ひとり山歩き209 : 病気による2ケ月のブランク後の脚力強化の一環として菅沼から弥陀ケ池、白根山、五色沼、弥陀ケ池を周回してきました。思ったよりは体力が残っていたので、白檜岳直下の窪地まで脚を伸ばし、更に白根隠山の西斜面をよじ登りました。好天で白根山、白根隠山山頂からの展望を満喫しました。脚力は衰えていましたが、山を歩く喜びに浸ることができました。
菅沼から白根山(2578m)〜窪地(2200m)〜白根隠(2410m)
2005年8月29日(月) 晴れ
1 行程
ルートマップ (地形図 : 男体山 1/25000)  
自宅(2:45) = 菅沼登山口(4:50/4:55) − 弥陀ケ池(6:30/6:40) − 奥白根山(7:50/8:15) − 県境分岐(8:30/8:45) − 避難小屋分岐(奥白根平)(9:25) − 窪地(9:40/9:50) − 白根隠山(10:40/11:10) − 避難小屋(11:55) − 五色沼(12:05) − 弥陀ケ池(12:40) − 菅沼登山口(14:15/14:25) = 自宅(16:55)

2 自宅 − 菅沼登山口
 6月末に帯状疱疹に罹り治療を続けた結果、痛みもかなり和らいできた。完治には更に時間がかかりそうである。気分転換に山歩きを始めた方がよい、との医師の助言に従って山に戻ることにした。2ケ月のブランクで衰えた脚力回復トレーニングの一環として菅沼から弥陀ケ池・奥白根山・五色沼・弥陀ケ池・菅沼の周回を計画した。
 29日は好天が予想されたので、前日に久しぶりに洗車をし準備をして就寝した。例によって早起きをして天候をWebでチェックした。奥日光の雨は上がりつつあり、大丈夫と判断して、最終準備をして出発した。途中で何度か小雨に見舞われたが、イロハ坂上り口で空模様をチェックしたら星空になっていたので意を強くして菅沼に向かう。菅沼登山口に着いたときには既に3台駐まっていた。

3 菅沼 − 奥白根山  ケ月のブランクで脚力に衰え  山頂からの素晴らしい眺望に感激
 水戸市から見えたご夫婦と挨拶を交わしながら登山道に向かう。林道はずれの案内板手前で先行する。すぐに樹林の山道に突入。靴底から伝わる登山道の感触はまだ忘れてはいない。特別にゆっくり歩いているつもりはないが、通常のペースよりは遅いようだ。そんな歩き方でも20分も歩くと太腿に張りを感じる。山頂まで行けるかと心配になるが、やがて大腿の張りは消えても足取りは重い。脚の筋肉痛よりは心配していた背中から胸にかけての痛みは全く感じない。帯状疱疹の痛みはじっとしていた方が感じるようである。医師の助言が理解できる。(山歩きの間は言うに及ばず往復の車の運転中も痛みは皆無に近かった。)燧ケ岳(奥) 四郎岳〜燕巣山(中列)  白根山頂から
 菅沼から弥陀ケ池の間は何度か通った道なので案内的なことは省略する。この間は展望は期待できないが、標高2000付近で後方に湯泉ケ岳が見えたのと途中で五色山から金精山への稜線を枝越しに感じながら確実に高度を上げた。菅沼ー弥陀ケ池間は95分も要してしまった。4年前に山歩きを始めたばかりで、息が上がり休み休み登ったときでも85分しかかかっていない。2ケ月ほどろくな運動もせずに家でごろごろしていた付けが回ってきたようだ。弥陀ケ池に着き、前方に白根山のドームを見たときには久しぶりに感激した。
 座禅山の南側を巻いて山頂を目指すと、すぐ先に座禅山・丸沼高原の道標を見る。道標の傍に寄って見ると立派な登山道が座禅山に向かっているではないか!? 座禅山はヤブ山と聞いていたが登山道(山頂まで続くかは未確認)まで整備されてもはやヤブ山ではない。いつの日にかは登ってみようと思っていたが興味を失う。ダケカンバの疎林を15分ほど登ると森林限界に達する。振り向いてみると燧ケ岳と手前に四郎山から燕巣山がくっきり見える。更には鬼怒沼・黒岩山へと連なる稜線を見てまたまた感激。写真を撮っていると大きなザックを背負った人が下ってきた。すでにひとりの女性が山頂に向かっているとのことであった。
 真上にドームを見ながらガレ場を急登するのだが、脚が思うように動かない。振り返っては景色を眺める時間が増える。4年前に岩場で恐ろしくなって脚をすくませながら登ったときでも弥陀ケ池から山頂まで70分だったが、今回も70分要している。高齢になると怪我や病気で体を動かさないと足腰の衰えは急速であることを実感する。どうにか北峰に登りついた。白根山の山頂は無人だった。先行の女性は既に下ってしまったようだ。
 雲ひとつなく360度のパノラマが広がっている。白根山は今回が五回目だが、いづれも好天で大パノラマが楽しめるというジンクスは今回も保たれた。病み上がりの再出発にはまさにふさわしい展望だ。回を重ねるにつれてあちこちの山を歩いているので山座同定も容易だ。皇海山の右肩の上に富士山がかすかに見える。噴煙の浅間山も見える。過去には気づかなかった鬼怒沼も明瞭だ。日光側が逆光でいまいちなのはやむを得ない。遠方の地図を持参しなかったので間違いかもしれないが磐梯山らしい山も確認できた。この景色を見て脚の疲れも取れたし、宇都宮市からの単独行者が登ってきたのを機に下山にかかる。

4 奥白根山 − 奥白根平 − 窪地  草付の谷間には二つの窪地あり ハンゴウソウがいっぱい窪地(手前が第一、奥が第二)
 山頂直下の白根神社の手前にも座禅山の道標があった(過去の山行ではこのあたりの道標は気にもしていなかった)。これで座禅山は自分の山行予定リストからは消滅。山頂直下の平な噴火口跡の南側に進むと白錫尾根がより姿を現す。登山道が東から南に変わると避難小屋の道標があり、登山道は再び東に向かう。このあたりが県境との分岐で道標からまっすぐ南に下ると県境に沿って白檜岳(2394ピーク)に達する。山頂でしばらく休んだら疲れも回復したので、県境に沿って白檜岳まで行ってみようかと稜線を観察する。県境分岐の先が急勾配で見通せないが、その先は視野に入る。直下の急勾配を越せれば何とかなりそう。だが待てよ!! 今日は病み上がり自重自重とブレーキがかかる。
 当初計画どおり避難小屋・五色沼・経由で戻ることにして、ザレた登山道を下る。今までもあちこちで見かけたが南面はハンゴウソウが特に多い。県境分岐から150mほど下るとダケカンバ樹林に入る。岩の多い登山道を更に100mほど下ると、谷間の平坦地で奥白根平にたどり着いた。ここを左に進むと避難小屋だが、右手は平らな草原が続きその先には窪地がある。ここは窪地まで行ってみよう。
 避難小屋分岐から小石混ざりの平らな草原を南西に数分進むと、最初の窪地が現れる。40m程下には平らな窪地が広がる。ハンゴウソウをかき分けて窪地に下る。窪地の底の大部分は土が露出していた。更に窪地を進むと20mほど低い第二の窪地が現れる。底は草付だが正面の斜面はかなり荒れている。奥白根平から窪地はこの時期はハンゴウソウが見られるだけで、尾根屋の自分にとっては感激するような場所ではない。両サイドの斜面はダケカンバで谷底は草付なので秋にはよいかもしれないが。
 このまま戻るには、未だ早すぎる。白檜岳か白根隠山に登ってみようと、ルートを探す。錫ケ岳に行くのに第二の窪地から白檜岳に登る人がいるらしい。登るのは難しくはなさそうだが、白檜岳に登っても展望は得られないし、今日は白根隠山に登って景色を楽しむことにした。

5 窪地 − 白根隠山白根隠山から第二窪地を覗く  小枝尾根に取付く、藪は少なく難しくはない  山頂からの展望は白根山頂に劣らない
 第一窪地と第二窪地との間に小さな尾根が見られる。地形図で調べると山頂付近では尾根は消えてしまうが、斜面の勾配はそれほど急でないので、この突起に取付くことにした。針葉樹とシャクナゲのヤブを漕いで尾根上に登ると、矮小なシャクナゲが断続的に現れるが、難儀するほどのものではない。やがてダケカンバ林になり、地形図では見えないが低い尾根型は続き、たいした苦労もなく白錫尾根に登れた。辿り着いたところは白根隠山山頂のほんの僅か北の小ケルンのあるところであった。ものの一分で白根隠山の山頂に達した。ケルンに取付けてあった山部さんの山名板がない!! ケルン最上部の岩がない点より判断して山名板は飛ばされてしまったようだ。その代わり小さな山名板がケルン最上部に乗せてあった。
 白根隠山は今回が4回目だが、いつもはガス模様で展望を楽しむことはできなかった。今日は360度の展望が得られる。白根山の山頂に比べたら展望では劣るが、平らな草付の白根隠山は人がいないのでノンビリと過ごすには申し分ない。ここから見る白錫尾根と中禅寺湖南岸尾根、男体山と中禅寺湖はお気に入りだ。

6 白根隠山 − 弥陀隠山北峰から白根山ドームを撮るケ池 − 菅沼  脚力の衰えにショック  帯状疱疹の痛みは全く感じなかった
 白錫尾根を歩くのはほぼ2年ぶり、隠山から前白根山までは樹木が少なく展望がよい。前白根山の南斜面と隠山北峰(2385ピーク)の西斜面の崩壊が痛々しい。燧ケ岳や男体山と中禅寺湖を眺めながら歩いていると、気分は爽快になる、まさに至福の時だ。。錫ケ岳に行くのに先刻の窪地から白檜岳に登る人は、ほんの30分程度の時間短縮のためにこの展望を犠牲にしておられる。ひとはそれぞれ自分の流儀があるから自分勝手な考えは失礼か。
 白根隠山、北峰(2386)とその先の2360ピークはいずれも南側は樹木がなく北側はダケカンバ疎林になっていて趣がある。例のツギハギ(?)の観測小屋周りはハンゴウソウが特に目立つ。前白根山分岐から避難小屋に下り、更に五色沼へと下る。五色沼では前方に数人の姿が認められた。服装から判断して女性が多いようだ。どこかで追いつくかとも思ったがその後姿は見かけなかった。それよりも岸辺で昼食を摂っていた男性に弥陀ケ池手前であっさり追い越されてしまった。癪だが今の自分の脚力ではどうしようもない。五色沼から弥陀ケ池への100m程の登りが堪えた。だんだん足取りが重くなりヨロヨロ歩きとなる。
 弥陀ケ池にたどり着くと、二人組が白根山から下ってきた。この二人連れに追い越されないように先を急ぐ。足取りはますます重くなってくる。段差が特に堪える。無事に登山口に戻れたが、隠山から3時間要した。3年前に錫ケ岳からの復路では2時間半だった。ラップタイムから見ても脚力の衰えは明らかだが、翌日には太腿に筋肉痛があらわれた。筋肉痛なんて山歩きを始めたころ以来だ。予想していたことではあるが脚力の衰えにショックを感じる。その反面、帯状疱疹からくる痛みは全く感じなかった。万一神経痛として残っても、何かに熱中すれば痛みを感じなことが分かったの今日の大収穫!! 
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