ひとり山歩き219 : 安蘇沢林道の標高1200から南東尾根に取付き大平山に登り、社山まで尾根伝いに歩き、南尾根を下って足尾銅親水公園まで周回してきました。一部に危険な場所と肩丈の笹薮漕ぎはありましたが、好展望とミヤコザサの尾根歩きを堪能できました。
足尾から大平山(1959)〜社山(1826)周回
2005年11月25日(金) 晴れのち曇り
1 行程
ルートマップ    
自宅(2:45) = 足尾銅親水公園(4:40/4:55) − 淀沢林道分岐(5:55) − 安蘇沢林道分岐(6:15) − 尾根取付き(6:25/6:40) − 三角点1557.2ピーク(8:20) − 1654ピーク(8:55) − 1752コブ(9:20) − 大平山(10:20/10:35) − 黒檜岳分岐(10:55) − 1816ピーク(11:40) − 1792ピーク巻く(12:15) − 社山(12:55/13:15) − 1568ピーク巻く(13:45) − 三角点1182.3ピーク − 下山枝尾根(15:00) − 久蔵沢林道出合(15:25) − 銅親水公園(15:45/15:55) = 自宅(18:00)

2 自宅 − 銅親水公園
 最近は、県北の尾根歩きで藪のために計画通りの歩きができていない。気分転換と自信回復のために藪山でないロングコースを考えてみた。昨年の11月23日にお馴染みの山部さん、ノラさんと重鎮さんが大平山から下山した尾根筋が面白そうなので、この尾根経由で大平山に登り、社山まで尾根を歩き、南尾根を足尾に下るロングコースを計画してみた。問題は大平山に登ろうとしている尾根に嫌いな痩せ尾根、しかも崩壊補修地を通らねばならないことである。この尾根を登りに使えば、危ないと思ったら戻れるので、決行することにした。
 予想タイムは11時間で、今の時期には明るくなってからのスタートでは暗くなってからの帰還となってしまう。尾根取付きまでの安蘇沢林道はよく管理されているので、夜明け前でも充分歩けるので、尾根取付き付近で明るくなるよう調整して家を出た。何度も銅親水公園へは行っているので計画通りに着いた。雲ひとつない星空で半月だが結構明るい。

3 銅親水公園 − 大平山  脆い岩場に閉口したが崩落地は簡単に通過  最初は好展望だが最後は肩丈の笹薮漕ぎ中倉山稜線〜皇海山 (三角点1557付近から)
 公園入口で登山カードを投入して、ゲート脇を通って林道に進む。すぐに仁田元沢林道を左に見送って北進すると、右に久蔵沢林道を分ける。ここは左の安蘇沢沿いに進む。林道はよく管理されているので、ヘッドランプの明かりで危険を感じることなく歩ける。橋を渡るときに自分の正確な位置が分かるし、時々コンパスで進行方向をチェックするだけで安心。スタートして丁度一時間で左に淀沢林道を見送ってヘアピンカーブを折り返す。淀沢側から安蘇沢側を進み右前方にテーブル岩が見えてくると、安蘇沢林道分岐でここを左に進む。この林道を詰めると地形図の終点よりも更に西の標高点1356の先までつながっている。尾根取付きは林道が尾根を横切るところで、左手にネットが張ってある。ここからは南西に中倉山と南に登ってきた沢筋が展望できる。脇目も振らずに歩いてきたので思ったより早くついた。朝食を摂りながら休憩をとる。
 尾根に取り付くと、すぐに鹿防止ネットが張ってある大平山方面を望む (三角点1557付近から)。戸を開けてネット内の踏跡をたどるが、鳴声や糞からして鹿はかなりネット内に侵入しているようだ。数分でネットから外に出ると、草つき尾根の左斜面に袋を被せた植樹を見ながら登る。やがて右斜面も袋をかぶった植樹帯となる。標高1350位になると、植樹帯は終わりダケカンバやシラカンバ疎林帯となる、今まで左手に中倉山を見ていたが、このあたりになると三角錐のオロ山もみえた。標高1450付近で岩が多い細尾根となり、中央突破を試みたが、岩は脆く下は砂地のようで登りづらい。掴まるものは草だけで心もとなく、足場を求めて左往右往する。危険を感じて一旦岩場を下りて様子を窺うと、右端に薄い獣道が見えた。これを追ったらそれほどの危険を感じずに岩場を突破できた。最初にこれに気づけば20分のロスを防げたのに!! 岩場を越すとすぐ上で左から尾根を合わせた。このあたりは樹木もなく全展望だが、目前に“危険箇所”が待っているので景色は後回し。その危険箇所は尾根上から左(西)斜面が崩落していて、補修のために金網を被せモルタルで固めたところである。ここが今日の勝負どころで最悪の場合は引き返すと覚悟してきた。尾根上は細く右下は切れ落ちていて自分のもっとも嫌いなところで、左斜面をトラバースすることにした。金網の目に指を差込み体を確保しながら10メートルほどの危険箇所を渡り終えた。案ずダケカンバとミヤコザサ  (標高1700付近)るよりも生むが易し、それほどの危険を感じなかった。ここよりは脆い岩場の通過の方が怖かった!! 補修地先には左手に巻き道があるが、四等三角点の1557.2ピークに僅かばかり登る。南西に沢入山・オロ山・鋸山・皇海山、北東に男体山の頭・社山、南に備前楯山と展望が素晴らしい。もちろん前方には大平山への稜線を見通せる。この尾根随一の好展望地。
 三角点ピークからの下りになると、下生えは低いミヤコザサとなる。左手のオロ山方面の展望は見えなくなり、右手に大平山から社山への稜線を見ながらダケカンバとミズナラ疎林の笹尾根は気持ちよく登れる。1654ピークは脛程度のミヤコザサで覆われ、鹿の糞だらけで異臭がするので先を急ぐ。左側はカラマツ、右手はダケカンバの疎林で気持ちよく歩いていると、笹が膝ないし腰丈になってきた。標高点1752は小さなコブで笹は薄く右側はこの尾根で初めてコメツガを見る。
 小コブを越すと笹はおおむね胸ないし肩丈となる。笹原のちょっとしたうねりを見つけて追うと、その下には鹿の通り道が隠れているて多少は助けになる。ミヤコザサであるから県北のネマガリダケ、スズタケやクマイザサ藪を漕ぎなれているのでさほど苦痛にはならない。50分ほど胸ないし肩丈の藪を漕ぐと社山方面へと連なる主稜線の1950ピークにたどり着いた。ここからは今までの尾根とは全く異なり、コメツガ林を南西に数分進むと大平山山頂に達した。予想時間に対して20分遅れだ。脆い岩場で梃子摺ってロスした時間に等しい。県北の藪尾根とは異なり予想時間が大幅にずれることがなく助かる。山頂からは中倉山方面が展望できるが、既にガスが出始めている。三角点付近に山名板を6・7枚見かけたが、昨年5月に来たときには4・5枚だったように記憶している。主稜線上のテープ類も増加しているし結構人気のある山のようだ。

4 大平山 − 社山  樹木は疎らな笹尾根でテープ類多く踏跡も明瞭  足尾側と奥日光側に好展望  
 今回と大部分が重なる黒檜岳から社山までは、’01年9月に山歩きを始めて11回目(ひとり山歩き11)に歩いているので参照願う。
 往路を一旦1950ピークまで戻り、右下(南東)に足尾方面を見ながら膝高のミヤコザサを踏んで北東に進み、1954ピークを越すと薄い踏跡に出合う。この辺を黒檜岳分岐と称する。この間を2年前に初めて通ったときには、テープは1・2箇所で見ただけだったが現在は多くなり、踏跡も濃くなったような気がする。
 ここから社山麓までは膝程度の笹の中に踏跡が続いていた、と4年前の記憶がよみがえり、実際に歩いてみると全くその通りであった。ここも4年男体山方面  (1792P付近から)前に比べてテープ類は増えているようだ。最初は樹木が多かったが、すぐにダケカンバが疎らに生えているだけで足尾側の景色が楽しめるのだが、あいにくガスが昇って来た。疲労がたまってきた身にとっては下り勾配が嬉しいが、倒木が笹下に隠れているので注意が必要。最低鞍部付近で右に足尾方面、左に中禅寺湖・男体山方面が見えるようになる。社山はガスに見え隠れしていた。天気予報概況では栃木県北部は晴れだが、メッシュ予報では足尾・日光は曇りになっていた。残念ながらメッシュ予報どおりになってきたようだ。このコースは好天下に展望を楽しみながら笹原を歩くのが最高なのだが。20メートル強登り返すと東西に広がる1816ピークで、奥日光方面の展望は抜群である。
 1816ピークを僅か下ると、方向が東から北東に変わる所に道標が立っていた。緩やかに下って鞍部からは尾根の右下を幾筋もついている鹿道をトラバースする。1792ピークも好展望であることは記憶しているが、鹿に見習って次のピークとの鞍部にショーットカットする。鞍部から20メートルほど登ると1760ピークで、男体山・太郎山・山王帽子山、更に於呂倶羅山・高薙山辺りまで見通せる。
 社山は南東に位置するのだが、一旦次の1750ピークを時計方向に回り込む必要がある。方向を南東に変えてガレた鞍部を通過する際、左前方に中禅寺湖の八丁出島を一瞥する。低いミヤコザサの中の踏跡を更に10分ほど登ってゆくと、コメツガ樹林に突入する。振り返って真っ白な白根山とお別れ。樹林帯はどこを歩いてもよいが、テープ類の付いた踏跡を追う方が楽。コメツガが低くなり岩の間を僅か登ると、社山の南尾根に出合う。ここから2分ほどコメツガ林を東へ進むと社山山頂に着く。男体山・太郎山が見えるだけと思っていたが、高薙山まで見えた。山頂の写真を撮って、見晴らしのよい西側に戻って昼食を摂る。

5 下山(南尾根)  ダケカンバとミヨコザサの気持ちよい歩き  安蘇沢林道と取付き尾根
 昨年の5月に社山南尾根を下っている。特に危険な場所はなく、ダケカンバとミヤコザサの快適な尾根下りができる。ひとり山歩き149を参照願う。
 注意点@標高1280付近で方向が南から南南西に変わる。小さな手書き標識(禁煙標識の裏に)が置いてある。A三角点1182.3(RKさんの標高プレートあり)からカヤの中を50メートルほど下ると、尾根筋が二股に分かれる。左側の尾根筋は見えなくなるが、前方に見える小ピークを目指して左手の尾根を急降下する。B下山地点は標高1020付近に小さなコブがあり左に松の枝尾根が見える。これを下りると急降下で足に負担がかかる。標高点1012まで下ると久蔵雨量観測所があり、順路が示されているのでこれに従うのが一般的。starionさんの「日光稜線紀行」の大平山」〜社山周回を参照するとよい。この順路は前述の枝尾根を三回横切っている。
 標高1250付近で中倉山・沢入山・オロ山、皇海山が展望できた。安蘇沢林道と往路の尾根取付きから三角点峰あたりを間近にできた。久しぶりに計画通りの歩きができた喜びに浸る。標高1020から枝尾根を下りると左下が枝沢でこれを渡ると、すぐに久蔵沢林道に出合い、目の前の橋を渡って20分で銅親水公園に戻れた。全行程10時間50分で計画の11時間にピッタリ一致。久々の計画完遂に気分がよい。これでスランプともお別れだ!! 
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