ひとり山歩き217 : 藤原町中三依の芝草山に登り、県境尾根目指しての尾根歩きは断念して下山しました。その後、見通沢と焼山沢沿いの林道を歩き、東電巡視路を利用して福島県境尾根に登り、高土山(福島)まで巡視路を歩いてきました。標高1000m以下では紅葉が見ごろで、普段の藪漕ぎとは異なるハイキングを楽しみました。
中三依から芝草山(1341)そして高土山(1078、福島)へ
2005年11月10日(木) 晴れ
1 行程
ルートマップ   
自宅(3:00) = 芝草山登山口(中ノ沢林道分岐)(5:00/5:15) − 33号鉄塔(5:45) − 大岩下/上(6:30/6:40) − 芝草山(7:25/7:40) − 北峰(7:55) − 芝草山(8:10) − 大岩上/下(8:35/8:45) − 34号鉄塔(9:05/9:20) − 34号巡視路口(入山沢林道)(9:45) − 登山口(9:55/10:00) = 
見通沢林道口(10:05/10:10) − 見通沢林道ゲート(10:25) − 大高橋(10:50) − 狩宿橋(11:35、途中10分休憩) −  焼山沢林道/松倉沢林道分岐(11:40) − 滝見橋(12:05) −東電90号鉄塔巡視路口(焼山沢林道送電線手前)(12:35/12:40) − 90号鉄塔(13:10/13:15) − 県境尾根出合(13:35) − 89号鉄塔(県境尾根)(13:50) − 高土山・87号鉄塔(14:20/14:30) − 86号鉄塔巡視路口(14::50) − 会津高原駅(15:20/15:38) = 中三依駅(15:54) − 見通沢口(16:15/16:20) = 自宅(18:50)

2 自宅 − 芝草山登山口中三依駅から見る芝草山
 福島県境尾根が白くなる前に、芝草山から県境尾根に抜けて高土山(福島県)まで歩いてみようと考えた。
4月27日に登ったときの記憶では、芝草山山頂までの尾根筋には灌木が少々といった感じで藪山とは思えなかった。といって山頂から県境まで藪が少ないとは思えない。県境までの中間に送電線が尾根上を走っている部分があるので県境まで無理なら、巡視路を利用してエスケープできると考えた。
 このところ時間切れで途中退却が多いので、少しでも時間を稼ぐべく夜明け前に芝草山に登り始めることにした。もちろん登山口は入山沢と中ノ沢の合流点で、国道121号を北上し中三依駅口の先にある橋を渡って、左折して約2kmで登山口の入山沢林道/中ノ沢林道分岐付近に車を駐めた。

3 芝草山  芝草山の北峰で密藪にあっけなくダウン  朝の意気込みは何処へやら紅葉を楽しみながらの下山
 入山沢林道を2・30メートル進むと右側にカーブミラーが設置してあり、ここから東電33号鉄塔巡視路に入ってゆく。松葉の混ざる落葉の積もった巡視路をジグザグに登ってゆくのだが、懐中電灯片手でも危険なところはない。懐中電灯を消灯するとすぐに33号鉄塔に着いた。展望を楽しむにはまだ十分な明るさがないので、そのまま34号巡視路へ進む。
 34号巡視路を数分辿ると右足元に小さな標識と踏跡を見る。ここからは巡視路から分かれて尾根上の登山道とも思える踏跡を進む(将来、地形図に破線表記されても不思議ではない)。尾根筋は単調で、適度にリボン・テープがついているので不安を感じないで歩ける。葉がかなり落ちてしまった広葉樹の間から前方に大岩が見え始まる。大岩の直前で右手の稜線上に太陽が顔を出した。水を飲みながら振り返ってみると高原山が目に付いた。大岩基を左に回りこむと、日向倉山から荒海山が一望できる。荒海山の南斜面は霧氷が発生しているのかかなり白く見えた。 大岩基部の窪みを登るのだが、4月2日に山部さん達によって設置されたロープの助けを借りることになる。数分で大岩上部に上って、景色を見ながら一息入れる。枝に多少邪魔されるが高原山や女峰山あたりを見ることができる。
 1194ピークを越すと、低いミヤコザサが林床となるが登山道は確保されているので全く問題はない。この時期は茶褐色の落葉の中に緑色のイワウチワの葉が目に付く。左手に県境尾根の奥に白くなった会津の山を見ながらブナ疎林を通過すると、最後の急登になる。右から尾根を合わせて緩やかになるとすぐに芝草山山頂に着いた。山頂は狭く、中央に三角点があり、その周りに山部3D、SHCフクミズ(破損)、栃木山紀行等5枚の山名板を見かけた。山頂の笹にはグラニュー糖状の霧氷が付着日光連山(最奥) 明神ケ岳(中央)  (芝草山の北峰から)していた。展望は十分ではないが、安ケ森山から荒海山、女峰山・大真名子山・太郎山、日留賀岳が望める。
 県境尾根目指して、芝草山から数歩北に歩き出しただけで今までのおとなしさが消えて、シャクナゲやクマイザサが現れだした。十数メートル下った鞍部は胸丈のクマイザサが密集していて、霧氷の融けはじめで下半身びしょ濡れになってしまった。更に登りにかかると、笹藪より煩わしい混合藪の出現で足取りは急激に遅くなった。登る途中で樹木が切れて日光連山とその前に明神ケ岳を中心に栗山村の峰々が広がり今日一番の好展望が得られた。北峰の山頂を目指して進むと藪は益々深くなる。北峰の先は急下降で先が見えず。このところスズタケやクマイザサの密藪にウンザリしていたところへ混合藪に嫌気がさしてあっけなくダウン。藪漕ぎを覚悟してきて、こんなにも早く諦めたのは始めて。
 芝草山山頂に戻り、急ぐ必要もないので周辺の紅葉を楽しみながら往路をたどって下山する。大岩を下って標高1050あたりから 派生している尾根に乗り移る。思ったとおり34号鉄塔にたどり着いた。ここからは周辺の稜線の紅葉がよく鑑賞できる。標高1000メートル以下に紅葉ラインは下っているようだ。鉄塔から南西尾根を下り始めると、33号鉄塔は左の標柱を無視して巡視路を下り続けると、34号巡視路口に下山できた。巡視路口のすぐ先で入山沢林道は舗装道となり、入山壮続いて釣堀を見ながら芝草山登山口に戻った。
 まだ10時、地形図なしには他の山に登る気にはなれない。このまま帰宅すると、家には12時過ぎに着いてしまう。かみさんに「病気なの!?」と冷やかされるのが落ちだ。あることを思い出した。これを使えば当初のルートとは異なるが、県境尾根を越して目的の高土山へ行けるぞ!! 行程時間を推測すると夕刻にはここに戻れる!! 

4 見通沢林道 − 焼山沢林道  東電巡視路口を求めて、沢沿いの紅葉を楽しみながら林道歩き  
 車を見通沢林道口付近に駐めて、林道に入る。林道口に「見通沢林道方面は下郷線80−97 入山沢林道方面は下郷線9見通沢右岸の紅葉 (ゲート付近)8−106」の小さな標識がある。これを見て見通沢林道は東電巡視路にも使われているので、管理が行き届いた地形図どおりの林道歩きができると確信する。見通沢沿いの紅葉を楽しみながら、8km強の林道歩きを始める。
 送電線直下の少し手前で舗装道は切れるが、林道はよく管理されていて歩きやすい。送電線の先にゲートがあり、一般車通行止めの標識あるもゲートは開放してあ見通沢林道ゲートった。沢沿いの紅葉を堪能しながら、林道を進む。この林道は勾配が緩やかでザックを背負っているも負荷を感じないで歩けた。
 大高橋、狩宿橋と渡り、林道口から約5kmで右から松倉沢を合わせる。合流点の橋を渡ると焼山沢林道/松倉沢林道分岐となる。右の松倉沢林道を見送って、焼山沢林道へと進む。相変わらず乗用車でも問題なく走れる道路が続き、紅葉も楽しめるので疲れを感じない。今日はいつもの藪漕ぎとは離れてのんびりハイキング気分を満喫。林道分岐から2km弱で左から枝沢を合わせ滝見橋を渡ると、左手に下郷線92、93の黄標柱と巡視路を見る。左を見上げたら芝草山の北稜線上にあると思われる2本の鉄塔が見える。
 巡視路口の1km先の無名橋を右岸から左岸に渡り方向を北から西に変えると、林道の中央部に草がついているが車の走行には全然支障がない。前方に送電線を見ながら歩くと二度目の無名橋を渡って右岸歩きとなる。右手に注意しながら歩くと、黄標柱を対岸に見つけた。近寄ってみると東電下郷線90(数字は消えている)の標柱だ!! これを求めて延々と林道を8km以上も歩いてきたのだ!!  これを辿れば、90号鉄塔ー県境尾根ー89号鉄塔ー高土山へと巡視路歩きができる、と確信した。

5 焼山沢林道 − 県境尾根 − 高土山  林道と東電巡視路をたどりハイキングと紅葉を楽しむ
 東電巡視路はプラスティック階段が要所に設けてあり歩き易い。アスナロの目立つ尾根を急登すること30分で90号鉄塔に登りついた。日留賀岳と高原山が展望できる。目前には県境尾根が迫り、これから進む89号鉄塔も見える。林道のノンビリ歩きから尾根の急登になり、大汗をかいたので水分を十鹿又岳〜日留賀岳  (90号鉄塔から)
分補給して腰をあげる。
 90号鉄塔からも巡視路は続いている。藪漕ぎの心配は全くなく久しぶりのハイキング気分に浸りながら県境を目指す。やがて左から県境尾根を合わせた。3項の最後であることを思い出したと書いたが、それはこの県境尾根出合から南に分かれる巡視路のことである。上野信弥氏の『関東ぐるり一周山歩き」(白山書房)』の「思いがけず日だまりハイク」の項にこの巡視路のことが一行記載されていたことを思い出したのである。記憶のお陰でここまでは楽な歩きができた。
 これから先も高土山まで巡視路歩きが約束されている。巡視路を歩きながら駐車地まで戻る所要時間を計算する。遅くても16時台の電車に乗れば、明るいうちに見通沢林道口まで戻れる、と考えて巡視路を急ぐ。巡視路はよく整備されていて歩き易いが、落葉が堆積しているので何箇所かで注意が必要であった。途中で日留賀岳から鹿又岳あたりが見通せた。鹿又岳中腹の塩那道路に雪がついているように見えた。県境尾根上の89号鉄塔から七ケ岳を見ながら通過する。
 ここから巡視路は県境尾根の北側を巻いて高土山方面に下ってゆく。88号鉄塔への巡視路から分かれて87号鉄塔方面に向かい、途中から緩やかだが登りになると前方に高土山と87号鉄塔が見え出す。最初に5月1日以来の高土山に登り、すぐに下って87号鉄塔で時刻表を調べる。次の電車は会津高原駅発15:38、その次は16:55。先発には苦しいが、後発では待ち時間が多い!! 先発に乗るには1時間しか残っていない。この先は下るだけで危険箇所はない。先発に乗るべく先を急ぐ。
 86号鉄塔からはジグザグの巡視路下りで小走りを混ぜる。大汗をかきながら86号巡視路口に下山できた。この先は平坦路で急ぎに急ぐ。登りでは遅いが、下りではそれなりにスピードが出る。まるで過積載のダンプカーのようだ。下山口から会津高原駅まで約3.5kmを30分で歩き、余裕をもってセーフ。駅舎の中はストーブで暖房しているので、どっと汗が噴出し暫くはとまらなかった。
 中三依駅で電車を降りると正面に芝草山が目に付く。ザックにしまったカメラを取り出して芝草山を写す。まだ明るいうちに駐車地に戻れた。芝草山から高土山への尾根歩きはあっ気なくダウン。その代わり本の一行を覚えていたことで、違った形で高土山まで歩くことができた。今日はよいハイキングができた(当初計画が挫折して半分は負け惜しみ)!! 
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