ひとり山歩き232 : ハガタテ沢(現在は登山禁止)の東岸尾根を辿り小太郎山まで登ってきました。東岸尾根は針葉樹林の太い尾根で特に危険な箇所はなく、スノーシュー歩きを堪能することができました。小太郎山頂からは東から南にかけての日光連山や中禅寺湖南岸尾根が楽しめましたが、西から北側の遠望はガスに包まれていました。
ハガタテ沢の東岸尾根から小太郎山(2328)
2006年3月6日 曇り
1 行程
ルートマップ 
自宅(3:45) = 光徳温泉(5:40/5:50) − ハガタテコース登山口(6:15) − 東岸尾根取付き(6:40) − 標高点(1817(7:55/8:05) − 主稜線出合(9:55) − スノーシュー/アイゼン脱着(10:30/10:45) − 小太郎山(11:15/11:35) − 東岸尾根派生点(12:05) − 標高点1817(13:50) − 東岸尾根取付き(14:25) − ハガタテコース登山口(14:50) − 光徳温泉(15:20/15:30) = 自宅17:35)

2 自宅 − 光徳温泉
 先週、湯元温泉から刈込湖・切込湖・山王峠経由で光徳温泉までスノーシューで歩いた。山王峠から下る途中で、ハガタテ沢の東岸に魅力的な尾根が見えた。この尾根を登って太郎山あるいは山王帽子山まで行ってみようとひらめいた。帰宅後、Webで調べてみると宇都宮山の会のN脇氏等が昨年、一昨年の4月上旬にこの尾根を辿って太郎山あるいは小太郎山まで歩いた記録を発見した。
 N脇氏等のルートを参考に太郎山あるいは山王帽子山までのスノーシュー歩きを計画した。好天の昨日に実行すべく計画し、家を出る直前に新聞を読むと贔屓サッカーチームの試合がTV放送されることを知って、急遽計画を延期してしまった。一日ずらしの今日の天気は好ましくないが、いつも好天ばかりでは技量が向上しないと考え敢えて決行することにした。光徳温泉に着いたときには晴れていて太郎山が見えたので、この天気がいつまで続くやらと考えながら支度を整えた。

3 光徳温泉 − ハガタテ沢東岸尾根  尾根には危険箇所はない 無雪期のヤブは少なそう  1817付近
 山王林道のゲートに向かう途中で先刻まで青空だったのにもう曇ってしまった。ゲート先からはU字を描くように林道を進み、北向きになると右手に句碑と看板が目につく。ここが現在は禁止になっているハガタテコースの登山口である。ハガタテ沢に向かうトレースを横目にコンパスを真東に設定して東岸尾根の取付きを目指して歩き出した。途中で二本のカントリースキーコースを横切って、カラマツ植林の雪原を進む。多少のうねりはあるが雪が締まっているので気持ちよく歩けた。カラマツ植林から雑木林に抜け出すと先刻から樹林越しに見えていた尾根先端にたどり着いた。尾根先端部は雪が殆どなくミヤコザサが露出している。急勾配だがここを尾根取付きとして登りにかかった。
 低いミヤコザサが寝ていて地東岸尾根の積雪(標高1860)面は凍っているので滑って危険だと思いながら登っている最中に、足を滑らし弁慶の泣き所を打撲し、暫くはしかめっ面。最初はミズナラ林で林床はミヤコザサの急登であったが、勾配が緩やかになるとカラマツ植林に変わり雪も連続になった。後方には戦場ケ原、右後方には男体山が目に入り、障害物のない広い尾根を気持ちよく登る。更に勾配が緩やかになりカラマツからダケカンバに変わると右前方に山頂部にガスを被った小太郎山が見えた。直下で見あげると稜線の勾配はきつそうで登れるかなと不安がよぎる。すぐに針葉樹林に突入すると踝ないし脛までもぐるようになってきた。赤と黄色テープの多い標高点1817でスノーシューを履いて登りに備える。
 尾根筋は広いのでどこでも歩けるが、右(東)手にテープを多く見かけた。コメツガの幼木帯が波状的に現れるのには少々閉口した。今日はアイゼン、手袋予備等雪対策で荷物が多いのでアタックザックを背負ってきた。アタックザックは針葉樹の幼木やシャクナゲ等のヤブが多いところでは上部の袋がひっかかり適さない。積雪で歩行面が無雪期より高くなっているので、お辞儀をしたくらいでは通り抜けられない。仕方なしに枝のないところを求めて右往左往する。スノーシューを履いていることもあって足元が沈まないのが救い。標高が2000メートルを越すとコメツガからシラビソに変わり、標高2090で緩やかな細尾根になりシャクナゲが僅かに雪上に浮き出ていた。ここからは戦場ケ原と白根山方面が展望できたが、残念ながら白根山はガスの中で、結局今日は一度も姿を見せてはくれなかった。この平坦部からひと登りでダケカンバの目立つ山王帽子山から小太郎山への主稜線に出合う。

4 稜線出合 − 小太郎山  坪足のトレースに安堵感  山頂からは曇天にもかかわらず予想外の好展望  小太郎直下の雪庇とトレース
 主稜線には山王帽子山へも小太郎山へも坪足の明瞭なトレースが残っていた。小太郎へは180メートルの登りで迷うような尾根筋ではないが、先刻から雪がチラついているので多少不安を感じていたが、このトレースを追うことで安堵感が生じた。標高2200付近で樹林が切れると、雪が吹きだまっているのか、スノーシューを履いていても時々は脛までもぐることがある。そのうち細尾根となってスノーシューでは不安を感じたのでアイゼンに履き替える。小太郎山頂直下で雪庇が現れ左手には太郎山が姿を見せてくれた。小太郎山からはかなり遠いように感じる。ダケカンバが疎らな両サイドが開けた細尾根は景色がよさそうだが、キョロキョロしている余裕はない。目に入るのはただ坪足のトレース小太郎からの展望だけ。ついに樹木のない小太郎山頂に到達した。先刻までチラついていた雪も今は止み、360度の展望が開けていた。東の男体山、大・小真名子山、女峰山は山頂まで見える。南の中禅寺湖南岸尾根もよく見通しが利く。西の外山付近はよく見えるが白根山はガスの中。北の県境尾根ははっきりしない。登る途中ではこれだけの展望が開けると思ってもいなかったので来てよかった!! 曇ってはいるが風は弱く、すぐに天気が崩れる兆候はない。太郎山への稜線を探ると、小太郎東直下の痩せ尾根に雪庇が発達している。上部に踏跡が見えるが、高所恐怖症の自分には通れないと拒否反応が現れる。太郎山がダメなら山王帽子山経由で下山を考える。登ってきた尾根出合で最終決定ということで下山にかかる。

5 下山  広い尾根で方向がずれて、戻るのに一苦労小太郎東の雪庇
 アイゼンを履いて下ったが、途中からは往路のスノーシューの沈みが如何に少ないか自分の目でよく確認できた。まだ技量不足もあり下りにスノーシューは怖いので着用する気にはならない。古いトレースと往路での自分のトレースに助けられて危険を感ずることもなく、東岸尾根派生点にたどり着いた。12時を過ぎたばかり、山王帽子山経由で下山するのに時間的余裕は充分ある。小太郎山頂では雪は止んでいたが、先刻から再びチラつきだした。空模様や気圧低下(同じ場所での相対高度に変化なし)がないので大崩はなさそうだが、鳥海山での失敗を思い出し無理はせずに往路を引き返すことにした。
 往路のスノーシュートレイルは浅いが充分追うことできた。途中で針葉樹の枝を避けてトレイルから離れて広い尾根を下ってゆく。往路を確実に辿っていると思っていたが、標高2100付近の平坦部を通らないので広い尾根の西に寄りすぎたことを知る。気持ちとしては少しずつ方向を左(東)寄りに戻しているつもりだったが、針葉樹の枝と下り勾配に思ったほどは復帰はやさしくなかった。そのうちに勾配は急になり雪も深くなり、腰まで踏みぬくようになった。こんな時こそスノーシューを履けばよいのだが、すぐに戻れるとばかりに坪足で頑張った。そのまま南南西に下ってハガタテ沢(薙の危険領域より下に)に下ろうかとも思ったが、トラバースしながら正規のルートに戻るのも訓練と、何度も腰まで踏み抜きながら標高1850付近で赤テープそして往路の自分のトレースを見つけて無事ルートに復帰できた。すぐ下の標高点1817で時間をチェックすると往路の登りと同じ時間を要してしまった。チョットした油断で30分以上のロス。踏み抜いたときに勢いで反対側のアイゼンでズボンにかぎ裂きを作ってしまった(左右一度ずつ)。
 標高点1817直下からはカラマツ林を往路の踏跡を辿って気持ちよく下る。最後に雪のないササ斜面を急降下するもアイゼンをつけているのでスリップすることもなく、尾根取付き点に無事下山できた。ハガタテ沢登山口までは往路のトレースが明瞭に残っていたので、これを追うことができた。光徳温泉まで戻っても今日はカントリースキーに興ずる人は皆無であった。先週の火曜日は好天だったので多かったのだが、今日は天気がよくないので避けてしまったか。

6 後記
 山王帽子山〜小太郎山稜線に残っていたトレースは、1月9日に日光〜女峰山・黒岩コースの水場でお遭いした「雪男」さんが昨日(3月5日)歩いた跡であることを掲示板の書き込みで知った。計画通り自分も昨日登っていれば再会できたのに残念なことをした。
HOME
inserted by FC2 system