ひとり山歩き214 : 栗山村の葛老山から高土山まで尾根を歩いてきました。尾根筋は殆どがスズタケで覆われ強烈なヤブ漕ぎを強いられます。この時期は樹木は葉がついているので展望は限られていました。葉はやっと色づき始めたところです。最後にルートミスにより暗闇での下山となりました。
葛老山(1123.7)〜高土山(1128)
2005年10月20日(木) 晴れ
1 行程
ルートマップ  (地形図 : 五十里湖、川治 各1/25000)  
自宅(3:10) = バス停上野(西川葛老林道口)(5:00/5:20) − 尾根取付き(5:50) − 葛老山(7:10/7:20) − 953ピーク(8:45、30minロス) − 1124ピーク巻き道通過(10:25) − 1177ピーク尾根分岐(11:10/11:20) − 1059ピーク(12:15) − 三角点1220.0ピーク(高山)(14:10/14:20) − 1200ピーク(15:05) − シャクナゲピーク(17:40/17:50、2hrロス) − 高土山(18:45/19:10) − 126号鉄塔(20:25/20:55) − 126号巡視路口(21:30) − 上野バス停(22:35/22:45) = 自宅(0:30)

2 自宅 − 上野バス停
 前回の安戸山〜弥太郎山の尾根歩きで脚力の回復に自信が持てたので、以前から考えていた栗山村の葛老山から高土山まで尾根歩きを計画した。今回のコースは尾根筋が複雑でササヤブも予想されたので、エスケープルートと緊急のビバーク含みで準備した。
 下山ルートは登った経験のある高土山サイドとした。 葛老山に登るには、県道249号の上野バス停から西川葛老林道に入り、栗山村営住宅西川付近とした。下山後の舗装道歩きを考慮して、車は野岩鉄道湯西川温泉駅から約1km県道を西に進んだ上野バス停付近とした。

3 上野バス停 − 葛老山  踏跡はないが容易に登れる
 登山口の栗山村営住宅西川目指して県道に入る。月明かりで照明は不要。県道249の新道(湯西川ダム建設のため敷設工事中)を横断して、林道を進むと途中で送電線下を通過し左にダム工事事務所を見ながら進む。更に林道を進み栗山村営住宅西川の先で林道は細くなる。住宅から5分ほど進むと左手にリボン等のマークと踏跡が見える。20メートル先で林道は崩壊しているので、ここを尾根取付きとする。
 杉植林の斜面を数分登ると南に向かう尾根上に出る。尾根筋は杉植林で林床は低いミヤコザサで歩きやすい。標高が930位からは広葉樹林となる。葉はやっと色づき始めたばかりで、もちろん展望は期待できない。急登を続けると標高1080付近で左から尾根を合わせると、腰高のミヤコザサが一面に生えている。赤テープを追うように数分間、笹を掻き分けて踏跡を追うと葛老山の山頂に達した。
 山頂はミズナラ樹林で腰高のミヤコザサで覆われ、樹木に葉のついている時期には展望は期待できない。三角点と山部3D、栃木の山紀行等三枚の山名板が見られる。

4 葛老山 − 三角点1220峰(高山)  深いスズタケの連続  尾根筋は複雑  古い踏跡がかなりの部分に残っていた
 膝高のミヤコザサの間を北西に下ってゆくと、正面にこれから進む稜線の一部と明神ケ岳が枝越しに窺えた。左下の八汐湖は全然見えない。途中でスズタケケとミヤコザサが交互にあらわれる。下るにつれてスズタケは高くなるが特別歩きづらいと言うほどではない。標高1000位から方向を北西に変えて下り続ける。背丈のスズタケの中の薄い踏跡を追う。最低鞍部付近で「慌て者のミス」で953ピークと勘違いして小枝を下って30分のロス。元に戻って背丈のスズタケの中を登り返すと、樹木に図根点見出標と標柱を見る。ここが953ピークで背丈のミズナラの中。
 953ピークからは隣の1124ピークがピラミッドのように見える。事前にYoshiさんから情報を頂いていたので覚悟を決めて深いスズタケの中を方向を変えて南に下る。最低鞍部手前で、数日前にYoshiさんが八汐湖側から登りついた小ピークを認識しながら、登りへと心を切り替える。枝の切れ間から時々北西に三角点峰(高山)が見える。山腹はやっと色づき始めたところだ。更に進むと北西直下に工事現場(採石場かも)と林道が見えた。万一の場合はこの林道(オクダブリ沢沿い)へエスケープするつもりで考えていた。地形図で実線なの大丈夫とは思っていたが、現物を見て安心して先に進めた。更に進むと尾根の右手にトラバース道が残っている。今は人が入らないので大部分はスズタケに覆われている。葛老山からずっと人為的な踏跡を感じていたが、このトラバース道を見て昔の山仕事でできた道筋と感じた(この道筋は途切れえ途切れになるが、三角点峰(高山)まで続いていた)。急峻で心配していた1124ピークはトラバースで通過してしまった。葛老山山頂
 次の1177ピークへもトラバース道を追うことができた。スズタケは相変わらず背丈ほどあるが下に踏跡があるとなしでは苦労の度合いが全然異なる。Yoshiさんの報告でスズタケは深いと思っていたが、予想以上で途切れることはない。このトラバースがなければギブアップしていたかも知れない。1177ピーク手前尾根分岐での乗換えが分かりづらい。時間も計画よりは一時間以上遅れているので、先に進むかオクダブリ沢林道へエスケープするかエネルギーを補給しながら考慮する。高土山からルートは経験があるのと人為的な踏跡は更に続くと考えて進むことにした。ここと決めて下ってみると、うまく尾根の乗換えができた。 心配していた細尾根の下りも踏跡を追うことで難なく下れた。鞍部付近で右後方からトラバース道を合わせた。地形図にない小ピークをいくつか越すと標石のある1059ピークに到着した。
 1059ピークからは北に一旦下って登り返して、向きを西に変えて登りとなるがこのあたりの地形が複雑で分かりづらい。鞍部で20分ほどロスしてしまった。うまく尾根に乗ると時々は例の踏跡を追うことができた。相変わらずスズタケは深く、今日ほど連続してスズタケ藪を潜ったことはない。今日はマダニにやられるかと思ったが、幸い姿も見なかった(というよりは、喰われたら喰われた時よ、と思っているのでいまだにマダニの姿を見たことがない)。方向変換点の1077ピークからは北北西の間近に三角点峰が見える。このピークはピラミッド状でよく目立つ。計画より益々遅れる。先を急がねばと北に向かう。スズタケの中に踏跡が残っているので思ったよりはかどった。だんだん勾配がきつくなり、呼吸が荒くなると幸いにも笹が切れて薄いブッシュとなり両手を使えたので、若干時間を短縮できた。標石が見えたので三角点峰(高山)にたどり着いた、とザックをおろして一休み。標石は三角点ではなく手前の小ピークと判明した。急いでザックを担いで、すぐ先の三角点峰(高山)に5分ほどでたどり着いた。樹木の切れ間から高原山が見えるだけだが、葉の落ちた時期には展望はよさそう。宇都宮山の会の鈴木隆氏が2002年3月17日に登ったときに、見たという「高山」の山名板は見つからなかった(探している余裕はなかった)。三角点峰から北に例の踏跡が続いているようだ。興味はあるがこの時間から未知ルートに入るわけには行かない。西隣の1200ピークまでは3時間で登っているので、疲れを考慮してもここから3時間で下れる。何とか明るいうちに下山できそうだ、と自分自身を奮い立たせる。

5 三角点峰(高山) − 高土山  途中でルートミス  尾根筋に復帰したときに暗闇となる1124ピーク付近の巻き道跡
 隣の1200ピークまでは300メートルあまり、30分でたどり着くと思ったが、今日のコースで一番笹薮が深く、思ったより梃子摺ってしまった。見覚えのある1200ピークにたどり着いたときはまだ15時でここから先は一度通っていると安堵する(5月16日に高土山〜明神ケ岳・・・ひとり山歩き201)
 1200ピークから5分下ると、明神ケ岳への分岐となる小ピークに目印のbQ0境界杭と標石を見て安心して下る。地形図も確認せずドンドン下る。かなり下ってから右手に高い尾根筋が見えた。どこでどう間違えたか小枝を下ってしまったのだ。この時点で戻れば30分程度のロスで済んだのであろうが、体も疲れているが頭も疲れている。正常横瀬山方面 (1177P付近から)な判断をせずに下り続ける。勾配がきつくなり暗くなってから未知の尾根筋を進むのは危険と、考え直した。戻るには下りすぎた。隣の尾根に小枝が見えたので、谷渡りをして急斜面に取付いた。急勾配に加えて斜面はスリップしやすい。両手を使わないと登れない。尾根上に戻るまでに暗くなることが予想されたので、早めにヘッドランプを装着した。高土山の南隣の小ピーク(シャクナゲピーク・・・尾根筋で唯一シャクナゲが繁茂)と判断した。気がつくとヘッドランプが藪に取られてしまった(未点灯で気づかなかった)。懐中電灯片手では急斜面は登れない。なんとしても明るいうちにピーク上にとあせるが、息が切れて休み休みの登りとなる。滑り込みセーフで何とか明るいうちにピーク上に達した。やはりシャクナゲピークであった。前回はここで一休みしながら白根山〜女峰山を楽三角点峰付近の紅葉しんだことを思い出す。それに比べ今は奈落の底。懐中電灯を取り出し、更に予備の懐中電灯と電池をウエストポーチにしまい込み立ち上がったときにはもう闇の中であった。2時間はロスしてしまった。急がば廻れ通り、間違いに気づいたときに戻ればよかった。性格的に猪突猛進の気があるのは自分でも分かっているのだが、この歳になっても直らないようだ。もっとも性格がころころ変わるようでは、たいした人間にはなれない????
 懐中電灯頼りに途中で大岩を右に巻いたりしながら鞍部に下り、登り返しはスズタケのやぶ漕ぎとなる。片手しか使えないので登りはきついが、何度も休みながら登りつめると真っ先に山部さんの3Dプレートが懐中電灯に映った。高土山の頂上にたどり着き、地べたに座り込んでしまった。そのとき運悪く懐中電灯が樹木にあたり先端のプラスティック部分が破損してしまった。予備の懐中電灯をウエストポーチにしまっておいて助かった。暫くは座り込み疲れを回復させた。念のためにと家に電話してみたらつながった。これで気分的にぐっと楽になった。行けるところまで行ってみよう。だめなら野宿よ、と決めて重い腰を上げる。

6 高土山 − 駐車地  暗闇での藪山下山は初めて  一度通っているのでなんとか下りられた
 暗闇ので黒檜岳から登山道を下った経験はあるが、道のない藪山を下るのは初めて。獣道を追うのだが、あちこちに走っているので尾根筋を外さないように下るのは結構神経を使う。暫くは北に笹薮の中を下るのに時間を要したが、北西尾根に乗るとそれほどの苦労は要しなかった。体力は消耗してしまったので途中で何回も休憩をとる。問題は水が500ccしか残って高土山の山名板いないことだ。口に含む程度で我慢する。前方にガードレールが見えて、見覚えのある木梯子を下ると廃林道であった。林道を横断してすぐ先の126号鉄塔に進んだ。この先は東電の巡視路があるのでもう問題はない。駐車地に戻るには更に1時間半要するので、鉄塔下に座り込んで休憩をとる。現金なもので先が読めると余裕ができて明神ケ岳のシルエットを楽しむことができた。
 東電巡視路には擬木の階段が要所に敷設してあるので、転倒しないように休み休み下る。途中で懐中電灯(百円ショップで購入)が暗くなり、すぐに消えてしまった。ランプ切れでないことを祈りながら電池を交換すると再点灯できた。いくら巡視路であっても暗闇では下れない。祈りながら下ると下方に自動車のヘッドライトが見えるようになり、126号巡視路口に無事下りられた。
 駐車地まで5km弱を月明かりを頼りに県道249号を戻る。途中で自動車が何台も追い越していったが、登山帰りの人以外は便乗させてくれないことを知っているのであてにしない。駐車地に戻り自分の車を見たときには、正直言ってほっとした。1km先の湯西川温泉駅でソフトドリンクを飲んで生き返った。自宅に戻ったのは零時半で山行で始めての午前様。
 予想以上の笹薮と複雑な尾根筋で思ったより時間がかかってしまった。ルート設定にも若干問題があったが、今日の最大の問題点は「急がば廻れ」ができなかったこと。反省の多い一日だった(そのうちまた忘れてしまうかナ!!!!・・・性格なんて簡単に変わらないもの???)。
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