ひとり山歩き241 : 栃木・福島県境尾根を山王峠から男鹿岳方面へ歩いてきました。大倉山までは藪は少なく踏跡もありハイキング気分でしたが、その先は強烈なネマガリダケとアスナロ藪に悩まされました。三角点1361.7ピークでは小立九郎岳という山名板を見ました。これで山王峠から男鹿岳までつながりました。
県境尾根 山王峠から大倉山(1188)〜小立九郎岳(1361)
2006年5月12日(金) 晴れのち曇り
1 行程
ルートマップ  
自宅(2:00) = 横川パーキング(4:10/4:15) − 山王峠口(4:25) − 山王峠(4:45) − 1074ピーク(5:25) − 三角点1188.1ピーク(大倉山)(7:20/7:30) − 1224ピーク(9:15) − 三角点1361.7ピーク(小立九郎岳)(12:30/12:55) − 下山開始(1280ピーク)(13:35) − 男鹿川出合(14:25/14:35) − 男鹿林道出合(14:45) − 白滝沢橋(15:20) − JOBSおじか(16:15) − 横川パーキング(16:45/16:55) = 自宅(19:20)

2 自宅 − 山王峠
 福島県境尾根の田代山峠から男鹿岳の未踏部の復帰初回として、山王峠から男鹿岳稜線の1280ピーク(4月7日にひょうたん峠から男鹿岳の山行で下山したポイント)まで歩くことにした。藪の殆どない山王峠から男鹿岳方面に歩くことにして、駐車地は復路の利便を考えて国道121号沿いの横川パーキングに決めた。
 身支度を整えてウォーミングアップがてら山王峠を目指す。駐車地から10分で山王峠口に達した。ここから通行止めの旧道を登ってゆく。ここを歩くのは昨年の5月1日に山部さんとsatoさんに誘ってもらい山王峠から県境尾根を荒海山方面に歩き高土山へ下って以来である。その時のことを思いだしながら、崩壊の始まっている舗装道をジグザグに登ってゆく。途中で日留賀岳から鹿又岳を垣間見ると山王峠に達した。

3 山王峠 − 大倉山  大倉山手前までは殆ど藪はなく薄い踏跡が続く
 積雪量計を横目に踏跡を追って尾根に取り付く。つい先日までは残雪歩きで白と黒の世界であったが、今は樹木に芽が吹き緑がまぶしい。赤が褪せて白くなったリボンがやたら多い踏跡を緩やかにアップダウンすると、すぐに標高点957で向きを北に変えて下ると松が目に付く。鞍部から急登して向きが再び東大倉山頂になると勾配も緩み気持ちのよい歩きとなる。樹林はミズナラ主体でミツバツツジが多いが開花は未だ先のようだ。尾根の通過点のような1074ピークには踏跡明瞭で藪は全くなく、藪を見込んだ計画時刻よりも早く着いた。
 1074ピークを越すと膝下の笹が現れるが、どうと言うことはない。胸高の笹が現れたがほんの局地的であった。ルーファンは登り方向に歩いているので特に問題はないが、逆の場合は小枝尾根が多いので注意が必要。色あせた白リボンの続く薄い踏跡を追うと、1210ピーク手前鞍部付近でアスナロが出現し始めた。1210ピークは1212ピークへの分岐点でミズナラとブナに膝高の笹が目立ち、前方には大倉山への稜線が窺える。このピークを下り始めると白リボンに変わって赤テープの出現である。アスナロ藪漕ぎの切れ間に山腹に雪を残す男鹿岳が一瞥できた。広葉樹林の小いさなコブを二つ連続して越すと、鞍部からの登りでアスナロが密になり始めた。難なく藪を突破するとミズナラとアスナロの目立つ三角点1188.1ピークに達した。古い地形図には三角点表示があるが、国土地理院のウォッちずには標高点1188となっている。三角点としての管理はやめたのであろうが、現実には三角点は残っている。
 山頂にはM大の大倉山という山名板があったらしいが、見つからなかった。その代わりに「bP0 創立25周年記念縦走 谷川岳−那須 下館岳友会の」の小さなプレートが立木に取り付けてあった。展望はあまりよくないが、南西に女峰山・太郎山・白根山が眺望できた。

4 大倉山 − 小立九郎岳   ネマガリダケとアスナロのヤブ尾根  ヤブ山には不似合いな名称の小立九郎岳
 大倉山からの下りはアスナロの幼木に悩まされる。やっと抜けたと思ったら今度は背丈を越すネマガリダケのお出ましとなった。大倉山を境に豹小立九郎岳(中央)と男鹿岳(左奥)変してしまったようで、この先が思いやられる。背丈を越す笹薮の中で慎重に地形を探り、方向を北東から南東に転換する。万一ここを戻ることを考えて目印を探すと、灌木に赤テープが目に付いた。
 背丈を越すネマガリダケを漕いで緩やかに細尾根を下ってゆく。尾根の右手に藪の中に踏跡状の細い筋が通っているのでこれを追った。浅い鞍部から登り返すと1220の小ピークで、ここから再び北東に向きを変えてアスナロの密藪を下る。ツタに悩まされながら背丈の笹とアスナロの薮を漕いで小ピークを越すと、チェックポイントの1224ピークに達した。ピーク上は背丈を越す笹薮で覆われているが、東側に進むと枝越しに男鹿岳が窺えた。藪漕ぎの合間に遠方の景色を垣間見ることができると、藪漕ぎの褒美をもらったようで疲れが和らぐから不思議だ。おそらくこれがあるから強烈な藪漕ぎも我慢できるのであろう。大倉山から1.1kmに2時間弱要してしまった。この先は登りもあるので、益々遅くなるであろう。
 ネマガリダケとアスナロの藪日留賀岳〜鹿又岳 (1270P付近)が交互に襲ってくる。幸いにアスナロの藪は長く続かないので助かる。ササは根元から丁寧に掻き分けて進めば何とか前進はできるが、アスナロの密藪は身動きが取れなくなってしまうから始末に悪い。大倉山付近からは色あせて赤から白に化したリボンに変わって幾種類かのテープを見かけたが、何れも比較的低い所に付いているので、残雪歩きでなく藪漕ぎをする人はいるようだ。世の中には自分のような変人が多いのだと、あきれるやら感心するやら。手前の小ピークから見ると三角点ピークの斜面には多少雪が残っている。残雪を利用できれば、と思いながら下りにかかると、雪から開放されたばかりの笹と灌木はまだ立ち上がっていないので返って始末に悪い。どうにか鞍部まで下って、斜面の残雪を利用しようとしたが、残雪は疎らでこれを求めて異動する方がよほど困難であることを知らされた。仕方なしに草木にしがみ付きながら急斜面を登る。最後の100メートルを登るのに小一時間要して、やっとの思いで山頂に辿りついた。ここが三角点1361.7ピークでアスナロで囲まれた山頂部は笹で覆われ、一部には雪が残っていた。
 荷をおろし呼吸を整えて山頂部を探ると笹に隠れて三角点が見つかった。ここにも大倉山で見たと同じ下館岳友会のbXの標識があった。更に南側を探すとM大の青プレートが見つかった。「小立九郎岳 H5年度正部員養成」と記入してあった。小立九郎岳とMWVは名づけたようだ。どんな基準でつけたのか知らないが、北アルプスには似合うかもしれないが、このような藪山には不似合いな感じがした。山頂からは北北西に飯豊山(?)、西に真っ白な会駒、白さを残す荒海山(まだ県境尾根には残雪あり)、北西から北には間近に貝鳴山、家老山、滝沢山が目に付く。 

5 下山  枝尾根は密藪で下山には使えるが登りは避けたい  久々の本格藪漕ぎに満足M大の山名板
 このピークから南に派生する枝尾根を下って見たいが、東となりの1280ピークまで行かねば山王峠から男鹿岳までつながらない。小立九郎岳の下りにもネマガリダケとアスナロ藪が待ち構えていたが、下りなので特に問題はない。鞍部からの登り返しも僅かで大した苦労もなく1280ピークに着いた。一ヶ月前は残雪で藪は全く見えなかったが、これから下ろうとしている枝尾根にはネマガリダケとアスナロの藪が待ち構えているような雰囲気。
 ネマガリダケとアスナロの藪を漕いで尾根沿いに下って行く。おまけに倒木が進路を邪魔するので思ったようにはルート取りができない。途中で少しばかり左(東)により過ぎているのが分かったが、藪が深くってルートを修正するよりも、それなりに下ってしまった方が楽と、委細かまわず下り続ける。標高1150付近でカラマツ林に突入した。前回は残雪の踏み抜きに苦労したが、今は様変わりで藪を漕いで下るだけ。急斜面を藪に掴まりながら男鹿川の川原に無理やり下りた。この尾根は藪が多く比較的長いので無雪期に登るのは困難。登るとしたら男鹿川の更に上流で県境尾根までの距離が短い場所を選ぶべきと思った。
 問題は男鹿川の渡渉だ。今は雪解けで水量が多く、適当な飛び石が見つからない。数分川を遡ってゆくと倒木が丸木橋となっていたのでこれを利用した。土手上に林道を感じて数メートル土手を登ると林道は無残にも崩壊して恰も沢のようになっていた。暫く崩壊部を下ってゆくと、林道らしくなって川原から林道を合わせた。以降は既に通った道で、しかも残雪は全くないのでドンドン下る。栃の木沢橋、胡桃橋、高泉橋、桂沢橋、白滝沢橋と地形図を見なくても覚えてしまった。尾ケ倉沢橋の袂でオガクラ林道の標柱を見てよく確認すると、尾ケ倉沢の右岸に敷設された林道は橋から見える範囲は完全に崩壊していた。いつもは車を駐めて置くJOBS男鹿のゲートを通過して更に2.5km先の横川パーキングに戻る。  
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