ひとり山歩き153 : 柳沢川の赤岩沢合流点(赤岩滝分岐)の上流500mから枝尾根に取付き柳沢林道終点に登り、林道終点から県境尾根の2077峰経由で宿堂坊山まで歩いてきました。柳沢林道終点までは林道を詰めるよりは、安全かつ短時間で到達できました。宿堂坊山からの下山には単純でヤブのない東尾根を使いました。
山部ルートで県境尾根から宿堂坊山(1958m)
2004年6月14日(月) 晴れ
1 行程
自宅(2:00) = 赤沼茶屋(3:45/3:55) − 西ノ湖入口(5:15) − 柳沢川渡渉点(6:05) − 赤岩沢合流点(6:30) − 枝尾根取付き(6:55) − 柳沢林道終点(7:50/8:05) − 2077ピーク(県境尾根)(9:25/9:35) − 三林班沢ノ頭(10:15/10:20) − 荷鞍尾根ノ頭(10:35) − 1991ピーク(11:00) − ネギト沢コル(11:30) −宿堂坊山(11:50/12:40) − 柳沢川出合(14:00/14:20) − 西ノ湖入口(14:35/15:05) − 赤沼茶屋(15:25/15:35) = 自宅(17:45)
2 自宅 − 赤沼茶屋
 白錫尾根〜袈裟丸山までの県境尾根歩きの第三回として、松木渓谷から国境平〜三俣山を考えていたが、先週の雨で松木川が増水の懸念があったので、急遽予定を変更して、2077ピーク(錫ケ岳と宿堂坊山の中間)から宿堂坊山の間を歩くことにした。20077ピークに登るのに柳沢林道を詰めるのは、既に昨年の7月27日にやっているので、他のルートを検討した。「栃木の山 全山踏破」の山部さんが、柳沢川から柳沢林道終点に直登しているので、このルートをたどってみることにした。
 前日の天気予報によると、今週は梅雨の中休みで好天が期待できる。このところ好天のタイミングがうまく取れずイライラしていたので、喜び勇んで出発する。いつもだと菖蒲ケ浜に車を駐めて千手ケ浜まで歩くのだが、今日は赤沼茶屋から柳沢川を目指すことにした。赤沼茶屋の駐車場には数台が駐めてあった。 
3 赤沼茶屋 − 柳沢川・赤岩沢出合
 赤沼茶屋から歩き出すと、顔や手が冷たく感じる。小田代ケ原を通過すると、案の定7〜8名のカメラマンが夜の明けるのを待っている。ここを通るたびに見かける光景だ。「貴婦人」が姿を現すのを待っているのだ。弓張峠から先は初めて歩く。カラマツ林の下りが続く。ここを登るのは容易でない。帰りは千手ケ浜でクリンソウを見て、無公害バスで戻るつもり。
 西ノ湖入口からは、大岳への取付きや宿堂坊山東尾根を注意深く見ながら歩く。柳沢川の水位は高い。帰りに飛び石で越えられるかな、と多少心配になる。柳沢渡渉点の水位はやや高い。渡渉のために川に渡した枯木が増えたようだ。両手に枯木を持ってバランスを取りながら無事渡渉する。
 柳沢川上流を目指して右岸を歩く。ゴーロ歩きだが、ケルンやテープを追うと、薄い踏跡があるので歩行が楽になる。右岸を20数分歩くと、赤テープと枯木の橋が左岸へ渡るよう誘う。ここが赤岩滝への分岐で赤岩沢合流点である。
4 赤岩沢出合 − 柳沢林道終点  多少の薮こぎは必要だが、安全でしかも時間短縮男体山と中禅寺湖(枝尾根の1730m)
 山部さんのレポートによると、尾根取付きに行くには柳沢川を時には高巻く必要がある。登り降りが煩わしいので、赤岩沢出合からは、河原から離れて右岸の山際を歩く。赤岩沢出合のすぐ先で、ゴルジュに出合う。やむなく高巻き、以後は尾根状の斜面を緩やかに登りながら沢に沿って西に進む。進行方向の左に南西に向かう小尾根を見送り、すぐ先の窪地を通り越すと再び南西に向かう尾根が現れる。ここを尾根取付きとした(赤岩沢出合から約500m先)。
 尾根に取付くと、シャクナゲのヤブが迎えてくれた。この尾根では数メートル幅のシャクナゲ薮に二回邪魔された。それ以外は薮はそれ程深くなく、巻いて通過できる。取付女峰山方面(柳沢林道終点)きから標高にして60メートルも登ると、薮は少なくなり、歩きやすくなる。途中で左に男体山と中禅寺が枝の切れ目から目に入る。コメツガから途中でシラビソ樹林に変わると松が混ざった尾根になる。向きが南になると、なだらかなヤセ尾根になる。前方にガレた斜面が枝の隙間から見え出す。程なくかん木帯を通過し、最後に10メートルほど斜面を急登すると、突然白砂のガレた斜面に飛び出す。ここが柳沢林道終点(正確には100m程先)である。柳沢渡渉点から林道終点まで、今回は1時間55分要した。前回林道を経由した時は、3時間5分要した。この時は途中で30分程勘違いでロスした。これを差し引いても、今回のルートの方が30分以上の短縮となった。林道はかなり崩壊が進み非常に危険な場所もあるが、今回のルートには危険箇所が少ないことが上げられる。デメリットとしては、多少の薮こぎを覚悟する必要がある。
 林道終点からは西から北にかけて錫ケ岳を中心に県境尾根が目前に迫る。北東に目を転じると、男体山、大真名子山、女峰山、太郎山がクッキリと望める。
5 林道終点 − 県境尾根(2077ピーク) 尾根は獣道を追うと労力少ない 22077ピークからの展望(南から西方面)077ピークからの展望は抜群
 林道終点の左手にマークと薄い踏跡を見つけて斜面を登る。ほんの僅かな登りで、1874ピークからの尾根に乗る。尾根には獣道が続く。これを追うと、薮がすくなて楽な歩きができる。獣道を見失うと、多少の薮こぎを覚悟せねばならない。
 尾根はシラビソが主でダケカンバやシャクナゲが混ざる。シャクナゲは既に散ってしまったようで、地面でしか見かけなかった。最後に急登して、シャクナゲを掻き分けると、2077ピークの頂上に到達した。頂上に着いてビックリ!! 今までは樹林の中で展望がなかったが、西側は完全に開けていて展望が素晴らしい!! 近くは南の皇海山から北の錫ケ岳まで、その間の遠方には草津白根山(?)、武尊山、至仏山(頭だけ)が眺望できる。遠方の地図を持参しなかったので、その他の山々は残念ながら同定できなかった。 
6 県境尾根 − 宿堂坊山  薄い踏跡に沿ってブリキのマーク  展望は期待できない
 2077ピークから宿堂坊山までは最初は南に進み、途中からは東へと反時計周りに進むことになる。尾根筋はシラビソかコメツガの樹林帯である。下生えは背の低い笹が殆ど途切れることはない。何種類かのブリキのマークが数多く樹木に打ち付けてある。このマークに沿って薄い踏跡が続くので、歩きやすく迷うことはないであろう。1男体山〜女峰山(2077ピークの南鞍部)991ピークの東肩にテープを多く見かけるが、これは追わないこと。
 2077ピークを下ると、時々左手に男体山と中禅寺湖が目に入る。登り返すと、三林班沢ノ頭に達する。頂上は6畳くらいの広さで錫ケ岳と2296ピークしか見えない。ここからは徐々に東向きに変えてゆく。緩やかに下ってゆくと、荷鞍尾根ノ頭に達する。展望は全くない。以前は荷鞍尾根に下る道があったらしいが、踏跡は見られなかった。
 更に東よりに向きを変えて下って登り返すと1991ピークに達する。シラビソ樹林の中で展望は全くない。このピークからは真東に下ってゆく。百メートル程下ると、前方にリボンが目につく。このリボンは北東に誘っている。どうやらこれを下ると柳沢林道の方向転換点(前回勘違いして行きつ戻りつした所)に下るようである。
 ヤギト沢コルへは例のブリキのマークが東南東に下ることを促してくれる。10分程急降下すると、笹原の鞍部に達する。ここがヤギト沢コルで、標識がついている。水場7分の表示もあり、マークが北東に誘ってくれる。水は充分持っているので、頭に入れて先に進む。宿堂坊山への登りは急でキツイ!! 悪戦苦闘20分で見覚えのある宿堂坊山の頂上に到着した。一年ぶりの山頂は一点を覗いて全く変わっていない。その一点とは古びた数枚の山名板に混ざって、山部さんのが増えていたことである。樹林の中で展望はないが、北外れから男体山、南外れからは三俣山が伺えるだけ。ネギト沢コルからずっとはえが煩く付きまとう。天気もよいし、時間もたっぷりあるのでノンビリしたいのだが落ち着けない。 
7 下山  東尾根は単純で、ヤブもなく短時間で下山できる
 昨年は、柳沢林道の14号橋上の「一升瓶」からシャクナゲの多い北東尾根をピストンしたが、、今回は東尾根を下ることに決めていた。標高1900m付近までは不明瞭な尾根を真東に下る。以降はにコンパスを70度(東北東)に設定してドンドン下る。倒木が多いので方向が狂うと、もっとも高いところに軌道修正する。倒木といっても大部分は踏み越えることができるし、潜ったりよじ登ったりする必要はない。短い笹が生えているが歩く障害にはならない。
 所々で急勾配のところがあるが、適当にジグザグに下ればよい。尾根筋は単純で迷込む心配はないので気楽に下れる。テープもあちこちで見かけるが、これを追う必要は全くない。コメツガやシラビソ樹林は標高1550あたりからカラマツに変わる。沢音が聞こえ出してしばらく下ると、柳沢川の砂防ダム(18号コンクリート床固:渡渉後名盤で確認)に下れた。川を飛び越すには水位が高いので、靴を脱いで渡渉した。疲れた足には冷たい水がとても気持ちよく感じた。
 渡渉点から柳沢林道200メートル程を戻ると、林道と柳沢川の出合で、ここからは川と離れて西ノ湖入口に向かう。西ノ湖入口で無公害バスの時間を確かめてビックリ。この時期はバスに乗り切れないことがあります、と掲示してあった。どうするか思案していると、千手ケ浜行きの満員のバスが停まった。運転手に聞くと、ひとりなら何とかなるだろうとの回答があったので、バスを待つことにした。定刻より大部遅れて来たバスは確かに超満員だった。一人分をドアのステップに空けてもらう。
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