ひとり山歩き151 : 群馬県東村の楡沢林道から県境尾根に登り二子山経由で前袈裟丸山から奥袈裟丸山そして六林班峠まで縦走しました。県境尾根の大部分に薄い踏跡がありましたが、法師岳鞍部から六林班にかけての笹薮には梃子摺りました。県境尾根は所々で展望が開け思わぬ眺望に疲れも癒されました。
二子山から袈裟丸山連峰〜六林班峠縦走
2004年5月25日(火) 快晴
1 行程
自宅(2:20) = 楡沢林道口(4:05/4:15) − 楡沢林道終点(4:50/5:00) − 県境尾根(5:35) − 1159P(6:20) − 二子山(8:10/8:15) − 登山道出合(8:35) − 小丸山避難小屋(9:10/9:15) − 前袈裟丸山(10:05/10:20) − 後袈裟丸山(10:55/11:00) − 中袈裟丸山(11:35/11:45) − 奥袈裟丸山(13:05/13:15) − 小法師尾根分岐(14:15/14:25) − 法師岳(14:40) − 男山(15:35) − 六林班峠(16:05/16:25) − 庚申山荘(18:20)
5/26(水) (車の回収) 庚申山荘4:50) − 一の鳥居(5:50) − 銀山平(6:40/6:50) − R122出合(7:55) − 楡沢林道口(9:00/9:15) = 自宅(11:20) 
2 自宅 − 楡沢林道口
 白錫尾根から袈裟丸山までの尾根を連続して歩くのを「夢の夢のそのまた夢」にしている。じぶんにいとっては不可能とも思える夢の実現に向けて、先ずはこの尾根を細切れに全踏破してみようと考えている。その第一歩として袈裟丸山から六林班峠まで縦走する。  自動車の回収を考慮して周回コースを考えた。、群馬県東村の楡沢(ねりさわ)林道から栃木との県境尾根に登り、二子山経由で袈裟丸山から六林班まで歩き、六林班峠で幕営する。そして翌日、小法師尾根分岐まで戻り小法師岳、巣神山を下り栃木県足尾の原向に下ることを計画した。
 自宅(栃木国分寺町)から小山・足利経由で群馬県東村を目指す。沢入駅入口から約2km先で楡沢橋を渡ると、30m先が楡沢林道口でここを左折して200m進んで路肩に車を駐めた。
3 楡沢林道口 − 前袈裟丸山  県境尾根は障害物なく歩き易い 二子山からはシロヤシオとミツバツツジが盛り袈裟丸山連峰(二子山から)
 楡沢の左岸を北西に進む。駐車地先に無人らしい人家を見て更に進むと右手に採石場もあるようだ。植林の中の舗装した林道を約30分進むとゲートに達する。「くくり罠」設置の看板を見てゲートの横を抜ける。更に10分で右から支流が流れ込み林道終点となる。高原山探訪のYoshiさんはここから地形図破線の谷を辿ったが、踏跡はなく難所が続く、と報告している。このルートは諦めて、当初計画どおり支流左岸の枝尾根に取り付くことにした。右岸の枝尾根の方が勾配は緩やかだが、短時間で県境尾根に登るため勾配の急な前者を選んだ。尚、大山祗命の石碑の西に作業道が続いている。これを辿って適当な所から県境尾根に登れるかもしれないが、確認はしていない。
 支流左岸の尾根に取り付くには大岩を左から巻くようにして登り、枝尾根を北進する。最初は植林であったが、途中から自然林となる。特別の障害物はないが、地形図に現れない小さなコブを何回も越さねばない。標高にして約200m、時間で30数分の急登で県境尾根に辿り付いた。
 県境尾根は勾配は緩く、特に障害物もなく歩き易い。ミツバツツジが散見できる。やがてミズナラの枝越しに二子山が姿を現すと、すぐに三角点のある1159ピークである。測量で北側の樹木が切り開かれているので、男体山が望める。
 このピークからは北西から西に向きを変えての登りとなる。1260ピークからはミズナラにカラマツが混ざり、低い笹が目に付くようになる。標高1300付近はシラカンバとブナの笹原となる。水準1358付近では笹原に石碑状の岩を多数見かける。この小ピーク付近にはシロヤシオとミツバツツジが丁度開花していた。北に少し下ると広い笹原で、名称どおりの二子のピークを目前にする。南西に戻るようにして尾根に取り付くと窪んだ道筋(?)らしものが現れる。この道筋のついた笹尾根を約200m登ると、二子山の頂上に辿り付く。山頂はダケカンバの多い笹原で、袈裟丸山連峰、鋸11峰の一部と男体山が望め八反張コルる。山部さんの山名板ともう一枚見かける。
 二子山からは笹尾根に明瞭な踏跡が西へと続いている。踏跡周辺にはミツバツツジとシロヤシオが丁度盛りであった。途中から道幅は広くなり、ツツジのトンネルを抜けると賽の河原から前袈裟丸山への登山道に出合った。地形図を確認している間に折場口からの三組の登山者が通り越していった。
 ここから前袈裟丸山までは一昨年の5月6日に通っているし、案内書にも詳しいので詳細は省く。小丸山は好展望なので寄りたかったが、今日は先が長いので、左を巻いて通過した。避難小屋では後学のために内部を確認して前に進む。ここまでに数人の登山者を追い抜いた。アカヤシオも時期が過ぎ、平日だというのに人気の山は登山者が多いのだと感心する。
 避難小屋から先はコメツガ林の急登となる。いつもよりは荷物が重いので、さすがに足取りも重く前袈裟丸山の山頂付近では追い越したグループに追いつかれる。赤城山を左に見ながらゆっくり登る。無人の前袈裟丸山に着いて、荷を下ろしてエネルギー補給しながら体を休める。後から登ってきた数人が山頂を素通りして後袈裟丸山の方へ進んでゆく。山頂からは展望がよくないので、山頂の北端で展望を楽しんでいるものと解釈した。 
4 前袈裟丸山 − 六林班峠  男山周辺の笹薮を除くと大部分に薄い踏跡あり  所々で好展望あり
 八反張コル崩壊のため通行禁止の看板を一応見て後袈裟丸山に向かう。山頂の北外れの好展望所に来てみると誰もいない。前袈裟山頂で素通りした人は全員後袈裟に行ったことを知る。至仏山、武尊山、谷川岳等展望はよいのだが、先を急ぐ。この尾根はコメツガ林にシャクナゲが群生している。今年初めてのシャクナゲの花を楽しみながら八男体山と小法師尾根(中央部) (中袈裟と奥袈裟中間から)反張コルに下る。コルの鎖の補強柱は一本だけが緩かったが前回感じたよりもしかっりしていた。慎重に通ればそれ程危険を感じない。これなら通行禁止の看板があっても後袈裟へだれでも行ける。鞍部からは笹斜面の急登となる。途中で振り返って前袈裟を写す。後袈裟丸山の頂上に着くと、数人が休んでいた。山頂からは男体山と赤城山が展望できる。
 ここから先は無人となるが、いつものことであり全然不安感はない。自分に合ったペースで歩けるのでむしろ好都合。コメツガとシャクナゲの中の薄い踏跡を下る。鞍部からは膝から腰程度の笹を掻き分けて登る。笹がなくなると中袈裟丸山の山頂に達する。男体山、太郎山、山王帽子山、於呂倶羅山等日光の山々が展望できる。プラスチックの山名板は欠け、厚手の木盤の文字が消えている。気象の厳しさが分かるような気がした。
 中袈裟から数分下ると、前方に白リボン、左に多数のテープを見かける。昨年の10月10日に左のテープに気付かず、白リボンに誘われて真っ直ぐ進む失敗をした。今回は慎重に方向を確認して左のテープに進む。鞍部はコメツガにダケカンバが混ざり、笹で踏跡が薄い。笹道を急登すると途中で男体山、社山、半月山や高原山が望める。笹がなくなるとシャクナゲが目に付くが、シャクナゲは行く手を邪魔するようなことはない。今までのところ男体山は所々で姿を見せてくれる。北西に至仏山が見えると、左手に小高い岩が見えたので登ってみる。ここからの展望が最高であった。至仏山、武尊山、谷川岳、男体山と目の前に奥袈裟と最高点のピークが展望できる。皇海山は奥袈裟に邪魔されて見えなか男山手前の笹原(胸高さの笹)った。元に戻ってほんの僅か下って、コメツガの笹道を登り返すと奥袈裟丸山の山頂に着いた。山頂はコメツガ樹林の笹原で展望は全くない。奥袈裟丸山の標識が一枚あるだけ。小法師尾根分岐まで40分、法師岳50分、前袈裟1時間40分、後袈裟70分と記入してあった。後袈裟から125分かかってしまった。こんな山奥に入る人は健脚ぞろいなのだ。自分にはとても真似できない。スピードで太刀打ちできないから、その分は時間をかけるのが自分のスタイル。この調子で行っても、明るいうちに六林班峠には充分行けると確信する。
 コメツガとシャクナゲの尾根を袈裟丸の最高ピークを目指す。奥袈裟の場合もそうだったが、最高ピークへの鞍部が見えないので、一瞬不安になるが踏跡を辿ってみると、案ずるよりは生むが易しでどうということはない。右側は切れ落ちている所もあるので注意は必要。最高ピークは左を巻いて通過する。最高ピークからはシラビソが多くなる。鞍部に多数のテープ表示を見かける。小法師尾根分岐にしては近すぎると思いながらも、標示板を探すも見つからない。ウロチョロ標示板を探しているうちに、笹に隠れていた根っこに思い切り脛を打ち付けてしまった。小法師尾根分岐はもっと先と判断する。ここで数分ロスしてしまった。時間ロスも脛も痛い!! この夥しいテープは何なのだろう!? 餅ケ瀬川への下りでもあるのかな?? それにしても同じ所に何であんなに多数のテープが必要なの?? 類は友を呼ぶ?? 全然理解できない!! 応急の止血をして、小ピーク(1932P)を登る。このピークを下った笹原の鞍部が小法師尾根分岐である。テープは見当たらなかったが、小法師岳を示す標識が目に付いた。
 翌日戻ってくる予定なので、地形をよく記憶して法師岳に向かう。シラビソとコメツガの笹道を登るとすぐに法師岳の山頂についた。山名板がなかったら通過してしまっただろう。法師岳の下りはコメツガの笹道、正面の枝越しに皇海山が見えるようになった。地形図に現れない小さなコブを通過しながら下ってゆく。鞍部付近からは笹が深くなり踏跡は分からない。地形を見ながら進むと、時々テープやリボンを見つける。鞍部への下りの笹は腰から胸程度だが、男山((1857P)への登りは胸高さの笹である。未だ完全に立ち上がっていないので、前方の確認ができるので助かった。鞍部から約20分のやぶこぎで男山の頂に達した。下りも笹原がずっと続く。更に20分程やぶをこぎながら下ってゆくと、笹は低くなった。ここから北西に向きを変えて5分程進むと、見覚えのある六林班峠に着いた。
 到着時刻は16:05で、幕営には適当な時刻だ。男山周辺のやぶこぎに嫌気がさし、明日もう一度やぶこぎをして小法師尾根分岐に戻る気になれない。今から庚申山荘に下れば明るい内に着けると判断して下山支度にかかる。万一を考えて、ヘッドランプを準備しエネルギー補給をする。
5 六林班峠 − 庚申山荘  翌日の小法師尾根下りは断念して、庚申山荘に泊まる
 一昨年の5月26日に皇海山からの帰りにこのルートは通っている。鋸尾根の南斜面を十数回沢を渡りながらトラバースしたことを覚えている。ルートは登山道がしっかりしているので迷う心配はない。標高差が少なく、方向転換を何度もするので地形図は役に立たない。とにかく暗くならない内に庚申山荘へ着くことだけを考えて歩く。万一暗くなっても幕営する備えがあるので、気分的には楽であった。幕営の備えがなく初めての道だったらかなり焦っただろう。後半になるとシロヤシオとミツバツツジを楽しむ余裕もできた。18時20分まだ充分明るいうちに庚申山荘に着いた。所要時間1時間55分は前回と全く同じであった。
 庚申山荘には、翌日皇海山に登る夫婦が管理人と談笑していた。必要事項を記入し、2000円払って、部屋に入り夕食を取って就寝の支度をする。19時にはまだ窓から光がさしこんでいたがフトンにはいる。ラジオを聞いていたが20時頃には眠り込んだようだ。フトンを干していないので、湿っぽかった寝ているうちに体温で乾燥してしまったようだ。
6 庚申山荘 − 楡沢林道口 車の回収に4時間 計画通り小法師尾根を原向まで歩けば40分で済んだのだが
 翌朝は3時に目覚める。今日は車の回収だけなので急ぐ必要はない。寝床でラジオを聞きながら明るくなるのを待つ。前泊の夫婦が4時前に出かけたようだ。4時過ぎに明るくなって起床し、アンパンを頬張り荷を纏めて山荘を出発する。
 一の鳥居から銀山平の間で、庚申山に登ると思われる数名の登山者と出逢う。銀山平でポカリスウェットを補給して車道歩きをする。今回は巣神山と小法師岳はスキップしてしまったので、次回を期して庚申ダム先で巣神山への登山口を調べる。国道122号を南下し、小法師尾根の末端を見ながら原向を通過し、トンネル二つ潜ってやっと楡沢林道口の駐車地に到着する。
HOME  
inserted by FC2 system