ひとり山歩き141 : 冬の間は安蘇の低山歩きに精を出したが、今年の春と秋はまだ手付かずの栃木北部の山に積極的に出かけるつもりです。その最初として小佐飛山に登ってきました。笹薮の密集地帯は残雪があり、それ程の苦労もなく頂上を踏むことができました。今年は降雪が少ないので、4月末になると残雪もなくなり笹薮が頭をもたげるようになりそうです。
小佐飛山(1429m)登山
2004年4月1日(木) 晴れ
1 行程
自宅(3:40) = 萩平駐車地(5:30/6:25) − 登山口(6:35) − 案内板(7:05) − 1120P(8:10/8:20) − 1275P(9:05) − 反射板(9:20/9:25) − 小佐飛山(10:15/10:50) − 反射板(11:25/11:30) − 1275P(11:40) − 1120P(12:10/12:15) − 案内板(12:55) − 登山口(13:15) − 駐車地13:25/13:35) = 自宅(15:55)
2 自宅 − 萩平
 今年は県北部の山歩きを積極的にするつもりでいる。県北の山を歩くには、チシマザサを避けて通れない。しかし、まだその経験がない。小佐飛山に登れば、残雪期とはいえその一端にお目にかかれるだろうと考え実行することにした。
 前夜はサッカーのシンガポール戦の放送を観た。楽勝だから最初だけ観て眠ろうとしたが、楽勝どころか勝ちも怪しく、結局最後まで観てしまった。そのため睡眠時間不足で疲れねばよいが、と考えながら黒磯市の萩平に向かう。県北部は土地感がないので、カーナビ任せの運転となる。県道30号(矢板那須線)の高林で右折して5kmほど道なりに西に進むと一軒家のすぐ先の広場で終点となる。ここが萩平駐車地で大蛇尾川と小蛇尾川の合流点のすぐ下に位置する。車を駐めて朝食を取る。いつもなら家で新聞を見ながら朝食を取ってくるのだが。 
3 駐車地 − 小佐飛山  残雪のお陰でチシマザサは雪の下にあり、思ったより楽に登れた
 駐車地から蛇尾川の対岸(右岸)に渡渉すると、踏跡が上流に向かう。すぐ先で大蛇尾川と小蛇尾川が合流する。そのまま小蛇尾川の右岸の作業道を二三分進むと、グレーチングの鉄橋に突き当たる。これを渡って、左岸の作業道を更に上流に向かう。僅か先の砂防ダム手前50mに右への踏跡がある。ここを登山口として尾根に取り付く。安戸山(左)八汐ダム(中央) 高原山(奥) (反射板から)
 ジグザグに5分程上ると尾根に達する。その後も杉植林の作業道をジグザグに小蛇尾川側へあるいは大蛇尾川側へと巻きながら高度を上げてゆく。標高750m付近で最初の分岐に「小蛇尾川上流」の案内板を見て、左の小蛇尾川方面に進む。この作業道は尾根の左手(西)を巻いて、ずっと先まで続きそうだが、先が読めない。どうせ尾根に取り付くのだからと、尾根に向かう踏跡に入る。
 この踏跡はすぐに尾根北側の巻き道と化す。標高870m位でリボンに誘われるように再び尾根に取り付く、暫くジグザグに登ってゆく。植林にもかかわらず笹が増えて踏跡が薄くなり、テープとリボンがやたらと目に付くようになる。暫くはチシマザサ(標高1350付近)テープを追って笹を掻き分けて登ることになる。標高1030m付近で大岩を右に巻いて登ると、自然林の尾根上に達した。この笹尾根は踏跡が時々薄くなるが、歩き難いというほどでもない。左に安戸山を時々見ながら上ってゆくと、1120ピークに達する。枝越しに鴫内山と黒滝山と思しき山を眺めながら、この先の残雪に備えてスパッツを着用する。
 暫くはミヤコザサの尾根歩きとなる。笹の濃淡はあるが、歩行の障害にはならない。枝越しではあるが展望も楽しめる。右に黒滝山〜鴫内山の稜線、左に安戸山〜弥太郎山の稜線が間近に見れる。近々縦走しようとしている黒滝山〜鴫内山稜線を南側から眺めると、残雪は全くなく勾配も緩やかで何の変哲もないように思えるのだが。残雪と薮がどの程度か気になるところだ。黒滝山の左手に大佐飛山らしい山も見えた。経験を積み技量が上がれば行ってみたい山ではあるが、ベテランには「まだ10年は早いよ」と言われそう。残雪が僅か認められるようになり、ネマガリタケを見かけるようになると、1275ピークに達する。この小ピークからは左に八汐ダムを挟んで安戸山と弥太郎山が伺える。八汐ダム(小佐飛山頂から)
 1275ピークからもミヤコザサが相変わらず続く。胸まである笹藪を越すと、反射板が設置された笹原に達する。ここからの展望は良好で、弥太郎山と安戸山その直下に八汐ダムが望める。高原山も弥太郎山の奥に見える。反射板を越すと、ダケカンバやブナが目に付く。ダケカンバは最近低山歩きばかりしていたので久しぶりだ。チシマザサの密度も濃くなってきたが、残雪がほぼ連続的にあるので、歩行の障害にはならない。標高1370m付近で雪が薄くなったので、思い切って背丈を越すチシマザサの薮に飛び込んでみた。一部はまだ寝ているので足を載せると滑って登り難い。立っている笹を掻き分けるのも労力がいる。10分程の短時間であったが、かなり手強いことが経験できた。
 再び残雪の尾根を登ってゆくと、弥太郎山の右手に左から女峰山、男体山(と見えるのは太郎山で男体山は赤薙山の上に頭を出す程度)、奥白根山と日光の山々が展望できた。いつも見慣れている順序と逆になるので異様に思える。左右の稜線を見ながら残雪を踏みしめてゆくと、小佐飛山の平らな山頂に到着した。山頂は笹原で手前側は残雪があるが、奥の三角点周りは既に雪はなくなっていた。10日程前に栃木の山273の山部藪人さんが取り付けた山名板の前で記念写真を撮る。三角点の付近には黒羽山の会の山名板もあった。
 山頂からは樹木が邪魔して展望は開けないが、長者岳から鹿又岳の稜線、黒滝山から鴫内山の稜線が枝越しに見える。大佐飛山らしい山も見えるのだがハッキリしない。安蘇の低山歩きと異なり、静寂なのがよい。久しぶりに娑婆から離れた、と実感する。今日は暖かく昼寝をしたいくらいだが、山をなめることは禁物。いつものように早帰りに徹する。 
4 下山
 いつの日にか、山小佐飛山部さんが10日前に辿った長者岳へ、と未練を残してながら下山にかかる。標高1030mの大岩までは往路を辿る。往路で労力を要したチシマザサの藪こぎも下りでは労力がはるかに少ないことが分かった。寝ている笹の上では滑って方向転換がしづらいことも経験できた。その他は特に問題もない。 
 大岩からは忠実に尾根上を歩いているうちに、往路とは異なるルートを通っていることに気がつく。往路では尾根の東側をまいて登ったが、復路は尾根上を忠実に歩いた。このルートもテープが多数ある。尾根をほぼ南に下ってゆくと、標高800mで蛇尾川ダム方面からくる作業道に出合った。この作業道を追うと、数分で「小蛇尾川上流」の案内板に辿り着く。
 以降は作業道を忠実に辿ると20分程で登山口に無事下りられた。小佐飛山に無事登れた余韻に浸りながら駐車地に戻ってみると、宇都宮ナンバの車が一台止まっていた。釣り人の車か。
 残雪期とはいえ藪にもう少し悩まされるかと覚悟してきたが、思ったより楽に登れた。チシマザサを舐める訳ではないが、百村山・黒滝山・鴫内山の縦走が楽しみ。
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