時で、今回のような真昼に歩くのは初めて。舟石峠まで150mの登りが後から陽射しを受けて最もきつかった。峠からは下りで一息つけた。それにしても真昼に重荷を背負って舗装道を歩くのは堪える。銅親水公園が近づくと、今までは自動車で通過していたので、機会がなかった中倉山と大平山の写真を撮りながら銅親水公園に戻る。舟石林道口にザックをデポして銅親水公園に戻り、自動車で回収する手もあったが、今後の参考データを取るために敢えて重荷を背負った。

7 今後へのフィードバック  回の山行は日帰りと比較できてよい企画だった
@荷物が倍(8→15kg)になると、偶然登りも下りも歩行速度が約15%遅くなった。・・・行動時間は12時間程度が限界と記憶すべし。
A飲料水は予想以上に必要。・・・水場を考えてルート設定のこと。
Bバーナーは事前に着火テストをしておくこと。・・・ザックへの充填方法も考慮のこと。
C150gのダウンシュラフは、今の時期が限界。・・・今後のことを考えてどのくらいの物を購入するか要検討。
Dその他の小さな問題も対策を考えておくこと。 
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