ひとり山歩き205 : 栗山村の前沢浄水場から前山に登り、前沢右岸尾根伝いに高倉山まで歩いてきました。高倉山の北稜線はやせ尾根でシャクナゲの藪漕ぎに苦労しましたが、県境尾根の帝釈山・田代山・安ケ森山・荒海山と女峰山・太郎山・白根山の日光の山々を楽しむことができました。
前沢浄水場から前沢(1001)〜高倉山(1437.2
2005年6月6日(月) 快晴
1 行程
ルートマップ  (地形図 : 湯西川 1/25000)  
自宅(2:15) = 前沢浄水場(4:30/4:40) − 前山(5:30/5:40) − 974ピーク(6:20) − 1093ピーク(6:55/7:05) − 1153ピーク(7:45) − 高倉山(11:50/12:20) − 湯西川前沢林道出合(13:35) − 前沢稲ケ沢林道出合(14:20) − 慰霊碑(14:40) − 明神橋(15:15) − 前沢浄水場(15:40/15:50) = 自宅(18:15)

 自宅 − 前沢浄水場
 昨年12月に前沢から高倉山までの尾根歩きを計画したが、積雪により断念した。その計画を思い出し実行することにした。前山に取り付くのに北の湯西川側からと南の前沢側のどちらにするか迷った。前沢側から取り付くと、エスケープルートがない(帰路に歩く前沢稲ケ沢林道は前沢より30Mほど高いところを通っているので、前沢に下りても林道に上がれない)。湯西川側からだとエスケープルートは取れるが、帰路の舗装道歩きが長くなる。一長一短だが前山に登り易い前沢側を選んだ。
 登山口は栃木の山283の山部さんに倣って前沢浄水場から南尾根を登ることにした。県道249号で栗山村川戸集落で県道249号に掛かる前沢橋を渡って前沢稲ケ沢林道に入る。前沢の左岸の舗装道を走ること2.2KMで右側に前沢浄水場に達する。浄水場前に車を駐める。
前山山頂
3 浄水場 − 前山   あっけなく山頂に達する
 前山の南尾根の先端はコンクリートで取付きは不可能。浄水場の南側のフェンス先端部から杉植林の急斜面に取次いだ。多少の藪はいつものことで、足を滑らしながら尾根上を目指した。尾根上は左はミズナラ、右は杉植林で獣道もあり登り易い。尾根の中間部は急登であったが、やがて緩やかになり左にこれから縦走する尾根を見送って一分ばかり尾根をつめると前山山頂に達した。落葉樹林の山頂には山部さんの山名板を認めるのみであった。樹木は完全に葉をつけてしまったので、展望は全くない。

4 前山 − 高倉山  後半のやせ尾根は石楠花藪に悩まされ  藪大好きさん以外は尾根縦走はやめたほうが賢明
 前山から高倉山までは沿面距離で約4kmである。藪がなければ3時間もかからないのだが、問題はやせ尾根の最後の1kmである。今までの経験からすると、このやせ尾根には間違い明神ケ岳(左から湯西明神、本峰、日向明神  (やせ尾根1330)なく藪が待ち受けているはず。今日のコースはエスケープルートがないので、前途をふさがれたら逆戻りしかない。1km程度の密藪なら突破できるが、問題は大嫌いなやせ尾根に大岩が出現することである。大岩のないことを念じて先へ進む。
 前山山頂から僅か戻って南西へ尾根を下る。標高も低いので藪はツツジの小枝が時々うるさく感じる程度。むしろヤマツツジの花を楽しみながら、気持ちよく歩けた。尾根筋のミズナラ等の樹木は葉をつけているので展望はないが、左手(東)には明神ケ岳、右手(西)には県境尾根を感じる。タイムチェックポイントの974ピーク、1093ピークまでは特記することもなく到着。腹が減っては戦ができぬ、と軽く朝食を1093ピークで摂って出発する。
 1093ピークの下りで若干のスズタケを見る。シャクナゲ藪(大岩の上から)潅木の小枝が時々うるさく感じるが、これからやってくるだろう藪に比べたら無視できる。鞍部を過ぎるといつの間には明瞭な踏跡が目に突き出す。潅木が鉈で切り払われた跡もあり、どうやら林業関係の作業道のようで1153ピークの右を巻くように先に続いている。1153ピークも樹林の中で展望は全くない。この作業道のおかげで楽な歩きができ、時々右手に枝隙間から見える県境尾根がどのあたりかと地図を広げて推測する余裕もできた。
 1153ピーク先の鞍部で作業道は消えてしまった。鞍部から少しばかり登るとやせ尾根になることを覚悟して、急斜面に取次いだ。この斜面はカラマツ植林で間伐材があちこちに放置されいる。どうやら先ほどの作業道はこの植林の保全のために作られたようだ。急斜面を進むといよいよ石楠花が前途を立ちふさがるようになってきた。尾根がやせてくると石楠花の抵抗が大きくなる。乗り越さねばならないような大物がないのが救い。石楠花が開花しているが、愛でようなんて気にはならない。尾根筋が二筋に分かれたあたりでは石楠花から開放されたが、ほんの一時であった。再びやせ尾根になると石楠花中心の潅木藪がますますひどくなってきた。その変わり尾根上の大木は伐採されて古株が残るようになると、周りの景色が目に付くようになった。大木が切断されたやせ尾根を見かけることは多い。その理由を考えいるのだが全然わからない。風や雪で大木が倒れ尾根を崩壊させるのを防いでいるのだろうか?? 大木がそばで朽ちているのを見かけるので、材木として利用しようとしたとも思えないのだが??
 尾根上は潅木帯になったおかげ展望は楽しめた。女峰山から白根山にかけての日光の山々、帝釈山から荒海山の県境の山々、間近には日向明神・明神ケ岳・湯西明神の三峰。日留賀岳付近も見えた。高倉山はすぐ先に見えている。あと1時間もあれば十分届く距離なのだが。藪漕ぎに少々くたびれたので、景色を楽しみな荒海山(中央) (やせ尾根、1360)がら10分ほど休憩をとる。
 緩やかなやせ尾根にコメツガが目立つようになり、混合藪となりますます抵抗が増える。標高1370付近でついに大岩が前方を塞いでしまった。両サイドとも急斜面で藪も密でまくのは不可能に近い。岩の高さは3m程度だが、もっとも嫌いなものが現れた。これで万事休す。高倉山山頂は目の前だが、戻らねばならないか。ここまで来て戻るのもしゃく。意を決して岩に取付く。岩には凹凸が結構多いのと多少は潅木が生えていたので何とか登れた。岩の先は広くなっていて足場もよく一安心。これを最後にしてくれよ、と祈る。やせ尾根の終わりにピンクリボンが目に付いた。藪好きはいるものだ。
 やせ尾根も終わり安堵して藪を漕ぎ続けると、石楠花等の潅木に混ざって、笹藪も目に付きだした。これで山頂の近いことを知り、力を振り絞って登り詰めると高倉山山頂だった。三角点を中心に僅かなスペースには土が露出している。山頂の北側には石楠花と笹薮が、南側は笹で石楠花は認められない。三角点を挟んで数メートルの違いなのにこれほど植生が違うとは凡人の理解の範囲を越える。山部さんの山名板は昨年の8月1日に取り付けたものだが、まだ新品のように見える。
高倉山山頂
5 下山
 高倉山から南への下りは、笹薮で薄い踏跡もあり、石楠花の藪よりは楽だ、と調子よく下る。どうも様子がおかしい、尾根でなく斜面を下っている!! 斜面をトラバースしながらルートへ戻るのは、まだ完全に立ち上がっていないスズタケでは足を滑らし難しい。労力は要するが尾根上を目指して笹をかき分けて登る。やっと尾根に復帰すると、結構はっきりした踏跡がついていた。石楠花藪より笹薮は簡単などと見くびったのが間違いの元。20分以上はロスしてしまった。鞍部になると笹も気にならないほどになる。次のの1390ピークを越して鞍部に下ると、左下に林道が見える。湯西川前沢林道と判断して、先の切通まで行かずにここから直接下りてやれと、近道行為をする。またまた罰が下る。コンクリート法面は思ったより高く、手持ちの20mロープでも足りない。仕方なしに尾根に戻り切通に向かう。馬鹿なことをしたものだ、またまた10分のロス。予想時間よ結局倍の時間要してしまった。湯西川前沢林道出の切通は直接下りられないので、太郎山を見ながら西に下りる。
 湯西川前沢林道は地形図に記載がないが、前沢稲ケ沢林道につながっているのはWebで確認しているので安心して下る。湯西川前沢林道の終点には通行止めの簡易な柵が設置してあった。前沢稲ケ沢林道出合からは舗装道歩き。登り返しがないから楽なもの。前沢は道路から深いところを流れているし、道路の土手はコンクリートで固められているので、やはり前沢側にエスケープするべきでないことを確認しながら前沢浄水場に戻る。
HOME
inserted by FC2 system