ひとり山歩き244 : 田代山峠から安ケ森峠間の踏破の一環として、湯西川の安らぎの森付近から栃・福県境尾根に登り、枯木山を目指しましたが時間切れで諦めて、白滝沢右岸尾根へと周回してきました。全行程に亘って藪漕ぎの連続となりましたが、樹木の切れ間から時々好展望を楽しむことができました。
もちづけ橋から県境尾根〜白滝沢右岸尾根周回  枯木山は時間切れ
2006年6月4日(日) 晴れのち曇り
1 行程
ルートマッ 
自宅(1:00) = 安らぎの森P(3:05/3:15) − もちづけ橋(3:35) − 尾根取付き(3:45) − 標高点1263(5:35) − 1549ピーク(県境尾根)(7:30/7:40) − 1620ピーク(10:00) − 1692ピーク(県境尾根)(11:55:/12:15) − 尾根分岐ピーク(13:45) − 三角点1467.1ピーク(14:05/14:15) − 1220ピーク(15:40) − 白滝沢林道出合(17:20) − 安らぎの森P(17:40/17:50) = 自宅(20:00)

2 自宅 − 安らぎの森
 今週は足尾の山でテント泊を考えていたが、先週末の桐生100キロウォークで足に肉刺をつくってしまったのでキャンセル。今週はクラス会や姪の結婚式で二日がかりの山行は無理。足の肉刺が治って身体がウズウズしてきたので、日帰り山行を計画する。
 栃木・福島県境尾根の田代山峠〜男鹿岳の間の内、安ケ森〜男鹿岳はごく一部を除いて歩いてしまった。これから暫くは田代山峠から安ケ森山の県境尾根歩きを実施する。その一環として、今回は湯西川の安らぎの森付近から県境尾根に登り、西進して枯木山を目指すことにした。万一のビバークを考えて食料・飲料水を余分に、最薄のシュラフも持参する。尚、高原山探訪のYoshiさんが昨年の11月3日に県境尾根を同じルートで途中まで歩いているので、その報告を参考にさせてもらった。
 最初から藪漕ぎが予想されるので、明るくなったら尾根に取り付けるように今回も早朝(深夜)出発。安らぎの森に駐車して、ザックを背負って白滝沢沿いの林道を進む。舗装が切れると第二ゲートがあり、更に10分強歩くともちづけ橋で林道は沢の左岸に通じる。もちづけ橋から北西に県境に向かう尾根に取付くのだが、まだ充分明るくなっていないので、もう少し先まで偵察に行く。橋の200メートルほど先に足がかりのある場所を見つけて、ここを尾根取付きとする。

3 取付き − 県境尾根  強烈ではないがネマガリダケと灌木藪
 取付き部は急傾斜で樹木の助けを借りて攀じ登る。20分ほど苦闘すると北に向かう尾根に乗った。ブナやミズナラ樹林の中で藪は少ない。標高1000くらいになると道型のような浅い溝が現れ、すぐにもちづけ橋からの尾根に合流する。灌木の多い尾根を北西に登ってゆく。ヤマグルマ等の灌木やネマガリダケが藪となるが、然したる苦もなく通過できる。標高点1263は小さなコブでブナ、黒檜が多少目立つ程度。
 ネマガリダケと灌木の藪をこいでいるうちにすっかり濡れてしまった。この頃になると青空が見えて陽射しを受けるようになったので、そのまま我慢して藪を漕ぎ続ける。標高1400付近になると尾根上に黒檜が目立つようになる。ヤマグルマや少ないがシャクナゲも姿を現す。背丈ほどの藪になり、チョットした岩の上に登ると明神ケ岳と女峰山が姿を見せてくれる。更に藪を漕いで、大岩を左に巻いて進むと10分ほどで県境尾根の1549ピークに達した。付近には比較的新しい赤テープが何箇所かついていた。県境尾根では他に見かけなかった。このピークは藪の中で展望はない。

4 県境尾根(1549P−1692P)  ネマガリダケと混合藪の連続  ときどき好展望あり県境尾根(左:1692P)  (1549P付近から)
  1549ピークから県境尾根を西進するために下り始めると、前方に1692ピークと枯木山への分岐ピークあたりが望める。鞍部付近では左(南)に明神ケ岳から高倉山、左前方(南東)には日光連山も展望できた。この尾根筋は藪は酷そうだが、場所によっては展望が開ける、と期待を抱かせる。藪漕ぎは厭わないが、ときにはその報酬として展望がないことにはとてもじゃないがこんな藪山には挑む気になれない。次の1560級ピークへの登りでも左側は切れ落ちているので展望はよい。腰ないし胸高の混合藪が連続しているが、モンスター級でないのでスピードは遅いが確実に前進できた。途中で振り返ってみると南西に高原山、北東に大好きな荒海山が姿を見せてくれる。景色を楽しむのもよいが、計画時間からドンドン遅れてしまうので先に進む。胸高の混合藪の1560ピークを通過する。枯木山(右) (1620P付近から)
 僅か下ると前方に枯木山が見えた。距離的には近く見えるが、到達するかは藪次第だ。藪はネマガリダケと灌木で、ネマガリダケ単独の場合もあるが大体は混合藪となっている。昨年歩いた田代山峠から枯木山を目指した県境尾根よりは厳しい。最近歩いた山王峠から小立九郎岳荒海山の東稜線〜高土山に比べても酷い。荒海山付近の藪に近い。1620ピークへの登りでは根元から放射状に枝分かれした根曲がり樹木(名称?)が邪魔して思うようには歩が進まない。一旦平坦になったのでピークに達したかと思ったら、もう一踏ん張りせねばならなかった。灌木藪の1620ピークに達するまでに約1日光連山と南尾根  (1692P直下から)時間半は遅れてしまった。明るいうちに下山を考えると、枯木山はどうやら無理のようだ。高原山探訪のYoshiさんはここで引き返した。健脚のYoshiさんのようなスピードは出ないので、その分を早出で補おうとしたが無理のようだ。今日は退却リミットを12時と決めてきた。12時までに1692ピークに届けば、県境尾根よりは藪がやさしいと推測している南尾根・白滝沢右岸尾根経由で下山できる、と考えて早速行動に移る。
 1620ピークからは向きを西から南西に変えて30メートルほど下る。直線距離では枯木山はすぐそこなのだが、時計方向に3時から9時まで遠回りせねばならない。鞍部では高原山と手前に横瀬山・持丸山、更にその前には湯西川の集落が見えた。明神ケ岳も間近にする。胸高のネマガリダケや混合藪を連続して漕ぎながら登ってゆく。ピーク直下で3月に雪庇歩きをした南尾根と白滝沢右岸尾根が展望できた。どうやらタイムリミットの12時に滑り込みで1692ピークに到達した。ここから枯木山までは往復で3時間以上は見ておかねばならない。樹木の隙間から枯木山は間近に見えているのだが、ビバークしてまでもの意欲は湧かない。残念だが今日は退却だ。そうと決めたら空腹を酷く感じた。腰高の笹薮の中でエネルギーを補給して下山に備えた。

5 下山(1692P南尾根〜白滝沢右岸尾根)  県境尾根に比べて藪漕ぎは楽  雪庇歩きで楽しんだ展望はまったくなし
 このルートの大部分はは今年の3月に雪庇歩きをしている。その時は好展望を呈する尾根であったが、今回は藪漕ぎ必至だから展望は期待できない。それどころか明るいうちに下山できるかは藪の深さにかかっている。下り勾配で殆ど登り返しがないのが救い。そのような状況を頭に入れて1692ピー枯木山(1692Pから)クを下り始める。早速尾根を外して左へ藪を漕いで修正する。50メートルも下ると尾根筋は明瞭となり、暫くは枝尾根がないので安心。県境尾根とは異なり灌木の少ないネマガリダケ藪だが下り勾配なのでさしたる苦労はない。雪解け水の流れる跡(?)と思われる窪みを利用しながら進む。3月の雪庇歩きでは右(南西)に日光連山等が随所で展望できたが、今は藪で全く展望はない。南尾根を下りきると、標高1500でほぼ平坦になる。尾根筋は広葉樹林だが時々はコメツガが姿を現す。笹薮の深さは膝ないし胸高で濃淡が断続する。この尾根は登りでもそれ程の苦労はないであろう。ただし距離が長いのが難点。10メートルくらい登ると小さなピークに達する。ここが尾根分岐ピークで、南から東にほぼ90度方向を転換する。このピークの一部は藪が少なくテントを張った形跡が認められた。
 南尾根は順調に下ってきたが、東への稜線は灌木が密で尾根筋が見えず、暫くはコンパスを睨みながらの下りとなった。鞍部付近からは藪はあまり密でなく、小ピークに登る。3月にはここからの日光連山の展望がよかったのだが、全く見えない。3月に掛けられた三角点ピークの名板を取外し、隣の三角点1467.1ピークへ設置しなおす。適当な枝が見つからなかったので、冬場には雪の下になってしまうかもしれないのが気がかり。
 三角点ピークからの下りの藪は膝ないし腰高の混合藪だが、特記するほどではない。鞍部から登り返した小ピーク(1280級)からの下りも同様。恐る恐る通過した痩せ雪庇とおぼしき場所を通過するも、今は藪があるので全然問題なし。見覚えのあるワイヤーの掛かった枯木を横目に先を急ぐ。1692ピークから数箇所で古くなった赤テープ(低い所に)見かけたが、尾根分岐の1220ピークにも取り付けてあった。3月にはここから南東の木ノ沢左岸尾根に下ったが、今日は北東の白滝沢右岸尾根に進む。
 1220ピークを通過した途端に灌木が密となった。灌木の間を強引に割って進むことが多くなる。途中で方向を東に変えて10770ピーク方面へ進むことも考えたが、明るいうちに林道に下りたいので、そのまま北東に下る尾根を辿った。灌木の藪はますます酷くなり、尾根筋を外さないいように何度も位置を修正しながら下る。時には藪が薄くなるが長続きはしない。林道が近づくと右下に細い沢筋が見えたが、最後まで尾根筋を追って無事に林道に下山できた。そこはもちづけ橋の100メートルほど東側で、今日はもちづけ橋から県境尾根〜白滝沢右岸尾根を周回する形となった。藪漕ぎでポケットに入り込んだ藪の切れ端を掃除しながら安らぎの森駐車場に戻る。

6 後書き
 栃木側から尾根伝いに枯木山を日帰りで往復するのは、よほどの健脚者でないと難しそう。唯一あるとすれば、白滝沢を詰めて1692ピークへ直登するルートが考えられる。残雪期に掲示板でお馴染みの宇都宮さんが登っている。無雪期の沢歩きの障害物と尾根の藪密度がどうなのか????? 
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