ひとり山歩き152 : 松木渓谷からモミジ尾根経由で皇海山に登り、六林班峠経由で銀山平に下山しました。非常にハードな山行でしたが、松木川の渡渉と県境尾根の展望を楽しむことができました。
松木渓谷から皇海山(2144)
2004年6月3日(木) 晴れ
1 行程
自宅(1:40) = 銅親水公園(3:20/3:30) − 大ナギ沢出合(4:05) − ウメコバ沢出合(5:00/5:20) − 第6号ダム(5:30) − ニゴリ沢出合(7:10/7:15) − モミジ尾根取付き(7:45/8:10) − 県境尾根(国境平付近)(9:20) − 皇海山(11:35/12:05) − 不動沢コル(12:45) − 鋸山(13:35/13:45) − 六林班峠(14:45/14:55) − 庚申山荘(16:50/17:00) − 一の鳥居(17:55) − 銀山平(舟石林道口)(18:50/19:00) − 舟石峠(19:35) − 銅親水公園(20:40/20:50) = 自宅(22:35) 
2 自宅 − 銅親水公園
 白錫尾根〜袈裟丸山の県境尾根歩きの第一回として、袈裟丸山〜六林班峠を先週歩いた。第二回として、前々から考えていた松木渓谷からモミジ尾根経由で皇海山に登り、六林班峠への下りを実行することにした。車の回収を考えて3日は庚申山荘に宿泊して、翌日に庚申山から中倉山まで歩く計画で準備した。
 上記計画を満たすために足尾の銅親水公園に車を駐めることにして、日光経由で足尾に向かう。2時から3時ごろは結構車の往来は多い。夜明け前の4〜5時頃の方が交通量は少ないようだ。銅親水公園に着いたときは未だ真っ暗だったが、すぐに出発すべく、支度をする。 
3 銅親水公園 − モミジ尾根取付き  地下足袋で渡渉は問題ないが、ゴーロ歩きで足底の痛みに悲鳴
 準備してきた登山カードを銅親水公園口で投函して、松木渓谷に向かう。3時半にもなると、ヘッドランプなしでも道筋はわかる。大ナギ沢出合までは5月25日に歩いているので全然問題ない。大ナギ沢出合に着く頃には結構明るく廻りの景色も展望できた。
 大ナギ沢出合を過ぎると林道には落石がゴロゴロするようになるので右岸のジャウメコバ沢出合先(最初の渡渉)ンダル(主峰の前に、衛兵のように立っている岩の峰)に見とれているわけにはいかない。大ナギ沢出合を過ぎて四つ目の砂防ダムあたりからは時々林道から下りて河原を歩くようになる。四つ目のダムから数分で右岸に沢が流れ込む。これがウメコバ沢でこのあたりは河原を歩く。ウメコバ沢で進行方向を変えると前方に五つ目のダムが見えるようになり、左岸を歩くのが難しくなる。ここで登山靴から渡渉のために1500円で購入した地下足袋に履き替え、朝食も済ませる。
 左岸から右岸に渡渉したが地下足袋の調子はすこぶる良い。右岸のゴーロを次のダム目指す。心配していた通り問題が生じた。地下足袋の底が薄いので、岩の上を歩くと足底が痛み歩きづらい。今更どうしようもないので我慢を決め込む。これからニゴリ沢出合まで十二回渡渉した。水深は膝下でズボンを膝上まで捲っておけば問題はない。対岸の方が歩き易く見えたら、無理しないで渡渉したほうが早い。今後とも沢歩きをする気はないので沢登り専用靴を買う気はない。次回はジョギングシューズを試してみたい。
 五つ目のダム下で左岸に戻り、右手の階段を利用してダムを越す。このダムは名盤に釜沢  ここは釜の右上を高巻いて通過するより松木川第6号ダムと判明した。このダムのすぐ先で左岸に流れ込む三沢、小足沢と相次いで越すと、右岸の岩壁はなくなり、あたりは緑豊になる。北西から南西に向きが変わると、時々前方に皇海山が頭を覗かせる。前方に釜が現れると、赤ペンキが釜の右上を高巻くように導いてくれる。やがて右岸に岩を押し出した沢を通過すると、前方に鋸11峰の一部(?)が姿を現す。ほどなく前方に黄色の標識が目に入る。急いで行ってみると右から沢が合流し、ニゴリ沢出合と分かる。
 ニゴリ沢出合からは勾配も大きくなりゴーロ歩きが続く。地下足袋では足底が痛く我慢の限界に達していたが、まだ渡渉があるかもしれないので、あと30分と自分に言い聞かせる。結果論としては、ニゴリ沢では水に浸からなくても渡れた。ニゴリ沢は広いのでどこでも歩けるが、意識して左岸を歩いた。ニゴリ沢というから濁りが強いのかと考えていたが、注意してみると僅かに白濁している程度。沢が西から南に変わり、幅が狭くなると前方に低い滝が見え、その手前50mの左岸に赤/黄のマークが目に入る。そばで注意して見ると、斜面に薄い踏跡が続いている。ここがモミジ尾根取付きと判断し、登山靴に履き替える。指の付け根に肉刺(まめ)ができてしまった。大事にならなければ良いが・・・
 沢歩きは難しい所はない。渡渉も心配したほどでなかった。失敗は底の薄い履物を使ったことである。ゴーロ対策さえしっかりしていれば全然問題はない。ただし、水量が多い場合にはこの限りにあらず。 
4 モミジ尾根取付き − 皇海山  急登が続く  踏跡薄いが標示多い  諸所で好展望あり
 薄い踏跡を辿ると、マークとロープが設置してあったので間違いないことを確信する。踏跡はジグザグにかなりの急登である。登山靴に履き替えて足底の痛みから開放される。モミジ尾根というくらいだからモミジ科の木が多いのだろうが名称は分からない。その中にミズナラが結構多い。30分ほどジグザグに急登すると、標高1400付近で尾根歩きとなる。ここからは幾分勾配が緩やかになり、左手に迫力満点の皇海山が聳える。標高1500位からは下生えが笹のミズナラ、ブナ、ダケカンバ樹林を登るようになる。尾根は広がり、笹の急斜面歩きとなる。やがて尾根の形になりこれを急登すると、県境尾根に達した。国境平の僅か30メートルほど上に着いてしまったようだ。国境平に出るには最後の登りを直登皇海山(鋸山から)せずに右(東)に巻かねばならなかったのだ。国境平は今後とも通過す計画があるのでパスする。この付近はダケカンバ疎林の笹原で、錫ケ岳から三俣山への稜線と黒檜岳から三俣山への稜線が望めた。
 県境尾根の最初の十数分はダケカンバ疎林の笹原を緩やかに登る。男体山、太郎山、黒檜岳、社山、半月山等日光の山々がみえる。この先はコメツガの樹林に入り、南西への急登になる。標識多く踏跡は拾える。時々振り返ると、枝越しに日光の山が見える。途中にシャクナゲもあるが特別に歩行を妨げるようなものはない。山頂を目指してひたすら急登を続ける。
 標高1950位からは向きが南に変わると、再び日光の山々が姿を現す。至仏山や武尊山も確認できた。その先はコメツガの幼木とシャクナゲのトンネルを潜るが、踏跡はしっかりしているので歩き難いことはない。標高2000位でトンネルを抜け出し、コメツガとシラビソ樹林に入り急登を続けると皇海山頂上に達した。平日とはいえ不動沢コースからの登山者で山頂は賑わっているかと思いきや、無人だったのは意外だった。山頂からの展望はよくない。奥白根山と燧ケ岳が枝越しに見えるだけ。滅多に三脚は使わないのだが、無人なのでセルフ写真を撮る。
5 皇海山 − 六林班峠  鋸山の好展望と六林班峠への下りの笹薮  足底の肉刺がつぶれる  
 一昨年の5月26日に歩いているので詳細は省く。
 鋸山は不動沢コ日光の山々(奥左から: 奥白根山 男体山 半月山 中央: 大平山から県境尾根ルあたりから見ると峻立していてどうやって登るのかと感じる。実際に登ってみると道がしっかりしているので、それほど難しいことはない。鋸山中腹の岩場と山頂からの展望は素晴らしい。皇海山が目の前に迫力のある姿を呈し、日光の山々、至仏山、武尊山に加えて、翌日歩こうとしている庚申山からオロ山の稜線、筑波山まで望めた。
 鋸山から六林班峠への下りはずっと笹道が続く。最初は小ピークを三四回越し高度が下がらない。標高1900位から下りだすと、笹薮に悩まされる。一昨年の5月に歩いた時は笹は刈り込んであったので容易に通過できたが、今回は伸び放題で胸ないし肩高さの藪こぎ強いられる。最近はもっと強烈な藪こぎをやっているのでそれほど堪えない。一昨年は藪こぎの経験がなかったので、今回のように藪が深かったら悩まされたであろう。六林班峠に着く頃には足底の肉刺がつぶれたようで痛みを感じるようになった。地下足袋でのゴーロ歩きの影響が現れたのだ。 
6 六林班峠 − 銀山平 − 銅親水公園  足底の痛みで翌日歩けないことを懸念して予定変更
 今夜は庚申山荘泊まり。あと2時間の辛抱と自分に言い聞かせて庚申山荘に下る。途中で足底の痛みが激しくなる。庚申山荘に着いてベンチで足底を調べると肉刺がつぶれている。山荘に泊まっても明日は痛みで、山歩きに支障をきたすのではと不安になる。痛みはあるが歩けるうちにこのまま下ってしまうか。銀山平までは充分明るいうちに下れる。車の回収は場合によっては銀山平からタクシーが利用できる。短時間にいろいろ考え、下した結論はこのまま下山することだ。
 庚申山荘から一の鳥居までの段差のある道は特に足底に堪えた。銀山平までは休まずにそのまま歩行を続ける。痛いがそれ程歩行速度は落ちていない。先週のペースとほとんど変わらない。舟石林道口(銀山平手前のゲート)に辿り付いた。この先どうするか靴を脱いで肉刺の応急手当を行いながら考える。ついでにエネルギー補給もする。握り飯が水なしで喉を通るくらいだら体力的には全然問題ない。10分の休憩で出した結論は銅親水公園まで道がよいので約2時間歩くことにした。その理由の第一は、車の回収にタクシーは使わない、というこだわりにある。一回楽な目をしてしまうと癖になる。
 途中で暗くなるのでヘッドランプを着用して、舟石峠を目指す。肉刺の応急手当が効いたのか痛みが多少和らいだようだ。舟石峠を通過する頃には暗くなったが、ランプを点灯しない方が、道路全体が見えて歩き易い。時計を見るとき以外は消灯したまま歩く。暗い道は早朝のウォーキングでなれているので不都合を感じない。足尾の赤倉目指して林道をドンドン下る。道路には障害物が全くないので助かる。赤倉が近づくと、道路沿いに足尾銅山の採掘跡の看板が目に付くが、ランプを照らしてチラッと読んで通り過ぎる。突然赤倉山の右上に満月が見えた。今まで山の陰で見えなかったが、道路が明るかった理由が分かった。赤倉で自販機でコーラを買って飲みながら家に電話をする。人通りの全くない道路を銅親水公園に向かって緩やかに登る。約20分で銅親水公園に辿り付く。今日は計画外の歩きが入ってしまい、歩行開始から終了まで約17時間。今までの最長となる。(翌日はつぶれた肉刺が痛く、家の中の歩行も支障がある。前日下山したことは正解のようだった。) 
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