ひとり山歩き179 : 山仲間の「栃木の山283座全踏破」の最終山行を壮行しようと黒檜岳に早朝に登ってきました。黒檜岳に到着した時には、全踏破隊は三俣山へ発ってしまった後でした。西ノ湖付近で凱旋隊を迎えられるかも、とヤジノ沢右岸尾根に取付いたのですが、これは途中退却となりました。結局は壮行も凱旋出迎えもできませんでしたが、自分自身はそれなりに山歩きを楽しめました。もちろん全踏破隊は凱旋だったことは言うまでもありません。
黒檜岳早朝登山とヤジノ沢右岸尾根(途中退却)
2004年12月11日(土) 快晴
1 行程
自宅(1:30) = 菖蒲ケ浜無料駐車場(3:20/3:30) − 千手ケ浜(4:30) − 黒檜岳登山口(4:45) − 黒檜岳(7:05/7:20) − 黒檜岳登山口(8:45) − 西ノ湖西ケ浜(9:40/9:50) − ヤジノ沢右岸尾根取付き(10:25) − 標高1520大岩(退却点)(11:15/11:20) − 取付き地点(11:50) − 柳沢川吊橋(12:40) − 千手ケ浜(13:05) − 竜頭滝(14:15/14:25) − 駐車場(14:30/14:40) = 自宅(16:45)

2 自宅 − 菖蒲ケ浜
 今日は山仲間の山部さんとsatoさんが栃木の山283座全踏破の最終三俣山を黒檜岳経由で目指す。ノラさんと同じよう立会人として同行したいのだが、歩行速度の遅い自分は足手纏いになることは必至である。せめて黒檜岳で出迎えて壮行しようと考え実行に移した。余分な外乱を入れてはいけないのでスケジュールを事前に問い合わせができない。西ノ湖付近に16時頃までには下山と推測し、逆算で黒檜岳山頂着7時と読んだ。7時に黒檜岳で出迎えとなれば菖蒲ケ浜発3時半と設定した。
 奥日光までは通いなれた道で目をつぶっていても(??)大丈夫なくらい道に精通している。秘密にするためにスキー場の駐車場を避けて、養魚場付近の菖蒲ケ浜無料駐車場に車を駐めた。

3 菖蒲ケ浜 − 黒檜岳  栃木の山全山踏破隊を黒檜岳山頂で壮行、と考えたが読みが外れた
 千手ケ浜へは何度も早朝に歩いているので全然心配はない。湖岸遊歩道入口付近の駐車社山分岐付近場に車が2台駐まっている。しかも1台は山部さんの愛車と同タイプではないか。ヒョットしたら既に全踏破隊は出発してしまった!? 山部さんは早朝出発を全然苦にしないが、ノラさんはあまり得意ではなさそう(失礼!!)。でもsatoさんは読めない。疑心暗鬼を抱きながら先を急ぐ。防寒衣を着用していないがポタポタ汗がでる。今日は暖かくしかも快晴ときている。全踏破隊の常日頃の行ないがよいのであろうなどと考えながら落葉の堆積した遊歩道を気持ちよく歩く。千手ケ浜に着くと遮るものがないので風が強く吹き付けるが、寒さには強いので心地よく感じる。
 千手ケ浜から千手堂跡、黒檜岳登山口とヘッドランプ頼りに難なく辿り付く。3年前に初めて黒檜岳に登った頃は、登山口に小さな道標とテープだけが頼りだった。現在は道標が整備されて、踏跡も明瞭になったような気がする。ヘッドランプだけで踏跡を外すことはない。8月16日に宿堂坊山・三俣山・黒檜岳を周回したが、ルート設定ミスでヘッドランプを点けて下った経験も役立っているようだ。
 沢渡渉地点の少し手前で太い倒木が踏跡を塞いでいた。潜るも乗り越えも不可能で、右は急斜面、止むを得ず細い樹木にしがみ付いて倒木を高まいて通過した。踏跡に復帰する際、細い立木を掴んで法面に足をかけて体重を移したら、土が崩れて右手一本で体を支える格好となった。立木が折れたのか手を離したか覚えていないが、体が滑り落ちる。必至に両手を広げると踏跡の上に四つんばいで踏みとどまれた。これが今日唯一のヒヤリハット。
 沢を渡渉すると雪がまだらに見えるようになった。雪の上に不明瞭な足跡が残るが、複数か新しいかは判らない。斜面トラバースが終わり尾根登りになる(標高1500付近)と積雪が連続になってきた。複数の足跡でしかも踏跡は新しいではないか。残念だが全踏破隊は先行したと観念する。壮行は諦めて、山部さんが山名板を社山分岐(通常は山頂と思われている)から達筆山名板が設置されている本来の黒檜岳山頂に掛けかえる旨、掲示板に記載してあった。それだけでも確認して帰ろうと気持ちを切り替える。黒檜岳山頂にて
 黒檜岳は標高1800を過ぎてからは勾配がゆるくなり、なかなか山頂に到達しない。通常なら標高1850付近で苔むした岩と倒木地帯を通過するのだが、今日は緑に変わって雪で真っ白。積雪はせいぜい5cm程度だがとても気持ちよく歩ける。社山分岐手前まで来ると、朝日を受けてコメツガの幹が部分的に赤く輝いて幻想的。社山分岐には山名板が何枚も見かけたが山部さんの山名板はない。すぐに本来の黒檜岳山頂部に向かう。踏跡が明瞭に残っているのでそれを辿ると、すぐに山部さんの山名板が目に飛び込んできた。今まで淋しい思いをしてきた達筆標識が仲間が増えて嬉しそうに見える。
 全踏破隊は何時に黒檜岳を発ったか不明だが、自分の読みは浅かったことを知る。この時点では、黒檜岳を明るくなってから通過の6時半頃と推測した。実際には更に1時間早い5時半で、駐車場帰着が16時前であったことを翌日知った。昼間時間が短く、しかも積雪が予想される状況下の山行である。夏のロングウォークしか経験のない自分には思いつかない合理的なスケジュールだ、と理解できた。冬山を経験していない自分はまだまだ未熟だと痛感させられた。
 全踏破隊の意気込みが感じられたので、今日は絶対に凱旋すると確信できた。登り始めには風が強くしかも風花が舞っていたが、現在は風もおさまり快晴となった。天まで味方しているのだから安心!!
 下山後、半月山から社山あたりを歩くつもりで地形図を用意してきた。この程度の積雪なら社山から半月山への準備をしてくればよかった。方向音痴の自分には地形図なしではとても歩けない。計画通り半月山へ登るつもりで下山にかかった。

4 下山 − ヤジノ沢  淡い期待を持ってヤジノ沢右岸尾根を急遽計画
 ひょっとしたら凱旋隊はヤジノ沢右岸尾根を下ってくるかもしれない。黒檜岳から下山の途中でそんな考えが頭に浮かんだ。シャロームさんの掲示板書込みとふーせんさんのHPにあったヤジノ沢右岸尾根なら、枝尾根千手ケ浜キャンプ所付近からがないから地形図がなくても登れる。西ノ湖からヤジノ沢付近まではしっかりした道があり、7月28日にカクレ滝に行く時に通っているので問題ない。半月山登山は黒檜岳で壮行ができたことが前提だが、このまま帰ったのでは欲求不満となる。そうと決めたら実行あるのみ。
 往路で滑落しそうになった法面にはスリップ跡がついていた。そのまま斜面を滑り落ちても腹ばいだったから大事には至らなかったであろう。何事もなくてよかった!! 黒檜岳登山口で男体山と中禅寺湖の写真を撮って千手ケ浜へ向かう。柳沢川と外山沢川の中間から千手ケ浜遊歩道に左折して西ノ湖2.7kmの遊歩道を歩く。ミズナラ林そしカラマツ林を抜けて、柳沢吊橋、西ノ湖入口を経由して西ケ浜で男体山を眺めながらエネルギー補給をした。
 西ケ浜からカラマツ林に林道が西へ伸びている。20分程歩くと、カクレ滝の道標が設置してある沢に出合う。この沢を渉ってマーキングの多い右岸を更に数分進むと沢は二俣に分かれる。左へ行くとカクレ滝だが、今日は右俣のヤジノ沢に進む。ヤジノ沢右岸尾根は二俣からは岩壁が続くので、取り付きを探しながら数分歩くと太い倒木の傍にヒラヒラリボンを見た。積雪があってハッキリしないがどうやらここが尾根への取付き点のようだ。

5 ヤジノ沢右岸尾根(途中退却)  取付きから登り方が悪く思ったより苦戦した 日光連山を展望して退却
 ヒラヒラリボンは岩壁斜面が切れた場所にある。ここを取付きと決めたが、斜面には薄いが積雪がある。直登すると滑落が心配で、無意識に直登を避けてトラバース気味に登ってゆく。高度を上げるにつれて、小岩とシャクナゲに阻まれるようになった。30分程かけてやっと尾根上(標高1460m)に辿り付いた。ヤレヤレと下を見ると薄い踏跡と赤テープが見えるではないか。取付き(標高1350)から直登すればよかったのだ。斜面での滑落を恐れて標高1520の大岩無駄骨をおってしまった。
 尾根上に出てからは赤テープと薄い踏跡を追ったので、それほどの苦労はなかった。標高1520付近で露岩に突き当たり、右手が切れて宿堂坊山坊山がよく見える。振り返ると男体山、大真名子山、女峰山あたりが展望できた。この大岩までに約1時間要してしまい予想以上に苦戦した。更に地形図がない不安からは開放されず、潔く(?)ここから退却することにした。何をやっても駄目な日はある、今日はそのめぐり合わせのようで凱旋隊との出会いを諦める。(この頃凱旋隊は三俣山を下って鞍部からヤジノ沢右岸尾根の頭である1840Pに向かっていたと思われる。仮に1840Pまで登ったとしても、凱旋隊は通過していた。)
 復路では丹念に踏跡と赤テープを追い、標高1410付近でヒラヒラテープを見かけた。この地点から斜面を下ると比較的楽に沢に下りられた。安堵して回りを見渡すと、例の倒木とヒラヒラテープが目に入った。取付き点にうまく戻れたのだ。逆にいうと上りは取付き点から直登すればそれ程苦労なく尾根上に達することができる。

6 ヤジノ沢 − 菖蒲ケ浜
 今日は感が悪く、やることなすこと全てうまく行かない。こんな日は足取りが重い。悪いことには靴下がたるんだまま歩き続けたので肉刺までできてしまった。今日はどじばかり踏んでしまった。その代わり山部部隊が凱旋すればよいのだ、と自分自身を慰めながら菖蒲ケ浜に戻る。駐車場には車が二台揃っている。駐車場で待ちたい気持ちもあったが、何時になるか読めなかったので先に失礼して家路についた。
 凱旋報告をWebで見ようとしたが、三人のベテランがする事に間違いはない、と確信してフトンにもぐりこむとすぐに眠ってしまった。正式に凱旋をWebで知ったのは翌朝であった。
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