ひとり山歩き189 : 日瓢鉱山に車を駐めて、前日光林道切通から尾根(石裂山・大滝山から続く)に取付いて横根山まで登りました。復路は遊歩道(日光ハイランド線?)で下り、途中から小尾根を下って日瓢鉱山に戻った。積雪は締まっていないので、常に膝ないし腿までのラッセルで苦労した。横根山直下は特に厳しく腰まで潜るほどであった。
日瓢鉱山から横根山周回
2005年2月18日(金) 晴れ後曇り
1 行程
ルートマップ  (地形図 : 古峰原 1/25000)   
自宅(5:00) = 日瓢鉱山前(6:05/6:30) − 前日光林道切通(横根林道出合)(6:45) − 大岩(8:15-8:35) − 遊歩道出合1(9:10/9:30) − 遊歩道出合2(10:20) − 遊歩道終点ゲート(方塞山分岐)(11;10/11:20) − 横根山(12:05/12:20) − 遊歩道ゲート(12:35) − 遊歩道出合2(13:00) − 遊歩道出合1(13:20) − 遊歩道不明(13:35) − 日瓢鉱山作業道出合(14:35) − 日瓢鉱山前(14:45/15:00) = 自宅(16:15)

2 自宅 − 日瓢鉱山 − 前日光林道切通
 三峰山・石裂山・大滝山・横根山と連なる鹿沼市/粟野町境界尾根は、日瓢鉱山北東に位置する前日光林道切通(横根林道出合)から横根山までの間が未踏である。雪山歩きは原則としてしないので、横根山(標高1373.8)付近の積雪状況がわからない。壺足でも何とかなるだろうと気楽に考えて、ワカンも持たずに家を出る。
 県道246号(草久粟野線)で日瓢鉱山を目指したが、高度が上がるにつれて沿道に白いものが目立ちだした。道路は除雪してあるので、日陰部分に若干の凍結を見たが運転に特に支障はなかった。日瓢鉱山前に車を止めて回りの景色を見ると付近の稜線は真っ白。考えが甘かった!! 横根山まで歩けるかな、と頭の中も真っ白となる。行けるところまで行ってみようとザックを背負って出発した。凍結した前日光林道をスリップに気をつけながら、前日光林道切通まで歩く。ここまでは轍が残っていたが、横根林道の方は足跡も残っていなかった。あわよくば横根林道を南東に下り。途中から大滝山に登れるかもの甘い考えはここでご破算。

3 前日光林道切通 − 横根山 予想外の積雪(甘い考え)に未経験のラッセルの連続
 西に向かう尾根に取付くと、雪は締まっていないので脛ないしは膝までもぐってしまう。残雪時の締まった雪上歩きしか経験がないので、戸惑ってしまった。標高が上がるともっと積雪は多くなるだろうし男体山(左奥) 地蔵岳〜夕日岳(右手前) (遊歩道出合1から)、はたしてどこまで行けるものやら心配になってきた。まだ歩き始めたばかりなのに、どこで引き返すか考えながらのラッセルとなる。膝まで脚を潜らせながら歩くのは初めてだが、単調だが結構面白い。右手の樹間に時々男体山と地蔵岳から夕日岳の稜線が見えるので気分転換にはなった。
 標高1000mを越すと勾配は緩やかになったが、積雪が増えて楽にはならない。雪の下には岩とヤブが隠れているようだが、雪が隠してくれるのでこれらは障害にはならなかった。暫くはなだらかな細尾根歩きだが、時には地形図に現れない下りも混ざる。膝上まで潜ってしまう歩きが増えてきたが、思ったほどは疲れを感じない。これならまだまだ大丈夫と先へ進む。 岩っぽい小さなコブから少しばかり下ると、前方に大岩が立ちふさがっている。左手(南)を巻いて通過するのだが、足場が悪く注意しながら進む。樹木の疎らな南斜面は雪が融けて地肌がゆるく遅々として進まない。途中から引き返すときにはここを通過するのが嫌らしい!!  20遊歩道出合(標高1260)分程で尾根上に復帰できたが、益々ラッセルは厳しくなる。吹き溜まりでは時には股までもぐってしまう。植林と自然林の混ざり合った尾根はリョウブと潅木に変わった。程なく小さなプレハブ小屋とガードレールらしいものが上部に見えた。ガードレールを乗りこすと南北に道路が走っているのが判った。道路上の積雪は浅く、雪を掻き分けると舗装道路(遊歩道出合1)であることが判明した。この辺りで舗装してあるということは日瓢鉱山付近まで道がつながっている、と判断した。復路ではこの道を下ることにして、もう少し尾根を詰めてみることにした。男体山(大真名から女峰山はガスに隠れていた)と地蔵岳から夕日岳を見ながら休憩しエネルギー補給をした。
 復路の心配がなくなり、休憩をとったことで元気が回復したので、尾根に再度取付いた。リョウブを中心にミズナラとダケカンバの混ざったなだらかな尾根筋の積雪は益々深くなってきた。遅々として進まない。横根山の山頂はとても無理。尾根筋が西から南向き横根山山頂に変わる1300ピークまで辿り着いたら引き返そうと思いながら時には腰までの雪をラッセルし続ける。遊歩道出合から小一時間のラッセルでまたもや舗装道路(遊歩道出合2)に辿り着いた。方向転換ピークを目前に、これからの行動を再検討した。1300ピークから横根山まで尾根筋を歩いては時間切れが明白。疲労も心配。ここから引き返すには時間的にも疲労度からみても早すぎる。ここは道沿いに進めば前日光牧場に辿り着くはずと推測し、尾根は諦めて道路を進むことにした。
 両サイドは雪が盛り上がっているが、道路部分はせいぜい30cm程度の積雪で歩き易い。人の足跡どころか動物の足跡もない雪道を歩くのは思ったよりは快適だ。「遊歩道」の標識が雪上に顔を出していた。そういえば、日瓢鉱山事務所の左手(南側)の道路口に「遊歩道」の道標があったのを思い出した。復路の道は確保できたと思うと、元気が回復するから不思議である。途中で歩く予定だった横根山ー1300ピークの尾根を横切って、西に進むにつれて横根山が遠のいてゆく感じがした。尾根乗越から緩やかに下ると、2003年3月13日に古峰原から横根山まで歩いた時に見覚えのある前日光牧場入口のゲートに辿り着いた。ここから北西に行くと方塞山・三枚岩方面にゆける。南東に尾根を詰めれば横根山だ。袈裟丸山から皇海山はなんとか見えたが、日光連山はガスに隠れてしまった。
 ここまできたら横根山の山頂に寄らずに帰る手はない。復路の心配がないので、気軽に南東尾根に取付いた。今までのラッセルは序章でここからが大変だった。腿まで潜るのは常で時には腰までもぐってしまう。こんな経験は初めてで、腰まで潜ってしまうと脚が上がらない。最初はバタバしていたが、そのうち膝を突き出してスペースを広げて脚を前に出すことを覚える。ベテランはどのようにしているのであろうか。自分にはこの方法しかなかったが、なんとか前進できるようになった。ゲートから35分の奮闘で一度は諦めた横根山の山頂に辿り着いた。道標が埋もれるほどであった。先刻まで見えた袈裟丸山から皇海山もかなりガスに隠れてしまった。未経験のラッセルで横根山まで達した喜びで至福の時である。雪山が病みつきにならなければ良いが・・・ 

4 下山  遊歩道を下り、途中から枝尾根を下る
 雪が少なければ井戸湿原経由で日瓢鉱山に下る予定であったが、この積雪量では自分の技量からして無理。往路で考えた安全パイの遊歩道を下ることにした。往路では苦労した横根山直下の積雪も自分の足跡を追って楽々ゲートに到着。遊歩道歩は脛までは常に潜るが下り勾配で雪景色を楽しみながらの歩行となる。大滝山(1070.2ピーク) (遊歩道、標高1150付近から)歩道出合2,更に遊歩道出合1を通過し下り続ける。左手(東側)に前日光・鹿沼の山々を楽しみながら下れるので、雪道歩きも苦痛にならない。
 好事魔多し!! 日瓢鉱山まで続いていると思った遊歩道が不明になってしまった(標高1150m付近)。重機が雪に埋もれているので工事中のようである。重機があるということは何処かに道もあるはず。前方が高く盛り上がっている。その向こうに道は続くものと推測した。10m以上はある盛り上がりを乗り越すのも容易ではない。まだ体力も時間も充分余裕がある。ここは下りのラッセルも経験しておくべきと考えを変える。植林の小さな枝尾根が東に派生しているのでこれを下ることにした。植林とはいえ雪は深い。でも下りでは腿まで潜ってもそれ程困難はない。順調に下ってゆくと、植林から自然林になり、やがて谷歩きになってしまた。悪いことに岩がゴロゴロしたところで、下手をして岩の隙間に落ち込むと身動きが取れなくなってしまいそう。ストックで足場を確認しながら右手の枝尾根に脱出した。隣りの枝尾根に乗り移って下ってゆくと、再度谷になり小さな沢が流れていた。「発破危険区域につき立入禁止」の日瓢鉱山の看板を見る。今日の予定は記入していなかったので、無視して下ってゆくと、日瓢鉱山の作業道に出合った。キャタピラが通るらしく路面はアイスバーン状になっていた。無事下山できた緩みか、スリップして両脚が股裂きになり、左の太腿に衝撃が走った。どうやら軽い肉離れを起こしてしまったようだ。以後は道端の雪を踏みながら慎重に日瓢鉱山前まで戻った。
 積雪に関する考えが甘かったが、途中で遊歩道に救われて横根山の山頂を踏めた。ラッセルは始めての経験だが、思ったより疲労感が少なかった。またひとつ新しい経験ができた。 
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