ひとり山歩き250 : 百名山の高妻山に登ってきました。気温が思ったより高く、風もなくバテバテの山行となりました。終日ガス模様で展望は全く得られませんでした。
高妻山(2352)
2006年8月24日(木) 曇り
1. 行程
ルートマップ 
自宅(0:20) = 戸隠牧場駐車場(4:50/5:10) − 滑滝(6:00) − 氷清水(6:40) − 一不動避難小屋(7:00) − 三文殊(7:35) − 五地藏山(8:15/8:25) − 六弥勒(新道下山口)(8:35) − 七観音(8:40) − 八薬師(9:10) − 九勢至(8:25) − 八丁ダルミ(8:30) − 十阿弥陀(10:35) − 高妻山(10:45/11:15) − 新道下山口(六弥勒)(12:45/12:55) − 戸隠牧場作業道出合(14:25/14:30) − 戸隠牧場駐車場(14:45/15:00) = 神隠れ温泉(15:10/15:55) = 自宅(21:10)

2 自宅 − 戸隠牧場
 秋口に早月尾根から剣岳のピストンを考えている。最近は山行頻度が少ないとか暑さのせいで思ったような歩きができない。今の脚力では標高差2200mの早月尾根は難しい。足慣らしと久しぶりの百名山訪問をかねて、高妻山に登ってみることにした。高速料金とガソリン代節約のために翌日は雨飾山か白馬岳へ登る準備をして家を出る。
 伊勢崎ICから高速道に乗り、関越道・上信越道を経由して信濃町ICで高速を下りて、戸隠牧場まではカーナビ任せ。牧場の駐車場に着いたときには丁度明るくなり、計画通り。駐車場には前泊の車が2台で、起き出して準備にかかろうとしているときであった。

3 戸隠牧場 − 一不動避難小屋  沢沿いに登山道  帯岩のトラバースは要注意滑滝
 管理事務所で登山カードを投函し、「戸隠連邦ー不動避難小屋周辺の環境保全」に関するパンフレットをウエストポーチにしまって、靄の立ち込める牧場を登山口に向かう。すぐ先を行く横浜からの方を追い越して、標識に従って牧場を進む。数分で登山口である第二ゲートを通過する。道端で草を食んでいる牛を避けながらフェンスに沿って歩く。登山者カウンターと携帯トイレ回収箱(設置理由を後刻理解)を見ると、牧場の道から登山道歩きとなる。
 広葉樹林の中の小岩がゴツゴツする登山道を進むとすぐに大洞沢を渡渉する。以後は何度も渡り返しながら高度を上げてゆく。勾配が一段と急になると、前方に滑滝が出現する。高さは十メートルもなく、右側に鎖が設置してあるので登るのには苦労しない。勾配は益々急になり、右前方にスラブ状の帯岩が見え出す。この上を鎖の助けを得ながらトラバースせねばならない。鎖は横に張ってあるのではな帯岩上の鎖場く、1.5メートル程度の鎖が等間隔でたらしてあるのだ。次の鎖をつかむまでがなんとも心もとない。谷底を見ないように足元と鎖に集中して何とか渡りきった。岩場のトラバースを振り返って、鎖が横に張っていない理由は何だろう? 横張りだと揺れるからかな、などと素人考え。次にもうひとつ難題が待ち構えていた。2メートル強の鎖付きの岩を登らねばならいのだが、適当な足場が見つからず重たい体を持ち上げるのに苦労した。後続の人が追いついてきたので若干焦る。無人の藪山に慣れている自分にとっては、他人にまで注意を払わねばならないのは、チョットばかり苦痛。
 三・四分で水場に達した。従来はガイド等に「一杯清水」の名称で知られているが、「氷清水」に改めてほしいとの標示板が下げてあった。全国的に知られた名称をあえて変更する理由は見つからなかった。ますます急になる登山道を更に25分ほど登ると、一不動避難小屋が設置してある尾根の鞍部にたどり着いた。小屋の中を覗いてみると、寝具等の放置物を多数見かけた。管理事務所でもらったパンフレットを開いてみると、避難小屋を利用する人のし尿により環境が悪化しているらしい。氷清水の汚染の心配もあるので、緊急時以外は宿泊しないよう要望している。登山口の「携帯トイレ」回収箱の意味が理解できた。

4 一不動避難小屋 − 高妻山  信仰の山で十三仏が祀られている  暑くてバテバテの山行となってしまった
 避難小屋からは、谷歩きから尾根歩きになり幾分勾配は緩やかになって楽になるはずだったが、今日は足取りが重い。多少は草花が咲いているのだが、鑑賞しようなどという気は全然起きなかった。小岩のゴツゴツした尾根筋は時々右手が開けるのだが、風が全然ない。ガスが立ち込めていて展望が開けないのも足取りが重くなる一因。足元に「三文殊」の表示と石祠が目に入った。この尾根筋には一不動・二釈迦・三文殊・四普賢・・・十阿弥陀と石祠が祀ってあると言うことを思い出したが後の祭りで見逃してしまったようだ。このあたりで同年代の夫婦に追い越され、更に二人に追い越された。自分は登りの脚力には自信がないが、百名山を登っていて、こんなに抜かれたのは初めてだ。今日は苦手の暑さと久しぶりの山行で体がなまっていることで、山頂まで半分も達していないのにバテバテとなってしまった。山頂まで到達できるか不安を感じる。避難小屋から灌木の尾根歩きで、二つほど小ピーク(今日は地形図を首からぶら下げているが、登山道が整備されているので、普段の藪歩きほどは見ていないので不正確かも)を越した。三つ目は南北に平坦なピークで、南端に五地蔵山の標識と石祠があり、二人が休憩していた。程なく牧場で追い越した横高妻山頂にて浜の人が登ってきた。この方とは牧場に下山するまで、殆どの区間で行動をともにすることになった。五地蔵山頂からもガスで展望は開けなかった。山頂で休んでいる人は全員がエリアマップで場所を確認していた。自分の他には地形図を持っている人はいなかった(高妻山頂でも同じ)。藪山歩きの習性が身についてしまったのか、登山道がある山でも地形図を持たないと不安で歩けない。百名山は道標がしっかりしているので、地形図は不要なのかもしれないが・・・
 重い腰を上げて平坦な尾根筋を北に向かうと、すぐ先で五地蔵山山頂の標識を見て、右手の尾根上に寄ってみると、平坦な広場となっていた。晴天なら見晴らしはよさそうなのだが、今日は完全に展望からは見放されてしまった。更に僅か進んだ所が標高点1998で、ここから一旦西に向かうことになる。六弥勒の看板と石祠の手前に赤テープと踏跡があり、新道の案内標示が見えた。新道があるのはWebで検索してきたので、下山はこの新道を通ることにして先に進む。多少のアップダウンを繰り返すと、七観音八薬師の看板と石祠を通過する。更に看板のない石祠を通過する。この祠は九勢至というらしい。その先の鞍部を八丁ダルミというようだが、標識の類は見かけなかった。
 ここからは急登が続き、地形図を見ると上に行くほど勾配がきつくなるようだ。件の横浜の人の後を追って、ネマガリダケの中の岩ゴツの登山道を登るというか攀じ登るという感じ。途中で追い抜かれた人が下山してくるのに出合うようになった。あと30分くらいと親切に教えてくれる。情けないが今日の足取りでは小一時間かかると計算しなおす。とうとう五地蔵山から一緒だった先行者の姿も見えなくなってしまった。標高2300が高妻山の肩で方向が西から北向きとなり、勾配が緩やかになった。岩場を進むと十阿弥陀の標識、石祠と鏡が祀ってあった。高妻山山頂は指呼の距離で登山者の姿も見えているが、更に数分の時間を要した。山頂にたどり着くと、数人の先着者が拍手で迎えてくれた。全員が途中で追い抜いた方々で、山頂到着のタイムラグから、バテバテの自分を見て励ましてくれたようだ。こんな経験は初めてで、嬉しいやら・悲しいやら!? 山頂からの展望を楽しみに登ってきたのだが、相変わらずのガスですぐ先の乙妻山すら見ることができなかった。
 先着者の間で、新道が゙話題になっていたので、地形図で尾根筋を説明してあげた。Webで検索する限りでは、勾配はきついが、帯岩の鎖場のような危険場所もないので安心して下れるのでは、とコメントしてあげる。
十三仏 : 避難小屋から高妻山までに一不動・二釈迦・三文殊・四普賢・五地蔵・六弥勒・七薬師・八漢音・九勢至・十阿弥陀と祀ってある。十一阿しゅく・十二大日・十三虚空蔵と乙妻山に続くものと思われる。
 多くの仏の中から特に慈悲深く、直接救いの手を差しのべてくれる仏。この世に生きる我々の守り本尊であると同時に、先祖供養の仏。


5 下山
  新道は急勾配だが危険箇所なく安心して下れた  
 先着者は新道から下山するといって、下りていった。ひとりの先着者と一人の後続者を残して下山にかかる。六弥勒までは往路をそのまま戻るが、如何に急勾配とはいえ登りに比べたら体力的にははるかに楽だった。六弥勒の手前で横浜の人に追いつき、以後は牧場まで同行する。
 六弥勒でエネルギーと水分補給をして、新道を下り始める。普段の藪歩きに似ているので、急に元気が回復したような気がする。尾根上のネマガリダケや灌木を刈り払って敷設した新道は、まさにできたてのホヤホヤで歩くとフワフワする。刈り払ったネマガリダケの根元を踏むと滑ることがあるが、特に危険はない。1596ピークで多少の登り返しはあるが、それ以外は下るだけ。この付近はブナが目に付いた。登山道はしっかり確保されているが、いつものように地形図で現在地を確認しながら、横浜の人に説明しながら先行する。登りの自分とは異なる溌剌とした姿を見てくれたものと思う。牧場からスピーカー音が聞こえてくると、件の人はやっと安心したようだ。牧場が樹間にチラつきだすと、すぐに沢に出合った。ここで顔を洗い、すぐ先の牧場の作業道に出合って無事下山完了。数分の作業道歩きで、登山口の第二ゲートに達した。牧場をノンビリと駐車場に向かう。牧場入口付近まで来ると多数の見学者で賑わっていた。駐車場で冷たいソフトドリンクを飲んで一息入れる。

6 帰路
 翌日は雨飾山も白馬岳も登れるような体力は残っていない。残念だが、他日を期して帰宅することにした。こんな調子では早月尾根から剣岳はおぼつかない。暫くは藪漕ぎをやめて登りの訓練に勤めねばなるまい。
 普段は山から下ったら一目散に帰路に着くのだが、衣類はびしょ濡れで気持ちが悪い。近くの神隠れ温泉に寄って帰ることにした。
 長野ICから高速に乗って一安心したのがいけなかった。ガソリンを入れようとカーナビでSAを検索して設定すると、急に次のICで高速から下りるようカーナビの指示があった。どうやらSAを検索しているときに更埴ジャンクションで上信越道への案内があったのだが、聞き逃し長野道に進入してしまったようだ。麻績ICで下りて逆戻りするのに30分もロスしてしまった。
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