ひとり山歩き162 : 白錫尾根から袈裟丸山の県境尾根歩きの最終区間である宿堂坊山ー三俣山を歩いてきました。東尾根から宿堂坊山、県境尾根を三俣山、そして中禅寺湖南岸尾根で黒檜岳まで歩き下山しました。計画ではシゲト山付近から中山に下る予定でしたが、途中から退却となりました。
宿堂坊山・三俣山・シゲト山・中山(退却)の周回
2004年8月16日(月) 晴れ
1 行程
自宅(1:00) = 赤沼茶屋(2:45/2:55) − 西ノ湖入口(4:15) − 東尾根取付き(登山口)(4:30/4:45) − 宿堂坊山(7:00/7:15) − 最低鞍部(8:30/8:35) − 三俣山(9:40/10:00) − 1928ピーク(11:25 20Mロス) − シゲト山(12:05/12:15) − 1919ピーク(12:40/12:50) − 北尾根退却(14:05) − 1919ピーク(17:05) − 黒檜岳(17:55/18:05) − 黒檜岳登山口(19:30) − 千手ケ浜(19:45) − 赤沼茶屋(21:40/21:50) = 自宅(23:40)
2 自宅 − 宿堂坊登山口
 白錫ー袈裟丸山の県境尾根歩きの最終区間の宿堂坊山ー三俣山を完了させる。どちらから登るにしてもピストンはないので、宿堂坊ー三俣ーシゲトー中山の周回ルートを計画した。大気不安定、孫達の相手、オリンピックとなかなか計画が立てづらい。16日は好天が期待できる。連日のオリンピックをTV観戦で寝不足だが、決行することにした。
 例によってロングコースなので、早朝スタートとする。連日の柔道の金メダルに気をよくして、家を出る。赤沼茶屋に向かう途中で、北嶋選手の100m平泳ぎでの金メダルの朗報も飛び込んでくる。赤沼茶屋の駐車場には数台の車が止まっていた。車中の仮眠者を起こさないように静かに準備して出発する。
 低公害バス走行道路を何度も早朝に歩いているので、殆どで消灯したまま歩く。西ノ湖入口から柳沢林道を進み、柳沢川出合付近の18号砂防ダム下で飛び石渡渉した。ここを宿堂坊山東尾根への登山口とする。
3 登山口 − 宿堂坊山  夏とは思えない爽やかさ
 東尾根は6月14日に下り、7月19日に往復しているので、詳細は省く。山名板(左:宿堂坊山 右:三俣山)
 前日の雨で地面がゆるいのを心配したが、程ほどに湿っていて特に問題はなかった。最近の極暑に比べ今日はとても爽やかである。長袖にベストを着てきたが発汗が少なく、快適な歩きができた。宿堂坊山の山頂に着くと、強い風が吹き汗が乾くにつれて肌寒さを感じた。この風も山頂から針葉樹林の中を下っているうちになくなってしまった。山頂からは樹木で充分な展望は得られないが、北北東に白根山と白根隠山の稜線、東北東に女峰山、太郎山等の日光の山々が樹木の切れ目から見える。過去三回ではこれほど明瞭に見えたことはなかった。山頂の様子は全然変わっていない。
4 宿堂坊山 − 三俣山  踏跡は明瞭で障害物ない  これで白錫ー袈裟丸の県境尾根宿堂坊山(1840Pから)全踏破 
 針葉樹林の中を急降下する。相変わらずこの尾根は踏跡が明瞭にもかかわらずマーキングが多い。鞍部から1900の小ピークへの登りで皇海山と三俣山がうかがえた。更に下ってゆくと左前方に中禅寺湖南岸尾根も明瞭な姿を現す。今日は雨上がりなので遠方の山々が澄んで見える。下生えの笹は短い。鞍部の樹木の疎な所では膝上程度となるが、歩く障害にはならない。
 1840ピークは笹ピークで針葉樹に邪魔されて充分な展望は得られないが、男体山、白根山と白根隠山、錫ケ岳が望める。宿堂坊山も急峻な姿をさらしている。山頂の東側に赤テープが認められた。これはカクレ滝付近に伸びる東尾根の取付きの印であろう。
 1840ピークから急降下し、緩やかな笹原を進むと、「水場5分」の標識を見る。この最低鞍部の笹原辺りが最低鞍部で、あるガイドブックによると付近は足尾山塊で笹の最も深いところで背丈を越すとあるが。現在はせいぜい膝程度の笹原である。鞍部からは樹木の隙間から三俣山が目前に迫ってくる。
 鞍部から三俣山山頂までは針葉樹林の踏跡を追うことになる。マーキングは相変わらず多い。踏跡が比較的ハッキリしているので、迷うことはない。マークが暫く見当たらず不安を覚えるようなら、振り返ってみると良い。必ずマークが目につくであろう。登り勾配は最初は緩やかだが、やがて急になる。進行方向が南から東よりに変わると。左に中禅寺湖南岸尾根を合わせる。ここから三四分南に向かって登ると三俣山の山頂に達する。
 6月18日以来の山頂であるが、「栃木の山紀行」の山名板が新しく増えていた。山頂の東側は開けているので展望が利く。過去二回の時は皇海山と錫ケ岳が見える程度であったが、噴煙の浅間山も識別できた。 
5 三俣山 − 1919ピーク  中倉山は言うに及ばず筑波山・加波山も展望できた
 中禅寺湖南岸尾根は今回で三回目である。最も間違い易いシゲト山前後を含めて今までは中倉山(南岸尾根大岩付近から)間違えたことはない。三俣山山頂で一応地形図でルートを再確認し、西ノ湖東に位置する中山へ下る1919ピークを目指した。来た道を少し戻りマーキングの多い分岐から南岸尾根に入った。最初は北東に進み次いで南東に方向を変えて、鞍部のシャクナガの大岩を巻いて通る。頭の中ではハッキリとルートも入っていたが、どういうわけか南東に方向を変える所で北方面に下ってしまった。間違いに気付き戻ってみると、その方面に赤テープが付いていた。どうも無意識に赤テープにしたがってしまったようだ。20分のロスだ。この程度の時間のロスはどうと言うことはないのだが、間違えたというショックで精神的に疲れるのが嫌だ。以後は慎重に地形図を見ながら進み、特に問題はなかった。
 大岩の左を巻いて登りにかかると、右手に中倉山が過去の通過時に比べて明瞭に確認できた。今日は雲に浮かぶ筑波山と加波山まで確認できた。以後も諸所で中倉山とその稜線を見た。そのたびに中倉山から庚申山の周回を頭の中で組み立てる。
 今日は標識を注意しながら歩いてみた。1970ピークには白地に赤枠の標識「←三俣山 黒檜岳→」。1928ピークとシゲト山手前鞍部付近に茶地に白文字の「黒檜岳へ」を見る。いずれも金物で→が刻んであった。シゲト山には山部さん等の山名板に「栃木の山紀行」のも新たに加わっていた。
 シゲト山から1919ピークには境界線に沿って進むのがルートだが、今回は斜面を左に巻いてショートカットを試みた。多少は時間短縮になったようである。
 樹林の中の1919ピークに着いた。当初計画通り中山に下るか、それとも安全に黒檜岳経由で下山するか最終決定せねばならない。最終決定をする場合、それまでに二つのミスまたトラブルがあったら、計画変更をして安全ルートを取ることにしている。今日はまだミスは一つで、中山への冒険ルートOKである。オリンッピック観戦で寝不足なので千手ケ浜から赤沼茶屋までバスに乗りたい。時間的には特別なトラブルがなければ中山経由でも問題ないと結論する。
6 中山への北尾根 ルート設定ミス(谷渡り=下りで冒険するなの鉄則を無視)で中山は諦め、1919Pへ戻る 
 結論から書くと、常道の尾根伝いに中山に下るルートを取らずに、谷渡りをして尾根を乗り換えることを考えた。これが間違いの元で、乗り移る尾根の斜面は低いが岩が多く攀じ登るのは難しい。沢沿いに取付き斜面を探そうと、沢を下ろうとしたが両サイドは岩質で水流も落差が多い。危険と判断して、時間をかけて出発点の1919ピークに戻った。谷渡りは里山では時々やっていたので、今回も安易に大丈夫と考えてしまった。尾根斜面の岩壁を予想していなかった。一番の問題は「下りで冒険をするな!!」の鉄則を無視したことである。
 この北尾根について多少説明を加える。標高1900付近は針葉樹の小木が多く通過するのに抵抗となる。以降1600mくらいまでは倒木は多いが特別の障害物はない。標高1600m以下ではシャクナゲの密薮となる。中山の北西尾根よりかなり厳しい。この密薮を突破すると谷と尾根が目前になる。谷と尾根の斜面は岩質でかなり厳しいことが判明した。谷底(退却点)に下りて尾根への取付きをを探そうとしたが、岩質の沢は滝状に落差が大きく危険。
 谷渡りによる尾根の乗り移りは止めて、最も安全な1919ピークへ戻ることを考えた。下りではそれ程に思わなかったシャクナゲの蜜薮は手強い。この時点で、今晩はビバークを覚悟して飲料水の節約モードに入る。3リットル持参した水も1.2リットルしかない。今になってみると、沢で水を汲んで置けばよかった、と思うがあの時はそんなことに頭が廻らなかった。節水モードに入ると余計に喉が渇く。シャクナゲの密薮を抜ける(約1時間要した)と、安心感からか喉の渇きをあまり感じなくなった。3時間かけて途中でエネルギー補給しながら、1919ピークにヤットの思いで戻れた。
 今夜はどこかでビバークするか、黒檜岳経由で無理やり下山するか考えた。黒檜岳から千手ケ浜へのルートは何度も通っているので、よく知っている。それ程危険もないし、道筋も明確である。途中で暗くなり、危険を感じたらその時点でツェルトビーバクをすることにした。 
7 1919ピーク − 黒檜岳 − 千手ケ浜 − 赤沼茶屋
 難なく黒檜岳に辿り付く。下山の途中で暗くなるのは必至。エネルギーと水を補給し、ヘッドランプを着用して下山にかかる。18時半に太陽が稜線の陰に隠れたが、道筋はハッキリ分かる。段差の多い所を明るいうちに通過できて幸いであった。19時になっても道筋は判別できたが、谷に沿っての斜面歩きとなり、道筋も細くなったのでランプを点灯した。ランプを点灯するとすぐに沢に辿り付く。思い切り水を飲み、容器に水を詰める。これで元気が回復した。特に危険を感じることもなく無事に黒檜岳登山口に下山できた。
 中禅寺湖の湖畔に沿って千手ケ浜に着くと、湖畔で十数人が星座観測をしていた。近くの施設に泊まっている林間学校の生徒達であった。
 千手ケ浜から赤沼茶屋までは舗装道を歩くだけ。弓張峠まで150mダラダラ登るのが嫌らしいが、平滑な道を歩くのは得意。オリンピック放送を聞きながら、ランプを消灯して黙々と歩く。赤沼茶屋に無事戻り、飲んだコーラがうまかった。 
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