ひとり山歩き245 : 日光沢温泉から根名草山に登り、尾根伝いに手白山まで歩いてきました。日光沢温泉からの富次郎新道はよく整備されていて、標高が上がると福島との県境尾根方面の展望が楽しめました。手白山への稜線は密藪の連続で、一般の登山者では歩けません。
密藪を漕いで根名草山(2329)〜手白山(1849) 
2006年6月17日(土) 晴れのち曇り
1 行程
ルートマップ 
自宅(0:55) = 女夫渕温泉(3:10/3:20) − 日光沢温泉(5:00) − 手白沢温泉分岐(6:45) − 1972ピーク(7:00) − 根名草山(8:55/9:20) − 大嵐山(9:55/10:00) − 2103ピーク(11:30) − 標高点1906付近(13:25) − 手白山(14:55/15:10) − 手白峠(15:50) − 新助沢渡渉(16:45) − 手白沢温泉(17:15) − 加仁湯(17:25) − 八丁湯(17:30) − 女夫渕温泉(18:30/18:40) = 自宅(21:15)

2 自宅 − 女夫渕温泉温泉 − 日光沢温泉
 湯西川安ケ森ロッジ付近のヌーグラ沢から福島県境尾根を計画していたが、最近の雨続きで水量が増えていることが予想されたのでこれを中止した。04年10月29日に手白沢温泉から手白山に登り、根名草山を目指し密藪のため途中退却したことを思い出した。その時の藪密度から判断して、日帰りで手白山から根名草山に登るのは無理と実感した。
 それ以前にナスノガルーダさんが根名草山から手白山に下っていて、その時の情報を頂いていた。昨年は当掲示板でお馴染みの宇都宮さんが同じように下っている。今回は宇都宮さんのルートマップを参考に、梅雨の中休みを狙って出かけことにした。十数時間の長丁場は必至のため、今回も深夜出勤で駐車地の女夫渕温泉温泉を目指した。車を駐車場に駐めて、奥鬼怒スーパー林道経由で日光沢温泉に歩を進める。月が出ているわけではないが、照明なしに林道を歩くことができた。手白沢橋の手前で大嵐山と手白山への稜線を見て、なんとしても明るいうちに女夫渕温泉に戻るぞ、と自分に言い聞かせて先を急ぐ。日光沢温泉に着いたときにはすっかり明るくなっていたが、まだ温泉客は眠りについているようだ。

3 日光沢温泉 − 根名草山  富次郎新道は歩きやすく、展望も楽しめる
 日光沢温泉で水を飲み一息ついて、建物を潜って階段を上がる。すぐ先で鬼怒沼への道を右に見送り、左の根名草山に向かう。登山道は暫くはアスナロ樹林をジグザグに急登する。この登山道は富次郎新道というようで、いつごろできたか知らないが、道筋は急勾配だが明瞭で歩きやすい。自分の最も苦手とする急勾配を標高100メートルを20分のペースで登ってゆく。展望はなく針葉樹林をひたすら登ると標高1800付近で広葉樹が目立つようになった。やがてコメツガとシラビソに大嵐山 (1972Pから)林床がネマガリダケとなった。今日のコースは展望がないものとあきらめかけていたら、とつぜん右側が少し開けて左から手白沢温泉からの道を合わせる。分岐の道標のひとつに「←日光沢経由 加仁湯 ブナ平経由→」が目に付いた。ブナ平は加仁湯と手白沢温泉との中間あたりと記憶するが、この道標の意味は??? このまままっすぐ進んでしまったら根名草山に行ってしまう。どう見ても手白沢温泉の方を向いてはいなかった。ここからは右(西)に燕巣山から黒岩山あたりの県境尾根が展望できる。
 手白沢温泉分岐からはシラビソ林となりシ燧ケ岳方面 (根名草山頂直下から)ャクナゲも混ざるが登山道までのはみだしはない。尾根筋が明瞭となって勾配も緩やかになり、苦手の急登を越して多少の余裕が生じた。1972ピークは小さなコブで前方に鉄兜状の大嵐山が姿を現す。黒岩山方面も展望できる。歩き始めは今日のコースに展望は期待できなかったが、思ったよりは楽しませてくれた。
 1972ピークから緩やかに樹林の中を下り、鞍部からの登り返しでは尾根の左(東)手をまいて、またまた県境尾根を展望することができる。ガスが立ち込める時間帯で各ピークの山頂部が隠れているのが残念!! 燧ケ岳もちらっと見えた。標高2000付近からは、地形図の破線(登山道はない)と分かれて南西よりに山腹をまいて、緩やかに登るようになる。最初のガレ場を標高2050くらいのところで横切る。ここも展望はよく、右(西)手に燕巣山とその左奥に武尊山も見えた。トンガリ帽子の物見山の奥に燧ケ岳も展望できた。更に10分も進むと第二の小さなガレ場と続いて第三の大きなガレ場を通過する。第三のガレ場は道筋が不明瞭で注意が必要である。ここでも立ち止って県境尾根(燕巣山〜黒岩山)そして会津駒ケ岳を楽しむ。こうして遠望を楽しめると今までの疲れが消えて行くように感じる。
 第三のガレ場を越すと東よりに向きを変えて針葉樹林(シラビソとコメツガ混在)を急登するようになる。20分ほどで根名草山と大嵐山を結ぶ鞍部に登りつく。先ずは右の根名草山に向かう。鞍部から10分で根名草山頂にたどり着いた。出だしは曇っていたが、晴れ間もかなり増えてきた。今日はここが目的地でないのでユックリはできない。エネルギー補給しながら山頂部を歩き回って遠望を楽しむ。時間的にガスが立ち込めているのが残念だが、男体山・太郎山。高薙山、燧ケ岳等をカメラに収める。これから行く大嵐山とその稜線を観察する。

4 根名草山 − 大嵐山 − 手白山  強烈な藪の連続 藪漕ぎに自信のある人以外は不可
 根名草山からの下りも展望がよく燧ケ岳は障害物なしにみえた。今日は先が長いので先を急ぐ。鞍部からはシラビソ林を大嵐山に向かって尾根上を歩く。最初は藪もなく踏跡状の獣道を追ったが、やがてコメツガに混ざってシャクナゲが前途を塞ぐようになった。堪らず左(西)側をまくように登ってゆくとシャクナゲは幾分少ないがシラビソ幼木に悩まされる。平坦になって大嵐山の山頂部に達したが、これから手白山へ下る尾根筋が全然見えず、大嵐山 (根名草山頂から)山頂部をウロウロする。
 大体の見当をつけて手前(根名草山側)から山腹を緩やかに下りながら尾根筋をさがした。樹木の高さ等で雰囲気を確かめながら、コメツガ幼木の密藪の中を東へと緩やかに下ってゆく。雰囲気を感じながら尾根筋に乗っていると確信して藪を漕ぐ。これが藪漕ぎの醍醐味で、この緊張感がたまらない!! 標高で50メートルほど下るとガレの頭に達した。藪にしがみ付きながらガレの頭に下りて、10メートルばかり横切って、再び藪の中へ突入する。このあたりから尾根筋は明瞭となって幾分藪密度が下がったように感じた。左手に燧ケ岳と会津駒ケ岳を瞬間的に展望し、更に下ると今度はコメツガ幼木に混ざって倒木に悩まされる。ここを通過して鞍部付近になると藪が少なくなり、一息つく。鞍部から僅か登り返すとシラビソ、コメツガにシャクナゲの混ざる2103ピーに達した。
 右手に高薙山を感じながら、向きを北東から東に変えて針葉樹の藪と倒木に悩まされながら下る。尾根が幾分細くなり藪は一時的に緩んでくれた。それも長続きはせず、尾根筋が太くなり、下り勾配がきつくなると低いネマガリダケのお出ましとなる。更に下ると尾根筋は徐々に細くなりだし、尾根上はシャクナゲが密となってきた。山腹のトラバースを試みたが灌木が密で通り抜けるのに苦労する。尾根上のシャクナゲが高薙山 ((2103Pと1906の中間)地獄なら、こちらの灌木すり抜けも負けず劣らず苦労する。こういうときにはスリムで身軽な人が羨ましい!? ますます尾根は細くなりシャクナゲを乗越えるのが難しくなる。シャクナゲ藪は力任せではとても漕げない。腕力に頼れば足元が動かず。脚に頼ると上体が枝にトラップされてしまう。身体全体をバランスさせねばならないのだが、自分の場合はまだまだ未熟で力配分がアンバランスで労多くして効果少なし。シャクナゲ藪を漕ぐよりは、と尾根の僅か下の灌木帯をトラバースする。灌木の間に身体を割り込ませると、今度はザックが引っかかりで思うようには進めない。尾根の最狭部を通過したあたりで尾根上に戻った。なんとなく一昨年に登ったときの見覚えがあるのでこのあたりを標高点1906とした。
 1906の先も藪は酷いが、下り勾配となるので幾分かは救われた。この先は一昨年に歩いているので、間違いなく明るいうちに女夫渕温泉に戻れると確信した。更に前方に手白山とその前に1860ピークを感じると安心感がただよう。これがいけなかったようで、細枝をつかんで足元を探っていたら、枝がしなり身体が沈んだ弾みで、右頬に枝がぶつかり擦り傷をつくってしまった。ダケカンバの目立つ鞍部は藪も少なく一息入れて、1860ピークへ登り返す。たった20メートルの登りだが、針葉樹とシャクナゲとネマガリダケの混合藪が待っていた。今までの藪漕ぎに比べたらどうということはなかった。コメツガ林の1860ピークからの下りは腰高のネマガリダケとなるが、藪を漕ぐという感じはしなかった。手白山への登りになると、再びシラビソとシャクナゲの藪となる。登りの藪だから体力的にはきつかったが、我慢の範囲。平坦になって少しばかり進むと三角点と山名板が目に付き、手白山に無事辿りついたことを知る。M大のブリキ板が三枚、山部3DプレートにRK板を確認する。
 
5 下山(手白山−手白沢温泉−加仁湯−女夫渕温泉)  一度通っているので余裕の歩き
 詳細はひとり山歩き172を参照願う。手白山から手白峠への下りはネマガリダケと倒木が多いが、テープや踏跡がありで地獄から天国に戻ったような気分(まだ娑婆暮らしで地獄も天国も経験ないが、多分このようなこと言うのだろう??)。手白峠には道標と赤の灰皿が設置してある。手白峠からの下りは倒木が多いが道筋は明瞭。新助沢に出合ったら、200メートルほど沢筋を下ると左岸に枝沢が流れ込んでいる。枝沢の左岸を登ると再び明瞭な道が白沢温泉まで続く。手白沢温泉から加仁湯へ下って、鬼怒川沿いの遊歩道で女夫渕温泉へ戻った。計画通り明るいうちに戻れて至福の時を迎える。 
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