ひとり山歩き235 : 湯西川から枯木山に登ってきました。早朝出発のため雪はよく締まっていて踏み抜きもなく快調に歩けました。前回(3月15日)の失敗を教訓に、ピッケルとアイゼンの活用で急傾斜をものともしませんでした。復路では気温上昇で踏み抜きが増えました。
湯西川から枯木山(リベンジ成功)
2006年3月25日(土) 快晴
1 行程
ルートマップ  
自宅(1:15) = 湯西川(伴久ホテル付近)(3:10/3:25) − 木ノ沢左岸尾根取付き(仲石橋)(3:35/3:40) − 1021ピーク(4:50) − 1220ピーク(5:50) − 三角点1467.1(6:55) − アサズマ沢左岸尾根合流ピーク(7:25) − 県境1692ピーク(8:10/8:15) − 枯木山分岐ピーク(8:40) − 枯木山(9:10/9:30) − 枯木山分岐ピーク(10:00) − 県境1692ピーク(10:15) − アサズマ沢左岸尾根合流ピーク(10:50) − 三角点1467.1(11:00) − 1220ピーク(11:40) − 枝尾根下山開始(12:10) − 下山(木ノ沢林道終点付近)(12:40) − 駐車地(13:15/13:35) = 自宅(16:00)

《参考》前回(3/15)のデーター
自宅(1:45) = 湯西川(伴久ホテル付近)(3:50/4:10) − 木ノ沢林道口(4:20/4:25) − 尾根取付き(4:50) − 木ノ沢左岸尾根出合(5:55) − 1220ピーク(7:15/7:25) − 三角点1467.1(8:45/8:55) − アサズマ沢左岸尾根合流ピーク(9:15) − 県境1692ピーク(10:30/10:45) − 退却点(県境枯木山分岐ピーク直下)(11:10/11:15) − 1692ピーク(11:45/12:00) − アサズマ沢左岸尾根合流ピーク(12:55) − 三角点1467.1(13:15) −1220ピーク(14:15) − 枝尾根下山開始(14:50) − 下山(木ノ沢林道終点付近)(15:25) − 木ノ沢林道口(16:05) − 駐車地(16:20/16:30) = 自宅(18:55)

2 自宅 − 湯西川
 前回は県境に位置する枯木山への分岐ピーク直下10メートルが登れず、枯木山を目前にして退却となった。残雪期の尾根歩きはしたことがあるが、降雪直後の尾根歩きの経験がなかった。そのため考えが甘く、軽アイゼンとストックで出かけ、残念ながら新雪で段差のついた急斜面を登れなかった。
 今回は、前回の諸々の反省点を踏まえて、次のようなことを考量して出かることにした。@三・四日前に降雪がないこと。Aピッケルと12本爪アイゼンを持参。B早朝にできるだけ距離を稼ぐ。C冬山用のグローブをやめて軍手とした(冬山用グローブ(インナー+アウター)ではカメラとICレコーダーが操作できず、グローブを脱着せねばならない。グローブの脱着は歩きながらではできないので、その都度立ち止らねばならない。これにかなりの時間を要している。)。
 駐車地は前回どおり、伴久ホテル前を安ケ森林道に入って200メートル先の雪のバリケード前とした。車載の温度計によると外気温は−2度で、雲ひとつない星空で、日中のは気温上昇が予想できる。防寒着を着用せず、念のためにワカン(使わなかった)を背負って雪のバリケードを乗り越えて安ケ森林道の二つ目の橋「仲石橋」に進む。

3 木ノ沢左岸尾根 − 枯木山 雪が締まっていて歩行が進む 難所もアイゼンとピッケルで突
県境のピーク(1692Pと分岐ピーク(左) (アサズマ沢左岸尾根合流地点)
 前回は木ノ沢林道の途中から植林の枝尾根で木ノ沢左岸尾根に登ったが、急傾斜に悩まされた。安ケ森ロッジ付近から白滝沢右岸尾根に取付く手も報告されている。暗闇で未踏のところは不安があったので、今回は仲石橋を渡ったところから木ノ沢左岸尾根の先端に取付いた。20分ほどは岩っぽい灌木の急斜面のヤブ漕ぎとなる。久しぶりのヤブ漕ぎだ。急斜面には雪はついていないし、掴まる枝が多いので適度な準備運動となり寒さも感じなくなる。
 尾根上は落葉樹林で雪は半分くらいにしか残っていないが尾根型がはっきりしているので、ヘッドランプだけでなんら問題はなかった。左(南)側がカラマツ林になると雪は連続となり1021ピークにたどり着く。尾根沿いに進み前回尾根枯木山分岐ピーク (1692Pからズーム)上に登りついた見覚えの箇所を通過すると、自分のものか、その後通過した山部さん達のものかは不明だが薄い踏跡が確認できた。この先は前回通っているのでルーファンの必要がなく(初めてでもルーファンが容易だが)、締まった雪、軍手の効果で歩行速度は前回よりも速い。方向を西から北西に変えて、登りだすと白滝沢右岸尾根がドンドン近づき、僅かな急登で右岸尾根が合流する1220ピークで、ここまでに40分の短縮(対前回)。 
 1220ピーク西の痩せ尾根の雪庇も二回目となると慣れたものでスイスイと通過。三角点ピークへの登りになると、日光連山方面が見えるが前回タップリ写真を撮っているので脇目を振らずに黙々と前進する。ダケカンバの目立つ三角点1467.1ピークに着いたが、数日前に取り付けられたという標示板がない。展望のよい次の小ピークに三角点名を記した板が立木に取り付けてあった。このピークから枝尾根が北に延びている。地形から判断すると三角点は東のダケカンバの目立つ小さなコブと思う(間違えていたら失礼)。ピークを僅かに下って登り返すとアサズマ沢左岸尾根合流点で方向を北北西に変える。このあたりなると日光連山も見えて展望もよ1692P(左) 高原山(左奥) 明神ケ岳(中央やや右)いが、前方に越えねばならない県境の二つのピークが気になり出す。
 暫くは平端な尾根歩きが続くが、前回のような新雪がなく締まっているので歩きやすい。靴底が沈む程度で、時たま踝までもぐる程度で、前回とは比較にならないくらい歩が進む。健脚であるYoshiさんや山部さんの行程時間と比べても進んでいるくらいで意を強くする。展望のよい尾根だが、今日は目移りはしない、まっすぐ前を向いて歩く。だんだん県境の1692ピークが近づき、最後の50メートルの急登もアイゼンとピッケルが着実に体を運んでくれる。大した労もなく1692ピークに登りひび入りの雪庇と大嵐山稜線  (枯木山手前から)つめた。ここまでに対前回で95分短縮だ!! 今日の自分は別人のように思われる。絶対に枯木山まで行くという意気込みが出ているのだろうか。展望が抜群のピークから360度のパノラマを一瞥して、前回退却した付近をよく観察する。
 掛け声をかけてザックを背負い、最後の難関目指して進む。鞍部から分岐ピークを見上げてルート取りを頭に描いて、踏跡の残っていない急斜面をアイゼンとピッケルを確実に利かせて一歩一歩登る。いよいよ前回退却のピーク直下10メートルに来た。この地点から上は皿をひっくり返したように斜面が膨らんでいるために僅かな段差が生じている。今日は新雪が融けてしまったせいか段差は小さく簡単にまたぐことができた(前回は降雪直後で新雪が積もっていて数十センチの段差があり、これを軽アイゼンとストックでは乗り越えることができなかった)。段差を乗り越えると傾斜は一段と大きくなり恐怖感が生まれる。最上部に雪庇があり、左手からしか乗り越えられそうもない。ルートを少しずつ修正してついに分岐ピークの雪庇の上に登ることができた。ここからの展望も素晴らしい!!  登ってきた尾根筋の大部分が見える。高原山や日光連山の展望もよい。登ってきた斜面を見下ろすと、帰りに下りられるだろうかとの不安がチラチラする。今までに到達点から戻れなかったことはない、と自分に暗示をかけて枯木山を目指した。
 枯木山に連なる稜線上は、今まで見たことのない大規模な雪庇が東側に張り出している。雪庇の先端に近いところを歩いたら東側に邪魔するものがなくて展望がよいのだが・・・高所恐怖症の自分にはそんなことはできる筈もない。幸い西側は樹林で恐怖感は生じないので、雪庇先端から離れて歩くようにした。進行方向に高度差はないが、うねりがあって歩きづらい。滑落の心配がないので踏み抜きだけ注意しながら歩くと、樹林から抜けて雪がこんもりと高くなっている枯木山山頂にたどり着くことができた。二回失敗しているだけに喜びも大きい。ザックを降ろしてこんもりした最高部に立つと、なんと素晴らしい展望ではないか!! 北東の会駒から南東の高原山まで展望は抜群。枯木山から大嵐山への稜線、荒海山に通じる県境尾根が特に印象的であった。古くからある二枚の山名板に加えて、一週間前に加わった山部さんとSSKさんの山名板を見ることができた。いつまで見ていても山頂からの景色は飽きないが、気温上昇による復路での踏み抜きを避けるために下山を急ぐ。無雪期にまた来るぞ!!

4 下山  難所を無事下り喜び一入  雪が緩み多少足取りが重くなるも特に問題なし荒海山方面を望む(枯木山から)
 県境に戻り始めてすぐに単独行者に出逢ったので声をかけて見たところ、一年半ほど前に奥日光の大岳山頂で出逢った@宇都宮さん(詳細のルートマップを掲示板に提供される方)だった。湯西川駐車地を4時に出発とのことであった。短い立ち話で左右に分かれる。県境に戻る途中でひびの入った雪庇を見て、慌てて西側に避ける。昨年の10月に山部パーティのお供で田代山峠から枯木山を目指し、退却した県境尾根の痩せ尾根を見てその厳しさが印象的であった。
 いよいよ枯木山分岐ピークからの急斜面の下りだ。遠くの景色を眺めて気を落ち着かせて下り始める。ピッケルとアイゼンで確実に足場を確保しながら無事に鞍部まで下った。これでやっと枯木山に登れたとの喜びが増した。次の難所の1692ピークの下り掲示板でお馴染みの@宇都宮さん (枯木山稜線で)は、先ほどに比べたら気分的に楽だった。気温が上がるつれて雪が腐りだし足取りが重くなり始める。アサズマ沢左岸尾根合流ピークそして三角点1467.1を通過し、問題の痩せ尾根への下りでは常に脛までもぐるようになった。幸い痩せ尾根の雪庇上はあまり緩んでいなかった。
 1220ピークから白滝沢右岸尾根を辿って見たい気持ちが少しはあったが、ある目的があったので往路に辿った木ノ沢左岸尾根へと下った。今日はテープ表示のある標高1130から派生する南尾根(左岸尾根からの枝尾根ではもっとも尾根型が明瞭)を下るつもりで小休止をとった。この尾根筋は明瞭だが、落葉樹林のため雪が緩んでいることが心配。案の定、膝下までもぐるので20歩ほど歩んでギブアップした。やはり植林の尾根を下るのがベッター、とすぐ先の前回の枝尾根を下りることにした。
 杉植林(一部にカラマツ)の枝尾根の雪は締まっていて踏み抜きはなかったが、一部に急勾配のところがあるのが難点。木ノ沢が近づくにつれて10日前よりも雪は大部少なくなっていた。木ノ沢林道に無事下った。ここまでくれば危険箇所はない。雪解けの進む林道を進み、仲石橋からは安ケ森林道の舗装道を足取りも軽く駐車地に戻った。隣に駐まっている@宇都宮さんの車のナンバーを見てビックリ。なんと自分の車と同じではないか。なんという偶然か!?
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