ひとり山歩き164 : 塩那道路を塩原側から歩いて、長者岳と鹿又岳に登ってきました。塩那道路は一箇所で工事中でしたが、全般によく補修されていて歩き易い道でした。長者岳の薮はそれ程でもなかったのですが、鹿又岳のネマガリダケとシャクナゲの薮は強烈でした。
塩那道路を歩いて長者岳(1640)鹿又岳(未踏)に登る
2004年9月1日(水) 晴れのち曇り
1 行程
自宅(1:20) = 塩那道路塩原ゲート(3:05/3:30) − 土平(4:55/5:05) − 3号橋(7:15/7:30) − 長者平(9:10/9:30) − 長者岳(10:20/10:30) − 長者平(11:15/11:30) − 立岩(12:25) − 鹿の又坂(12:50/13:35) − 鹿又岳北東鞍部(13:45) − 鹿又岳(14:20/14:30) − 鹿又岳北東鞍部(15:00) − 工事の車に同乗(15:30) = 塩那道路塩原ゲート(17:50/18:00) = 自宅(20:00)

2 自宅 − 塩那道路塩原ゲート
 塩那道路を歩いて、長者岳、鹿又岳と男鹿岳を登ろうという考えは以前からもっていた。方法は@塩原側から歩いて1泊2日で三座を登る。A塩原側から長者岳と鹿又岳、板室側から男鹿岳を二回に分けて登る。@の方が行程としては楽だが、塩那道路を端から端まで歩いてみたいという欲求を満たせない。Aは塩原側から長者岳と鹿又岳を日帰りするのは行程としてハードである。悩んだ(?)末に@を決行することにした。
 その時期を9月中旬の土日曜日(意味あり)と考えていたが、9月は意外に雨が多くタイミングが取りづらい。8月30日に台風16号が通過して、9月1日と2日は比較的好天が得られそう。台風通過後で暑いが、急遽決行することにした。二日分の水6リットル、着替えと食料等の重みに耐えられるか少し心配。それと強敵は暑さで、早朝の室温が27度もある。決めたからにはやるしかない、と塩原を目指す。木の葉化石園BS付近で国道400号を右折して約2kmで塩那道路入口の第1ゲートに達する。ザックを降ろして、車を少し下った広い路肩に駐めてゲートに戻る。

3 第1ゲート − 長者平  道路はよく管理されている  
 ゲートの横からザックを通して内側に下りる。この先約7kmは山腹を蛇行しながらの急登となる。月明かりで電灯は全く必要ない。塩原温泉街の灯とシルエット状の稜線を見ながら黙々と登る。塩那道路で最も勾配のきつい部分である。土平の駐車場に着いた時には予想時間を大部短縮していた。駐車場の先に第2ゲートがある。ゲート前には歩行者も立ち入り禁止の看板がある。暗くて見えないことにして、第1ゲートと同じように越えた。荷を下ろして日光の山々 (塩那道路から、3号橋の2km南東)よく見ると、ゲートの谷側には踏跡がついていた。
 第2ゲートからはダート道となり、100mも進むと第3ゲートがあるがこれは開放してあった。道筋はよく管理されている。落石も少なく、草木のはみ出しは少ない。道端に1km毎に小さな道標が設置してあるので、目安になって歩き易い。最初は小蛇尾川に沿って北上する。緩やかな登りで、10km地点で一旦下る。鞍部に水車小屋の看板(塩原から12.7km)が設置してある。小屋らしいものは見あたらない。更に進むとアンドン沢の看板がある。左手の沢で水を汲むことは可能。アンドン沢のすぐ先に工事現場のプレハブ小屋を見る。右前方に小さく橋が見えるようになると、南東への折り返し点に達した。沢は道の下を導かれている。この辺りが小佐飛川の源流部である。ヘアピンカーブからは小佐飛川の左岸に移り山腹を南東に向かうようになる。カーブから10分程で大きなコンクリート橋の3号橋(塩原から16.3km)に達した。日留賀岳を見上げながら、エネルギーと水分補給をする。
  3号橋の1km程先で南西に女峰山が山間に見えた。19km付近で日留賀岳から鹿又岳稜線が見えるようになる。折り返して北上となり、前方に長者岳が目に入るようになる。21km付近で女峰山・太郎山・白根山と日光の山々を瞬時目にする。長者岳の左手を巻いて岩壁沿いに進み鞍部に達する。この地点が長者平(塩原から21.8km)であるが、道幅がほんの少し広くなっているだけである。長者平で休憩を取っていると、工事現場に向かう車が2台通りかかる。この道路は立ち入り禁止となっている、と注意される。

4 長者岳  ネマガリダケとシャクナゲの薮が断続する  難度はそれ程高くない長者岳山頂
 
長者平から10m程戻って尾根に取付く。尾根には獣道が通っている。所々でシャクナゲとネマガリダケの薮を突破せねばならない。背丈を越す笹薮もあるが、長くは続かないので難度はそれ程高くはない。最後に標高にして20mの笹薮をこぐと、山頂に到着した。長者岳の山頂は疎林の笹原で、中央に三角点と付近に山部さんの山名板が認められた。南に送電線の見える弥太郎山が確認できた。南西の高原山はガスに隠れている。北東に大佐飛山と北西に鹿又岳が枝越しに確認できた。

5 長者平 − 鹿の又坂  左手が開け展望が得られるようになる  残念にもガスがかりとなってき
 長者平からは道は北西に向かって緩やかに登って行く。30分程進むと、工事現場に辿り付いた。塩那道路は廃止が正式に決まったと聞いているが、まだ整備をしていいることを知る。工事現場の先で長者岳の写真を撮っていると、現場監督の車鹿又岳の南峰(1846P) (鹿の又坂手前)が通りかかり、立ち入り禁止の再注意を受ける。注意して進むので、も少し先までと言って通してもらう。道路の左側に岩が聳える立岩に到着した。切通にして道路を通したので、左側に岩が残ったのであろう。塩原から25km、板室から25.8kmでほぼ中間地点である。
 立岩から数分で日留賀岳からの稜線を横断して、ヘアピンカーブに北東に進むようになる。日留賀岳からの稜線は樹木が密であり、この薮をこぐのは大変であろう。ヘアピンカーブの先は西側の会津方面が開けて展望がよいはずだがかなりガスが出てきて遠望が利かなくなってしまった。天気はすぐに崩れるということはなさそうだが、気になるのでラジオをつけて天気予報を気にする。今夜から明日かけて天気は崩れそうなことを言っている。先行きが不明瞭なので、鹿又岳を早く片付けるべく先を急ぐ。鹿又岳の北側に位置する鹿の又坂に思ったよりは早く着いた。ここからは西側が開けているので好展望が得られるはずだったのだが・・・ 

6 鹿又岳  斜面からはシャクナゲ薮に遮られ諦めた  北東鞍部から薮をこいで山頂へ
 北側から山腹に取付いて30分で山頂を踏んだという、報告が印象に残っていたので真似てみることにした。高々60m登ればよいのだと、真北の斜面に取付くシャクナゲの薮が厳しい。シャクナゲの幹が太いのでこぐにこげない。シャクナゲを乗り越えようにも斜面の勾配がきついので難しい。20mも登らないうちに諦めて下りた。地形図を見て、1846ピークとの鞍部に登ることを考えた。鹿の又坂から数十メートル戻って、斜面に取付いてみた。結果は前回と全く同じで、これも諦めた。このシャクナゲの薮をこぐ体力も残っていないので、諦めてひょうたん峠付近の小屋を目指すことにした。明日、男鹿岳に登って、帰路で余裕があれば再チャレンジすることにした。
 ひょうたん峠に向かうと、鹿又岳北東鞍部に簡易便所が目に付いた。付近の様子を探1846P(北東鞍部から)ると、山頂に向かう尾根は笹薮で勾配はきつくない。ここからならと考え直して再々チャレンジした。最初はネマガリダケの密薮で途中からシャクナゲが混ざる。薮が切れる所がない。シャクナゲは幹が太いのでこぎようがない。やむを得ず幹や枝を乗り越えて進むことにした。経験した薮では最高難度の薮である。数十メートル登ればよいのだからと、自分を奮い立たせる。水とアンパンを入れたサブザックだからよいが通常のザックを背負っていたらどうしようなかったであろう。気がつくと一面ガスが立ち込めてきた。鳥海山の新山での苦い経験が頭をよぎる。やっと頂上らしい平らな所に辿りついた時にはガスで付近は全く見えなくなってしまった。高度計を見ると山頂高度に達している。幅広の尾根を間違えなく下りられるか気もそぞろ。体力も使い果たし、三角点を探す余裕がない。
【ここで登ったピークは、鹿又岳の南に位置する1846ピークです。の報告は鹿又岳登頂の参考にしないでください。この報告を参考にして1846Pへ登られた方にはお詫び申し上げます。【鹿又岳についてはひとり山歩き167を参考にしてください。】
 10分程休んだら体力も回復したので、下山にかかる。幅広の密薮ではコンパスはあまり当てにならない。薮を避けているうちに段々方向がずれてくる。どうやらほんの僅かだが東側にずれて下ってしまったようだ。方向を修正すべく北に戻す。そのうち例の便所が見えたのでホットした。鞍部に戻って水を飲んだら疲れも回復した。
 体力が回復するにつれて、本当に山頂を踏んだのだろうかと不安になる。地形図を見ながら思い出してみると、山頂はどうやらもう20m程西に進んだ所のような気がしだした。

7 帰路  予定を変更して下山することになった
 鹿又岳北東鞍部から数分ひょうたん峠目指して進むと、例の現場監督の車が通りかかった。どこまで行くのか聞かれたので、適当なところでビバークするつもりと答える。塩原に向かうも板室に向かうも20km以上あるので、同乗を進められる。立ち入り禁止のところにいるので断りきれずに同乗させてもらい下山するすることにした。ビバークするつもりで重い荷物を背負ってきたので残念な気もする。その反面、板室側からもう一度歩ける(内緒だが?)と自分を納得させる。
 途中で測量している間、そして例の工事現場で仕事が片付くまで車の中で休ませてもらう。
 翌日、家で天気を確認すると、夜から朝にかけて雨模様である。結果的には下山してよかった。
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