ひとり山歩き139 : 金原山から高鳥屋山への縦走時に退却した岩峰群を歩いてきました。諸先輩の報告等を参考に通過してみると、思ったよりは容易で面白い歩きができました。今回は長谷場側から取り付き、岩峰群から高鳥屋山まで脚を伸ばしました。
長谷場から岩峰群〜高鳥屋山(513m)
2004年3月19日(金) 曇り/晴れ
1 行程
自宅(5:40) = 長谷場の唐沢橋(6:40/6:45) − 炭屋林道口(6:55) − 456ピーク(7:55/8:00) − 岩峰群1峰(8:35/8:50) − 4峰(9:20/9:25) − 6峰(10:00/10:10) − 祠峰(10:35/10:45) − 高鳥屋山(12:00/12:20) − 稲村沢林道口(13:25) − 唐沢橋(13:30/13:40) = 自宅(14:35)
2 自宅 − 唐沢橋
 1月20日に金原山から高鳥屋山に縦走を試みた。金原山と高鳥屋山の略中間点で岩峰群を前にして、地形図の終点ピークから退却した。その後、掲示板で馴染みのノラさん、安蘇の山塊からの山とんぼさん、栃木の山273の山部さんがこの岩峰群を歩かれた。その報告を参考に、長谷場側から岩峰群に取り付き、高鳥屋山まで縦走することにした。
(注)岩峰群1峰へは、閑馬長谷場線を閑馬金原集落から入り向きが北東から大きく南向きに変わる所から地形図の破線を辿ると容易である。
 炭屋林道から取り付き、稲村沢林道に戻る都合上、昨年の3月10日に唐沢山〜大鳥屋山〜岳ノ山縦走に駐車した唐沢橋(県道201号作原上町線の高谷BS付近)に車を駐めた。長谷場側からアクセスする理由は次のとおりである。@岩峰群1峰の大岩をを東尾根から偵察する。A高鳥屋山の北東尾根への踏跡に興味を持っていた。Bバリエーションを広げるために同じアクセスは極力しないようにしている。
3 唐沢橋 − 岩峰群1峰  予定通りのコース取りで岩峰群の1峰へ  
 唐沢橋から取り付く尾根の様子を観察しながら500m程県道を南下すると、炭屋林道口に達する。尾根への取り付きを探しながら林道に沿って進むと、プレハブ小屋のすぐ先の左手に作業道を見る。ここから南に作業道を進めば456ピークから派生する枝尾根に取り付けるだろうと判断した。谷あいの荒れた林道を数分進むと、間伐材が多くなり歩き難くなったので、左手の尾根に取り付く。
 植林の尾根は急勾配でうすい獣道が断続的に現れる。暫くは立木、根、岩と傍にあるもの掴んでは這い登る。標高400m付近になるとやや勾配は緩くなるが間伐材に邪魔される。ほぼ東西に伸びる稜線に辿り付く、西へほんの少しで植林の456ピークに達した。今までの所は予定通りのルートを通過。
 456ピークからは松の多い細尾根歩きとなる。すぐに岩峰群の1峰から4峰までが枝越しに見えるようになる。この尾根は緩やかで踏跡もしっかりしていて歩き易い。1峰が近づくにつれて尾根は岩質となってくる。二つ目の大岩からは岳ノ山・大鳥屋山・唐沢山の連なりが望めた。樹木で覆われていて岩までは見えないが肝心の1〜4峰の概観もはっきり把握できた。1峰が近づくにつれて岩が多くなり痩せ尾根となる。1峰へ登れるか多少不安になるが、山とんぼさんが降りているので登るのは大丈夫だろうと不安をかき消しながら進む。
 ついに1峰東側の数メーターの大岩が目の前に現れる。山とんぼさんは左手の壁を下り、右手の岩棚を横這ったのだな、と観察する。危険ではあるがこの程度の危険箇所は過去にも通ったことがあるので大丈夫、と自己暗示をかける。1峰への登りは山とんぼさんの下りたところを登ることにした。昨夜の雨で壁がやや緩んでいるが、立木や根っこに掴まりながら攀じ登ると見覚えのある1峰の頂上に達した。1月20日には頂上から富士山も展望できたのだが、今日は曇っていてそれは無理だった。筑波山が辛うじて見える程度であった。その代わりアカヤシオが一枝開花していた。今年はツツジの開花が早そうだ。 
4 岩峰群  「案ずるより生むが易し」思ったより楽に通過できた  諸先輩のインストラクションあ岩峰群 (金原集落から、1月20日撮影)ればこそ
 意を決して1峰から2峰(地形図には現れない岩の小ピーク)目指して下ることにする。山とんぼさんのルートも可能だが、ここはノラさんの教えに従って北へ踏み込む。あとは薄い踏跡を立木に掴まりながらジグザグに下る。立木が多いので不安感はない。難なく下りて振り返ってみると、山とんぼさんの通過した所は確かに危険なところだ!それにしても何故1月20日には、下りようとしなかったのであろうか。絶壁状の4峰を見て拒否反応が起きてしまったのであろう。もし4峰がブラインドだったら北に下りていただろう(あとからならなんともいえるのだが)。かくして1峰は無事通過する。
 2峰は特別難しい岩ではない。岩の上から前後の写真を撮るが広角でないので全体像が撮れない。また立木と枝に邪魔されて岩の輪郭がうまく撮れない。3峰4峰岩壁下の社も地形図には現れない小ピークで登りは簡単。ピークで写真を撮って下りにかかる。このピークは北にダイレクトに下りられないという情報があったので、慎重に踏跡を探しながら下る。ここもノラさんの教え通り左(西)に巻いて逃げる。岩を巻いて稜線に戻ると、例の4峰の直下に出る。
 ここから4峰を見上げると1峰から見たような絶壁6峰の大岩は全く見えない。高所恐怖症の気があるが、斜面の全体像が見えないので不安感はない。右(東)側のかん木の助けを借りて、恐怖(?)の4峰も難なく登りきる。通ってみると、1月20日にびびったのが嘘のよう。「案ずるは生むが易し」というのが当たっているが、その裏には諸先輩のインストラクションあればこそ。4峰からは2月19日に金原から登りついた祠のピークから6峰が見通せる。
 4峰を下って鞍部から5峰(地形図に現れない岩稜の小ピーク)に登る途中で何気なく左下を振り返ると小さな社らしいものが見えたので寄ってみる。稜線から数メーター程斜面を下ると道があり、4峰の岩壁で行き止まっている。岩壁の下には小さな石の社が祀ってあった。まだ新しいようだが、文字とか飾りは皆無であった。この道は金原から撮った写真に傷跡のように写っている(右上写真)。
 稜線に戻って松の多い岩稜の5峰に登る。5峰からの下りは右に巻くと岩棚を急降下せねばならない。多少道のりは長くなるが、左に斜面を巻いて逃げる。鞍部に戻ると、目前に6峰の大岩が控える。これの右側を登ればすぐに頂に達する。途中で写真を撮ったり、社に寄ったりで少しノンビリしすぎたようだ。今日の行程は最近の山行としては短いので、ついでに6峰の上で、景色を眺めながらエネルギー補給をする。6峰からの眺めは結構よい。南西に桐生方面と足利の山々が見通せる。真下には空友荘のテニスコートも見えた。 
5 岩峰群 − 高鳥屋山  安蘇南北稜線の全踏破第一号達成  松を配した岩稜尾根は楽しい
 6峰から二つ目のピークに達した。このピークは2月19日に金原集落から登ってきたピークである。これで三床山・金原山・高鳥屋山・奈良部山・丸岩岳・熊鷹山・十二山・氷室山と連なる稜線を全踏破したことになる。安蘇南北稜線群の全踏破第一号である。記念に隣のピークにあるにお礼参りをする。高鳥屋山(中央) 北東峰(右) 516峰(左) (縦走路からの展望)
 ここから高鳥屋山までは丁度一ヶ月前の2月19日に歩いているので、ルート紹介は略す。前回間違えた次の小ピークは慎重に通過する。松の多い岩稜の尾根を歩くのはとても気持ちが良い。いつものことだが凹凸の多い所の歩行速度が鈍る。膝関節が硬く、思ったようには脚が伸びない。歩行速度は遅いが、スタミナはあるので長時間歩行で帳尻併せすればよい。これが自分のパターンであることを認識して安全第一を心がける。
 尾根を歩いているとアカヤシオがポツポツと開花している。もう少し先になるとこの尾根は松に混ざってツツジが目を楽しませてくれるだろう。その反面、ヤブが煩わしくなるのは仕方ない。地形図で松坂から稲村に通じる破線の南にあるピークの外れからは唐沢山・大鳥屋山・岳ノ山と続く稜線が美しい。また、高鳥屋山周辺のピークも間近にできる。
 高鳥屋山が近づくにつれて大鳥屋山直下の採石場から重機の音が聞こえてくる。こんな低山では浮世と縁切りすることはできないことを痛感する。前回通った時よりテープ(白テープと白紙)が増えていることに気がつく。
 高鳥屋山の手前ピークは展望がよいのだが、今日は赤城山しか遠望できなかった。閑馬方面から正午のサイレンが聞こえてきたのと高鳥屋山の山頂にたどり着いたのが全く同時であった。咲き始めたアカヤシオが疲れを癒してくれる。それと栃木山紀行の山名板が目に付く。以前は山頂に落ちていた字の消えた木の山名板も立木に固定してあった。結構登ってくる人は多いようだ。
6 下山  ブッシュの多い尾根を下る  期待の尾根には何もなかった
 山頂から北東に明瞭な踏跡があることを前回気付いた。明瞭な踏跡があるので何かある筈、と予想した。その時は先を急いで近沢峠方面へ下ってしまった。以来気になっていたので今回はこの踏跡を辿ってみることにした。
 明瞭な踏跡を北東に下ると鞍部からは薄くなる。松の多い岩稜尾根はは相変わらず続く。高鳥屋山北東の530ピークを越すと、方向を東に変えて斜面の急降下となる。植林と自然林の混在する尾根は標高350mを過ぎると勾配は緩やかになる。自然林になるとブッシュが煩くなる。手で目を庇いながらブルドーザのごとく小枝を押しのけて突進する。こんな所になると体の重さが利いてくる。岩場を歩くよりはよっぽど楽でよい。脛に引掻き傷は止むを得ないが、目を小枝で突かないようには充分注している。ゴーグルを試してみようかとも思うのだがどうであろうか。
 高度が下がると大鳥屋山直下の採石場と蛭沢集落が目に入るようになる。植林の急斜面を下ると稲村沢林道に飛び出す。2分の林道歩きで稲村沢林道口に着く。何かあると期待していた尾根には何もなかったのは残念。更に5分ほど県道201号を南下すると、東に唐沢山が望める駐車地の唐沢橋に戻る。
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