ひとり山歩き137 : 田沼町飛駒の黒沢集落から大久保山に登り、奈良部山まで稜線歩きをしてきました。踏跡もかなりの部分に残っていてそれ程難しい稜線ではありませんが、三箇所ばかり岩を巻いて進む所もあります。処々で展望が開け富士山や近隣の稜線と峰々が楽しめました。復路は奈良部山から南西尾根経由で黒沢まで戻りました。
黒沢から大久保山(661m)〜奈良部山(985m)周回
2004年2月24日(火) 晴れ
1 行程
自宅(5:00) = 田沼町飛駒黒沢集落(6:05/6:20) − 大久保山(7:45/7:50) − 660ピーク(8:50/9:00) − 638ピーク(9:45) − 171号鉄塔(10:10/10:20) − 723ピーク(11:00) − 奈良部山(12:25/12:50) − 646ピーク(14:00) − 169号送電鉄塔(14:40/14:50) − 東川/根本林道分岐(15:15) − 黒沢駐車地(15:20/15:25) = 自宅(17:00)
2 自宅 − 田沼町飛駒黒沢集落
 安蘇を南北に延びる何本かの稜線を全踏破してみようと最近考えるようになった。その一つである三床山から金原山、高鳥屋山、大久保山、奈良部山を通って県境の十二山に延びる稜線は完成間近である。残り二区間のうちの一つである大久保山(地形図に名称掲載なし)から奈良部山の稜線歩きを計画した。
 下山してから駐車地に戻る林道歩きを極力少なくするよう計画する。そのためには田沼町飛駒の黒沢集落から大久保山に登り、奈良部山からは南西尾根を歩いて東川/根本林道分岐に降れば林道歩きは数分で済み周回コースとしては理想的である。
 黒沢へは国道293号から上町交差点で県道66号に入り、番場集落で県道66号と分かれて県道208号で北進する。約4kmで黒沢集落に入り、彦間川に架かる橋を渡り、その先100mの右に林道を見る。林道口300m先の路肩に駐車する。
3 黒沢 − 大久保山  北西尾根は急登だが障害物はない男体山 (大久保山付近から)
 林道口まで300mほど戻り、アスファルト舗装の林道を東に進む。5分後に林道から分かれて右の作業道に進む。更に5分程作業道を進み、右手の尾根に取り付く。植林の尾根に沿って南東に登ってゆく。僅かなブッシュだけで障害物はないが、勾配は急で息が弾む。標高500m付近で右から尾根を合わせると、勾配は緩やかになり、尾根筋は植林から自然林に変わる。相変わらず安蘇の山は松が多い。登るにつれ枝越しではあるが展望が開けてくる。南西に多高山と麓の足利CC、北にこれから縦走しようとしている奈良部山への稜線が伺えるようになる。標高630mで再び右から尾根を合わせ、向きを変えて東に登るようになると、左手(北)に男体山から女峰山の山頂部が望める。春霞で遠望は期待していなかったが、今日は霞みがなく先に期待が持てる。尾根を合わせて10分程で縦走稜線の小ピークに辿り付く。右(南)へ5分で大久保山の山頂に立つ。大久保山は1月26日に来たばかりで、山頂の様子は全く変わりない。 
 山頂部は伐採されていて中央に三角点があり、傍の立木にR.Kさんの標高プレートが取り付けてあった。北に男体山の頭、北東に尾出山、岳ノ山、大鳥屋山が枝越しに望める。 
4 大久保山 − 奈良部山  処々で富士山展望  大岩あるも概して歩きやすい尾根
 先が長いので大久保山から来た道を戻る。先刻たどり着いた小ピークを降り始めると、前方に男体山の頭と縦走尾根を見ながら気持ちよく歩を進める。地形図には近沢峠の南から縦走稜線にはずっと破線が引かれている。根本山神社か氷室山神社への参道の名残か、処々に踏跡が残っている。二つ目の小ピーク(630m)の北鞍部には左右に薄い踏跡(地形図の破線)が認められた。これは交通機関の発達していない頃の生活道で隣村への重要な道であったと思われる。鞍部から登り返す途中で、左手が開けて好展望。多高山の左奥に富士山が顔を出す。今シーズンは春霞で遠望は期待していなかったので、思わぬプレゼントに気分をよくする。南西に見えた冠雪の山並みもクッキリ見えるのだが同定できないのが残念。好展望のすぐ上が標準点の660ピークだが、樹林の中で展望はない。富士山(左奥)  多高山(中央右) (縦走尾根の660P付近から)
 660ピークから北東に降ると、鞍部から次のピークにかけて右側(東)が伐採地となっている。伐採地の斜面にはジグザグにキャタピラ踏跡が目に付く。伐採地からは南東に岳ノ山〜北東に807ピーク(東蓬莱山)、北に奈良部山と男体山の頭と展望はよい。伐採地を登りつめると笹の生えたピーク(650m)で、またもや富士山がクッキリを姿を現す。富士山は再び登りたいとは思わぬが、遠くから眺めるのは何度眺めてもよいものだ。冬期の低山歩きでの喜びの一つ。笹ピークから北西に降り登り返すと638ピークで、前方がまたまた伐採地。その鞍部では重機が動いている。前方に見える送電鉄塔の手前斜面にもキャタピラの傷跡が痛々しい。
 鞍部でキャタピラを停めてもらい脇を通してもらう。富士山と反対側の岳ノ山・大鳥屋山・愛宕山の稜線を交互に前に後に眺めながら送電鉄塔目指して重機道をジグザグに登る。重機跡から強引に尾根によじ登って数分進むと、新栃木線の送電鉄塔(171号と思われる)に到着。今日は気温が高く発汗が多い。野峰を眺めながら水を飲み精気を取り戻す。
 鉄塔の先の小ピークを越すと、植林と自然林が混在していた尾根筋は自然林となり、多少岩っぽくなり小さなコブを幾つも越さねばならない。ちょうど高鳥屋山付近の岩稜尾根に似てくる。鞍部から少し登り返した小ピークが723ピークで特記するようなことは何もないが、このあたりからペースが鈍る。松の多い岩稜の尾奈良部山頂にて根を進んでいるうちに岩頭で進めなくなる。右手の方が谷が浅いので、右に巻いてこの大岩を通過する。巻いている途中の岩に井上の落書きを発見する。大岩を巻き終わって振り返ると大岩に昌子の落書き。例の悪名高い井上昌子の落書きだ。普通落書きは人に見られるようなところに書くものだが、殆ど人がこないような所に落書きする精神はなんなのだろうか。常人には分からない。
 数分進むと大岩に進路を塞がれる。注意深く見ると踏跡は左に斜面を巻いて進んでいる。途中に赤テープもついていた。急斜面を這うようにして稜線に戻ると、北東に尾出山の頭がチラット目に入る。標高800mあたりの岩稜尾根を小さくアップダウンしているうちに、またもや岩頭に出て進退に窮する。右下へ巻いたが、この大岩通過が一番梃子摺った。この鞍部からは奈良部山への200m程の急登が待っていた。岩はなくなったが斜面の急登はつらい。足取りも重くやっと奈良部山の頂上に辿り付く。
 山頂は落葉樹林の中で今の時期は結構見通しがよい。北に丸岩岳〜熊鷹山、更に男体山と女峰山が見える。山頂には三等三角点と山部氏とK,A氏の山名プレートを見る。更に注意深く見渡すと、復路で通る南西尾根への踏跡が見える。時間切れの場合に通ろうとしていた南尾根への踏跡は痕跡もない。 
5 下山(南西尾根経由)  岩とヤブに多少悩まされるが、比較的歩き易い尾根
 行程が遅れた場合は、南尾根から東川道に直下降することも考えていたがその必要はない。南西尾根を黒沢の林道分岐まで歩けると判断して、南西の踏跡に入る。もし、この尾根に梃子摺るようなら、最初のピークを越した所から枝尾根で東川道に降ることも頭に入れて歩く。大久保山 手前は169号鉄塔 (奈良部南西尾根から)
 南西尾根は松の混ざる自然林でヤブも少なく歩き易い。右に野峰、左に往路の送電鉄塔を見ながらの快適な歩きができる。最初のピークを越した所から東へ延びる枝尾根を見て、どうするか一応検討する。南西尾根にはこの先に小さなピークが三つ程ある。降り勝手なので問題なし、そのまま林道分岐まで歩こうと決めて歩を進める。645ピークの手前で左手(東)が開けて岳ノ山、大鳥屋山と大久保山が展望できた。好事魔多し?! 今までが快調すぎたのか、この先で大岩が待ち構えていた。右の急斜面を立木や根に掴まりながら巻いて逃げる。巻き終わって稜線に戻るのに一苦労し、少し登ると645ピークに達した。
 645ピークの降りからはブッシュと岩で歩きにづらくなる。降り勝手なのでそれほど苦痛にはならないが、植林に入るとホットする。645ピークを過ぎると方向は南南東に変わり、左前方に大久保山を見ながら降ってゆくと送電鉄塔(新栃木線169号)に達する。樹林の中で展望はないが、小休止して給水する。
 鉄塔からは小さなピークを二つ越すが、ヤブも少なくなり歩きやすくなる。そのうち右下から沢音が聞こえ出す。分岐ば近いなと感ずると、尾根先端の急下降で東川/根本林道分岐に飛び出す。分岐には「東川道路改修紀念碑 祝摂政宮御成婚  大正十三年二月 左根本山道 右東川道」の石碑を見る。
 アスファルト道を5分程南下すると駐車地に戻れた。今日の周回コースは道路歩きが少なく理想的、と自賛して家路につく。
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