ひとり山歩き247 : 旧栗山村の野門沢林道から帝釈山の北尾根に取付き、藪を漕いで帝釈山に登ってきました。復路は富士見峠から廃林道を辿り野門に下山しました。生憎の天気で展望は得られませんでしたが、途中で布引の滝を遠望するすることができました。
野門から北尾根経由で帝釈山(2455)
2006年7月14日(金) 曇り
1 行程
ルートマップ  
自宅(2:00) = 大事沢・野門沢林道ゲート(4:10/4:20) − 林道終点(布引滝遊歩道口)(5:25/5:30) − 布引滝遊歩道分岐(5:50) − 北尾根取付き(金冷泉、富士見峠分岐)(6:25/6:30) − 標高点2147(8:15/8:25) − 帝釈山(10:10/10:20) − 富士見峠(11:05/11:15) − 標高点1935(12:15、20minロス) − 標高点1862(12:50) − 野門分岐(13:00) − 金冷泉(往路の尾根取付き)(13:15) − 布引滝遊歩道分岐(13:40) − 林道出合(布引滝遊歩道口)(13:55) − 林道ゲート(14:55/15:05) = 自宅(17:25)

2自宅 − 野門
 足尾の山へテント泊山行あるいは他県への遠征を準備していたが、二日続きの好天が続かずチャンスを逃していた。二週間以上も山歩きをサボると次が苦しいので、雨と雷のなさそうな日を選んで日帰り山行を急遽計画した。一昨年、高原山探訪のYoshiさんから野門〜富士見峠の情報をいただき、野門から帝釈山を計画していた。残念ながら昨年は帯状疱疹に罹り、断念さざるをえなかった。地形図等の準備は昨年しておいたので、これに加えて日光稜線紀行のstarionさんの紀行文コピーをもって家を出る。
 県道23号(川俣温泉川治線)で女夫渕温泉温泉方面に向かう。鬼怒川に架かる野門橋を渡り、野門トンネル手前を左折して舗装道を進む。1.4kmで野門集落、1.7kmでゲート跡を通過して林道を登ってゆくと、右折して3.5kmの所に大事沢・野門沢林道にゲートが設置してあり、手前の路肩に車を駐めた。

3 ゲート − 林道終点(布引滝遊歩道口)
 曇っていはいるが既に照明なしで歩ける明るさ。布引滝遊歩道入口の林道終点までは尾根に目をくれず舗装道を歩く。大事沢・野門沢工事道路と称して平成二年に敷設されたようで、管理状態は極めて良好。途中で右手に木の鳥居とその奥に石祠が祀ってあるが、これにも目をくれずに先を急ぐ。林道の方向転換点で左(東)側が開けて、道路脇に木造の展望台が設置してある。前方に大きな滝が遠望できる。落差120mという布引滝だとすぐに理解できた。東には高原山が見えている。北東部はガスで分からないが晴天であれば展望はよさそう。復路で展望を楽しめることを祈って歩き続ける。
 進路がほぼ南向きとなり尾根の左直下を林道は進む。尾根筋はミズナラ林で低いミヤコザサで覆われている。この尾根筋には薄い踏跡があるらしいが、天気勝負の今日は歩いて見る気にはならない。大事沢に下るモノレール乗場を通過する。看板は読まなかったが、現在も工事(砂防ダム建設か)が行われていることは間違いない。林道ゲート口に「8−16時の間はゲートが開いているが・・・・」の意味が分かった。モノレールから5分足らずで、林道終点に到着した。ここには木造のテーブルとベンチが設置してあり、布引滝遊歩道2kmの道標がある。
布引滝 (遊歩道口から遠望)
4 布引滝遊歩道口 − 帝釈山北尾根取付き  整備された道  布引滝を遠望
 遊歩道に入るとよく整備された道筋が尾根上に続く。地形図では尾根上を直線的に辿るようになっているが、実際にはかなりジグザグに登ることになる。標高点1637の直下で尾根上に遊歩道が戻ると、布引滝遊歩道分岐で遊歩道は下ってゆく。よく整備された遊歩道を10mほど進んでみると、前方に布引滝が確認できる。かなりの落差で水量も多いようだ。大雑把にいって、野門沢まで350m下り、滝までは350−400m沢を登らねばならない。途中の滝を大高巻きする必要があるらしくて、けっこう難儀するようだ。滝の上部に女峰山が見えるはずだが、残念ながらガスの中。
 本道に戻って尾根上を進むと分岐のすぐ先で木の祠、そして更に数分で石祠を見る。子育地蔵と書いた板が置いてあった。別に「峰 焼小屋」の標識も見かけた(峰とは女峰山のことか?)。地形図ではこのあたりで破線が尾根から南南西に別れるのだが不明であった。この破線とは別に尾根上には明瞭な道筋が続く。やがて岩がゴツゴツしだしてコケも生えているので注意が必要となる。倒木も多いが鋸で切断してあるので歩くには支障はない。やたらに標識の目立つ所に辿りついた。「金冷泉30m」、「富士見峠」、女峰山 帝釈山 元吉林道入口」、「野門10km」等が目に付く。ここが金冷泉で富士見峠分岐になっている。右に進むと地形図の富士見峠から続く破線に通じる。往路ではここから帝釈山に連なる北尾根に取付くことにする。

5 金冷泉 − 帝釈山  途中までは踏跡が続き藪も大したことはない  山頂直下は藪が深く、大岩を越すのに難儀
 北尾根に取付くと、リボン類が多数目に付くが、すぐになくなってしまう。注意深く尾根筋を進むと踏跡を追うことができる。コメツガ、シラビ踏跡ソの針葉樹林で倒木や枯れ枝は多いが、針葉樹の小木やシャクナゲは藪を漕ぐのに苦労するようなレベルにはない。踏跡上の倒木は鋸で切断してあり、昔は登山道があったと推測しながら尾根を詰める。踏跡に沿って白テープと赤テープを散見する。標高2000〜2050で針葉樹が踏跡に張り出しているが、下半身が濡れはしたがそれほど煩わしいものではなかった。この藪を突破すると踏跡は薄くなるどころか、より明瞭になった。シャクナゲと針葉樹の幼木が多い地点に辿りついた。地形から判断すると標高点2147で小さなコブになっている。前方の帝釈山に連なる尾根筋はガスで途中までしか見えない。右手を見ると小真名子山の山頂部が見えたので標高点2447写真を撮ろうとしたら、ガスの中に隠れてしまった。
 標高点2447までは雨具をつけていなかったので、下半身が少しばかり濡れてしまったが、順調に辿りついた。この先はシャクナゲと針葉樹の密藪となっている。雨具をつけようか迷ったが、濡れついでと横着したのがいけなかった。帝釈山に辿りついたときには全身びしょ濡れとなってしまった。これは後の話。シャクナゲと針葉樹の密藪はすぐに突破できた。時には藪が緩むこともあったが、針葉樹とシャクナゲの混合藪は続く。藪下には獣道というよりはふるい踏跡らしいものが続くので、藪が強烈でたまらないということはない。
 標高2400付近で右手に狭いザレ場が現れるが、これに沿って藪を漕いで登ると今日一の難所である大岩に突き当たってしまった。樹木に掴まって直登するのは危険で、仕方なしに藪を伝わり右にトラバースした。先刻のザレの最上部に突き当たってしまった。岩を攀じ登るよりは5m幅のザレ場を渡ったほうが危険は少ないと判断したのは正解であった。ザレを渡ると、すぐに勾配はゆるくなり登山道のような踏跡を僅か歩くと帝釈山の山頂に達した。山頂部から北尾根に向かう短い踏跡は明瞭で、景色を楽しむために自然にできた踏跡とは思えない。この踏跡を見て、昔は北尾根に登山道があったものと確信したのだが・・・
 山頂部は見通しが100mもない程度にガスが出ていた。おまけに風が強く、びしょ濡れの身には寒さが堪える。女峰山を往復するつもりだったが、帝釈山〜女峰山の痩せ尾根を通ったこともあるし、女峰山は二週間前に黒岩コースで登ったばかりなので無理して行く気にはならなかった。

6 下山(富士見峠経由)  富士見峠からは廃林道を下る  道筋は明瞭で、特に危険箇所はない
 
山頂部に留まると身体が益々冷えるので、樹林帯にはやく潜り込もうと富士見峠への道を急ぐ。樹林帯に入ると風もなく、身体が急速に温まり靴の中で水がピチャピチャしていたのも気にならなくなった。針葉樹林の登山道は抉れていてすこぶる歩きづらいが、帝釈山直下の藪と大岩に比べたら苦痛も和らぐ。かなり下った所で小真名子山が姿を現した。そこから10分ほど下ると富士見峠に到着。野州原林道の終点で広場になっているが、展望は全くない。なぜ富士見の名前がついたかは知る由もない。小休止して地形図を見ながらエネルギー補給をする。
 幅広の荒れた道を緩やかに下ってゆく。歩き始めるとすぐに廃林道を辿っていると理解できた。途中にに崩壊部や樹木が生えて林道とは思えないよ野門分岐(右へ) 左へ廃林道は続くうな所もあるが、全般に幅広の道筋が続くので迷う心配はない。登山道とか昔の峠道にしては不自然なルート取りしている理由が理解できた。廃林道は勾配が緩やかでしかもカーブが多く、高度がなかなかさがらないのに業を煮やし最初の方向転換点から標高点1935めがけてショートカットすることにした。磁石をあわせて下ってゆくうちにシャクナゲ地獄に突き当たってしまった。藪を避けているうちに方向がずれてしまい林道が受け止めてくれない可能性があったので、冒険はやめて元に復した。この間に20分のロス、急がば回れを実感する羽目となった。
 四箇所で大きく方向転換をすると、北に緩やかに下るのみで面白みがない。やはり山歩きは尾根に限る!! 時には自動車道の名残りを留めない箇所もあるが、道筋は明瞭で道を迷う心配はないし、危険な箇所もない。黙々と歩いていると右手にぺしゃんこになった廃屋が目に付く。この付近にはビールビンのケース、タイヤやバッテリーが捨ててあった。往時には自動車の出入りが多かったことが推測できる。廃屋のすぐ先で標高点1862の方向転換地点に達したことが分かる。そこから約5分歩くと、標識が賑やかな野門分岐にたどり着いた。。廃林道は更に延長線上に続くが、先は確かめることなく標識に従って右手の山道へ入る。ここにも(往路の子育地蔵にも)焼小屋入口のプラスチック板を見かける。昔は避難小屋か炭焼き小屋みたいなものがあったのであろう。
 山道には鱗のついた岩が多く注意が必要だが、標識や赤ペンキが多いので迷うことはないだろう。15分で往路で尾根に取付いた金冷泉に着く。この先は往路で通っているので割愛する。布引滝遊歩道分岐で再び布引滝を眺める。残念だがまたしても女峰山にはガスがかかっている。野門沢右岸尾根はよく見えて、三界岳(2172.8)らしいピークも展望できた。
 林道出合からは皮肉にも今頃になって青空が見えて、暑さを感じるようになった。モノレール乗場にはRUV車が数台駐まっていた。大事沢では工事が盛んに行われていることが確認できた。木造の展望所で再び布引滝を眺めるも女峰山山頂はガスの中。東の高原山から北東の山並みが展望できる。山座同定用の地図を持ってこなかったことが悔やまれる。駐車地のゲートから下って、野門集落から下山した旨家に連絡すると、平地では雷雨が酷かったらしい。心配した雨にあわなかったのが幸いであった。
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