ひとり山歩き207(今回はパーティ) : 山部さんとノラさんの高薙山山行に加えていただきました。西沢金山跡から北東尾根で高薙山に登り、南東尾根を下って西沢金山跡に戻る周回コースを取りました。往路の北東尾根はやせ尾根の急登はありますが藪はほとんどなく、迷うところもなく高薙山に登る諸ルートに比べ難度は低いようです。復路の南東尾根は急下降でヤブが深く尾根筋も不明瞭です。ピストンは別として周回の場合には避けたほうが無難です。
西沢金山跡から高薙山(2180.7)周回
−北東尾根から南東尾根へ−
2005年6月25日(土) 晴れ/曇り
1 行程    同行者 : 山部さんとノラさん
ルートマップ (地形図 : 川俣温泉、男体山 各1/25000)   
自宅(5:10) = 西沢金山跡(西沢橋)(6:55/7:15) − 1753ピーク(8:20/8:35) − 1772ピーク(8:55) − 北東峰(2150ピーク)(10:55/11:10) − 高薙山(11:25/12:00) − 展望岩(標高2130付近)(12:15/12:20) − 展望岩(標高1900付近)(13:15) − 第二1670ピーク(14:30) − 西沢左俣出合(標高1590)(14:35)/14:45) − 第二1670ピーク復帰(15:00) − 第一1670ピーク(15:20) − 西沢左俣出合(ゆかわばし付近)(16:00) − 西沢橋(16:05) = 自宅(19:00)

2 自宅 − 西沢金山跡
 昨年9月18日に、掲示板でお馴染みのsatoさんが西沢金山跡から南東尾根経由で高薙山をピストンした、との報を聞いてこのルートに興味を抱いていた。山部さんとノラさんがsatoルートを登るということを知って、同行させてもらうことにした。
 梅雨に入りなかなか山行のタイミングがとれなかったが、天気予報等を考慮して前日に急遽決定した。今回も山部さんに同乗させていただく。ノラさんとは初対面だが、掲示板を通じてよく知っているので、挨拶を交わした途端に話が弾む。山の話が弾みあっという間に山王林道に入る。途中で三岳の幻の岩峰の展望スポットや高薙山展望のベストスポットを山部さんから教えていただく。西沢の左俣に架かる「ゆかわばし」を通過し、150メートルほど先の右俣に架かる西沢橋を渡って車を駐める。

3 西沢金山跡 − 北東尾根 − 高薙山  急勾配のやせ尾根あるもヤブは少なく難度はそれほど高くな…でもだれでも登れる山ではない!!
 高原山探訪のYoshiさんが5月21日にsatoルートをピストンして詳細な報告がなされている。satoルートの様子が分かったので、往路は北東尾根を辿ってみようとの提案が山部さんよりあった。自分としても北東尾根については予ねてから興味を抱いていたし、主稜線歩きは最も好むところで諸手を挙げて賛成する。単独で北東尾根を登る計画を持っていたので、事前にシミュレーションをしていた。西沢橋から800mほど北東から尾根に取付くと考えていたがノラさんと山部さん (1753P)、山部さんは駐車地から直ちに取付く案を披露してくれた。山部さんも事前シミュレーションをしてきたことを知る。自分は途中のやせ尾根のヤブを心配すると、山部さんは樹木が茂っているのでヤブはたいしたことはないのではと推測。山部説が当たってくれることを祈って出発する。
 西沢右股の左岸を4分ほど遡って右手の斜面に取付く。コメツガ林の滑りやすい斜面を北東に十数分トラバースし、1753ピークに向かう枝尾根に乗った。コメツガ林の膝程度の笹尾根を登ると、すぐに左手(南西)が開けて金田峠付近の稜線を見て、西〜北西に戻るように尾根を進む。矮小なシャクナゲが申し訳なさそうに姿を現すが、藪が殆んどなくて拍子抜けする。腰ないし膝高の笹を少しばかり漕ぐと、1753ピーに達した。頂はコメツガに覆われていて展望は全くないが、石標が認められた。太郎山(左)と於呂倶羅山  (標高1900付近から)
 このピークからは主稜線を北東に向かうことになる。先ずは膝高の笹を漕いで鞍部に下るのだが、幅が広く前方の尾根筋が見えないので多少注意が必要である。磁石で方向を合わせればそれほど難しくはない。鞍部まで下ると尾根筋が明瞭になり、ピンクリボンが目に付きだす。このピンクリボンは高薙山まで続いていた。このピンクリボンは鞍部から南に派生する枝尾根を登ってきたのか、北東尾根はずっと下から登ってきたのかは確認できなかった。連続したマーキングとかん木の鉈払いからして測量関係者がつけたものと推定する。
 
尾根筋はやや狭くなりシャクナゲが多少姿を現すが、ヤブ漕ぎという感じはない。1772ピークはなだらかにアップダウンしている。先の鞍部の左下は薙となっている。金田峠付近の稜線が窺える。標高1800付近になると尾根筋は細くなり勾配もも急になる。シャクナゲ藪が断続して現れるが、苦労して漕ぐというほどの藪ではない。自分にとっては倒木のほうが嫌らしい。やせ尾根は足場は必ずしもよくはないが、藪で苦労するほどではない。樹木に覆われているので藪が少ないという、山部さんの考えがあたっているようだ。標高1950付近で倒木と針葉樹の幼木がややうるさかった程度で済んだ。
 標高が2000を越すとコメツガからシラビソに変わり、勾配も緩やかになってきた。どうやら難所を乗り切ったようだ。山部さんの後を追って歩いたが、時々調整はしてくれるが、普段のひとり歩きのペースよりは早くバテ気味なときもあった。ノラさんが後ろから「少し休みましょう」と声をかけてくれた。今日の速度は自分の限界に近い。単独行動していると地形図を必要以上に見ては休むデレデレ歩きだから12時間程度歩いてもどうということはない。今日高薙山頂にては気温が高いということもあるが、それ以上に発汗している。でも心地よい汗である。たまには早く歩く訓練も必要なことを知る。シラビソ林になっても倒木は多い。先刻から前方にチラチラしていた北東峰(2150ピーク)に到着した。高薙山は鞍部を挟んですぐ先に見える。その右に白根山と根名草山もみえる。satoルートの南東尾根も目前にある。樹林の中の狭い頂からはそれ以外の展望はないと諦めかけたら、山部さんが会津の山が見えると知らせてくれた。燧ケ岳、会駒、台倉高山県境尾根も見える。最前列には昨年失敗した根名草山〜手白山稜線が迫っている。大嵐山斜面から手白山への稜線に乗るのは難しそうだ。今年は大嵐山から下るつもりだったが、昨年同様手白山から攻め上がるかじっくり考えねばならないぞ!! 残念だが日光の山は霞んでいた。
 北東峰からは左手を巻くように進む。例のピンクリボンは結局高薙山まで導いてくれた。然したる藪漕ぎの苦労もなくとうとう高薙山山頂についてしまった。この尾根はある意味で拍子抜け、別の意味では掘り出し物だ。高薙山に夏場に藪の心配をせずに登れるとは思ってもいなかった。前回は昨年の4月30日に於呂倶羅山から残雪を利用してい登ってきたが、山頂の藪は想像していたよりもはるかに少なかった。北側と西側は密藪で夏場にここを突破するのは苦労するだろう。西側ではシャクナゲがちょうど花盛りであった。
 三角点を挟んで5枚の山名板が掛かっているが、昨年の4月と全然変わっていなかった(山部3Dプレート、達筆、Aki山、古賀志山歩会とKUMOまがい)。山頂は樹林のなかで展望は期待できない。2150ピークで楽しんできたので満足。

4 下山(satoルート=南東尾根) 藪は深く尾根筋は明瞭でない  初めて通る場合は下山ルートにはしないほうが無難
 
金田峠経由で西沢金山跡に下る考えもあったが、このルートは時間がかかりそう。きょうの発雷指数は7( http://weathernews.jp/cww/docs/thunder/thunder_index.html  )で、雷を伴う夕立の可能性が高いので中止する。satoルートに敬意を表してこれを下ることにした。
 ミヤコザサの斜面を南東にくだる。少し下ると尾根に乗ったことは分かるが、針葉樹が密で進路が読みにくい。太郎山を第二展望岩にて目標に下ってくると、大岩が突然現れる。これが第二展望岩で太郎山方面が展望できる。日光の山は見慣れているので嫌いな岩上はパス。岩上の山部さんとノラさんとを写真に収める。大岩付近はシャクナゲヤブが出現する。シャクナゲに加えてシラビソ藪もうるさくなってきた。尾根をはずさないように山部さんはドンドン下り、自分は後を追うだけ。時々後ろからノラさんが「もう少し左!!」とコントロールしてくれる。単独行だったら、下るのを躊躇するようなルートだ。こんなルートに目をつけて事前予告どおりピストンしたsatoさんに敬意を払う。また、そのルートを短時間でピストンしたYoshiさんにはいつものことだが驚異を感じる。
 尾根上は歩けずに斜面をトラバースするところが多い。標高1900付近で前方が開けた。下に二つの1650ピーク、前方に太郎山と右に金田峠付近が見えた。このあたりが第一展望岩のようだが、下ることに熱中していたので岩があったような、なかったような明確な記憶がない。第一展望岩から下るにつれてシラビソ幼木と笹薮がひどくなる。標高1850付近から勾配が幾分緩やかになりダケカンバが目につくようになると笹は腰高から背丈を越すようになった。標高1820付近の小鞍部がもっとも笹は深かった。このあたりからは方向はほぼ東向きになり、ダケカンバとカラマツが目立ち、笹は依然として肩程度の深さであった。下り勝手でもありこの程度の笹なら大きな障害にはならなかった。笹高は徐々に低くなり、標高1710付近では笹は消えてしまった。左下((北)に薙があり細尾根となるが危険を感じるようなことはなかった。右手(南)がカラマツ植林となり、腰高の笹尾根を登ってゆくと薄い踏跡が現れ、樹木に赤ペンキも見られるようになった。難所を越して三人に安堵感が漂い始めた。第二1670ピークに登りつめた時には、あと30分もすれば下山できると完全に気が緩んでしまった。ほっとしたところに雷の音が聞こえ出し南東尾根  (第二1670Pから)た。なんとなく早く下山せねばという意識が生まれる。ここで大きな勘違いをしてしまった。このピークを第一1670ピークと思い込み、赤ペンキと踏跡を見たから南東に下ればよいと錯覚してしまった。途中でノラさんはおかしいと気づいたようだが前方の二人に引きずられてしまった。そのまま下り西沢左俣にに下りてしまった。すぐ先に10mの滝がありとても沢筋は下れそうにない。衆議一決で第二1670ピークに復帰することにした。この間約30分のロス。この三人が単独行だったら確実に調べて行動したと思うが、パーティを組むと誰かが言い出すと、不思議にもそうだと思い込んでしまう欠点があるようだ。団体登山であらぬ方向に行ってしまうのもこのような心理状況になるものと思われる。
 沢から第二1670ピークへの登り返しはたったの80メートルだが急勾配には参った。今日で一番堪えた!! もう一回間違えても体力的には大丈夫と冗談が出る。脚は疲れても口はまだ疲れていないようだ!? 第二1670ピークに復帰してからは 先刻間違えた踏跡を反対方向に忠実に追うと、樹木に赤ペンキが連続する。素直にこれを追えばどうってことはなかったのだが、間違いは本当に些細なことからおきるということを認識。どうやら第一1670ピークは巻いて通過したようで高みを感じなかった。忠実に赤ペンキと踏跡を追ったが、南東の沢方面に再度引きづられるもノラさんが最後尾から方向修正してくれる。以後は一番さえているノラさんが先頭を歩く。それほど疲れた感じはないのだが、枯れ枝に乗ってはスッテンコロリを三四度繰り返した。通常よりは早足なのでかなり脚力が弱っていたようだ。
 途中で赤ペンキと踏跡が二股に分かれたが、後ほど合流した。この踏跡と赤ペンキはカラマツ植林用に林業関係者がつけたものと推測する。やがて沢音と自動車の走行音が大きくなり、西沢左俣の左岸に出合った。100メートル進むと「ゆかわばし」の袂で山王林道に出合い、更に150メートルほど北進すると西沢橋の先に山部さんの車が見えて無事帰還できた。

5 帰路
 日光市内は道路がぬれていた。どうやらお湿りがあったようだ。ヤシオの湯からあがると雨が降っていた。今年は空梅雨の傾向があるので、降るときに降ってもらわないと後々困るのだ。梅雨で山行の計画がたたないなど、と嘆くのは罰当たりか。
 温泉に入って元気が回復したようだ。帰路の自動車でも話が弾む。ノラさんの栃木の山全踏破も間近で、最後の山には同行願いをして分かれる。パーティ山行はひとり歩きにない楽しさがあり、学ぶことも多い。足を引っ張りますがまたの同行をよろしくお願いします。
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