ひとり山歩き199(今回はパーティ) : 山王峠から県境尾根を歩き尾根を乗り換えて福島県の高土山まで歩いてきました。いつもは単独行動できまま勝手な山行ですが、今回は掲示板仲間に誘っていただきました。明瞭な踏跡に始まって適度な藪歩き、そして初めて経験するアスナロの藪と変化の多い尾根歩きでした。芽生え始めた木々の美しさ、紅白のイワウチワ、処々での展望と普段は味わえない歩きながらの会話ととても楽しい山行となりました。
山王峠〜県境尾根〜高土山(1078.4)
2005年5月1日(日) 晴れ→曇り
1 行程
ルートマップ  (地形図 : 荒海山 1/25000)   
山王峠入口(7:35) − 山王峠(7:55) − 雨量観測小屋(8:40/8:45) − 三角点1133.8ピーク(9:10/9:15) − 野岩鉄道トンネル手前ピーク(10:55/11:05) − 三角点1173.9ピーク(12:00/12:40) − 1131ピーク(13:30) − 東電巡視路出合(14:00) − 87号送電線鉄塔(14:15/14:30) − 高土山(14:35/14:45) − 86号送電線鉄塔(14:55) − 86号巡視路口(15:05)

2 同行者 : satoさん 山部さん

3 自宅 − 山王峠入口
 掲示板で御馴染みのsatoさんと山部さんから山王峠から高土山までの山行にお誘いがあった。二人のベテランとはいつかは同行をと願っていたので、二つ返事で同行させていただくことにした。二方が同行するので、遅れないようについて行くだけでルートファンなど必要はないのだが、山では何が起こるか分からないので急いで地形図をコピーし準備した。
 山部さんの車に乗せていただき山王峠入口に向かう。山部さんとは昨年9月に男鹿岳山頂で一度お会いしただけだが、何年来の友のごとく打ち解けて話が弾み、気がついたら山王峠入口に着いていた。普段の単独行の冷静さはなく、出発時間も到着時間もチェックを忘れてしまうほど舞い上がってしまったようだ。程なくsatoさんも到着し、初対面の挨拶。掲示板でよく存じているので、初対面とは思えなかった。山部さんの車を高土山下山口にデポして戻り、出発の準備は完了した。

4 山王峠 − 県境尾根高土山分岐  深い藪はなく、尾根筋は適度な変化 新石像の撮影する山部さん (山王峠付近)芽の樹木とイワウチワを楽しむ 
 体調を整えるために山王峠までは、まだ車が通れそうな旧道を雑談しながら歩く。山王峠の切通手前から山部さん、自分、satoさんの順で尾根に取付く。斜面を僅か登ると東西に走る県境尾根に達した。明瞭な踏跡を辿り始めると、3、4分で石像を見る。弘化元年(1844年)11月7日と刻んであった。付近には抉れた道跡が残り往時の峠跡に間違いない。藪は全くと言ってよいくらいない落ち葉の踏跡が続く。程よいペースで山部さんがリードしてくれる。いつもの単独行ではルーファンと周りの山座同定をこじつけに立ち止まっては休みをとっているが、今日はそういうわけには行かない。最初は自分の地形図を見る余裕はなかったが、ペースに慣れると何とか周りに目が届くようになった。方向が西から南西に変わって尾根の右(南)を巻いて通過すると右手にまだ白い七ケ岳の雄姿が目に映る。少しばかり北西に歩くと小ピークに山王峠雨量観測所七ケ岳 (三角点1133.8Pから)小屋)に到着した。ここで山部さんがGPSを取り出しその威力を説明してくれた。地形図がやっと読めるようになったばかりの自分はもっと実力をつける必要がある。まだ欲してはいけないと自分に言い聞かせる。でも魅惑的だ!!
 雨量観測所の小ピークを下ると急に踏跡は薄くなり、鞍部からは小枝が煩くなってきた。今までの明瞭な踏跡は観測小屋への往来のためについているようだ。多少の余裕ができて回りに目を配ると新芽が吹き出し始めた樹木の彩りが鮮やかだ。三角点1133.8ピークに到着した。最近栃木側から見た姿とは異なり尖った荒海山が西に、雄大な七荒海山 (三角点1133.8P)ケ岳が北西に姿を現す。
 三角点ピークから下ると左手にブナが目に付き右手は伐採地で、残雪も痕跡程度現れる。山部さんが残雪に熊の足跡を発見した。まだ新しい足跡で左斜面に下っているので安心して進む。イワウチワが盛んに咲いている。赤と白の花をしばし脚を止めて撮影。北西から南に向きを変えて下り、アスナロのピークから西に下るべきところをそのまま南に進んでしまった。カラマツの芽吹きに目を奪われたり、和気藹々話に熱中しすぎたようだ。間違いに気付き山部さんのGPSで確認するとルートミスは明瞭。25分ほどロスしてしまった。藪は今までのところ問題にするようなところはなく獣道もついている。野岩鉄道トンネル手前ピークで空腹に堪らずエネルギー補給をさせてもらう。
 このピーク付近は膝程度の笹が繁っているが歩くには全然問題なし。鞍部からほんの僅か登り返し野岩鉄道のトンネル上を通過した。所々で右前方に送電線鉄塔の高土山が枝越しに伺える。大部近づいてきた。熊の足跡を見る山部さん(左)とsatoさんなんとか山部さんについていけそうと思ったら、次の三角点1173.9ピークへの登りが急になった。山部さんから遅れだす。遅れを見ては立ち止まって待ってくれる。satoさんはどうかと気にすると自分のペースが遅くなるとsatoさんもより遅れる。くたびれたのは自分だけではないのだと勇気付けていたが。satoさんは疲れて遅れるのではないことが分かった。ペースが遅くなり喘ぎだした人を元気のよい人が後から追うと益々追われる者は焦りくたびれてしまう。それを防ぐために意識的に間隔をあけてくれることがわかった。なぜなら立ち止まって休んでいると疲労を感じさせない姿を現す。やっとの思いで背丈ほどの笹薮の三角点1173.9ピ−クに着いた。僅か下って笹のないところで食事休憩となり息がつけた。山部さんが作ってくれたオデンとsatoさんからいただいた柏餅がおいしかった。いつもの単独行ではコンビニのオニギリとアンパンばかり。今日の食事は豪華に感じた。それと単独行では味わえない雑談がよい思いでとしていつまで心に留まるだろう。
 三角点ピークからは腰下の藪が増えてきた。アスナロが目に付くようになる。気温は17℃で自分には高すぎるが風が爽やかなのが救い。藪は時には背丈ほどになるが、それほど密でなく獣道も通っているので我慢の範囲。右手に高土山が見え、もう直ぐに東電の巡視路に出合えると期待しながら歩いていると、笹の1131ピークに到達した。このピークの西端が県境尾根から高土山への分岐となる。

5 県境尾根 − 高土山 − 八総  アスナロ幼木の密藪に遭遇  巡視路はやっぱり楽だ!!
 県境から分かれて高土山への尾根に踏み込む。東電巡視路出合を期待していたら、アスナロ幼木が密藪となっている。下りでよかった!! これが登りにあったらかなり手強いものになったであろう。鞍部付近で東電巡視路に出合う。1131ピークの数百メートル南西の県境尾根にある送電線鉄塔から巡視路は高土山へ向かっているらしい。疲れのたまった体には巡視路歩きは楽で、10分強の登りで37号送電線鉄塔に到着した。鉄塔基部に腰を下ろして展satoさん(右)と (87鉄塔にて)望を楽しもうと首に掛けていたコンパスを探ると藪にもぎ取られていた。七ケ岳、帝釈山・田代山と最近登った芝草山辺りが確認できた。お互いに記念写真を撮ったり、雑談で疲れを癒す。
 鉄塔から高土山山頂までは5分とかからなかった。山頂は樹林の中で展望はよくないが、少しばかり位置をずらすと日留賀岳から男鹿岳辺りが展望できた。山頂に戻って山名板を中心に記念撮影。
 山頂から僅か戻って巡視路を辿る。10分ばかり下ると86号と85号鉄塔の分岐、今日は86号鉄塔巡視路で八総に下る。ミズナラ林の巡視路は勾配がきつく登りには苦痛だろうが、下りには快適であっという間に東電86号送電線鉄塔巡視路に下りれた。
 デポした車にノンビリと戻る。途中でキャンプ場で飲んだ水がうまかった。まだ立派に通用しそうな八総鉱山小学校跡も見た。今もっとも気になっている荒海山の登山口への道路も見た。荒海山は栃木側から登り、この道路のお世話にはならないぞ!!

6 後記
 今日のルートは6時間予定だったが、自分が脚を引っ張り遅れてしまった。ベテランの二人のお陰で無事に予定コースを歩けたことは喜びだ。二人との雑談そしてベテランの歩き方に接してよい勉強もできた。本当に今日はよい山歩きができた。デポした車で山王峠入口に戻り、それぞれの車に分かれて帰路につく。途中で立ち寄った温泉も快適だった。いつもは下山すると一目散で帰路につき、濡れた下着で気分快適とはいえなかったが、今日は全てが快適に感じた。
 最後に誘っていただいたsatoさんと山部さんに感謝します。またよろしくお願いします。 
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