ひとり山歩き163 : 仁田元沢の標高1000m付近から仁田元沢に沿って東西に伸びる尾根に登り、庚申山まで歩いてきました。尾根筋は大部分がコメツガ林で下生えは腰程度の笹でした。展望は殆どなく、庚申山が近づくと尾根は広くなり、ルーファンを楽しむことが出来ました。
仁田元沢から庚申山(1892)へ
2004年8月25日(水) 晴れ後曇り
1 行程
自宅(1:40) = 足尾銅親水公園(3:30/3:45) − 仁田元沢林道終点(スリットダム)(4:50/5:05) − 尾根取付き(5:40/5:50) − 主稜線出合(7:45) − 1528ピーク(8:00/8:15) − 1738ピーク(9:05/9:15) − 1662ピーク(9:30) − 1740ピーク(10:05/10:15) − 庚申山(11:20/11:55) − 庚申山荘(12:55/13:10) − 一の鳥居(14:05) − 舟石林道口(15:05) − 舟石峠(15:30/15:40) − 銅親水公園(16:45/1650) = 自宅(17:05)
2 自宅 − 銅親水公園
 足尾の中倉山から庚申山まで縦走してして見たいと考えていた。最近、HP併設の掲示板に「仁田元沢から中倉山・オロ山・庚申山そして東尾根を歩き仁田元沢の標高1100m付近に下った」という情報を頂き、これに刺激された。前回(ひとり山歩き162)では情報なしの尾根を下って失敗した。今回はその轍を踏まないよう、逆回りにして未知の尾根は登りで通ることにした。
 例によってロングコースとなるので、早朝に家を出て足尾の銅親水公園を目指した。朝の早いのは全然苦痛にはならないが、問題はオリンピック競技をTV観戦していて寝不足なことである。一日くらいならどうということはないのだが、連日の寝不足が心配。 
3 銅親水公園 − 仁田元沢林道終点(スリットダム)  夜明け前の林道歩き
 無人の銅親水公園駐車場から星空を眺めながらゲートに進むと、これから松木渓谷に岩魚釣りに出かける釣り人がいた。道が分かれるまでの短い時間ではあったが、山と釣りの話をしながら歩く。。橋の手前でお互いの安全を祈って左右にわかれた。昨年の11月14日に中倉山に登った時に、仁田元沢林道を歩いているので、特に問題はなかった。道筋と中倉山取付き、下山地点は薄暗いなかでも確認できた。地形図の林道終点(ダム付近)になると、懐中電灯なしでも確認できるようになった。
 地形図上の最上流ダム手前で林道は左岸から右岸に移って更に伸びている。ダム付近から尾根に取り付けないか観察したが、岩が多く難しい。右岸の林道を更に進むと、地形図の最終ダムの500m程上流に、巨大なスリットダムが出現した。林道はスリットダムの手前で終点となる。スリットダム:最近はクローズドダムからスリットダムに主流が変わっている。その目的は土石流が発生した際には石や流木を止め、平常時には土砂を下流に流すとともに、生物等の移動も可能にする。・・・神奈川県河川砂防第二課のHPより】  

4 スリットダム − 仁田元沢遡行 − 主稜線  沢登りと尾根登り左:スリットダム  右:尾根からスリットダム(中央下部)を見下ろす
 スリットダムはとても越えられない。仕方ないので、地下足袋に履き替えてスリットの間を通り抜ける。沢には大岩がゴロゴロして、両サイドも岩質。止むを得ないので浅瀬を選びながら遡行する。岩に赤ペンキが認められる。どうやら沢登りのマーキングのようである。この辺りから右側が歩けるようになり、踏跡も認められた。予定尾根の手前の尾根先端は、リョウブ樹林の中に小岩がゴロゴロしていた。この尾根なら何とかなるとここを取付きとした。
 10分程リョウブに捉まりながら斜面を登ると尾根に達した。尾根筋は岩場からスタートとなった。岩場を抜けると、左下に先刻通過したスリットダムが確認できた。以後はかん木の尾根の獣道を追う。標高1250m付近で高さ10m程の岩場を通過する。岩が脆いので注意が必要。岩場を越えた所で振り返ってみると、中倉山から沢入山への稜線が見える。松木川サイドから眺めのとはまるっきり異なり、ガレ場のない普通の稜線にしか見えない。
 リョウブにミズナラが混ざり下生えが笹になると、勾配は緩やかになった。樹木で明瞭でないがこの辺りで予定していた尾根を右から合わせたようである。ミズナラ樹林になると東西に伸びる主稜線に辿り付いた。

5 主稜線出合 − 庚申山  前般は笹尾根歩き  後半は広い斜面登り皇海山(右)と庚申山(左)  1738ピークからの展望
 緩やかな主稜線の獣道を1528ピーク目指す。尾根上はミズナラに低い笹の下生え、一方斜面はリョウブとコメツガが目立つ。この稜線で唯一の赤テープが主稜線出合付近に認められた。こんな所を歩く人はやはりいるのだ、と感心する。ほんの僅か登ると、小さな1528ピークに達した。ミズナラで囲まれ充分な展望は得られないが、北に沢入山、北西にオロ山が確認できた。
 次の目標である1738ピークまではコメツガにブナとダケカンバが所々で混ざる笹尾根で1738ピークが近づくにつれて笹は深くなり、腰高になる。ネマガリダケと異なり抵抗はそれ程ないが、筋を見つけて歩くほうが楽だ。白ヤシオが目立つようになると、ダケカンバ疎林の1738ピークである。北西に尖った皇海山、台形状の庚申山が展望できる。本日のコースで最高の展望が得られた。
 このピークから次の目標の1662ピークまでは尾根が広く目標が定め難い。北西に下って、向きを南西に変えて下らねばならない。目標が取ガスで霞みだした笹原(1740P付近)れないので、磁石で方向を定めて笹原を下る。晴れていればさして難しくはないが、ガスがこもると迷いそうな地形である。鞍部はカラマツの笹原で、1662ピークへの尾根も不明瞭である。方向を定めて緩やかに登ると、小さなコブに達した。これが1662ピークで、コメツガにミズナラが混ざる樹林の笹尾根で展望は全くない。
 次の目標1740ピークまでは笹が最も深く、腰から肩まで達する。筋を見つけてこれを追えばそれ程苦にはならない。右手のオロ山稜線がガスで見えなくなってきた。歩いている稜線にもガスが昇ってきた。先刻まではよく晴れていたのに、急変に嫌な予感がする。1740ピークは不明瞭でコメツガ林の笹原にある。展望は全くない。
 1740ピークを僅か下ると、尾根の形状がなくなる。コメツガ林の広い斜面を登ることになる。目標物は何もないので、西に方向を定めて登って行く。中倉山からの尾根上に出合うことを信じて進むしかない。高度計をもっているので大体の位置がわかるが、時には尾根上に出れるのだろうか、と不安になる。1740ピークから小一時間でやっと待望の中倉山稜線に達した。ここからもコメツガ林で目標が取れない。南西に目標を定めて緩やかに登って行く。突然、明瞭な登山道に達した。これが庚申山荘から鋸山への登山道である。庚申山の山頂部を求めてこの道を右往左往すること5分でやっと小高い山頂部を見つけた。山頂には山部さん、栃木の山紀行さん等の山名板が数枚認められた。枝越しに西側を覗くとガスで鋸山方面が見えない。

6 下山(庚申山荘経由)庚申山山頂
 ガスで展望がなくなった。気になったので、先刻からラジオを聞いていると、千葉県は発雷中、栃木県には注意報が出ている。中倉山経由で下るのに時間的には全く問題ないが、万一、雷に遭うと避難する場所がない。発雷がないとしてもガスで展望は期待できない。庚申山荘・一の鳥居・舟石林道経由で銅親水公園に下るのも時間的にはほぼ同じと推定する。このルートは発雷しても逃げる所は多い。中倉山稜線は別の機会に譲ることにして、安全第一で庚申山荘経由を選んだ。
 庚申山から庚申山荘は二年前に皇海山へ行くときに登りで通った。下りは今回が初めて。鎖、ロープ、梯子ありで、下りは結構注意が必要。山荘に向かう途中で遠方から雷の音が聞こえてくる。すぐに近づく様子はないが、このルートを選んでよかった、と自分を納得させる。
 庚申山荘から銅親水公園は今年の6月3日に通っている。最も辛かったのは舟石峠への登りで今まで曇っていたのが急に陽射しが出てきた。林道口から僅か150mの登りだが、汗だくだく。舟石峠でエネルギーと水を補給する。以降は下りなので特に問題はなかった。
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