ひとり山歩き174 : 足尾の中倉山へ上久保沢から登り、沢入山・オロ山まで脚を伸ばしてきました。中倉山ーオロ山の尾根上には樹木が少ないので大パノラマを楽しめます。この尾根の北側は松木川に切れ落ちるような岩肌で、南側は樹木と笹の斜面で好対照です。尾根上は低い笹で覆われ快適な歩きができました。
上久保沢から中倉山(1639)沢入山(1704)オロ山(1821)
2004年11月10日(水) 快晴
1 行程
自宅(3:00) = 足尾銅親水公園(4:45/4:55) − 上久保沢出合(5:40/5:50) − 尾根出合(6:40/6:45) - 1390ピーク(7:00/7:05) − 中倉山(7:30/7:50) − 1539ピーク(8:05) − 沢入山(8:45/9:00) − 1682ピーク(9:35) − オロ山(10:15/10:45) − 1682ピーク(11:15) − 沢入山(11:45) − 中倉山(12:35) − 1390ピーク(13:00) − 上久保沢出合(14:05) − 銅親水公園(14:50/15:05) =自宅(17:10)

2 自宅 − 銅親水公園 − 上久保沢
 中倉山から沢入山とオロ山を経由して庚申山に連なる仁田元沢の北岸尾根を歩くことを今年は二回計画したが、いづれも発雷や足の故障で断念した。来年に再々チャレンジと考えていた。
 上久保沢から作業道を辿ると、比較的安全に中倉山に登れるルートがあることが最近話題になっている。このルートを使えば中倉山から庚申山まで行き、銀山平に下れば日没の早い今でも周回が可能と判断し、好天が予想された本日実行することにした。例によって登山開始時に照明なしで歩けるよう調整して家を出た。今年六回目の銅親水公園に着いたときはもちろんまだ真暗闇。支度をして仁田元沢左岸の林道に進む。
 井戸沢出合(標高点826)、中久保沢出合(標高850)を通過して、方向が西南西から南西に変わり林道にコンクリート法面が現れる。尾根の先端で方向が西向きに変わり、そこから2分(約100m)ほど進むと、右手に砂防ダムが見える。ここが上久保沢出合で今日の登山口となる。

3 上久保沢出合 − 中倉山  作業道を追って中倉山へ 比較的安全に登れるリョウブの尾根(標高1330)
 10分ばかり明るくなるのを待って、上久保沢の右岸に沿って進む。次の砂防ダムを越すと、小尾根に取付きリョウブ樹林を急登する。右下の上久保沢は浅い涸沢で、地形図からは読み取れない。大岩を越すと踏跡は小尾根の右手を巻くように登って行く。途中にロープが張ってあり、明瞭な作業道(道筋に頭の赤い20cm位の木杭を見かける)が現れる。途中で浅くなった谷を横切り道筋は反対側に進む。そこからは上久保沢左岸の尾根の斜面をジグザグにトラバースしながら北西に登って行く。落葉でやや不明瞭な所はあるが、概ね明瞭な作業道歩きとなる。最初に通過した大岩以外は特に危険な場所はない。展望はないが、振り返ると備前楯山が南南東に認識できる。
 高度を上げるとリョウブにミズナラが混ざり、もう少し進むと低いミヤコザサの下生えとなる。笹を見るとすぐに尾根に出合う尾根出合にリボンマークがついているが、復路で迷わない大平山(左) 社山(中央) 男体山(中央奥) (中倉山から)よう注意が必要。リョウブとミズナラの尾根を北北東に急登する。尾根の踏跡は不明瞭だが、尾根に沿って登れば問題ない。登りつめたところが1390ピークで南東から尾根を合わせる。登ってきた尾根とこの南東尾根との中間方向にマーキングが多いので注意が必要である。この二つの尾根の間には地形図には現れないガレた尾根が多いので踏み込まないこと。昨年11月に、知らずにこのマーキングを追って危険な目にあった。今回も復路でも経験。
 1390ピークから作業道を辿って尾根を急登する。この作業道は昨年11月には鍬でかいた跡が残っていたが、一年経ってかなり不明瞭な部分もある。登りつめると小ピークで、中久保沢左岸からの尾根を合わせる。ここからは尾根上に樹木がなくなるので全展望となる。この小ピークから西北西に笹の踏跡を追って進む。尾根の左手(南側)に昨年に比べたら薄くな中倉山から沢入山、オロ山方面を望むったが作業道が沢入山方面に続く。これを追い過ぎると中倉山の山頂を通り過ぎてしまう。せっかく山に登ったのだから尾根上の笹道を進もう。山部さんの山名板が立木に取り付けあった。このあたりが三角点の位置だが、三角点を見たという報告は最近にはない。埋もれてしまったようである。数年前に三角点を確認した群馬山岳移動通信の管理人さんからの情報に基づいてそのあたりを探して見たがやはり発見できなかった。
 三角点付近から十数分笹道を進むと、前方に細長い山頂部にケルンと山頂標識が見える。ここが中倉山の山頂となる。笹原の山頂部には樹木は全くないので、360度の大パノラマが楽しめる。東から反時計回りに、赤倉山、半月山、社山とその上に男体山、大平山、三俣山に連なる中禅寺湖南岸尾根、皇海山、沢入山(前衛峰)、オロ山、仁田元沢南岸尾根と見飽きない。特に圧巻は大平山斜面の荒々しい岩肌である。今日は風もなく気温も丁度よい。先週の地獄みたいな藪山の鬼面山から天国に来たような気がする。

4 中倉山 − 沢入山 − オロ山  気持ちよい笹尾根と好展望の連続 天国を歩く感じ!?
 中倉山から沢入山までは低い笹原に踏跡が続く。尾根上には樹木は殆どなく、右手(松木川側)は鋭く切れ落ちて岩肌を剥き出しにしている。谷を隔てた山の斜面も荒々しい様相を呈している。それに反して左手(仁田元沢側)の斜面は緩やかで樹木沢入山からの展望  皇海山(右) オロ山(中) 庚申山(左)も笹も適度に生えている。8月25日に歩いた仁田元沢右岸の尾根は樹木が密である。全く正反対の景観を成している。
 右手に大平山、黒檜岳から三俣山への稜線、白根山、前方には沢入山、オロ山と中間に皇海山、素晴らしい眺めで気分が和む。その他には錫ケ岳、武尊山、庚申山、袈裟丸山が場所によって姿を現してくれる。文才のない自分にはこの景観をうまく表せないのが残念である。
 沢入山までに何箇所か岩稜地帯を通過するが、尾根の左手(南)を巻いて通過できるようになっているので、右下の急峻な岩斜面で足をすくめることはない。中倉山から沢入山へは1539ピークと1640ピークを越さねならないが、鞍部は浅く勾配は緩やかなので脚の負担にはならない。最後に薄いブッシュ地帯を通過して樹木の茂るピークに辿り付く。ここが沢入山の山頂である。コメツガに囲まれた山頂には三角点と傍の立木に木を輪切りにした大平クラブの山名板を見た。山頂部は樹木が邪魔するので20mほど先に進むと、間近になったオロ山と皇海山を楽しむことができる。今まで見てきた稜線と山々が見えるのは言うまでもない。笹原に座って景色を楽しみながら短時間の休憩をとる。
 中倉山から沢入山までは北西に進んできたが、ここからは南西に向きを変えて進む。次の標高点1682ピークは完全な笹原で前方に見える針葉樹の茂るオロ山と好対照である。昼寝を中禅寺湖南岸尾根 (最奥は白根山) (沢入山から)したくなるような所だが、鹿の天国らしく動物特有の臭いがするのが難点である。
 1682ピークの先は笹がやや深くなる。特に1750ピークへの取り付き部は胸丈の笹原を突破せねばならない。急斜面を乗り越えた尾根上にも場所によっては胸丈の笹が続く。笹の薄いところを求めてコメツガの笹尾根を進む。小ピーク1750を越すと、オロ山への最後の急登となる。斜面には笹はなくなり、変わって苔が目に付くようになる。10分以上急斜面をジグザグに登ると、勾配は緩やかになった。その代わりシャクナゲ藪に邪魔されるようになる。尾根の左下の薄い踏跡を進むが、オロ山の三角点を見逃さないよう尾根上に進むがシャクナゲの中に何となく踏跡はついている。山頂部の西端に樹木の少ない場所があり、そこは三角点と明大ウォーキングクラブのブリキ板がぶら下がっていた。81年秋合宿と記入してあった。それ以外には山名板は見当たらなかった。
 山頂は樹木で展望は期待できないと考えていたが、目前に聳える皇海山と鋸山は迫力がある6月3日同じく18日に登ったモミジ尾根から国境平あたりも識別できた。白根山、錫ケ岳、武尊山、庚申山、袈裟丸山も目に飛び込んでくる。今日は好天にも恵まれ久しぶりに目の保養をさせてもらった。
 これから庚申山に進み、銀山平に下って銅親水公園まで周回するつもりでここまで来た。体力的にも時間的にも全く問題ない。ところが気持ちが変わってしまった。これから先は藪こぎはあるが展望は期待できない。しかもオロ山を下った鞍部から先は既に8月25日に歩いている。このまま周回を続けるよりは、気持ちよい笹尾根歩きと好展望をもう一度復路で味わった方が良いと心変わりしてしまった。

5 復路  途中で20名のグループと遭遇  好天に恵まれ復路でも展望を楽しむ
 往路をそのままひっくり返しに戻るのだが、下り勝手で体力的にも時間的にも楽をする。沢入山を下り皇海山(右)と鋸山(左) (オロ山から)始めると、下から20名くらいの団体が登ってきた。男女混成のグループは自分と同年輩の人ばかり。平日にこれだけ揃って山に来れる年代といったら、どうしても60代になるのであろう。例の上久保沢からの作業道については知らなかった。どうやら標高点917付近から登ってきたようだ。リーダーと話していないので、明確ではなかった。これだけの人数が登ってくるのだから安全なルートがあるのであろう。標高点826や中久保沢左岸の尾根では難しかろう。
 1539ピーク手前の鞍部付近で崩壊部修復工事の4人が昼食中であった。休憩の邪魔をしないように1539ピークの左下(南)をトラバースした。以後もずっとトラバースしながら進む。このまま作業道を進むと中倉山を通過してしてしまう。斜面を登って中倉山の山頂部に立ち寄った。栃木の山紀行の山名板がケルンにかっていた。復路でも三角点を探して見たが、徒労に終わった。今日は一日中快晴で遠方の山々にガスもかからなかった。これほど天気に恵まれたのは久しぶりだ。先週の鬼面山の猛烈な松木川へ切れ落ちる斜面  (沢入山にし鞍部)笹薮こぎの褒美かな!?
 1390ピークからは往路を辿るなら、南南西にリョウブとミズナラの尾根を下らねばならない。作業道を辿るのは面白くないので、南に下る方向のマーキングを追うことにした。昨年はこれを追って途中で訳がわらなくなってしまった。かなり危険な場所も通過した。昨年よりは経験を積み技量も上がったので、昨年の経路を辿ってみることにした。マーキングに従って尾根を下るとやがてリョウブ林の急傾斜の尾根になる。往路の気持ちよい尾根とは全く様相が異なる。どうやらこのあたりは地形図では読めない小さな枝尾根が魚の小骨のように何本も派生していることが確認できた。しかもガレた場所も多い。岩は脆いので避けて樹木のあるところを辿って行くと、昨年と全く同じように鹿侵入防止ネットに二回(標高1250と1100付近)出合う。最初のネットを西に辿れば作業道に出合うのは栃木の山紀行の報告で知っていたが、それでは目的に反する。ネットを潜りガレ沢を樹木を伝って下ってゆくと上久保沢出合に辿りつけた。昨年とほぼ同じルートを通ったことになる。途中まであったマーキングは急勾配の下りになった途端になくなってしまった。あのマーキングはなんだったのであろうか。作業道が作られるまではこのあたりを登った人もいたようだ。今回下ったルートは安全とはいえないので、避けるのが賢明。忠実に作業道を辿ることが望ましい。
 今年は6月から10月にかけて十数時間のロングウォークを何度も経験したので、十時間程度の山歩きではそれほどの疲労感はない。駐車地に戻る途中で、林道の要所の目印や標高等を記録しながら歩いた。
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