ひとり山歩き186 : 唐沢神社から諏訪岳そして今はない絹ケ岳付近の尾根を経由して琴平神社まで縦走してきました。縦走尾根は数百メートルにわたって採石場に削り取られていました。採石場の先に渡るのに骨折りましたが、その他には難儀する所はなく富士山、浅間山、赤城山、日光連山などが処々で展望できました。
唐沢山〜諏訪岳〜琴平山縦走
2005年1月31日(月) 晴れ
1 行程
ルートマップ  (地形図 : 田沼、栃木 各1/25000)  地形図 : 
自宅(6:10) = 唐沢神社入口(7:00/7:10) − 唐沢山(唐沢神社)(7:30/7:55) − 三角点290.3峰(8:15/8:25) − 見晴休憩所(8:35) − 京路戸峠(9:15) − 諏訪岳(9:40/9:55) − 藤坂峠(10:40/10:50) − 三角点297.5峰(11:20/11:25) − 尾根切断(採石場)(11:30) − 310峰(12:25) − 禿山(縦走尾根)(12:50/13:00) − 330峰(13:25) − 琴平神社裏参道分岐(13:30) − 琴平山(琴平神社)(13:35/13:50) − 下山道出合(330峰北)(13:55) − 中運動公園(14:35) − 琴平神社入口(15:40/15:50) = 自宅(16:50)

2 自宅 − 唐沢神社
 HP「栃木の山283」の掲示板で絹ケ岳周辺のことが話題になった。絹ケ岳がなくなっているのは知っているが、周辺の尾根がどうなっているか興味を感じた。唐沢神社をスタートにして諏訪岳・絹ケ岳付近を経由して琴平神社まで縦走することにした。
 1996年にHP「山と渓ときのこと酒と」の極楽蜻蛉氏が同じコースを縦走し、三角点297.5峰の北で尾根が採石場で切断されている、と報告している。更に尾根の切断が進んでいる可能性もあるが、絶対に採石場に侵入しないことを誓って家をでる。唐沢神社を見学するために、普段よりも遅く家を出た。唐沢神社入口の駐車場に着いた時にはもう既に充分明るくなっていた。

3 唐沢神社 − 諏訪岳  しっかりした道が続く 思ったよりは遠望も得られる
 神社入口から唐沢神社までは山道もあるようだが、途中での展望を期待して舗装道をノンビリと登る。この時間帯では往来する車は殆どない。途中で日光連山等の眺めもあり、楽しみながら唐沢神社まで歩けた。神社境内に入ると直ぐ右手が天狗岩で、大した期待もせずに登ってみた。予想に反して富士山、袈裟丸山〜日光連山が明瞭に唐沢神社識別できた。新宿の高層ビルまで見えた。田沼・足利の低山から条件がよければ新宿の高層ビルが見えるといわれているが、この目で確かめたのは初めて。神橋を渡って神社本殿へ向かう。本殿の辺りが最高点のようでここを唐沢山山頂とした。神社のある所が唐沢城の本丸跡で築城当時の石垣が残っている。
 神社から北に進むと、直ぐ先に唐沢青年の家がある。この左手へ進むと舗装道から山道になるが、関東ふれあいの道であるから幅広のよく整備された道筋でハイキングにはよいが、尾根屋を自称する自分の好みではない。以後は極力ふれあいの道から外れて尾根を辿るが、尾根筋にもしっかりした踏跡が続いていた。
 最初に立ち寄ったのが三角点290.3峰、ふれあいの道から分かれて急斜面に踏跡が続く。息を切らして山頂に登ってみると、コナラの疎林で必ずしも展望はよくないが、浅間山から日光連山にかけての遠望が可能。山頂の西側に石祠が祀ってあった。西日光連山を望む(290ピークから)へ踏跡が続いているのが頷ける。次いでふれあいの道から0.1kmの見晴らし休憩所。テーブルとベンチがあり休憩には適しているが、見晴は名前倒れで殆どない。ここより1500mは東京農工大演習林の看板を見て、尾根沿いに進むと292峰で珍しくブッシュが多い。東に太平山の稜線と西下に田沼市街が枝越しに見えるだけ。ふれあいの道に戻るには北東に急斜面を下るのだが、北に踏跡が続いているので注意が必要。
 この辺りは擬木の階段が多いが、松も多いし時には枝越しに遠望が利くので退屈はしない。240ピークを巻いて通過すると鞍部の京路戸峠で、テーブルとベンチが設置してある。左(西)へ行くと多田駅、真っ直ぐ進むと村檜神社1.4kmの道標を見る。展望はないが、今通ってきた稜線は枝越しに伺える程度。
 整備された道は潅木帯に更に続き、左手に赤城山〜日光連山を眺めながら5分程登ると村檜神社への道を右に分ける。ここからは関東ふれあいの道ではないので整備はされていないが、明瞭な踏跡は諏訪岳山頂まで続く。展望は結構あるので気分転換にはなる。山頂には三角点と二・三枚の山名板を見る。枝に邪魔されて展望はよくないが、浅間山からの噴煙と赤城山はなんとか見えた。境界尾根は北に向かうが、南東尾根にも明瞭な踏跡が続いていた。

4 諏訪岳 − 琴平山  尾根が採石場で切断  トラバースするのに二本の尾根越え
 県道の藤坂峠に一旦下る必要がある。途中で三角点297.4峰の先に採石場が見えた。尾根はかなり削り取られているように見受けられる。難儀するかもしれない、などと考えながら踏跡を辿る。ややブッシュが増えてきたが明瞭な踏跡は続いている。途中の鞍部に小野峠の小さな標識と道型が認められた。鞍部から登り返して260峰を過ぎ採石場(尾根切断部)  (297ピークの北)ると踏跡は消えてブッシュも増える。前方の元絹ケ岳の採石場からの機械音と磁石を頼りに県道282号中岩舟線の藤坂に下った。
 縦走尾根に取付くべく、峠の岩舟町側に進むと、随道竣工碑と殉職者慰霊碑を道端に見かけた。この峠は以前はトンネルだったことを知る。急斜面に取付くも倒木と枯枝が多く難儀したが、尾根に登ると踏跡に復帰できた。尾根の左下は採石場で、踏跡は境界に沿って北東に緩やかに登って行く。松とシノダケの中に三角点を見つける。ここが三角点297.5峰で展望は全くないが、踏跡は南東からも登ってきている。唐沢山から途中の峰でも各集落からの踏跡が付いていた。昔の生活道なのかそれとも参詣路の名残かは分からない。禿山(主稜線)から採石場を見る
 三角点から北に向きを変えて数分進むと、尾根が削り取られて採石場に変わっていた。極楽蜻蛉氏の報告で知っていたので驚かないが、予想していたよりは尾根が削り取られていた。採石場を突っ切ってしまえば簡単なのだが、極楽蜻蛉氏に見習って採石場をトラバースすることにした。地形図と実地から地形を読むと、二本の尾根を乗っ越さねばならないようだ。谷はそれ程深くないとはいえ尾根を乗っ越すのは容易ではない。時間もタップリあるので意を決して切断斜面を下る。
 目前の南東に伸びる小枝尾根を先ず乗っ越さねばならないのだが、この枝尾根の南側を削って運搬道路(?)が走っている。削り取られた法面は脆くて登れない!! 道に沿って標高にして90m下った所でやっと枝尾根に取り付けた。ここで尾根から谷に下りると深いので、採石場境界目指して尾根を逆に登って行く。境界間際で谷に下り、310峰目指して次の尾根の乗っ越しにかかる。勾配はきつくしかも地肌は軟らかく難儀しながらブッシュの多い斜面を黙々と登る。潅木で展望の全くない310(注:白山書房の「栃木273山」の付図ではこのピークを絹ケ岳と記載)に登りつくまでに小一時間かかってしまった。主稜線に復帰すべく、西へ薄い踏跡(ピークの東にも認められる)を辿ると、直ぐ先にトラロープが主稜線に沿って張ってあった。ロープに沿って主稜線沿いにトラバースする破目にになってしまった。途中には採石場から廃棄さ琴平神社れた小岩のガレ場あり、排水溝あり、ヤブありで思ったよりは苦労した。ヤブ好きはこんな所も歩くようで赤テープを処々で見かけた。いつものことだが、自分と同じようなことをする人がいるのを知って嬉しく思う。トラバースしている途中で北東の峰に神社が見えたときには、ホットすると同時に嬉しさがこみ上げてきた。ブッシュを掻き分けて主稜線に這い上がると、そこは禿山の平らなピークだった。樹木がないので全展望で、景色を楽しみながら小休憩をとる。採石場はこのピークの南側まで迫っていた。削り取られた稜線は距離にして約500mだが、1時間20分もかかってしまった。(注:栃木273山の倉持氏が絹ケ岳山頂としたのはどうやらこのピークらしい)
 ここから琴平神社のある琴平山までは明瞭な踏跡がついているので安心して歩ける。禿山先の鞍部にはV字型の峠道跡が残っていた。シノダケの多い標高点330峰には石祠が祀ってあった。下山はここから西に派生する尾根を下るので地形を頭に収めて先に進む。5分程で県道への分岐を通過して右の琴平神社への裏参道を進む、道幅は関東ふれあいの道よりも広くなる。石階段を登ると琴平神社(琴平山山頂)に到着。表側(東)に廻ると、山頂にあるにしては結構立派な神社だ。境内には中央に神社、左に社務所が建ち、石灯篭と舟形石も見られる。東側に栃木市柏原集落(直下に小さなサーキット)と筑波山が一望できる。

5 下山  
 330峰から尾根を下るべく来た道を戻ると、330峰の手前で西に下る明瞭な道型が見えた。考えを変えてこの道を下ることにした。330峰から西に派生する尾根右手(北)をトラバースするように下ってゆく。途中にはシノダケが多いが道には生えていないことからして最近まで使われていた道のようである。道上に倒木が放置したままになっているので現在は歩く人は殆どいないものと思われる。道なりに下ってゆくと葛生町の中運動公園に辿り着いた。
 中運動公園からは西に進み県道126号を目指すも、細い道をショートカットしたつもりが行き止まりで反って時間ロスの憂き目にあう。県道に出てからは一本道。途中で諏訪岳や唐沢山を眺めながら唐沢神社入口に戻る。
 今日のコースは採石場で尾根が切断されていなかったら楽なコースだ。採石場のお陰で普段はあまりやらない尾根の乗っ越しをするなど十分楽しむことができた。
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