ひとり山歩き216 : ヨモギ沢左岸尾根から馬老山に登り、尾根伝いに高倉山を目指しました。尾根筋は胸ないし背丈のスズタケ藪で難儀しました。今回は安全を重視して、縦走予定の中間から滝尻沢林道にエスケープしました。
馬老山(1337)〜高倉山(1398)(途中退却)
2005年11月4日(金) 晴れ
1 行程
ルートマップ    
自宅(4:00) = ヨモギ沢出合(県道249)(6:00/6:15) − 尾根合流(標高1100)(7:35) − 馬老山(8:25/8:45) − 1281ピーク(9:25/9:35) − 1230ピーク(10:25/10:35) − 三角点1284.9ピーク(11:40/11:55) − 退却点(1260ピーク)(12:20/12:25) − 滝尻沢林道出合(13:15) − 林道ゲート(13:30/13:40) − ヨモギ沢出合(14:40/14:45) = 自宅(17:05)

2 自宅 − ヨモギ沢出合
 10月29・30日に田代山峠から枯木山を目指した。その際、田代山峠への往復で馬老山が目につき、以前から考えていた馬老山〜高倉山の尾根歩きを実行してみようという気になった。馬老山への取り付きは、その際に話題となったヨモギ沢左岸尾根と決めた。
 霧降有料道路口の200mほど東で県道23号(川俣温泉川治線)から分かれて、県道249号(黒部西川線、先で田代山林道となる)に入って約2km進むとヨモギ沢に出合う。橋手前の左手路肩に車を駐めた。

3 ヨモギ沢出合 − 馬老山  一部急登はあるがやぶはなく歩きやすい尾根  紅葉は盛りだが赤みに欠ける馬老山 (釣堀センター付近から)
 ヨモギ沢左岸の尾根に橋のところから取り付いた。最初は急斜面で落葉と前日の雨で下地がゆるく登るのに難儀した。体重の重い自分にとってはもっとも苦手とするところで、山頂に行くまでにばててしまいそう。20分ほど苦闘すると尾根型も明瞭になり、一息つけるようになった。尾根筋は広葉樹林で紅葉しているが、赤みがないので派手さはない。尾根は時々は緩やかになるが、概して勾配はキツイ。馬老山山頂は左手の枝越しに見えているのだが、反時計方向に回り込むのでなかなか近づかないような気がして余計にくたびれる。
 広葉樹林の尾根上には特別障害になるようなものはないが、落葉と小石で滑りやすい箇所がある。更に登って岩稜帯を通過すると、数本のTVアンテナが設置してあった。更に5分で標高1100で右下からの尾根合流点となる。尾根合流点には黄リボンが下がり、山頂まで何箇所かで見かけた。右下からの尾根筋には踏跡はなく、登る人はいないようだ。
 尾根合流点から向きを北にすると、踝ないし膝程度のミヤコザサの林床となる。このところスズタケやクマイザサで悩まされてたので、低いミヤコザサは快適にさえ感じる。尾根は北西に回りこむように緩やかに登ると、膝程度のミヤコザサで覆われた馬老山山頂に辿りついた。三角点と山部さんの3DプレートとRK氏の山名板が歓迎してくれる。この時期は切り開かれた南西部に丸山・赤薙山・女峰山が見えるだけ。

4 馬老山 − 前倉山   古い仕事道が残っているが、スズタケの密藪で難儀  時間切れを心配して途中でエスケープ
 馬老山から前倉山までは沿面距離は約5.5kmで最高点は前倉山の1398m、最低鞍部は1210mと高低差が少なく、途中に顕著なピークもない。更に尾根筋は単調で鋭い屈曲点がない。見通しがあれば歩きやすい尾根なのだが、樹林で囲まれ更に笹薮で覆われていると現在地が分かりづらくルーファンに意外に梃子摺るタイプの尾根である。笹薮が馬老山山頂程度のミヤコザサであることを祈って出発する。
 山頂からミヤコザサの尾根をほぼ北にに百メートルほど下ると鞍部で、心配していたスズタケがミヤコザサに混ざりだした。女峰山  (馬老山から)道跡らしい抉れた部;分が残っている。葛老山〜高土山までのように山仕事道跡が期待できる。最初のピークへの登りになるとスズタケは肩丈になってしまった。それでも期待通りスズタケの下に獣道とは異なる仕事道の名残りがある。これに助けられるがピーク直下になると道跡は消えてスズタケの海を泳がされる。ピークからの下りでは笹薮がやや薄いところもあるが、ほんの僅かである。この状態はずっと先まで続いた。二つ目のピークが1281ピークだが、樹林と笹薮で展望は全くない。途中でも展望は全くなく、尾根筋に変化もなくただ藪を漕ぐだけの退屈な歩きとなる。唯一慰めてくれるのは樹木の紅葉だが、黄色ないしは鉄さび色ばかりで鮮やかさに欠ける。
 1281ピークからは北西への下りとなる。相変わらず展望はなく、スズタケの藪藪藪また藪・・・さすがに覚悟をして県北部の尾根歩きをしているのだが、食傷気味!? スズタケが直立していてくれれば密でも漕ぎようがあるのだが、道跡の上に倒れこんでいる。小動物に化けて四つんばいになって歩きたくなるが、それは不可能というもの。笹を持ち上げて進むが、腕と肩が疲れて長続きはしない。体重に任せてブルドーザよろしく体全体で押し分けて進むと、道跡から押し出されてしまう。こんなところが今日の行程には何箇所もあった。葛老山〜高土山よりもたちが悪い。仕事道の跡と推定する証拠として、錆びて穴だらけの一斗缶を途中で二つ見かけた。背丈を越す笹スズタケのトンネル (トンエル下に道跡あり)を漕いで小ピークに登ると、道跡は西に向かっている。このままだと枝尾根を下ってしまう。20メートルほど戻ると北へ向かう縦走尾根が見つかった。こちらにも薄いが道跡は残っている。ここが地形図の1230ピークと判断した。
 1230ピークから下ってゆくと道跡は消えてしまった。仕方なく尾根の最高部を歩くが、相変わらず笹薮は深い。鞍部からの登りになると再び発見した道跡にブルーシート、塩ビ波板と空の一升瓶を見つけた。付近で炭焼きでもしていたのかもしれない。三角点ピークになかなか届かない。笹で三角点が隠れていて通り過ぎてしまったのか疑心を抱きだす。このような単調な藪尾根では現在地を見失うと、確定するまでに結構な時間を費やし不安を感じるものである。緩やかに登ってゆくと樹木がなんとなく薄くなったので、ひょとしたら三角点ピークと思ったら、やはりピークの中央に三角点を発見した。北東に明神ケ岳、高土山奥に横瀬山が辛うじて認められた。前倉山までまだ半分の距離に達していない。計画よりかなり遅れている。途中でエスケープがよぎり出す。最終的な判断は次のピークでと昼食を摂る。
 三角点ピークから下ってゆくと、スズタケにミヤコザサが混ざりだした。鞍部からはカラマツ樹林となってミヤコザサで覆われた。今までの藪漕ぎから開放されて登りも楽になった。僅かばかり登った小ピークが1260ピークで退却するとしたら、ここが最終でこの先はエスケープが難しい。縦走尾根の半分の距離は過ぎたが、この先の鞍部からは登り勝手となる上、最後に150メートルの急登が待っている。このミヤコザサが前倉山まで続くことは全く期待できない。前倉山から土呂部牧場には明るいうちに下れる可能性は大きいが、駐車地までは暗闇の舗装道歩きとなる。行きたい気持ちもあるが、葛老山〜高土山のようなこともあるし、ここは安全をとって退却することにした。

5 下山  エスケープの枝尾根は一部に密なスズタケが繁茂するが、単調で安心して下れる
 未だ12時半にもなっていない。退却には早すぎるがこれから先に適当なエスケープルートがないので、後ろ髪を引かれるがしかたない。1260ピークから南西に派生する枝尾根は滝尻沢に落ち込む。カラマツの目立つこの尾根筋は単調で小枝もなく安心して下ることができた。最初はミヤコザサそ紅葉  (滝尻沢林道出合い付近)してスズタケと変化したが主稜線に比べたら天国を歩いているようなもの。両サイドに見える尾根の紅葉が美しい!! 主稜線の広葉樹林は赤味がなく鮮やかさに欠けていたが、両サイドの尾根には適当に赤味が加わり目の保養になる。この時期に山歩きをしているといつも感じるのだが、紅葉は樹林の中で見るよりも近隣の尾根筋のほうがはるかに美しく感激する。
 通常は下るにつれて藪は薄くなるのだが、沢に近づくとスズタケが密になり沢に下りるのに苦労した。沢が近づきスズタケの海になると赤ペンキを塗った樹木を多数見かけた。以前は林業関係者がかなり入っていたことが窺える。枝尾根を下り始めて50分で滝尻沢に下り、その数メートル上で滝尻沢林道(正式名は不明)に出合った。
 林道には草が生え、何箇所かで小さな岩が崩れ落ちていた。路面は荒れていないので歩きやすく、周辺斜面の紅葉を楽しみながら南下すること15分で滝尻沢に架かる橋を渡ると林道口ゲートに無事エスケープできた。登山靴で荷物を背負って舗装道を歩くのは足・腰への負担が大ききくていつも辛い思いをしている。今日はジョッギングシューズをザックに忍ばせていたので、履き替えて県道を249号を駐車地に戻る。ジョッギングシューズは軽くてクッションが効くので快適に歩けた。次からも収納に余裕があれば持参することにしたい。
 紅葉狩りか車の往来は多く、県外ナンバーが結構目立つ。ゲートから1kmも歩くと、釣堀センターがあり、平日にもかかわらず釣り人は多い。釣堀センター越しに紅葉に染まった馬老山を写真に収める。ヨゴミ沢を渡ると、左手の斜面に明瞭な踏跡を見かけた。ここから馬老山の南南西尾根を辿れるのかもしれない。最後に大笹山や女峰山を見ながら急降下するとヨモギ沢出合の駐車地にもどった。
 今日は途中エスケープで、帰路につくのが15時前と早い。南平山から大日向山を目指す際、南平山の南稜から田茂沢にエスケープもありうる。沢の様子を探るべく田茂沢林道に入ろうとしたが、あいにく田茂沢トンネル付近は工事で交通規制していたので、トンネル出口で右折して林道に入れなかった。いつものようにぶっつけ本番で行くしかないと諦める。 
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